“普通”がなくなった。
さまざまな価値観が多様化することで、「普通はこうでしょう」というのは通用しない時代になったのかもしれません。
先日、社内のシニアの方からこんな質問を受けました。「若手の○○さんが、クライアントへ“●●さま”という感じで、敬称を漢字ではなくひらがなで書いていたのですが、あれは今では普通なのでしょうか・・・お客様に対して失礼な行為にはなっていないでしょうか? OKなんですかね?」
さて、外部の方とやり取りする際に、相手の名前の敬称は「様」「さま」「さん」、どれを使うべきでしょうか?
と、いきなりこんなざっくりした質問をされても答えようがありません。なぜならば、使い分けの法則は、「シチュエーション」によるものだからです。同じクライアントでも、ビジネス上で知り合って一回しか会ったことがないような間柄であれば、「様」を使うでしょうし、もう何年もお付き合いしているようなクライアント担当者であれば、時には「さん」と書くこともあるでしょう。また重厚長大な業界であれば、いくら仲が良くても「様」を使ったほうが無難ですが、ベンチャー業界であれば、最初から「さま」を使うこともあるかもしれません。逆にベンチャー企業の方で付き合いもそれなりに長くなってきているのに「様」を使うと、ちょっとこの人は固すぎるなといった印象を与えてしまうこともあるかもしれません。
私が新入社員の頃、もう18年も前ですが、新人研修の一環としてビジネスマナー研修を受けました。おそらくその時には、『メールには必ず社名をつけて、次に相手の名前に「様」をつけましょう』と教えられた気がします。「様」とつけられて、距離感は感じるにしろ怒る人はまずいないでしょうから、ビジネスマナーの教え方としてはそれが正しいと思います。しかし、やはり場面によって正しくないこともあると後々気づきました。
話は少し変わりますが、ジェネレーションギャップについて考えてみましょう。
私も新人の頃「最近の若いものは」という言葉をよく言われていたように思います。当時20歳以上年齢が離れた方々は、自分たちと違う価値観を目の当たりにしたとき、その言葉を発していたのかもしれません。例えば転職について。「最近の若い者は、すぐに職を変える。まずは10年、同じ会社で頑張るべきだ。20代で転職するなんて、地に足がついてなさすぎる。」そんなことを言っている方、実際にいらっしゃいました。
さてこの言葉を言われたとき、皆さんはどう感じるでしょうか?
これは発言者自身の価値観においては、正しい考え方なのでしょう。その時すでに50歳になっている方であれば、まさに年功序列、終身雇用の時代を戦い抜いて来た世代です。大多数の方がその考え方、その価値観なのかもしれません。しかし、我々の世代においてそれは通用しません。日本を代表する電機メーカーや航空会社が倒産の危機に追い込まれ、数万人単位でリストラをする、そんな時代です。会社が雇用者を守ってくれない時代になったので、自らのキャリア・自分の道は会社が作ってくれるのではなく、自ら作っていかなければならないのです。
会社に対して「私のキャリア・プランはどうなっていくのでしょうか?」と聞くのではなく、「自分はこんなキャリア・プランを描いているので、こんな仕事をさせてほしい」と訴えかけなければなりません。そして挑戦と成長の場を提供してくれない会社であれば、別の選択肢を探すのも自分の責任でやらなければなりません。
一方で、今でも終身雇用で臨むべき会社もあるはずです。今の時代は、一生同じ会社で働くのも、何度も転職するのも、どちらも選択肢としてありえます。つまりは“普通の働き方・普通のキャリア”がなくなり、多様化したのです。
10人いれば10通りの価値観がある。この“価値観の違いを認め合う”ことが大切なのです。
みらいワークスは、社員全員が他の会社で働いた経験がありますので、ビジネス経験は多種多様です。そうなると同じ業務に対しても、全く違う観点からとらえることもあります。そんな時に大切にしていることは、なにか考えの違いに直面した時に「普通はこうだ」と自分の価値観を押し付けるのではなく、あくまでも自分の価値観ではそうなんだよな、という目線に立つこと。
そして「どうしてそう思いましたか?」と相手の価値観を聞き、自分の価値観とどこが違っているのかを認識しあうことを心掛けています。
価値観の差は、育ってきた環境、経験、ビジネスの中で育まれたもの。さまざまなバックグラウンドの違いにより生まれるものです。それぞれがこれまでに培ってきた「正しい」を持ち寄るのですから、皆で価値観の違いを照らし合わせ、考えていくことが大切なのです。
みらいワークスの行動指針である“みらイズム”のひとつに、「チームワーク:私たちはお互いの強みと個性を活かし、チームの成果に貢献します。」という一説があります。お互いの価値観の違いは争いの原因にもなりかねないですが、お互いに認め合ったうえで、強いところを活かしあうようになれば、組織としては「1+1=2」ではなく、3にも10にもなる可能性が出てきます。
お互いに価値感が違うときには「なぜ違うのか」と興味を持って尋ねることで、いいチームワークが芽生えるきっかけにもなるかもしれません。
価値観が多様化し「普通」というものがなくなりつつあるからこそ、この価値観の違いをチームの強さに変えていく、そんなみらいワークスでありたいと考えています。