1年で10万文字書いてみて思ったこと

作成日:2018年3月2日(金)
更新日:2018年3月2日(金)

相手に「伝わる」ことで、初めて「伝えた」ことになります。書いたり、話したり。状況や内容、相手の心境などさまざまな要素によって、最適な手段は変わります。

 

昨年の2月からブログを書き始めて、はや一年が経過しました。この一年間で書いたブログは今回で47回目。その文字数は10万文字を超えました。その時その時に感じたことや、自分なりの考えを書いていまして、IPOの前後の忙しい時期だけは更新することが出来ませんでしたが、基本的には毎週書くようにしています。
 
毎週金曜日の朝会で、全社員に向けてメッセージを伝える時間を毎週のように設けていますが、そこで話した内容をあとからブログに書くことも多いです。(もちろん、ブログには書けないような内容も話したりするのですが。)

 

もともと朝会で社内メンバーにメッセージを伝えるというのは、創業間もないころから続けていることですが、ブログのように「文字」で発信するようになったのはこの一年で初めて取り組んだことでした。「話して伝える」「文字にして伝える」、二つの方法でメッセージを発信することで、いろいろな学びがありました。

 

スタートアップ協会_スピーチ

 

特に感じたのは、「話す」と「伝える」という意味の違いも考えるようになりました。「話す」のはそんなに難しくなく、自分が声を発すれば話したことになります。しかし「伝える」というのは、自分が話していることを相手が聞き、その内容を理解し、そしてその内容に共感もしくは腹落ちして、初めて「伝わった」ことになります。ですから、コミュニケーションにおいては、「話す」だけでなく、「伝える」ということを大切にすべきですね。

 

アクセンチュアに勤めコンサルタントとして経験を積ませてもらっていた頃にプレゼンテーションを行なう際には、よく「●●についてポイントは三つあります。一つ目は~。そして二つ目は~。最後に三つめは~です。」といった感じで、最初に何個のポイントがあるのかを提示することが大切だ、と教え込まれました。今もこのやり方は体に染みついているなとは思います。クライアントに対してプロジェクトの報告をする場面、もしくは提案をする場面など、「何かを説明するような場面」でこのアプローチは効果的です。しかし、不特定多数の人達に対して何かを「伝える」際には、これだけでは不十分なんだな、ということも学びました。

 

なんというか、左脳ではなく、右脳に訴えかけて伝える、といった感じでしょうか。話し方をいくら工夫したところで、伝えたいコンテンツをただ話すだけでは相手には伝わりません。相手の記憶に留める為の“ストーリー”が必要です。聞き手や読み手が「なるほど」「わかる、わかる」「確かに」といった感じで共感できるような文脈になっていなければ、同じことを言っていても相手には伝わりませんよね。そして人によって共感するポイントや、刺さる話の傾向も違います。同じ話でも、自分の状況や心境によっても受け取り方は変わってきますよね。そうなると伝える側としては、同じ話を何度もする、キーワードを頭に刷り込んでいく、ストーリーを変えて話してみる、そんな工夫を続けなければなりません。

 

岡本_朝会

 

そういった工夫を重ねても、本当に「伝わっている」かどうかは、相手に聞いてみないとわかりません。 朝会で話した内容について、後日メンバーに感じたことなど感想を聞いてみることもあるのですが、全然記憶に残っていないこともあります。そんな時は、「話を聞いていなかったのか?」なんて思わずに、自分の伝え方が足りなかったのだと考えるようにしています。だからこそ、一方的に話すのではなく、それに対して相手がどう感じたのかについて傾聴し、そして再度話しもう一度傾聴します。伝わるまでそれを何度でも繰り返すことが大切です。本当にカリスマ性のある方であれば、一発で相手に共感してもらえるかもしれません。そうでなければ「壊れたレコーダー」なんて表現をすることもありますが、何度でも何度でも話し続けることで、初めて「伝えたかったこと」が相手に届くものですよね。

 

また相手が共感しているかという点についても、「口頭」と「文言」では異なります。Face To Faceのコミュニケーションを通して口頭で伝える際には、相手の反応を見ながら自分の話し方をその場でアレンジして伝えることが出来ます。ある意味、双方向のコミュニケーションと言えるでしょう。一方で、文言については書き手から読み手への一方通行であり、相手の反応を知ることができません。そもそも伝わっているのかどうかを確認すること自体難しいでしょう。一方で、双方向のコミュニケーション(口頭)は、同時に話す相手の数は限定されてしまいますが、文言であれば不特定多数に伝えることが出来ます。当たり前ではあるのですが、この特性の違いを理解したうえで、その場に合った方法を使い分けることが大切なのだろうな、なんてことを改めて学びました。

 

またPCでタイピングして文章として書いていると、文字を見ながら自分の考えが整理されていくのを感じます。なんとなく考えていたことを自分の言葉にして書いてみると、徐々に深掘りされていき、本当の自分の考えが浮かび上がってくる、そんな感覚を得ることができるのです。余談ですが、個人的にはPCで打つよりも、手書きするほうが頭の中が整理される印象があるのですが、さすがにブログは手書きでは書けませんね。他にもさまざまな発見があるのですが、やはり新しいことを始めたから気づくこともありますし、継続していることから学ぶこともあります。見たり聞いたりしてわかっているつもりのことでも、自ら試してみるからこそつかめる“本当のところ”があります。これからも自分で行動し、自分の感覚で感じることを大切にしていきたいと思います。