“言葉”にすることの大切さ。「伝えよう」とすることで、考えが深まり、人との関係性や物事への認識が強まる。

作成日:2017年8月10日(木)
更新日:2017年8月10日(木)

一ヶ月前からの取り組み『Thank youカード』。ありがとうの気持ちを伝えやすくなったと同時に、見えてきたことがありました。

みらいワークスで、先月から『Thank youカード』という制度を新たに導入しました。この制度は感謝を伝えたい、称賛したい時に直接言葉で言う機会がなくとも、カードに書いて気持ちを伝える、といった事が出来るものです。航空会社などでも導入されており、本やテレビなどで紹介されることも多いので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。私自身はANAの人事について書かれた本の中で知りまして、昨年まで出演させていただいていたBS JAPANの『人生が変わる人事の話』の中でも紹介させていただいたことがあります。
 

さて『Thank youカード』を導入して一か月が経過し、いろいろと感じたことがあります。

Thankyouカードまず、「このカードをもらうのはとても嬉しい」ということです。専用のポストに投函されたカードを、インターンのメンバーが毎日1人1人に配って回るのですが、受け取るとついつい笑みが出る。読んでさらに笑みがこぼれる。ついついチラッと、書いてくれた送り主を見たりすることもあります。直筆で書いている、というのも気持ちが伝わる要因なのかもしれませんね。その後に本人と会話する際には、「カードありがとう」という言葉がついつい出てしまいます。

また普段から「ありがとう」と感謝するタイミングを探すようになり、人が“してくれたこと”に目が向くようになりました。

不思議と、自然に人の良いところにも目が向くようになるという相乗効果もあるようです。みらいワークスでは毎日、朝会をやっているのですが、『今日の気づき』というコーナーがあり、日替わりで各メンバーが数分のスピーチをしています。今朝スピーチをしたメンバーが、「Thank you Cardによって人の良いところに目がいくようになった、“美点凝視”するようになった」といった趣旨の話をしていました。

そして予想外だったことは、カードをもらうことも嬉しいのですが、自分で書くことも楽しく嬉しいということです。感謝の気持ちというのは、その瞬間は言いやすいですが後から伝えるのはタイミングがなくなかなか言えずに終わってしまうことが多いものです。みなさんも、「本当は感謝しているのにそれが伝えられない・・・」、そんな歯がゆい思いをしたことがありませんか?実は、私はそのように感じることが度々ありました。それが、このカードの導入により、きちんと伝えられるようになりました。ふと思い出したときに、さっとカードを書くことで顔を会わせられない時でも感謝の気持ちを伝えられます。そしてそれを伝えられることは、相手にとっても、自分にとっても良い感情をもたらします。

Thankyouカード少し話は変わりますが、Thank you カードで感謝の気持ちを伝えるのと同じように、“自分で言葉にして発する”ということもとても大切です。日本では“言霊(ことだま)”という、言葉に力が宿るという考え方がありますが、自ら言葉にして外に出すことで、自分自身もその考えを深めていくことができる、そんな効果もあります。

新規のクライアントへ営業に伺う際、営業メンバーと同行することも多いですが、そのミーティングの場では以前は会社の説明を私がしていました。今はメンバーから話してもらうようお願いすることにしています。そのプレゼンテーションの中で経営理念やビジョンについて話をすることになるのですが、同じことを説明するにもそれぞれ異なった表現で説明しているので、その理解度や腹落ち度がなんとなくわかったりします。「このメンバーはこんな感じで理解しているんだな」「あ、ぜんぜん腹落ちしていなさそうだな」といったところではありますが、自分の言葉で話す機会があることで、みらいワークスの経営理念やビジョン、行動指針の“みらイズム”について深く考えるきっかけにはなっていると思っています。

点字名刺みらいワークスの名刺には点字が刻印されていまして、経営理念である『日本のみらいの為に挑戦する人を増やす』という言葉が刻まれています。点字を読める方はなかなかいらっしゃらないのですが、名刺交換するとお相手から「これ、何て書いてあるのですか?」と尋ねられ、お答えする流れで経営理念について話すことができます。自分の口で経営理念についてご説明するので、それについて少なからず考えることになります。もともと点字名刺は10年前に起業した際に、「お金がない中でも出来る社会貢献は何だろうか?」と考えたことが始まりでした。目が不自由な方の就業を支援する団体に毎回依頼して点字を刻印してもらっていまして、もう10年続けています。点字が入っているから、名刺交換という出会ってまもないタイミングで経営理念のような一歩進んだお話ができるのです。この“自分の口で経営理念を話すタイミングが生まれる”ことは、実は点字名刺の大いなる価値だなと最近思うようになりました。みらいワークスのメンバーも名刺交換をする際に、同じようにこの経営理念について自分の言葉で話していることでしょう。そこで自分なりの言葉で話し、そして理解を深めていってくれるといいなと思っています。

Thankyouカード

さて『Thank youカード』 の話に戻りますが、この施策を導入している企業も多いとのことですが、途中で頓挫してしまう会社が多いらしいです。コンサルタントとしてプロジェクトに参画している際に、クライアントへのプレゼンテーションの場で「この戦略は、この戦略自体よりも実行と徹底、継続することが大切です!!」と力説したことは一度や二度ではないですが、みらいワークスにとっての『Thank youカード』という取り組みも同じことでして、始めてから定着するまで根気よくやり続けることが大切だと思っています。スタートして一か月の試みですが、「ありがとう」というこの言葉に込められている力を改めて感じています。

「ありがとう」という言葉に対して、「言われすぎて気分が悪い」という人はいないですよね。「ありがとう」は素晴らしい言葉であり、それを伝えやすいツールが生まれたことは、みらいワークスにとって大きな進化になるとの可能性を信じ、続けていきたいと思います。