【契約形態別】コンサルの費用相場とは?算定要素や仕組みを解説

コロナ禍で経営課題に直面する企業が急増する中、利用が広がっているのがコンサルタント。日本のコンサルティングサービス市場は大きく伸びています。調査会社IDCでは国内コンサル市場規模の予測を上方修正するほどです(※1)。

初めてコンサルタントへ依頼する企業も増えていますが、「依頼経験が少なく費用の相場がわからず比較検討しづらい」という声も聞かれます。

相場を知るには、まずはコンサルタントの種類や契約形態を知ることが前提。そこでコンサルタントの基礎知識とともに、費用の相場や選定に迷った時の選定ポイントを解説します。

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1.依頼前に知っておきたいコンサルタントの基礎知識

コンサルタントの基礎知識_みらいワークス

1)コンサルティングの業務は幅広い

コンサルタントとは、クライアントが抱える課題を明確にして、解決策を提案する人のこと。社内人材で課題解決できれば無料ですが、課題によっては高い専門性が必要になり、外部コンサルへ相談する必要があります。

多くのコンサルタントはITや人事、経営といった専門分野を持ち、分野やスキルレベルによって料金体系も変わります。なおコンサルティング業務そのものに資格は不要ですが、専門分野に関する資格を有するコンサルタントも多くいます。

多くのコンサルタントは、コンサルティングを専門に扱うコンサルティング会社(ファーム)と呼ばれる企業に属しています(最近は例外もあります)。コンサルティング会社も規模や得意分野などによって種類があるため、依頼内容にあわせて選択する必要があります。

 

2)代表的なコンサルティングの種類

・戦略系コンサルティング

企業の経営改善に向けた戦略を立案、課題解決策を提案するのが戦略系コンサル。グローバル展開する大手が多く、扱う案件の規模が大きいため報酬も高めです。

・総合系コンサルティング

戦略立案からシステム選定・導入に至るまで、上流工程以外も総合的にカバーするのが総合系コンサル。こちらも大規模案件が中心のため報酬は高めです。

・IT系コンサルティング

ITシステムの新規導入や、既存ITシステムの改善などを扱うのがIT系コンサル。コンサルタントのほかエンジニアも有する企業もあります。IT系の中でもさらに特定のシステムに特化したコンサルティングを専門とする人もいます。

・専門系コンサルティング(人事系、財務系、経営系)

IT系以外にも、専門分野に特化したコンサルティング会社は多くあります。例えば採用や人事制度、組織改革などを専門とする人事系コンサル。他にも中小企業の経営改善をアドバイスする経営系コンサル、会計や経理分野に特化した財務系コンサルなど。医療業界向けなど業界に特化したコンサルもあります。

3)国内でコンサルタントの需要は急激に増えている

国内のコンサルティングサービス市場は急成長していて、IDCによると2020年~2025年の年間平均成長率は9.3%。2025年に8,012億円になると予測され、特にデジタル関連ビジネスコンサルティングが伸びると見込まれています(※1)。

これはDX(デジタルトランスフォーメーション)関連プロジェクトの増加が大きな要因と言われます。コロナ禍でテレワークや非接触対応に取り組む企業も多く、多くの企業にとってデジタル関連の課題解決が急務です。しかしデジタル関連プロジェクトは社内人材だけでは解決が難しく、外部コンサルタントへ依頼する企業が増えているわけです。

コンサルタントの需要が急増する一方、DXなどに対応できる人材が少ないのも事実。こうした人材不足によりコンサルタント料金も高騰しています。2020年12月時点の調査でも、コンサルティング単価の上昇が見られました(※2)。

4)コンサル会社だけではなく、個人コンサルタントも増加

かつては日本でコンサルタントと言えば、コンサルティング会社に属する人がほとんどでした。しかし最近はニーズの増加に伴い、個人のコンサルタントも増えています。

個人のコンサルタントの多くは企業で経験を積んだ後に、独立した人。そのためコンサルティングスキルが高い人が多いのが特徴。ちょっとしたアドバイスが欲しいときなどに気軽に利用できる、個人なので機動力が高いなどの個人ならではのメリットもあります。

プロ人材の活用事例集_みらいワークス

2.コンサルティング料金体系に関わる3つの要素とは

コンサルタントの料金体系_みらいワークス

同じプロジェクトでも、コンサルタントによって見積もりに大きな差が出ることは珍しくありません。これはコンサルティング料金を算定する「要素」が関係しています。ここでは、まずクライアントが知るべき主な3要素について解説します。

1)プロジェクトの難易度

同じ案件でも見積もりに差が出るのは、コンサルティング会社が想定する難易度が違うため。例えばある化粧品メーカーがDX(デジタルトランスフォーメーション)推進についてコンサルティングを依頼するケースで考えてみましょう。ここではA社とB社という2社に見積もりを依頼したとします。

  • ・コンサル会社A:
    業界知識はあるがDX推進の実績は少ない。そのため社内業務のデジタル対応が中心の提案。
  • ・コンサル会社B:
    DXプロジェクト経験が豊富。アプリ開発やデータ活用に基づく新規事業のほか、経営改善や人材計画まで盛り込んだ提案。

 

当然ですが、B社の方が難易度は高くなるため、見積もりも高くなります。難易度をどう設定するかが料金体系に関わるわけです。なお基本的にプロジェクト期間が長くなるほど、費用は高くなります(コンサルタントの稼働時間が長くなるため)。しかし求める成果は同じで期間を短くしたい場合は、より難易度が上がるため料金も高くなります。

2)コンサルタントのスキル・保有資格

難易度とも関連しますが、プロジェクトの内容によって必要なコンサルタントのスキルも変わります。当然ですがスキルが高く経験豊富なコンサルタントは報酬単価が高く、料金もかさみます。役職の他、専門分野に関する資格を持つコンサルタントも単価が高い傾向にあります。

3)コンサルティング会社のブランド力や知名度

グローバル展開する大手コンサルティングファームになると、提示料金は高額になります。これには企業としてのブランド力や知名度が含まれるため。信頼性が高い、アフターフォローがしっかりしている、過去の実績が多いなどの要素が料金に加味されていると考えるべきでしょう。

3.【契約形態別】コンサルティング費用の相場

コンサルタントの契約形態別の費用相場_みらいワークス

難易度などの要素をもとにコンサルティング費用を算定しますが、実際の料金は契約形態によって決まります。つまり相場を知るには、自社にあうコンサルティング契約形態をまず選ぶ必要があります。ここでは代表的なコンサルタントの契約形態を4つ紹介します。

1)顧問契約(アドバイザー契約)

外部専門家に顧問となってもらい、アドバイスを受ける契約。顧問契約の報酬は月額制が一般的です。月額制なので、顧問契約中であれば時間制限なく相談できます。

費用相場:月額20~50万円程度

2)スポット契約(時間契約)

顧問契約のように月額制ではなく、相談時間単位で報酬が発生する契約。最近は個人コンサルタントに軽い相談をする際に、スポット契約を使うケースが増えています。当初はスポット契約で、その後月額制の顧問契約に移行するケースもあります。

費用相場:1時間あたり5,000~10万円程度

3)プロジェクト型契約

プロジェクト内容に基づき、担当するコンサルタントの単価や人数、時間をもとに報酬を算出する形式。スキルの高いコンサルタントになれば、報酬単価は上がります。日本ではプロジェクト単位で依頼する場合、プロジェクト型契約が主流です。単価×人数×時間という料金体系のため、算出方法がわかりやすい点がメリット。ただし効果に関わらず費用が発生します。

費用相場:プロジェクト内容によって異なる

4)成果報酬型契約

同じプロジェクトでも、事前に双方で定めた成果が出た時点で報酬が発生する契約もあります。例えばM&Aのコンサルティングを成果報酬型で依頼した際、M&Aが成功した時点で報酬を支払います。採用が成功したら報酬を支払うパターンもあります。成果をコミットしている分、費用は高めに設定されます。

費用相場:プロジェクト内容によって異なる

4.自社に合ったコンサル費用を見極めるポイント

コンサル費用を見極めるポイント_みらいワークス

報酬の安さだけで比較検討するのは避けたいところ。安さだけを重視すると、業務内容が不足していたり想定したほど効果が出なかったりすることもあります。ここでは比較検討する上で、チェックしたいポイントを解説します。

1)目的を明確にして、見積もり内容をチェックする

まずコンサルティングの目的を明確にすることが必須です。ゴールが曖昧では見積もりの内容も曖昧になりますし、求める成果が出ないという結果になりかねません。例えばただ「DXを推進したい」という依頼では、目的が明確とは言えません。これではコンサル会社の見積もり内容がバラバラになってしまい、比較検討が難しくなります。

例えば「DXを推進してアプリを開発し、ビッグデータを収集、さらにその活用法を提案してほしい」というように、目的をできるだけ具体的にしましょう。また目的が明確になれば、契約形態も選びやすくなります。例えば税務や法務など困ったときにいつでもアドバイスが欲しいなら、月額制の顧問契約が望ましいでしょう。緊急性や頻度は少ないけれどいざというときに相談相手が欲しいなら、スポット契約がコストを抑えられます。

2)コンサルタントの人数とあわせて、生産性もチェックする

プロジェクト形式契約では、参加するコンサルタントの人数や時間によって費用は大きく変わります。ここでは「本当にこの人数が必要か」という視点でチェックしましょう。プロのコンサルタントは当然生産性が高くなりますので、少人数で対応できるはずです。

一般的に自社で取り組む場合の半分以下の人数が望ましい、と言われます。もし想定以上の人数で見積もりが出た場合は、その理由を確認しましょう。

3)料金などの数字だけではなく、相性やモチベーションもチェックする

はじめてコンサルティングを依頼する場合、わからないことが出てきます。こう言ったケースでは、クライアント側の視点でわかりやすく説明してくれるコンサルタントが望ましいでしょう。

ですから料金だけではなく、コンサルタントの人柄や相性もチェックしたいポイント。また実際のプロジェクト進行をスムーズにするには、コンサルタントのモチベーションも重要な要素です。

営業担当とのやりとりだけでは、実際に担当するコンサルタントの人柄や相性、モチベーションまではわかりません。契約前に担当コンサルタントと面談をしておきたいところです。

5.まとめ

コンサルティングの料金体系はわかりづらい面もありますが、まず難易度・コンサルスキル・ブランドや知名度という3要素で決まることを知っておきたいところ。また契約形態ごと相場を把握した上で、自社としてどの契約形態にするか検討しましょう。

なお、コンサルティングと言うと高額なイメージをお持ちの方も多いかもしれません。確かに大手コンサルファームは大規模案件がメインのため、相場は高め。しかし最近では、個人のコンサルタントなどリーズナブルな選択肢も増えています

ただし選択肢が広がっているからこそ、クライアント側も依頼先を見極める知識が必要。相談する段階では無料というところも多いので、慎重に比較検討して最適なコンサルタントを見つけましょう。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

プロ人材の活用事例集_みらいワークス

出典
※1:国内コンサルティングサービス市場は2025年に1兆2,551億円- IDCが予測(TECH+)
https://news.mynavi.jp/article/20210702-1913977/
※2:案件市況動向レポート(2020年12月):コンサル領域スキルカテゴリのすべてで案件単価平均が増加しました。(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000082.000032743.html