データ分析基盤とは?構築するメリットや3つのポイントを解説
現在、IoT機器やスマートフォンなどの普及にともない、ビッグデータの分析・活用が注目されています。ビッグデータの分析は、従来のような手作業では力不足で、データ分析基盤の構築が必要不可欠です。
今回は、データ分析について知見を深めたい、もしくは運用を検討中の企業・ビジネスパーソンに向けて、データ分析基盤とはなにか、構築のメリットやシステムのポイントを解説します。
1.データ分析基盤とは
データ分析基盤は、データの収集・蓄積・加工・分析を一貫して行なうのが目的です。「ビッグデータ」や「データドリブン」といった言葉の浸透とともに社内データの活用に力を入れる企業が増え、それに伴いデータ分析基盤を取り入れるケースも増えてきました。
しかし、特定部門にデータ分析業務が集中している場合、さまざまな課題に直面する傾向があります。たとえば、「データが少ないうちはExcelなどでも分析可能だったが、データが増えることによって処理に時間がかかってしまう」「形式の異なるデータの統合が、困難かつ属人化する」などといったトラブルが起こりやすいです。
近年のIoT機器の動向を振り返ると、2016年に約173億台から2020年は約253億台に増えており、2023年には約340億台に増えると予想されています。特に、医療やコンシューマー、産業用途、自動車・宇宙航空で高成長が望まれており、さらなるデータ処理が必要になることでしょう。
また、近年ではAWSを中心に、IoT機器の利用が増えているのが現状です。AWSとは、Amazon Web Servicesのことで、多くの企業で利用されている注目度の高いクラウドサービスです。AWSの出現により、幅広いソリューションを利用が可能となり、アカウント作成後にはすぐにサーバー構築ができるようになりました。
今後は、さらに処理すべきデータが増えることから、一般的な企業でもデータ分析基盤の導入・構築が不可欠になるとみられています。
2.データ分析基盤を構築するメリット
今後、莫大な量のデータ処理に対応するためにはデータ分析基盤の構築が必要です。ただし、データ分析基盤構築によるメリットについては曖昧な人もいるでしょう。ここからは、データ分析基盤の導入による4つのメリットを解説します。
1)誰でもデータ分析を活用できる環境が構築できる
従来のデータ分析は、複雑でシステムに関する専門知識が求められます。そのため、データに触れることができるのは、特定の専門知識を持つ人材と部署に限定されがちです。これによりデータ活用の属人化が起こり、それが原因で会社全体のデータ活用が進まない状況に陥るケースが多々みうけられます。
しかし、データ分析基盤の整備が進むと、システムの専門知識がない人でもデータアクセスが可能となり、誰もがデータ分析を活用できる環境を構築できます。
2)データの一元管理
上記で説明したメリット「誰でもデータ分析を活用できる環境が構築できる」のは、データ分析基盤の構築により、データの一元管理が実現するからです。部署ごとの重要データを該当部署独自のシステムで管理・保管していると、必要なデータが必要なときに選出できないことがあります。
データを企業内のビッグデータとして一元管理することで誰でも取り出しやすく、複雑な集計作業や膨大なデータの中から、必要なデータを抽出するなどのシステム操作が不要になります。データの一元管理によりスピーディーな分析にも繋がるでしょう。
また、一部の人材がデータの管理・保管を一貫して行うことで、収集した重要なデータを誤って削除・変更してしまうといったアクシデントが起こりやすくなります。こうなるとデータの正確性が担保できません。データの一元管理が進み、データの管理・保管に大人数・多部署が関わることで、ヒューマンエラーリスクの回避も期待できます。
3)業務の自動化
データ分析には、情報の収集・蓄積・分析・可視化が重要です。保管データ量が多くなるほど作業に時間がかかります。しかし、管理データを一元化することで、散在するデータの収集から加工・分析までを自動化できます。また、BIツールと連携することで、より効率的なデータ分析も可能になります。
4)精度の高い予測やヒントが得られる
客観的なデータに基づく確度の高い分析によって、複数データが組み合わせられるようになります。今まで気付かなかったヒントを得られたり、精度が高い予想により売上アップやシェア拡大にも繋げたりもできるようになるでしょう。
3.データ分析基盤の4要素
データ分析基盤のメリットを享受するには、要素を押さえた運用が望まれます。データ分析基盤を運用する上で重要となる4要素を解説します。
1)データを集める
重要な要素の1つ目は、データの収集と連携です。データ分析には、まずは蓄積データが必要です。業務システムやWeb、IoTデバイスなどからデータを収集し、データソースとデータ分析基盤を連携させる必要があります。
2)データを貯める
2つ目は、さらにデータを貯めることです。未加工の生データは、システムやデータベースから収集したデータを保管する役割の「データレイク」に保存されます。加工前のデータをデータレイクに保存することで、別用途でも利用しやすいという利点があります。
また、加工したデータを元の状態に戻す場合にも、データレイクに保管された生データを利用し、加工前のデータを手に入れやすくなります。
3)データを加工する
3つ目の要素は、データの加工です。データレイクに蓄積されている生データを分析しやすい状態に加工して、「データウェアハウス(DWH)」に保管します。
また、特定の用途のために加工したデータは「データマート(Data Mart)」へ保管されます。データマートに保管されたデータは、用途に応じて細分化されるため、売上分析や顧客行動の分析といった具体的な目的や用途に沿って、抽出や分析が高速で行えるようになります。
さらに、データマートでは用途に合わせたデータのみを小規模で保管することも可能です。データ分析の目的が限定的な場合は、データウェアハウスを用いず、データマートのみでデータ分析基盤の構築ができます。
4)データを分析・可視化する
最後に重要な要素は、データの分析と可視化です。あらかじめ、データウェアハウス(DWH)で加工され、データマート(Data Mart)に保管された加工データは、細分化されているとはいえ、人が意思決定する材料としては利用しづらい側面があります。
そのため、最終工程としてデータを可視化させた上での分析が求められます。データの可視化には、BIツールなどを利用しグラフやチャートなどにするのがよいでしょう。
4.データ分析基盤構築のポイント3つ
実際にデータ分析基盤を構築する際のポイントを3つ解説します。ここまで紹介してきた、メリットや要素とともに押さえておきましょう。
1)誰でも利用できる
データ分析基盤を構築する上で重要な判断材料といえるのが、誰でも使えるかどうかです。会社全体でデータを活用するためには、従来のシステム管理のように特定の部門や社員だけが利用できる状態では十分といえません。
こうした状況を脱却するために、組織内の誰もがデータにアクセスでき、データに基づいた活動を行える環境を整えていきましょう。専門知識がなくても利用できる直感的なUI、もしくは充実した運用サポート体制などを取り入れ、検証する必要があります。
2)自社に必要な機能がある
構築したデータ分析基盤に、自社に必要な機能が備わっているかどうかもポイントになるでしょう。これについては、現在必要な機能だけでなく、将来的に必要となる機能の予測も重要です。
特に、データ量は増え続けると予測できるため、データ分析基盤には拡張性の高さが求められます。また、一つ一つの機能が運用できる環境を整備することもデータ分析基盤構築には重要なポイントです。
3)非構造化データを扱える
非構造化データとは、電子メール・音声ファイル・PDFファイルなどといった、構造定義されていないデータのことです。データ単体で意味を持ち、用途も異なる上に量が多い非構造化データの分析は、従来困難とみられていました。
現在は、AIの発展などにより分析が行えるデータ分析基盤もあります。こうした特殊なデータを扱えるかどうかにも注意して、データ分析基盤を構築していくと自社にジャストフィットしたシステムが構築できるでしょう。
5.まとめ
IoT機器やスマートフォンなどの普及にともない、必要とされるデータ分析基盤。日に日に注目が高まるビッグデータに対応するために、今後の企業発展のカギとなってくると予想されています。紹介したメリットや構築の重要要素、運用のポイントを確認しておきましょう。
また、データ分析基盤を構築・運用で課題に直面したときは、マーケティングのホワイトペーパーを参考にするのもおすすめです。データ分析のあり方を見直すことで、企業のさらなる発展に向け役立てることができるでしょう。