多く集めることが重要!新規事業におけるアイデアの考え方を紹介
「斬新で良いアイデアを出す」というのは何かを始めようとしている人にとっては重要な課題です。ビジネスや起業においてもそれは例外ではありません。他の企業と同じことをやっていても、自社がヒットするビジネスモデルを生み出すことは難しいです。
起業したり新規ビジネスを立ち上げる際には斬新なアイデアを出すことがビジネスの成否を分ける肝となります。しかしながら、ただ闇雲に考えていても良いアイデアを出すことは難しいです。一体どのようにして良いアイデアを生み出せばよいのでしょうか?この記事では、起業や新規ビジネスにおけるアイデアの考え方について解説します。
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1.新規事業においてどんなアイデアが求められるのか?
一般的に新規事業は成功率が低いのが実情です。中小企業白書によれば新規事業開拓を実行した企業のうち成功したと答えたのは業界に関係なく3割程度だったそうです。逆に言うと7割の企業は失敗したということです。(※1)
一体、どのようなアイデア出しを実行すれば成功を実現させられるのでしょうか?一般的には成功する起業や新規事業のアイデアは新規性と解決性、収益性を備えたものだと言われています。新規性、解決性、収益性とは何でしょうか?以下に解説します。
1)新規性
新規性とは、そのアイデアがどれだけ新しい価値を提供できるかという尺度です。会社を起業して新規事業を開発してもすでに業界に既存の商品やサービスが存在していることが多いですよね。新規性が高いとは、世の中に存在する似たビジネスが少ない、あるいは全く開発されていないということをいいます。
新規性が高いとなぜ良いのかというと、当然ながら業界に既存のライバル企業が少なくなるからです。すでに先行企業がいる市場では二番煎じや後追いの印象が拭えず、既存のものと同じような商品やサービスを開発してもインパクトを提供できないため失敗しやすくなります。
先行経営する競合企業がひしめいている、いわゆるレッドオーシャンである業界に参入してしまうと、その市場で基盤を持たない後発企業は商品開発で優位性を保つことができず、どうしても価格面での競争に手を出してしまいがちです。
会社を起業して新規事業を立ち上げる際にはできるだけ既存の商品やサービスとの衝突を避け、ブルーオーシャンの業界に参入できるアイデアを出すことが重要です。
2)解決性
とはいえ、ただ新しいアイデアなら良いかというとそういうわけでもありません。ただ新しいだけなら単なる突拍子もないアイデアになってしまいます。実際、新規事業が失敗した事例を集めてみると「革新的な商品やサービス」という触れ込みで開発したけど顧客は誰も欲しがらなかったというケースが多いのです。たくさんの顧客が欲しがる商品やサービスのアイデアを出すには、新規性のほかに解決性も必要です。
解決性とは「どれだけ顧客の課題や悩みを解決できたか」という尺度です。言い換えれば市場のニーズのことですね。解決できる課題や悩みが大きければ大きいほど開発された商品やサービスは売れやすいのです。
よく商品やサービスの解決性や市場のニーズの話で例えられるのが「砂漠の水売り」の話です。灼熱の砂漠でさまよい歩いている人にはただの水道水でも1リットル500円や1000円で売れるでしょう。ひょっとしたら1万円でも買うかもしれません。これは「喉が乾いた」という強烈な課題が解決できるからです。ただの水に新規性はありませんが、解決性が高ければそれでも売れるのですね。
3)収益性
次に収益性について解説します。収益性とは、自社が安定して利益を得ることができるかを指す尺度です。確かに「人の悩みを解決する」「人の役に立つものを提供する」というのも重要ですが「ビジネスとして成り立つか」という要素がないと会社として経営できません。自社のビジネスモデルとして成り立つかというのはちゃんと利益が出るかということです。
例えばいくら人が欲しがる新しい商品やサービスでも、コストが莫大にかかって利益がでなかったり、異常に安い値段でしか売れなかったり、そもそも安定的に十分な量を提供できなかったり、実現可能性が薄かったりするものはビジネスとして成立しない可能性があります。
2.成功に近づく!新規事業のアイデアを出す方法
このセクションでは会社が成功に近づく新規事業のアイデアを出す技術を解説します。
1)他の企業の成功事例
会社が新しいアイデアを考えるにはすでに成功している業界や企業の事例をヒントにして考えるのも効果的です。ただし、あまりにもそっくりに似たアイデアだと新規性が無くなってしまいますので、ヒントにしつつもターゲットや市場、業種、顧客層などをずらすなどの工夫は必要でしょう。
また、先行企業の事例を参考にする際には国内の会社か海外の会社かも注意しないといけません。国によって文化は違うため、海外企業の事例をそのまま国内の市場に適用すると失敗することがあります。逆もまたしかりです。
2)日常生活における不便
解決性を重視したアイデアを出すためには、日常生活でどんな不便があるかを洗い出すことが重要です。一旦プロ目線を捨てましょう。全く素人の一般人の目線に立って、日常生活での不便を考えるのです。普段から不便に感じたり不満に感じたりしたことをメモしておいて、アイデア出しの際にそこから着想を得る、という使い方をすることもできます。会社内の人材全員にアンケート形式で日常生活での不便を尋ねるとさまざまなアイデアの種が得られるかもしれません。
3)普段の悩みや不安
同じく解決性が主体のアイデアを出すために、普段の悩みや不安から着想することも重要です。こちらもプロ目線は一旦捨てた方がいいです。その他にも「不」がつく言葉はアイデアの素になることが多いです。例えば不満、不便、不安、不都合、不快、不都合などです。普段からメモを取って「不」がつく言葉をうまく活用しましょう。
4)価値がないものから価値を見出す
自社にとって価値がないものであっても、それを必要としている市場が存在することがあります。過去の成功事例から見ても、一見価値がないようなものから新しいビジネスが多く生まれています。固定観念や常識を捨て、一見無価値なものを多角的に分析することが重要です。
5)新たな組み合わせ
全く異なる市場のものや、異なる技術分野を組み合わせると新しいアイデアが生まれることがあります。例えば飲料メーカーやお菓子メーカーが普通なら飲料やお菓子に使わないような材料を使って商品やサービスを作り、話題になることがあります。あれこそが異なる市場や技術分野を組み合わせて生まれた新しいアイデアです。
6)主婦目線で考える
プロ目線で考えるのも重要ですが、主婦目線で考えるのも重要です。主婦は普段から生活に根ざした作業を効率化することを追求しているため、生活の端々にある細かい不満や不足、不都合などの情報を持っていることが多いです。また、主婦は新商品やサービスや市場のトレンドにも敏感であり、購買意欲が高いので主婦目線から生まれたアイデアは利益を上げやすいです。
さらに、中高年の男性向けの商品やサービスでも、購買の決定に妻の意思が大きく関わることが多いので、男性向けの商品やサービスでも主婦目線で考える要素は必要となります。主婦目線をうまく活用することが重要です。
3.新規事業のアイデアを生み出すフレームワーク
アイデアを生み出すにはフレームワークという技術を利用することをおすすめします。フレームワークとは「枠組み」とか「骨組み」という意味の英単語で、問題解決や意思決定やアイデアの発想を行うときの作業をテンプレート化した支援ノウハウです。社内の人材を効率的に活用するためにもフレームワークを導入しましょう。経営者も良く使う支援ノウハウが多いので知っている方も多いかもしれませんが、以下に代表的なフレームワークを解説します。
1)マインドマップ
経営者がよく使うツールで、まず起点として紙の中央にテーマとなる単語を書いて、そこから連想される単語を次々に枝を伸ばして書いていく発想法です。情報の整理とか分類はとりあえず考えずに連想したものを次々に書いて発想していくことがポイントです。頭の中にある概念が残らず出てきて関連が可視化されるので、問題点になっている概念やキーとなる概念を整理しやすく、アイデアが出てきやすいです。簡単なのでアイデア出しが苦手な社内の人材でも活用することができます。
2)形態分析法
形態分析法を解説しますと、形態分析法とはテーマとなる概念を構成する「変数」に分解し、変数ごとに選択肢となる要素を組み合わせて新しいアイデアの発想を支援するフレームワークです。こちらはプロ目線で考えるのが重要になります。
例えば「新しい料理」の変数は「食材」「ジャンル」「調理法」となります。これらの変数ごとに、例えば「食材」であれば「肉」「魚」「野菜」という要素に分解されます。同じようにジャンルであれば「和」「洋」「中」、調理法であれば「煮る」「焼く」「蒸す」というふうに分かれます。
このように変数ごとの要素を洗い出した後「肉×和食×焼く」とか「野菜×中華×蒸す」というふうに各要素を組み合わせて考えていくのです。こちらも簡単なのでアイデア出しが苦手な社内の人材でも活用することができます。
3)オズボーンのチェックリスト
オズボーンのチェックリストについて解説します。オズボーンのチェックリストとは元のアイデアをさまざまなやり方で変化させて、新しいアイデアの発想を支援するフレームワークです。
このチェックリストの項目は以下の9つがあります。
1.他に使い道はないか?
2.他からアイデアが借りられないか?
3.変えてみたらどうか?
4.大きくしてみたらどうか?
5.小さくしてみたらどうか?
6.他のもので代用できないか?
7.入れ替えてみたらどうか?
8.逆にしてみたらどうか?
9.組み合わせてみたらどうか?
このチェックリストに元となるアイデアを当てはめてみて、新しいアイデアを考えていくのです。
4)ブレインストーミング
ブレインストーミングについて解説します。ブレインストーミングとは5人〜10人程度のグループで集まり、各人が思いついたことを全て書き出していく発想のフレームワークです。このフレームワークは社内の人材の活用法としても効果を発揮します。
1.出たアイデアを否定してはならない
2.結論を出してはならない
3.奇抜なアイデアを歓迎する
4.質よりも量を重視する
5.アイデアを組み合わせて発展させる
ブレインスト−ミングはこのようなルールがあります。基本的には「質より量」という考えが根本にあるフレームワークです。アイデアの取捨選択や整理は全て出し終わった後に行えば済むからです。アイデアが否定されないので参加した社内の人材同士がお互いの意見を潰し合うのを防止することができます。
5)KJ法
出たたくさんのアイデアをまとめ、収束させるフレームワークです。1つのアイデアを1つのカードに書き、似通ったアイデアや組み合わせられるアイデアをまとめ、図解にします。
4.まとめ
この記事では成功しやすい新規事業のアイデアについて解説しました。良いアイデアを出すには「新規性」「解決性」「収益性」の3つの軸が重要です。それらの軸を考えるには他社の経営の成功事例や日常生活での不便や不足などに着目し、多角的に物事を考えてみることが重要です。この記事で解説したさまざまなフレームワークを使って効果的にアイデア出しを行ってみてください。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
出典
※1:2017年版 中小企業白書の概要
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/index.html