PMとPMOの違いとは?役割や仕事内容、求められるスキルを比較
作成日:2025/08/19
プロジェクトマネジメントに関わるビジネスパーソンにとって、PMとPMOは重要な存在です。しかし、それぞれの違いがよくわからないという人もいるでしょう。
本記事では、PMとPMOの役割や仕事内容の違いについて詳しく解説していきます。
PMとPMOの役割を理解し、自身のキャリアパスを検討する際の参考にしてください。
目次
■PMとPMOの役割
(1)【PM】プロジェクトの責任者
(2)【PMO】プロジェクトの支援役
■PMとPMOの業務内容の違い
(1)【PM】プロジェクトの目的設定
(2)【PM】プロジェクトチームの編成
(3)【PM】プロジェクトの実行
(4)【PMO】事務作業・情報収集
(5)【PMO】データ分析
(6)【PMO】メンバーのマネジメント
■PMとPMOの業務に役立つ資格の違い
(1)【PM】プロジェクトマネージャ試験
(2)【PM】PMP資格
(3)【PMO】プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格
(4)【PMO】PMOスペシャリスト認定資格
■PMとPMOに求められるスキル・知識の違い
(1)【PM】セルフプロモーション能力
(2)【PM】コストマネジメント能力
(3)【PM】進捗管理能力
(4)【PM】多角的な視野
(5)【PM・PMO】コミュニケーション能力
(6)【PMO】文書作成能力
(7)【PMO】プロジェクト関連の知識
■PMとPMOのキャリアパスを比較
(1)【PM】プロジェクトマネージャーやポートフォリオマネージャー
(2)【PMO】マネージャーやコンサルタント
PMとPMOの役割

【PM】プロジェクトの責任者
PM(プロジェクトマネージャー)は、プロジェクト全体の総責任者です。プロジェクトの全工程において責任を持ち、プロジェクトの目的達成のために指揮を執ります。
具体的には、プロジェクトの目的設定や目標の明確化、予算策定、人員配置、スケジュール管理、品質管理、リスク管理など、多岐にわたる業務を遂行します。
チームメンバーのパフォーマンスを最大化しながら、最終的な成果に対する責任を負うため、PMには強力なリーダーシップと問題解決能力が必要です。
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【PMO】プロジェクトの支援役
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、プロジェクトマネジメントを専門とする部門やチームです。PMの支援役としてプロジェクトの円滑な進行をサポートする役割を担います。
個々のプロジェクトの進捗管理や品質管理だけでなく、複数のプロジェクトを横断的にマネジメントすることが特徴です。
PMOには、PMやメンバー、協力企業などと積極的にコミュニケーションを取り、現場の潤滑油としての役割を果たすスキルが求められます。
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PMとPMOの業務内容の違い

PMとPMOは、プロジェクトの成功に向けて、それぞれの役割と責任範囲に基づいて異なる業務を遂行します。両者の仕事内容を比較してみましょう。
【PM】プロジェクトの目的設定
PMは、プロジェクトの初期段階において、「何を達成すべきなのか」という目的を明確に設定する重要な役割を担います。目的設定は、プロジェクトの方向性を決定し、成功の基準となるため、非常に重要です。
PMは、クライアントとの対話を通じて、要望や期待を深く理解し、具体的なプロジェクトの目的として落とし込みます。
例えば、システム開発プロジェクトであれば、「新システムの導入により、業務効率を20%向上させる」といった具体的な数値目標を設定します。
PMは、設定した目的が現実的で達成可能であるかどうかも検討しなければなりません。さらに、プロジェクトメンバー全員に目的を共有し、理解してもらえるよう努める努力が必要です。
【PM】プロジェクトチームの編成
PMは、プロジェクトの目的達成に必要なスキルや経験を持つ人材を選定し、プロジェクトチームを編成します。
チーム編成は、プロジェクトの成功に直結する重要な業務の一つです。PMは、各メンバーの専門性や特性を考慮し、それぞれの役割と責任を明確に割り当てます。
例えば、ITプロジェクトであれば、システムエンジニア、プログラマー、テスターなど、必要な職種の人材をバランス良く配置します。
また、チーム内のコミュニケーションが円滑に行われるように、メンバー間の相性も考慮しなければなりません。
単に人員を配置するだけでなく、チームメンバーが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることは、モチベーションの維持にもつながります。
これにより、プロジェクトがスムーズに進行し、効率的に目標達成へと向かうことが期待されます。
【PM】プロジェクトの実行
PMは、プロジェクトの実行段階においても、多岐にわたる管理業務を遂行します。具体的には、スケジュール管理、予算管理、品質管理、リスク管理などが含まれます。
PMは管理業務を通じて、プロジェクト全体が計画通りに進み、最終的な目標を達成できるよう、常に監視と調整を続ける責任があります。
大規模なプロジェクトでは、PMが一人で全ての管理業務を担うことは困難になるため、PMOの支援が不可欠です。
【PMO】事務作業・情報収集
PMOにはいくつかの種類があり、事務作業やプロジェクト関連情報の収集・整理を担当するのが「PMOアドミニストレータ」です。
具体的には、プロジェクトデータの収集・更新、メンバーへの情報共有、会議日程の調整と手配、経費精算、書類作成・管理サポート、メンバーの勤怠・稼働管理などの業務を行います。
PMOが細かな事務作業を一手に引き受けることで、PMや他のプロジェクトメンバーは本来の業務に集中できるようになります。
【PMO】データ分析
PMOアドミニストレータが集めたデータを分析する作業は、「PMOエキスパート」と呼ばれる職種が担当します。
具体的には、プロジェクトの進捗や関連データ、リソースの稼働状況などを定期的に収集し、数値を詳細に分析することで、プロジェクトが計画通りに進んでいるかどうかを把握します。
データ分析を通じて、潜在的な課題や問題点を早期に発見し、問題の深刻化を防ぐのが主な役割です。
過去のプロジェクトデータとの比較分析を行って、プロジェクトマネジメントプロセスの改善点を見つけ出し、業務の標準化や最適化に貢献することもあります。
【PMO】メンバーのマネジメント
プロジェクトのメンバーではなく、PMOとして動くメンバーのマネジメントを行うのが「PMOマネージャー」です。
具体的には、メンバーの勤怠管理や人材開発、リソース管理などを行います。PMOという組織自体の戦略を考える必要もあり、豊富な知識と経験が求められます。
PMとPMOの業務に役立つ資格の違い

PMとPMOの業務に役立つ資格は、それぞれの役割と専門性に応じて異なります。PMとPMOが、実際の業務に活かせる資格を見てみましょう。
【PM】プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家資格です。試験では、プロジェクトマネジメントに関する広範な知識と、それを実践する能力が問われます。
合格率は14%ほどと難易度が高く、PMとしての実務経験を持つ人でも合格は容易ではありません。しかし、プロジェクトマネージャ試験に合格することで、PMに関する高い専門性と実践的なスキル持つと証明できます。
PMへの転職を考えている方や、PMとしてのキャリアアップを目指している方におすすめの資格です。
【PM】PMP資格
PMP(Project Management Professional)資格は、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が認定する国際資格です。世界180カ国以上で認知されているため、プロジェクトマネジメントの知識とスキルを国際的に証明できます。
試験では、PMIが提唱する「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)」に基づいた、プロジェクトマネジメントの標準的なプロセスと知識体系が問われます。
受験するには、プロジェクトマネジメントの実務経験と、PMIが定める研修の受講が必要です。
試験は多肢選択式で、合格率は公表されていませんが、専門性の高い内容であるため、十分な学習期間が必要とされます。
PMとしてのキャリアアップだけでなく、PMOとして活動する上でも非常に役立つ知識を得られるでしょう。
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【PMO】プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格
プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格(NPMO認定PJM-A)は、一般社団法人日本PMO協会が認定するPMO業務の入門資格です。
プロジェクトマネジメントの基本的な概念を正しく理解しているか、プロジェクト遂行に必要なツールの知識や技術が身についているかが問われます。試験はオンラインで実施され、全120問の4択問題形式です。
資格を取得することで、PMOとして不可欠な基本的な知識とスキルを身につけ、実務に役立てることが可能です。
【PMO】PMOスペシャリスト認定資格
PMOスペシャリスト認定資格(NPMO認定PMO-S)は、一般社団法人日本PMO協会が認定する、PMO業務に特化した実践的な知識とスキルを証明する資格です。
PMOの業務に必要な知識を証明できる中級者向けの資格であり、プロジェクトマネジメント関連の資格を取得していることが受験要件となっています。
PMOスペシャリスト認定資格には3つのレベル(★、★★、★★★)があり、段階的にスキルアップを目指すことができます。
PMOスペシャリスト(★)認定資格は、PMOの基礎知識を証明するもので、試験は全50問の択一式でオンラインで実施されます。
資格を取得することで、PMOとしての専門性を高め、プロジェクトマネジメント支援における自身の能力を客観的に証明することが可能となり、キャリアアップにもつながるでしょう。
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PMとPMOに求められるスキル・知識の違い

PMとPMOは、プロジェクトの成功に向けて異なる役割を担うため、求められるスキルも異なります。それぞれに必要なスキルを確認しましょう。
【PM】セルフプロモーション能力
セルフプロモーション能力は、プロジェクトを成功に導く上で非常に重要なスキルの一つです。
PMはプロジェクトの責任者として、プロジェクトのビジョンや目標を明確に伝え、関係者からの理解と協力を得なければなりません。これには、プレゼンテーションスキルや交渉スキルが必要です。
また、プロジェクトメンバーのモチベーションを高め、チームとしての一体感を醸成するためにも、自身のリーダーシップや熱意を適切に表現することが求められます。
セルフプロモーション能力の高いPMは、プロジェクト内外のステークホルダーとの良好な関係を築き、プロジェクトを円滑に推進できます。
【PM】コストマネジメント能力
PMにとってコストマネジメント能力は、プロジェクトを予算内で完遂させるために不可欠なスキルです。
プロジェクトの計画段階で適切な予算を設定するだけでなく、実行段階においても、コストが予算を超過しないように厳しく管理する必要があります。
進捗状況に応じてリソースの配分を見直したり、よりコスト効率の良い方法を検討したりすることもあります。
予期せぬ出費が発生した場合には、その影響を最小限に抑えるための迅速な判断と対応をしなければなりません。
PMが優れたコストマネジメント能力を発揮することで、プロジェクトは財務的に健全な状態を保ち、最終的に企業の利益に貢献できます。
【PM】進捗管理能力
進捗管理能力は、プロジェクトが計画通りに進行しているかを常に把握し、必要に応じて軌道修正を行うための核となるスキルです。
PMは、プロジェクトの開始から完了までの各タスクの状況を定期的にチェックし、遅延が発生していないか、あるいは遅延のリスクはないかを早期に特定します。
遅延が判明した場合には、原因を究明し、スケジュールを調整したり、リソースを再配分したりするなど、適切な対策を迅速に講じます。
PMが精度の高い進捗管理を行うことで、プロジェクト全体の見通しが明確になり、関係者への適切な情報共有や意思決定が可能となります。
【PM】多角的な視野
多角的な視野とは、単に与えられたタスクを遂行するだけでなく、プロジェクト全体を俯瞰し、様々な側面から状況を分析し、判断する能力を指します。
例えば、技術的な側面だけでなく、ビジネス戦略、市場動向、顧客のニーズ、組織文化、さらには法的な側面なども考慮に入れながら意思決定を行います。
プロジェクトの進行中に予期せぬ問題が発生した場合でも、PMは一つの原因に固執せず、複数の要因を検討し、最適な解決策を見つけ出さなければなりません。
多角的な視野を持つことで、PMはより複雑な状況に対応し、プロジェクトを成功へと導くための戦略的な判断を下すことができます。
【PM・PMO】コミュニケーション能力
PMとPMOの双方に共通して不可欠なスキルは、優れたコミュニケーション能力です。プロジェクトは多くの関係者の協力によって成り立っており、円滑なコミュニケーションなしには成功は困難です。
PMは、顧客、経営層、プロジェクトメンバー、協力会社など、多様な立場の人々と連携し、プロジェクトの目的や進捗、課題を明確に伝える必要があります。
一方、PMOは、PMを支援する立場として、PMとメンバー、関連部署との橋渡し役を担います。意見の相違が生じた際に冷静に調整し、プロジェクトを円滑に進めるための潤滑油となることも重要です。
PMとPMOのコミュニケーション能力が高いほど、チームの一体感が高まり、プロジェクトにおける問題解決や意思決定がスムーズに行われます。
【PMO】文書作成能力
PMOには、プロジェクトに関する各種文書を正確かつ分かりやすく作成する能力が不可欠です。
PMOは、プロジェクトの計画書、進捗報告書、議事録、リスク管理表、課題管理表、品質基準書など、多岐にわたるドキュメントの作成や管理を担当します。
これらの文書は、プロジェクトの現状を把握し、関係者間で情報を共有し、意思決定を行う上で非常に重要です。
文書作成能力が高いPMOは、複雑なプロジェクトの情報を簡潔かつ明確にまとめられるため、情報の誤解を防ぎ、プロジェクト全体のコミュニケーション効率を向上させます。
【PMO】プロジェクト関連の知識
PMOには、多岐にわたるプロジェクト関連の知識が不可欠です。単にプロジェクトマネジメントの手法やプロセスに関する知識だけでなく、プロジェクトが属する業界や技術に関する深い理解も含まれます。
例えばITプロジェクトにおけるPMOであれば、システム開発のライフサイクル、プログラミング言語、データベース、ネットワークなどの技術的な知識が役立ちます。
プロジェクトに関する知識があると、PMやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが促進されます。プロジェクトに課題が生じても、早期に発見し、適切な解決策を提案できるようになるでしょう。
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PMとPMOのキャリアパスを比較

PMとPMOのキャリアパスにも違いがあります。両者を比較してみましょう。
【PM】プロジェクトマネージャーやポートフォリオマネージャー
PMは個々のプロジェクトの責任者として経験を積むことで、より大規模で複雑なプロジェクトを統括する役割へとステップアップしていくことが一般的です。
将来的には、複数のプロジェクトを統括するプログラムマネージャーや、組織全体のポートフォリオを管理するポートフォリオマネージャーといった上級職を目指すことができます。
また、プロジェクトマネジメントの専門家として独立し、コンサルタントとして活躍する道もあります。
【PMO】マネージャーやコンサルタント
PMOは、以下のように役職を上げていくキャリアパスが一般的です。
- PMOアドミニストレータ:事務的な支援
- PMOエキスパート:プロジェクト環境の整備やルール策定、データ分析
- PMOマネージャー:PMO組織全体の管理や戦略立案
複数のプロジェクトを横断的に支援する「全社的PMO」の役割を担ったり、プロジェクトマネジメントに関する研修やコンサルティングを行う専門家としてのキャリアを築いたりすることも可能です。
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PMとPMOの将来性を比較

PMとPMOの将来性は、現代のビジネス環境において、どちらも高い需要が見込まれます。企業におけるプロジェクトの大規模化・複雑化が進み、成功裏にプロジェクトを完遂させることの重要性が増しているためです。
特に、DX推進や新規事業開発など、戦略的なプロジェクトが増えるにつれて、高い専門性とリーダーシップを持つPMの価値はさらに高まると考えられます。
PMOも、プロジェクト全体の成功率を向上のため、多くの企業で導入が進んでいます。複数のプロジェクトを横断的に管理し、プロジェクトマネジメントの標準化や最適化を推進するPMOの存在は、組織全体の生産性向上に不可欠です。
PMとPMOは異なる役割を担いますが、どちらもプロジェクト型社会において不可欠な存在です。継続的なスキルアップと経験を積むことで、長期的なキャリアを築けるでしょう。
まとめ
PM(プロジェクトマネージャー)とPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、どちらもプロジェクトの成功に不可欠な役割を担いますが、業務内容と責任範囲には明確な違いがあります。
PMは個々のプロジェクトの総責任者として、プロジェクトの計画から実行、管理、終結までの全工程を統括し、最終的な成果物と目標達成に対する責任を負います。
これには、目的設定、チーム編成、進捗・コスト・品質管理、リスク管理など多岐にわたる業務が含まれます。
一方、PMOはPMの業務を横断的に支援する組織であり、PMが円滑にプロジェクトを推進できるよう、事務作業、情報収集、データ分析、チーム管理などのサポートを行います。
これにより、PMは主要な意思決定とリーダーシップに集中でき、プロジェクト全体の品質と効率が向上します。
どちらの役割も現代のビジネスにおいて重要性が高まっており、自身のキャリア志向に合わせて選択し、必要なスキルと経験を積むことが成功への鍵となります。
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