コンサルとPMOの違いは?仕事内容や年収、キャリアパスを比較
最終更新日:2025/09/20
作成日:2022/06/02
目次
■コンサルとは?役割と仕事内容
(1)コンサルタントの基本的な役割
(2)具体的な業務内容の例
(2)求められるスキルと素養
■PMOとは?役割と仕事内容
(1)PMOの基本的な役割
(2)具体的な業務内容の例
(3)求められるスキルと素養
■コンサルとPMOの違いを徹底比較
(1)役割・目的の違い
(2)日々の業務内容の違い
(3)養われる力の違い
■コンサルとPMOのキャリアパスの違い
(1)コンサルからのキャリアの広がり
(2)PMOからのキャリアの広がり
(3)相互にキャリアチェンジは可能か?
■コンサルとPMOの年収・単価の違い
(1)コンサルタントの年収・案件単価相場
(2)PMOの年収・案件単価相場
(3)フリーランス市場での需要比較
■コンサルとPMOのどちらが向いている?適性チェック
(1)コンサルに向いている人の特徴
(2)PMOに向いている人の特徴
(3)両方の経験を積むメリット
■コンサルとPMOに未経験から挑戦するには
(1)コンサルを目指す場合の準備方法
(2)PMOを目指す場合の準備方法
(3)転職・フリーランス支援サービスの活用
コンサルタントとは?役割と仕事内容

コンサルタントは企業の経営課題や事業課題に関わり、外部の専門家として解決策を提示し、場合によっては実行支援も行います。
ここでは、コンサルタントの具体的な仕事内容や求められるスキルについて詳しく見ていきましょう。
コンサルタントの基本的な役割
コンサルタントの主な役割は、クライアントが抱える課題を明確化し、解決策を導くことです。市場や業界の動向を分析し、データに基づいた仮説を構築しながら、経営層に対して合理的な判断材料を提供します。
単なる提案に留まらず、実行計画の策定や現場への導入支援にも関与し、提案の成果が現場で実現されるまで責任を持つ点が特徴です。
具体的な仕事内容の例
コンサルタントの業務は、まずクライアントへのヒアリングや市場調査、データ分析、課題の特定と本質的な原因の深掘りから始まります。
次に、収集した情報をもとに仮説を構築し、それを検証しながら具体的な解決策としての戦略を立案します。策定した戦略は、経営層へのプレゼンテーションを通じて提案され、合意形成を図ります。
プロジェクトによっては、提案した施策が現場に定着するまでの実行支援や、導入後の効果測定まで関与することもあります。
各プロセスにおける議事録や報告書といったドキュメント作成も、重要な業務の一つです。
求められるスキルと素養
コンサルタントには、複雑な事象を整理し、問題の構造を的確に捉える論理的思考力が不可欠です。
また、膨大な情報から本質を見抜くための情報収集能力や分析能力も高度なレベルで要求されます。
クライアントの経営層に対して説得力のある提案を行うためのプレゼンテーション能力や、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーション能力も極めて重要です。
さらに、常に業界の最新動向を学び続ける知的好奇心や、厳しいプレッシャーの中でも成果を出し続ける精神的な強さも、コンサルタントとして活躍するための重要な素養といえます。
PMOとは?役割と仕事内容

PMOとは「Project Management Office」の略で、プロジェクトを円滑に進めるための組織的な支援を行います。個別の課題解決よりも、プロジェクト全体の進捗管理やリソース調整、標準化・ナレッジ共有などが中心です。
PMOの基本的な役割
PMOの基本的な役割は、プロジェクトが円滑に進行するように多角的な支援を行うことです。
具体的には、プロジェクトマネジメント方式の標準化と組織内への定着を促進し、プロジェクトごとの品質のばらつきをなくします。
また、複数のプロジェクトが同時並行で進む場合には、それらの連携を調整し、組織全体のリソース(人材、予算、設備など)が最適に配分されるよう管理する役割も担います。
さらに、プロジェクトマネジメントに関する研修の実施や、ナレッジの共有を通じて、組織全体のプロジェクト遂行能力の向上にも貢献します。
具体的な業務内容の例
PMOの具体的な業務は多岐にわたります。
プロジェクト計画の策定支援から始まり、進捗状況の可視化と管理、課題やリスクの洗い出しと管理、品質基準の策定と維持、コスト管理といった、プロジェクト全体の監視業務が中心です。
また、プロジェクトに関する会議体の設定や運営、ファシリテーションを行い、関係者間の円滑なコミュニケーションを促進します。プロジェクトの各フェーズで必要となる成果物や、議事録などのドキュメント作成も重要な業務です。
これらの活動を通じて、プロジェクトマネージャーが意思決定に集中できる環境を整えます。
求められるスキルと素養
PMOには、プロジェクト全体を俯瞰し、計画通りに推進するためのプロジェクトマネジメント知識が必須です。特に、PMBOKのような体系的な知識は業務の基盤となります。
複数の部署や役職の異なる関係者の間に立ち、利害を調整する高度なコミュニケーション能力と調整能力も不可欠です。
また、プロジェクトの進捗や課題を正確に記録し、関係者に分かりやすく共有するためのドキュメンテーション能力も求められます。
特定の課題解決だけでなく、プロジェクト全体を円滑に運営するための事務処理能力や管理能力も重要なスキルです。
☆あわせて読みたい
『PMOの役割とは?仕事内容・職種と向いている人、業務に必要な資格・スキルを解説』
コンサルとPMOの違いを徹底比較

コンサルタントとPMOは、いずれもプロジェクトに関わりますが、担う役割や価値提供の仕方は大きく異なります。
コンサルタントは「どんな戦略を描くか」に軸足を置き、外部から変革を促す存在です。
一方、PMOは「描かれた戦略をどう実行に落とし込むか」を重視し、内部から遂行を支える役割を担います。
両者を比較することで、自分の適性やキャリア選択のヒントを得られるでしょう。
役割・目的の違い
コンサルタントの目的は、経営課題の解決や成長戦略の提示です。変革の火付け役となり、組織を動かす「推進力」を提供します。
一方PMOは、プロジェクトを計画通りに進め、成功に導くことを目的としています。プロジェクトマネージャーや現場を支える「安定の仕組み」を提供するのが特徴です。
つまり、コンサルは「変革を描く攻めの立場」、PMOは「変革を支える守りの立場」といえます。
日々の業務内容の違い
コンサルタントは、市場調査、データ分析、仮説構築、戦略立案、経営層へのプレゼンなどを日常的に行います。
PMOの業務例は、進捗管理表の更新、定例会議の運営、課題・リスク管理、関係部署の調整、成果物のレビューなどです。
コンサルは「考える業務」が中心、PMOは「回す業務」が中心という対比が分かりやすいでしょう。
養われる力の違い
コンサルタントで養われる力は、戦略的思考力・課題解決力・論理的な分析力などです。経営層に近い視点で物事を考える経験から、事業全体を俯瞰しリードする力が身につきます。
PMOとしては、プロジェクトの推進や利害関係者との調整を重ねるうちに、遂行力・調整力・マルチタスク管理能力が培われます。
コンサルは経営層に近づくためのスキル、PMOはプロジェクト運営の専門家に近づくためのスキルを身につけられるということです。
コンサルとPMOのキャリアパスの違い

コンサルタントとPMOは、担当する業務の性質が異なるため、そこから広がるキャリアパスにも違いがあります。キャリアパスの違いを知り、自分に合ったキャリア設計の参考にしましょう。
コンサルからのキャリアの広がり
コンサルタントとしての経験は、経営課題の整理や戦略立案に関わった実績となり、以下のようなキャリアにつながります。
- ・事業会社の経営企画・事業開発部門:経営に近い立場で、事業の計画や成長戦略を担う
- ・投資・金融分野:PEファンドやベンチャーキャピタルで投資案件やM&Aの実務を担当
- ・スタートアップ企業:新規事業や経営企画の責任者として参画
- ・独立・フリーランス:専門領域を活かし、企業から業務委託を受けて活動
戦略立案や課題解決に関わった経験は、企業の中枢で意思決定を行う立場へ進む際に評価されやすい点が特徴です。
PMOからのキャリアの広がり
PMOの経験は、進捗管理や課題調整、会議体運営など、プロジェクトを実務面で支えた実績につながります。これらは以下のようなキャリアに直結します。
- ・プログラムマネージャー:複数プロジェクトを統括し、全体最適を図る立場
- ・情報システム部門やIT部門の責任者:システム導入や運用プロジェクトの経験を活かし、部門を統括
- ・管理部門マネージャー:調整力やプロセス設計力を活かし、組織運営を支える
PMOで培った実務遂行力や調整力は、大規模組織や複雑なプロジェクト運営において評価されやすいスキルです。
相互にキャリアチェンジは可能か?
両者の間でキャリアチェンジをするケースもあります。
コンサルタントからPMOへキャリアチェンジする際は、経営視点を持ちながら、現場の進行管理にも対応できる人材として評価されやすいです。ただし、地道な調整業務に慣れる必要があります。
PMOからコンサルタントへのキャリアチェンジでは、プロジェクト現場での実行経験をもとに、実効性のある提案ができる点が評価されます。ただし、仮説検証や資料作成といったコンサル特有のスキルの習得が欠かせません。
両者の強みは異なるため、転職やキャリアチェンジを考える場合は、自分の得意領域と今後伸ばしたいスキルを整理して選択することが重要です。
コンサルとPMOの年収・単価の違い

コンサルタントとPMOはどちらも専門性の高い職種ですが、担当業務の性質の違いから、年収や案件単価にも差があります。転職やフリーランスで働く際には、以下を参考に報酬の相場を把握しておきましょう。
コンサルタントの年収・案件単価相場
コンサルタントの年収は、所属するファームや役職によって大きく変わります。
若手では500〜800万円程度、一般クラスで800〜1,300万円、マネージャークラスでは1,500万円を超えるケースもあります。戦略系やM&A系ファームでは、さらに高水準になることも少なくありません。
独立してフリーランスとして活動する場合は、月額100〜150万円程度がボリュームゾーンで、実績や専門性によっては200万円を超える案件も見られます。
年間の稼働率を調整するケースもあるため、相場感を把握しつつ、働き方に応じた収入計画を立てることが大切です。
☆あわせて読みたい
『【フリーコンサルタント単価】相場は?スキル別・レベル別の想定年収を解説』
PMOの年収・案件単価相場
PMOの年収は、担当するプロジェクト規模や所属企業によって変動しますが、おおよそ400〜700万円程度が一般的で、大企業のPMOやリーダークラスでは1,000万円を超えるケースもあります。
フリーランスPMOとして活動する場合は、月額80〜150万円程度が中心で、大規模プロジェクトでは200万円近くになるケースもあります。
コンサルタントに比べると単価は低めですが、長期・継続案件が多く、安定した稼働につながりやすい点が特徴です。
☆あわせて読みたい
『PMOはきつい?存在意義や年収は?大変だけど一生食うに困らない理由を解説!』
フリーランス市場での需要比較
フリーランス市場では、コンサルタントもPMOも高い需要があります。
企業のDX推進や業務改善案件では、戦略立案や分析を担うコンサルタントのニーズが増加中です。特定の業界や技術に精通した専門家は、案件が途切れにくく、高額報酬の機会も多くなっています。
PMOは、大規模プロジェクトや複雑なプロジェクトの円滑な進行を支える役割として、安定した案件が多いのが特徴です。
短期間で高報酬を狙いやすいのはコンサルタント、長期的に安定した案件を確保しやすいのはPMOという傾向があります。
☆あわせて読みたい
『【PMOの将来性】仕事内容と存在意義とは?キャリアパスを解説!』
コンサルとPMOのどちらが向いている?適性チェック

コンサルタントとPMO、どちらの道を選ぶべきかは、自身の性格や価値観、得意な分野に大きく依存します。
過去の経験を振り返り、自身の適性を見極めることが、後悔のないキャリア選択につながります。
コンサルに向いている人の特徴
コンサルタントには、未知の課題に対して構造を理解し、解決の糸口を見つけ出す知的好奇心と分析能力が強い人が向いています。答えのない問いに対して仮説を立て、検証を繰り返すプロセスを楽しめる思考体力も必要です。
また、短期間で高い成果を出すことが求められるため、プレッシャーに強く、自律的に仕事を進められるかどうかも重要な資質です。
クライアントの経営層と対等に渡り合うコミュニケーション能力や、複雑な内容を分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力に自信がある人も適性があるでしょう。
☆あわせて読みたい
『コンサルタントのやりがいとは?業務内容や目指す方法まで解説』
PMOに向いている人の特徴
PMOには、物事を整理し、計画通りに進めることに長けている人が向いています。
複数のタスクや関係者の状況を常に把握し、先を見越して段取りを組む管理能力が活かせます。
また、様々な立場の人の意見を聞き、利害を調整しながら物事を前に進める、地道なコミュニケーションを厭わない協調性も不可欠です。
自分が主役になるよりも、チーム全体をサポートし、プロジェクトの成功を縁の下で支えることに喜びを感じるタイプの人は、PMOとして大きなやりがいを見いだせるはずです。
正確なドキュメント作成など、丁寧な作業が得意である点も強みになります。
両方の経験を積むメリット
コンサルタントとPMOの両方の経験を積むと、キャリアの市場価値を飛躍的に高められます。
例えばコンサルタントとして戦略立案のスキルを身につけた後、PMOとしてその戦略を実行するフェーズを経験すれば、「絵に描いた餅」で終わらせない、実務に根差した課題解決能力が養われます。
逆に、PMOとして現場の実行管理を経験した後にコンサルタントになれば、現場の課題や抵抗感を理解した、実現可能性の高い戦略を立案できるようになります。
戦略と実行の両輪を経験することで、あらゆる局面で価値を発揮できる稀有な人材となれるでしょう。
コンサルとPMOに未経験から挑戦するには

コンサルタントやPMOは専門性の高い職種ですが、未経験からでも挑戦は可能です。ただし、どちらも一定のポテンシャルや関連スキルが求められるため、事前の準備が成功の鍵となります。
コンサルを目指す場合の準備方法
未経験でコンサルタントを目指す場合、まず論理的思考力を磨くことが不可欠です。ケース面接の対策本やフレームワーク学習を通じて、課題を構造的に分析する力を身につけましょう。
現職で課題の発見、分析、提案、実行までを経験できる機会があれば、その成果を具体的に職務経歴書でアピールできるよう整理しておくのも重要です。
加えて、特定の業界や業務に関する知識は強みとなるため、自身の専門性を棚卸ししておくと転職時に有利です。
☆あわせて読みたい
『フリーランスのコンサルタントになるには?必要なスキルや案件の取り方』
PMOを目指す場合の準備方法
PMOを目指す場合は、プロジェクト管理や調整の経験を積むことが有効です。現職で複数の部署やメンバーと関わりながらスケジュール調整や課題管理を担当した経験は、そのままPMOとしての強みになります。
また、ExcelやPowerPointを用いた資料作成能力、進捗管理やリスク管理の知識も求められるため、事前に学んでおくと安心です。
特に、大規模プロジェクトのサポート経験や、複数タスクの優先順位付けを行った経験があると、未経験でもアピール材料になります。
転職・フリーランス支援サービスの活用
未経験からキャリアチェンジを成功させるには、専門の転職エージェントやフリーランス支援サービスの活用が非常に有効です。
非公開求人の紹介だけでなく、職務経歴書の添削や模擬面接を通じて、自分の強みを効果的に伝える方法を学べます。
特に、コンサルティングファームやPMO向けの求人に精通したアドバイザーは、選考に必要な知識や企業ごとの情報も豊富に持っているため、未経験者でも効率的に準備を進められます。
まとめ

コンサルタントとPMOは、どちらも企業の課題解決やプロジェクト遂行に関わる職種ですが、役割や目的には明確な違いがあります。
コンサルタントは、企業が取り組むべき課題や方向性を分析し、戦略立案や課題解決を提案・支援する専門家です。
一方でPMOは、計画されたプロジェクトを滞りなく進めるために、進捗管理や課題整理、関係者調整などを通じてプロジェクトの安定遂行をサポートする役割を担います。
求められるスキルや経験、そしてその後のキャリアの広がりも異なるため、自身の適性や目指すキャリアと照らし合わせながら、どちらの道が自分に合っているかを見極めることが、キャリアチェンジを成功させるポイントです。
スキルや経験を計画的に磨きつつ、専門の転職・フリーランス支援サービスを活用すれば、より効率的にキャリアを進められるでしょう。
→→転職を検討中の方はコンサルネクストで無料登録
→→フリーランスの方はこちらからコンサル登録
(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
◇おすすめ記事◇
「【PMOコンサルタントのキャリアパス】転職やフリーランスのメリットとは?Q&Aで解説」
