VR・AR最新事例 ゲームからシミュレーション、においまで伝わる!

作成日:2018/02/07

 

五感を“体験”するVR・AR

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「VR」「AR」という言葉が見聞きされるようになって久しく、生活にも身近な存在になりつつあります。ご存じの方がほとんどかと思いますが、「VR」とは「Virtual Reality」の略語で、日本語では「仮想現実」と呼ばれています。

 

「VR」は、プログラムや機器などで作り出した人工的な環境=仮想世界を、五感への刺激を受けながら、あたかも現実のように体験することができる技術です。現実とは異なる仮想の空間の中に人が入っていくようなイメージで、ヘッドマウントディスプレイを装着することで視覚情報を中心に得ながら仮想世界に入り込むものが多く存在しています。

 

「AR」「Augmented Reality」の略語で、日本語では「拡張現実」と訳されています。ARの大きな特徴は、人が感知している現実の世界に「追加情報」を付加することによって「現実を拡張する」点にあります。わかりやすい例としては、スマートフォンのカメラで映す現実世界の風景に対して、実際には存在しないキャラクター画像などを重ねて表示させるといったイメージです。

 

これらは、従来は視覚や聴覚の情報が中心で、五感の体験といってもまだ限られた範囲であることが少なくありませんでした。しかし、いまでは触覚や嗅覚への刺激を受けるものなども開発されており、仮想世界や拡張現実をよりリアルに“体験”できるようになってきているのです。感情を突き動かすものから実際の利便性に富むもので、最新の活用事例をご紹介します。

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匂いや手触りでVRは新たな体験へ

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2017年9月に開催された「東京ゲームショウ」のテーマは、「さあ、現実を超えた体験へ」というものでした。そのテーマに違わずVR・ARに関する出展も数多くなされており、注目を集めていました。そこで大きく話題になったのが、「ラーメンの匂いを体験できるVR」です。これは中華料理店の店長体験ができるゲームで、「スープを入れるとラーメンの匂いがしてくる」「餃子を焼くとニラの匂いが漂う」といったように、映像と連動してヘッドセットのファンから匂いが出る仕組み。同じ餃子の匂いでも、「焼きすぎて焦げてしまった匂い」まで感じることができるというから驚きです。

 

同じく東京ゲームショウで出展されていたのはアイドルとのふれあいを体感できるVRです。こちらでは、VR内のアイドルがユーザーに近づくと、シャンプーなどの匂いが漂うようになっています。このコンテンツでは、ヘッドフォンから聞こえる声があたかも耳元でささやかれているようにも感じられるなど、嗅覚だけでなく最新の聴覚効果が活用されています。こうした技術は、ゲームや娯楽目的のコンテンツだけでなく、企業内のOJTや医療現場への応用が見込まれているということです。

 

また、アイドルではなく「ナマコ」とのふれあい体験では、高性能な触覚デバイスをVRに応用した事例も見られました。こちらは、3Dモデルの作成や手術の練習に用いられるデバイスをエンターテインメントに応用して、VRゴーグルを着けて木の棒を握って動かすことで、ナマコの感触を体感できるというもの。およそ3分の間に、ナマコの弾力や肌触りなどがどんどん変わり、まるで水族館のふれあいコーナーのように触る感触を楽しめるものになっていました。こちらも、市場に触覚VRを広げていくための方向性を模索する予定ということです。

 

VRによる訓練で災害対策

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近い将来大きな地震の起こる可能性が指摘され、近年は大きな自然災害も相次ぐ日本。生活者が個々に防災用品を整備する必要があるように、交通インフラ側でも地震などの災害から乗客を守るための対策が必要となります。そんな中で、JR西日本とKDDIが協力して開発・導入に至ったのが、VRを活用した乗務員向けの災害対策訓練ソリューションです。

 

このツールでは、和歌山県の紀伊半島を走る紀勢(きせい)紀勢線・串本駅~新宮駅区間の約43kmにわたる高解像度・360度のリアルな動画をベースにCGを重ねて表示し、地震や津波などの発生を疑似体験することが可能になっています。乗務員の方々は、普段走行する風景が映るVRの光景を通して、避難時に必要な標識などを確認する訓練をしたり、いざというときの対応力や判断力をつけていくというわけです。

 

映像を見るだけでなくコントローラーで電車を加速・減速させるといった操作も可能で、シミュレーターとしても従来機器よりさらにリアルさを増しています。こうして“見る”ことがメインだったVRから“使うVR”に仕上がっている同ソリューションは乗務員の現場からの好評で、VRの業務利用事例としても今後さまざまな分野への展開が見込まれています。

 

現実を拡張して便利にするAR

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ARの代表的な活用事例といえば、スマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」です。ARモードをONにすると、スマートフォンのカメラが映す現実の景色のなかにポケモンのCGが表示される……あたかも現実世界にポケモンが現れたかのような景色の実現は、現実世界を拡張するARの面目躍如といえるでしょう(併せてどうぞ:ポケモンGOで町おこし?自治体が地域活性化のために取り組く理由)。このように、現実の映像に情報を追加するARは、さまざまな活用が始まっています。

 

たとえば、家具小売りのイケアは「IKEAカタログ」というアプリを提供していますが、このなかにはARで家具の配置をシミュレートする機能があります。アプリの中で、自分の家など家具を置きたい場所に対して購入を検討する家具の3D映像を置いてみることで、家具を置いたときの印象を確認することができるのです。部屋という現実世界に家具の情報を追加してリアルな確認ができるこの機能は、ARの特性をうまく生かしたものであり、ユーザーにも好評です。

 

また、少し前に話題になったGoogle翻訳アプリでもAR技術が使われています。アプリを介してスマートフォンのカメラで翻訳したい看板や標識などの文字を映し出すとリアルタイムで翻訳され、もとのテキストと翻訳後の言語が入れ替わるようにして画面に表示されるのです。この機能はオフラインでも利用可能で、海外旅行などでも役に立つでしょう。

 

そのほか、天気アプリ「ウェザーニュースタッチ」を使って空の雲にスマートフォンをかざすとその雲の種類や色を判定し、雷やゲリラ豪雨の危険性が表示される「ゲリラ雷雨スカウター(AR)」や、夜空にかざすことで空の星座の形や名前を確認することができるアプリ「星座表」といったものも、ARとの相性のよさを示す事例。現実世界を拡張してユーザーの利便性を高めるARは、スマートフォンの普及も相まってさまざまな活用の発展が考えられ、期待できる分野です。

 

 

2017年8月に開催した当社イベント「みらコミュ」において『VRのビジネス利用の最前線とこれから』と題したプレゼンをお送りした際(詳しくはこちら:第13回みらコミュを開催致しました。)、「VRは『仮想現実』と訳されることが多いが、本来は『現実世界を本物に近い形で再現し、体感できるようにしたもの』がVRである」というお話をさせていただきました。今回ご紹介した東京ゲームショウでの新たな出展や最新の事例は、そうした「本来のVR」を具体化したもののように思われます。

 

VR・ARといえば、イメージの上でゲームとの結びつきが強く、エンターテインメント分野で使われるものと思われがちですが、今後もさらなる技術の発展が進むことによって、生活者の利便性を高める“体験”がどんどんもたらされることになっていくでしょう。ビジネスにおいてもキーワードが先行しがちなVR・ARですが、JR西日本とKDDIの協業のように、ビジネスとしての展開も進んでいくことが期待されます。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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