シリコンバレーでも求められる「UXライター」とは

最新更新日:2023/04/10
最新作成日:2022/04/10

 

カスタマーサクセスやマーケティングといった領域で「UXライター」が求められています。UXライターの仕事内容ややりがいについて紹介します。

 

ユーザー体験という概念

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webサービスが普及し、スマートフォンが台頭してきたころからか「ユーザー体験」「UX」という言葉が聞かれるようになってきました。エンジニアやITコンサルタントの方であれば、日々の仕事で接することも多いでしょう。

 

この「UX=User Experience、ユーザー体験」とは、IT用語辞典バイナリによれば「製品やサービスの利用を通じて得られる体験(experience)の総称」とされます。概念であり説明が難しいのですが、そのサービスを使うことで目的を達成できるだけでなく、使い勝手に対する満足得られた結果への感動といったユーザーの感じ方も包括した「体験」、を指します。

 

たとえば、通販サイトで商品を購入するとします。買いたい商品を探して購入することができればユーザーは目的を達成でき、商品を販売する対価として通販サイトは売り上げを得ることができます。商品が豊富でほしいものがあることはもちろんですが、商品が探しやすかったり、支払いの選択肢が多かったり、発送までの期間が短いといったように、便利であればあるほど、ユーザーは「このサイトでまた買いたい」と思うでしょう。

 

UXを重視するサイトが提供するのは、「目的の商品を入手できること」「便利であること」だけにとどまりません。たとえば、サイトのデザインや挙動、画面の流れなどを工夫することで、ユーザーに購入の楽しさを喚起させることができれば、ユーザーにとっては単純に「目的を達成する」だけではない「体験」という価値を提供できることになるわけです。

 

かつては「オンラインでできる」だけで満足できたようなwebサービスも、さまざまなジャンルで競合が増え、デバイスも多様化してユーザーの購入プロセスが変化するにつれて、「目的を達成できる」という価値だけではユーザーをつなぎとめておくことが難しくなりました。特にスマートフォンアプリでは、アプリを継続して起動してもらうためには、このUXという視点が不可欠といえます。

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UXを生み出す仕事が続々と

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UXという概念が重視されるようになって、注目を集めたのはデザインでしょう。デザインの違いによってユーザーの快適性がまったく異なるというのはとてもわかりやすく、UXを価値として提供していくうえで着手しやすい要素でもあります。しかし、ここでいう「デザイン」は見た目やレイアウトだけのことだけではありません。

 

「UI=User Interface」とは、文字どおりユーザーが接するインターフェースを指しますが、これもUXを構成する要素の一つです。webサービスやアプリにおいては、たとえば画面の色、ボタンの形、画面の流れを練って、使い勝手のいいものにすることは重要ですが、UXのあるサービスにするために必要なのはそれだけではありません。

 

サービスに没入したり使うことで感動などのプラスアルファを生み出せるサービスに「デザイン」するのがUXデザイン。それを実現するためには、美術的なデザインの能力だけでなく、webやアプリのユーザビリティに関する造詣が必要なのです。そこで求められてきたのが「UXデザイナー」という職種です。そして、そのデザインを実現するためのコーディングやシステム開発、エンジニアリングも必要になりました。

 

そして最近は、「UXライター」という職種も求められはじめています。Amazon、Google、Paypalといったシリコンバレーの著名企業が、UXライターの求人を出しはじめたのは、2016年後半から。これを機に、UXライターという職種についても注目が集まるようになりました。

UXライターに求められる仕事

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UXデザイナーの仕事がUXを生み出すサービスデザインであるように、UXライターの仕事はUXを生み出すライティングといえます。webサービスやアプリでは、製品情報やサービスの使い方を伝えるための語句が、常に画面のどこかに配置されています。こうしたところで使われる言葉を、UXを生み出すように構成するのです。

 

つまり、企業や製品の宣伝を魅力的にすればいいというわけではなく、「単に便利なだけでなく、使うことで感動がある」といったように、サービスに付加価値を生み出すのがUXライティングなのです。

 

仕事としては多岐にわたり、担当する業務は企業によっても異なりますが、共通する要素はいくつかあります。まずは、ユーザーに関することを調査して分析すること。ユーザーのニーズや思いがどこにあるかをつきとめ、その購買意欲を喚起するためにはどういう“スイッチ”を入れればいいかを考えます。マーケティング的な仕事であり、ライティングにかかわらずUXを提供するために必要な業務です。

 

うまく文章を書いたり、宣伝の言葉を魅力的なものにするばかりでなく、ユーザーに対しての戦略を考え、ユーザーにすぐれた体験を提供する言葉、サービス全体の“シナリオ”を練り上げます。Googleでは、UXライターを「言葉を使って命を吹き込む人たち」と呼んでいるそうです。ライティングのあとは、サービスのコンバージョンやユーザーの利用状況などをデータ分析し、改善していくことも欠かせません。

 

 

まとめ

UXデザイナーもそうであったように、UXライターも、求められる職務内容は一様ではありません。共通していえるのは、ひたすら文章を書いていればいいというよりも、サービス全体としてUXを生み出すためのチームの一員としてのコラボレーションが期待されているということでしょう。前述のように、マーケティング的な要素の業務が必要とされたり、結果を分析してPDCAをまわすといったこともその一環です。そのためには、協調性も求められることになります。

 

加えて、これからのUXライターに求められるのは、目で見るテキスト情報をもとにしたユーザーとのコミュニケーションだけではありません。Siri、Google アシスタント、Amazon Alexaなどのように、音声アシスタントはどんどん普及しています。webサービスやアプリにおいても、今後は音声を使ったコミュニケーションが増えていくと予想されます。そのときには、音声でのやりとりならではの体験を生み出すための言葉が求められることになるでしょう。

 

ライティングという仕事で「魅力的な言葉を紡いでいたい」と考える方にはあまり向かないかもしれませんが、サービス全体のシナリオ作りに関わったり、ユーザーとのコミュニケーションをダイレクトに感じられるというのは、記事を書くのとはまた違った“体験”がライター側にも生まれるかもしれません。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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