価格や機能だけじゃない!UX(ユーザー体験)がサービスの価値を決める

作成日:2017/10/25

 

ユーザー体験(UX)とは?

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ユーザーエクスペリエンス(User Experience)は、直訳すると「ユーザー体験」という意味です。簡単に言えば、ユーザーにとっての使いやすさや心地よさなどを重視する考えです。

 

この「ユーザーエクスペリエンス」という単語を最近よく聞く、というコンサルタントの方も多いのではないでしょうか?日本ではWebサイトの構築やアプリケーションの開発プロジェクトで最近トレンドになっているキーワードのひとつです。2014年にはアメリカの金融大手キャピタル・ワンが、UX専門コンサルティング会社Adaptive Pathを買収したことが話題となりました。幅広い業界で今UXが注目されていると言えます。

 

ちなみにUXと「UI」を混同している方も多いのですが、ちょっと意味が異なります。UIはUser Interfaceの略で、ユーザーがパソコンやスマートフォンなどを操作する画面(もしくは画面デザイン)を指します。例えばMacやWindowsなどのOSによって、それぞれ異なるUIが採用されているのはご存知だと思います。

 

一方、UXは「サービスを通じて得られるユーザーの体験」。画面デザインだけではなく、サービス全体を利用する中で「心地よい」「楽しい」といった体験を指します。

 

例えばECサイト。画面の使いやすさだけではなく、レコメンド機能で「この商品があなたにおすすめ」として表示されたものが「欲しい!」と思えるものだったら、心地よい体験をしたことになりますよね。ただしECサイトでいうと、上記のようなWebの画面や機能だけではありません。カスタマーサポートの対応や商品の梱包状態なども、ユーザー体験に影響します。

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UXが注目されている理由

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ではなぜ今UXが注目されているのでしょうか?その理由は、主に2つあります。

1.価格や性能以外で他社との差別化を図るため

製品やサービスが多様化しているため、価格の安さ、性能の高さだけでユーザーに支持されるとは限りません。すぐに他の企業が追随することも考えられます。使いやすさなどユーザーのUXを向上させることで、他社との差別化につなげることができます。家電メーカーの日立製作所も、最近ではUXに力を入れているようです。

2.利用シーンや端末の多様化に対応するため

例えばソフトウェアの開発では、従来はPCで利用するケースだけを考えていればOKでした。ところが現在では、PCだけではなくスマートフォンやタブレットなどの端末で複雑なデータのやり取りをすることもよくあります。そのためユーザーのさまざまな状況にあわせた使い方を想定して開発する必要がありますよね。

 

端末ごとに画面の大きさやスペックが違うという点も重要ですが、電車の中、打ち合わせ中など利用シーンもさまざま。こうした多様化するユーザーに広く支持してもらうために、UXを考慮した開発手法が有効です。UXを向上させることにより、『顧客満足度を上げて売り上げアップにつなげる』というのが目的です。

コンサルタントが知っておくべきUXの基本概念

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IT系コンサルタントの方は、今後プロジェクトにUXを取り入れるケースも増える可能性は高いと思われます。そこで、知っておきたいUXの基本概念を2つご紹介します。

1.UXで重要な7つの要素を表現した「UXハニカム」

UXの概念を表すものとして有名なのが、情報アーキテクチャの専門家であるピーター・モービル氏が発表した「UXハニカム」7つの要素をハチの巣状(ハニカム)の図で表し、相互に連動していることを表しています。

UXハニカムで表現されている7つの要素

・Useful(役に立つか)
・Usable(使いやすいか、便利か)
・Findable(探しやすいか、迷わずに目的地に着けるか)
・Desirable(好ましいか、魅力的か)
・Accesible(誰でも見られるよう配慮されているか)
・Credible(信頼できるか)
・Valuable(新しい価値があるか)

UXというと一般的には使いやすさをメインに考えますが、それだけでは要素が不足しています。どんなに使いやすくて便利でも、好感度が低かったり信頼性が低かったりするとユーザー体験としては向上しないことがよくわかります。

2.UX実現までを5つの階層で表現した「UX 5階層モデル」

UX専門コンサルティング会社Adaptive Pathの創始者のひとりであるジェシー・ジェームス・ギャレット氏が考案したもので、主にWebサイト構築向けの概念です。

表層(Surface):画像や色など視覚的デザインは見やすい・わかりやすいか?
骨格(Skelton):インターフェースやナビゲーションのデザインは整っているか?
構造(Structure):ユーザーとの双方向のやりとりがしやすいか?情報の構造は正しいか?
要件(Scope):コンテンツや機能の要件を満たしているか?
戦略(Strategy):ユーザーのニーズは何か?サイトの目的とは?

この5階層モデルでは、5つの階層に分け、下から上へ順番に進めていきます。この手順ならユーザー体験にプラスとなるデザインに落とし込める、という考え方です。ついインターフェースや視覚デザインから進めてしまいがちですが、表層だけ考えても本来の目的やニーズを先にとらえておかないとUXは向上しない!というわけですね。

 

 

実際にUXデザインを考えるときの手法とは

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では実際にプロジェクトでUXを計画的に考える「UXデザイン」をするためには、どんな方法で進めていけばよいでしょうか?UXデザインに取り組むプロセスのひとつが「HCDサイクル」HCDはHunman Centerd Designの略で、「人間中心設計」という意味です。(HCDサイクルは国際規格ISO9241-210:2010にて定義されています)

HCDサイクル

1.計画立案
2.ユーザーの利用状況把握
3.ユーザーニーズの分析
4.ユーザーニーズ解決策作成(試作・テスト)
5.解決策の評価

一般的な製品やサービス開発というと、ユーザーの利用状況や分析は行なうものの、基本的には開発後の検証というパターンが多いのではないでしょうか。HCDサイクルでは開発時点からユーザーを中心に据え、上記のサイクルを繰り返して開発するというプロセスです。(アプリ開発などで最近多い「グロースハック」と似ているかもしれません)

UXデザインにおいて当然重要なのが、ユーザーを理解しニーズを的確にとらえること。ユーザー調査分析でよく使われる手法をまとめました。

 

1.調査

・ユーザーアンケート
・インタビュー
・ユーザー行動観察

数字をもとに全体的な傾向を見ることも重要ですが、UXでは特に「心地よい」「好感が持てる」といったような感情についての要素も関連してきます。そのためアンケートでも一般的な選択肢だけではなく、「その時どう感じたか」について聞くという方法もあります。インタビューにおいても、どんなときにポジティブ・ネガティブな感情をもつかを知るために感情曲線を描いてもらうという方法もあります。

2.分析

・KJ法
・ペルソナ
・カスタマージャーニーマップ

KJ法とは、インタビューなどで集めた情報をキーワードごとに断片化し、グルーピングすることで情報を整理・分析する方法。ふせんとホワイトボードを使うアナログな手法ですが、手軽にできるためよく使われる手法です。ペルソナとは架空のユーザー像を設定する手法。典型的なユーザー像を考えることで仮説を立てやすくなるというメリットがあります。カスタマージャーニーマップは、ユーザーの購入までの行動・感情を時系列で表にまとめます。行動パターンが可視化できればそれぞれのプロセスで課題があるかどうかが判断しやすくなります。

 

 

最近では大手コンサルティングファームでも、UX専門コンサルタントを配置するところもあるようです。フリーコンサルタントにとっても、今後UXを扱えるかどうかで大きな差が出てくるかもしれません。現状UXを強く意識しているのはWebサイト構築やアプリ開発などの案件がメインですが、今後他の案件にも広まってくるはずです。ぜひユーザーの動向・ニーズをとらえる手法を活用して、UX向上をコンサルティングに役立ててみてはいかがでしょうか?

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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