フリーコンサルタントにおすすめ「攻めの移住」東日本大震災~コロナ禍の地方移住

最終更新日:2022/03/11
作成日:2017/01/23

 

2011年の東日本大震災、そして2020年以降の世界規模でのコロナウイルス感染拡大を機に、それまで首都圏で活躍していたビジネスパーソンの地方移住が増えています。また、都市部に本社を構えていた多くの企業が、地方に本社移転するなどして社員の地方移住を見据えたビジネスプランニングを進めています。同時に、地方での起業・独立のチャンスが高い状況です。

 

 

目次

 

■ビジネスとQOLとの両立を図る「攻めの移住」
 相次ぐ企業の本社移転
 地方移住後の起業も増加
 従来の地方移住との違い

■フリーのコンサルタントにおすすめな地方移住後のビジネスプラン

■移住先を探す際は時間をかけて
 スモールステップを心がける
 移住制度が充実した自治体も候補に
 本社移転地域は暮らしやすくビジネスチャンスに恵まれるかも

■フリーランスのコンサルタントこそ地方にアンテナを巡らせる時代

 

※本コラムは、2022年3月11日に「移住は挑戦の新たなカタチ 攻めの田舎暮らしにチャレンジ!」を再構成したものです。

 

 

ビジネスとQOLとの両立を図る「攻めの移住」

美しい田園風景

 

東日本大震災、そして近年のコロナ禍の影響で、首都圏・都市部からの地方移住者が増えています。一昨年と昨年、メディアを通じて一般にも知られているニュースとなったのが、人材派遣大手の「パソナ」、エンターテイメント業界大手の「アミューズ」、国際的タイヤメーカーの日本支社である「日本ミシュランタイヤ」など大手企業の本社移転です。

こうした流れを受けて現在、地方でも都市部と同様に大手企業の社員として勝負できる時代になったといえるでしょう。また、同時に地方に移住して個人事業主として起業する人もふえているようです。

相次ぐ企業の本社移転

帝国データバンクが2021年に行った「特別企画:首都圏・本社移転動向調査(2021年)」によると、2021年度に本社機能を移転した企業は全国で2258社にも上るそうです。中でも、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から、地方に本社移転した企業は351社で過去最多との結果が発表されています。

 

2020年に広がったコロナウイルス蔓延により、2020年に予定していた本社移転が2021年に延期・実行された影響もあるとみられています。だとしても、首都圏から地方への本社もしくは本社機能移転を果たした企業は、前年に比べ2割以上も増加しました。首都圏の転出企業が300社を超えるのは、 2002年以来19年ぶりだそうです。

 

一方、地方から首都圏へ本社を移転 した企業も前年より約1割増加し328社でした。近年、地方の成長企業などを中心に、 首都圏に本社を移す動きが前年より強まったともいわれています。しかし、昨年11月時点で首都圏外への本社移転企業が300 社を突破し、過去に例を見ないハイペースで企業の首都圏外への移転=脱首都圏の 動きが進んでいるようです。 この結果、2021年は首都圏の本社移転動向は2010年以来、11年ぶりの「転出超過」となりました。

 

特に、岡山県や福岡県などでは「首都圏や関西圏の都市部からの流入者が目立つ」という話も耳にします。首都圏や関西圏内でも、交通の便などの理由から、中心部から離れた地域に住居を構えるのを躊躇していた人が、テレワークやオンラインツールの普及を機に郊外に引っ越しをするケースなどが多いようです。

引用:帝国データバンク 首都圏・本社移転動向調査

地方移住後の起業も増加

こうした流れを受け、独立・起業や、フリーランス・個人事業主という働き方に注目が集まってきています。IT技術・情報通信技術や地方都市のインフラ・企業のDX化が急速に進歩したことも「攻めの姿勢」での地方移住を後押ししている面もあるでしょう。

 

こうした「地方に移住して起業」というパターンが増えてきたのには地方自治体・政府が地方創生の観点から移住、並びに地方での起業を補助金などで後押ししていることが背景にあると見られています。東日本大震災から現在のコロナ禍に至るまで、なんとなく情勢不安を感じる人が増えたことや地元・家族とのつながり・絆の優先度が上がった人が多いことも無視できません。

従来の地方移住との違い

近年の移住者からは、従来よく耳にした「リタイア後に地方でのんびりと余生を送りたい」「都会での生活に疲れ果てたので、しばらく地方でのんびりしたい」といったスローライフ志向とは異なるケースが目立ちます。

 

内閣府が2021年に実施した「農山漁村に関する世論調査」の結果、都市部居住者で「農山漁村地域の移住願望があると回答した方は約26.6%にのぼり、4人に1人は移住に興味があるとの結果が出ています。年齢別に見ると20代が最も割合が高く、約37.3%が願望ありと回答。リタイアを見据えた50代も34.5%が農山漁村地域への移住願望があると回答していますが、60代より高齢になると、願望ありの割合は減少します。

 

以前はリタイア世代が多かった地方移住ですが、現在は若い世代や都市部で一旗すでに上げた世代が次なるビジネスやQOL向上のチャンスとして地方移住を意識する時代となったといえるでしょう。

引用:内閣府  農山漁村に関する世論調査 図11

 

 

フリーのコンサルタントにおすすめな地方移住後のビジネスプラン

ノマドワーカー

 

コンサルタント業界でもQOLと仕事のやりがいを両立を目指した地方移住は具体的な選択肢となっています。ビジネスプランニングや仕組み作りが得意な方ならば、田舎暮らしにはビジネスチャンスが意外にも多いことに気づくかもしれません。初期投資コストや固定費が都心に比べると安く抑えられるのも、地方都市の利点です。

 

さまざまな業種・個人に対する、リモート・コンサルティング(カウンセリング)・ライティングサービスもビジネスとして成立するでしょう。インターネットのクラウドサービスなどを活用するビジネスならば、初期投資は抑えられます。1ヶ月当たり10万~15万円程度の報酬を受けて田舎暮らしをするというのも不可能な話ではなくなりつつあります。

 

大都市圏では初期投資が大きすぎて着手困難だった事業を地方で試してみたり、地方移住者とつながりを作ってコンサルティングを請け負ったりといった事業も実現させやすいでしょう。フリーランスのコンサルタントの中にとっては、地方創生を実現しながらコンサル業務に従事するライフスタイルが、現実的な選択肢となりつつあります。

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移住先を探す際は時間をかけて

地方都市

 

「住めば都」ということわざがありますが、自分や家族と相性のいい地域・悪い地域というのも存在します。何回か通ってみて「何か違うな」「しっくりこないな」と感じたら、その地域は思い切って候補から外した方がいいかもしれません。

スモールステップを心がける

限界集落と呼ばれる地域へいきなり移住するのは難易度が高いです。まずは、近隣の地方都市へ引っ越して生活基盤を作り、そこから目星をつけた地域へ通って人間関係を構築する、という段取りを踏むのもひとつの手です。このようなスモールステップを踏むと、移住後に孤立してしまう不安も小さくできますし、時間をかけて探す分、仕事や住宅もよりよい条件で見つかる可能性があります。

 

土地勘や人脈がある地元へUターン移住する場合でも、長い間大都市部で生活していたビジネスパーソンは、疎外感やギャップを感じる可能性が高い点に注意が必要です。

移住制度が充実した自治体も候補に

地方移住や地方創生の社会的なトレンドを受けて地元に戻るUターン者が増えている一方で、「田舎がない」「地元はさすがに田舎すぎる」と地縁のない地方都市へと移住を考える人も増えています。難易度が低いのは、自治体をあげて移住者を受け入れている地域への移住でしょう。

 

地域の地方創生効果を期待して補助金や助成金が充実している地方自治体では、転職支援や住宅支援がスムーズなことも多いです。起業するにしても、制度の内容はさまざまですが、開業助成金や地元の商工会議所とタッグを組んで販路の提案をしてくれたり、起業から数年は事業所得への税金を免除したりと優遇措置を設けている自治体は少なくありません

 

こうした自治体では、起業のハードルがさがるとともに、同じような移住者が多かったり地元企業とのつながりづくりを手伝ってもらったりすることで移住後、地域のコミュニティに溶け込みやすい利点もあります。

大手企業本社移転地域はおすすめ

都市部の企業が本社移転を発表、実施した地域は、他に比べてIターンやUターンなどの地方移住者も住み心地がよいかもしれません。都会からのビジネスパーソンが多く転入することで地域が多様化している可能性が高いでしょう。都会からまとまった数の人が転入することで教育や医療などの質が上がることもあるようです。

 

また、都市部と同等の収益を稼ぐ企業が社員ごと引っ越してくることで地域が潤い、ビジネスチャンスにも恵まれる可能性が高いです。こうした企業は地域創生にも力を入れているケースが多く、業務委託先や取引先として地域の個人事業主が選ばれることも考えられます。今までの経験分野と親和性が高い企業が本社移転先として選んだ地域はチェックするのが得策です。

 

フリーランスのコンサルタントこそ地方にアンテナを巡らせる時代

移住者の強みは、大都市と田舎との両方を知っていることでしょう。リモートワークやオンラインツールの普及、地方都市のインフラ整備、地方企業や地方自治体のDX化が進む現在、「攻めの姿勢」で独立や移住が可能です。

 

また、反対に都市部にすみつつ、地方に本社移転した企業と取引をする機会も増えそうです。特にフリーランスのコンサルタントは、アンテナや拠点を居住地だけでなく、全国に広げる意識が必要かもしれません。

 

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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