外資系コンサルのタスク管理術とは?タスク設計から品質管理まで解説

最終更新日:2025/11/28
作成日:2022/02/24

  • ・「ToDoリストを作っているのに重要なタスクがなかなか進まない」
  • ・「会議と資料作成で一日が終わり、やるべきことが翌日に繰り越されてしまう」

 

このような状況に焦りを感じている方もいるかもしれません。

 

この記事では、そうした悩みを抱えるビジネスパーソンに向けて、外資系コンサルタントが実践しているタスク管理術を解説します。

 

成果から逆算してタスクを設計・管理する一連のプロセスと思考法を理解して、日々の業務に追われる状況から脱却しましょう。

 

目次

■外資系コンサルのタスク設計・進捗管理・品質管理術
(1)タスク管理の目的を明確にする
(2)逆算思考でマイルストーンを設定する
(3)WBSを活用しタスクを分解する
(4)タスクごとに責任を明確化する
(5)優先順位をつけてスケジュールを設計する
(6)定期的に進捗確認をする
(7)タスク後の評価・改善サイクルを構築する

 

■タスク管理で外資系コンサルがやっている5つのコツ
(1)タスクを「見える化」する
(2)タスクを配分する
(3)「パレートの法則」に基づくアプローチをする
(4)マルチタスクとシングルタスクを使い分ける
(5)ステークホルダーの期待値を調整する

 

■外資系コンサルおすすめのタスク管理ツール
(1)タスク整理に「カンバン形式」
(2)進捗の可視化に「ガントチャート」
(3)タスクの追跡に「スマートフォンアプリ」
(4)チーム間で「共有機能」も活用を

 

■タスク管理を成功に導く外資系コンサルのマインドセット
(1)アウトプット志向
(2)柔軟性と継続性
(3)挑戦し続けるマインド

 

■まとめ

 

外資系コンサルのタスク設計・進捗管理・品質管理術

カラフルな階層図をペンで指し示している手元

外資系コンサルタントのタスク管理は、単に目の前の作業をこなすだけではありません。プロジェクトの最終的な成功を見据え、そこから逆算して構築していくのがポイントです。

 

細かく言うと、タスクの目的を定め細分化するタスク設計、計画通りに進んでいるかを確認する進捗管理、そして成果物の質を担保する品質管理によって、全体のタスクを管理しています。

 

これらを体系的に実践するには何をどのようにしたらよいのでしょうか。ここで、外資系コンサルタントが行うタスク管理の方法を解説します。

 

(1)タスク管理の目的を明確にする

タスク管理とは、単にToDoリストを消化したり、スケジュールを守ったりすることだけではなく、最終的な成果物を通じて価値を提供するための手段と位置づけられています。

 

そのため、多くの外資系コンサルタントは、個々のタスクに着手する前に目的や完了基準を具体的に定義するところからスタートしています。

 

ここでしなければならないのは「この作業が終われば、どのような状態になっているべきか」という完了の定義を明確に設定することです。

 

例えば「競合調査」というタスクであれば、完了の定義は「主要3社のサービス概要と価格体系が比較表にまとまっている状態」といった形です。

 

このように目的を具体化することで、タスクのゴールが明確になり、手戻りや方向性のズレを防げます。

 

☆あわせて読みたい
『コンサルタントの目標設定 「SMARTの法則」を使いこなす』

 

(2)逆算思考でマイルストーンを設定する

プロジェクトのゴールを鮮明に描いたら、次は現在地からゴールまでに達成すべき中間目標、すなわちマイルストーンを設定します。

 

外資系のコンサルタントは逆算思考を徹底している方が多く、タスク管理でも逆算思考に基づいたステップが欠かせません。

 

例えば「最終報告会」というゴールがあるとします。そこへ向かうには「最終報告書ドラフトのレビュー」「データ分析」「現状分析」といったマイルストーンを設定します。

 

ポイントは、ゴールや締め切りから遡ってスケジュールを組み立てることです。この逆算アプローチによって、各フェーズで達成すべきことが具体化され、精度の高いスケジュール管理が実現します。

 

(3)WBSを活用しタスクを分解する

設定したマイルストーンを実行可能な作業単位まで細かく分解するには、WBS(ワークブレークダウンストラクチャー)という手法が用いられます。

 

WBSとは、タスクをさらに詳細な作業要素に分解するフレームワークです。例えば、社員旅行の企画をWBSで分解すると、次の7つの大工程に整理できます。

 

  1. 1.目的と予算を決める
  2. 2.行き先と日程を調整する
  3. 3.交通と宿泊を手配する
  4. 4.参加者を管理する
  5. 5.旅程や企画を作る
  6. 6.当日の運営を行う
  7. 7.事後対応をする

 

各工程は、さらに「行き先候補の抽出」や「参加者の確認」、「アクティビティの選定」、「当日の案内」、「精算処理」などの細かい作業から成り立っています。

 

これらの作業を、すべてツリー構造で明確化する方法がWBSです。

 

コンサルティングの現場では、この緻密なタスク分解が、後の進捗管理における抜け漏れや手戻りを防ぎ、プロジェクト全体の品質を支えています。

 

(4)タスクごとに責任を明確化する

個々のタスクに対して「誰が責任を持って実行するのか」を明確に割り当てることは、プロジェクト管理の基本です。

 

特にチームで動くことの多いコンサルティングの現場では、初期段階で各メンバーの役割と責任範囲が定められます。責任の所在が明確になると、作業の重複や「誰も対応していなかった」という事態を防げます。

 

タスクの担当者が明確であれば、進捗確認や問題が発生した際の報告・相談もスムーズに行えるため、チーム全体の生産性向上にもつながるでしょう。

 

「今、誰がボールを持っているのか」を明確にしておくことが、プロジェクトを円滑に進める大きなポイントなのです。

 

(5)優先順位をつけてスケジュールを設計する

日々大量のタスクに追われるコンサルタントには、優先順位を的確に設定してからスケジュールを設計していくステップも欠かせません。

 

その際に広く活用されるのが、「重要度」と「緊急度」の2軸でタスクを分類し、取り組む順番を決定する「時間管理マトリクス」というフレームワークです。

 

最優先で対応すべきは「重要かつ緊急」に分類されるタスクです。ただし、長期的な成果を生み出すには「重要だが緊急ではない」タスクへ計画的に時間を投資する必要があります。

 

優先順位を適切に設定してからスケジュールを設計すれば、目先の緊急業務に振り回されなくなっていくでしょう。加えて、プロジェクトの目標達成に本当に貢献する本質的な活動へ、リソースを集中させられます。

 

☆あわせて読みたい
『タイムマネジメントとは?本当の意味や必要な能力・方法を解説』

 

(6)定期的に進捗確認をする

どれほど緻密な計画を立てても、実行段階でズレが生じることは避けられません。計画倒れを防ぐのに欠かせない工程が定期的な進捗確認です。

 

外資系コンサルタントのプロジェクトでは、日次や週次の定例ミーティングなどを通じて、計画と実績の差異を常にモニタリングしています。

 

進捗の遅れや課題が発見された場合は、その場で原因を分析し、計画の修正やリソースの再配分といった対策を迅速に講じることも重要です。

 

プロジェクト管理ツールなどを活用してチーム全体の進捗状況を可視化し、問題の早期発見と早期対応を徹底する仕組みを構築するようにしましょう。

 

(7)タスク後の評価・改善サイクルを構築する

タスク管理の精度を高めて品質につなげるには、実行して終わりではなく、プロセスを評価し、次に活かすサイクルを回すことも重要です。

 

個人のタスクであれ、チームのプロジェクトであれ、完了後には「見積もった工数は適切だったか」「より効率的な進め方はなかったか」といった観点で振り返りを行います。

 

プロジェクトの節目でチーム全体の反省会を開き、成功体験や課題を共有すれば、組織としての知見も蓄積されていくでしょう。

 

このようなPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを継続的に実践すれば、品質向上に加え、個人とチーム双方のタスク管理能力の向上にもつながっていきます。

 

コンサル登録遷移バナー

 

タスク管理で外資系コンサルがやっている5つのコツ

ガラスボードに図を描きながら、数人のメンバーと議論しているビジネスチーム

外資系コンサルタントの方々は、日々の業務効率を最大化するため、個人のタスク管理術も磨き上げています。ここで、日々の業務に追われる状況から抜け出し成果につなげる、具体的なテクニックを5つ紹介します。

 

多忙な環境下でも着実に成果を出すためのスキルを身に付けましょう。

 

(1)タスクを「見える化」する

タスク管理を始める上で重要なポイントの一つは、チームで取り組むべきタスクや頭の中にある全てのToDoを書き出して「見える化」することです。

 

多くのコンサルタントは、ToDoリストを作成できるデジタルツールや手帳、ノートを活用し、やるべきことを一覧化しています。チームで動く場合は、共有のタスク管理ツールでタスクを透明化するとよいでしょう。

 

タスクを見える化するメリットは、チームや個人が抱える作業の全体量を客観的に把握でき、優先順位付けやスケジュール設計の精度が向上することです。

 

また、完了したタスクをリストから消していく行為により、達成感を得られるため、モチベーションの維持にも役立ちます。

 

(2)タスクを配分する

優れたコンサルタントは、タスクを自分一人で抱え込みません。時間やチームメンバーといったリソースを最適に配分することを考えます。

 

タスク配分の最適化は、個人だけでなく、プロジェクト全体の生産性にもつながるためです。

 

各タスクの難易度・専門性・作業量などを考慮し、どの作業にどれくらいの時間をかけるべきか、誰に任せるのが最も効果的かを常に判断しましょう。

 

定型的な作業や自分より適任者がいる業務を、積極的に他者へ依頼すると、自分にしかできない付加価値の高いコア業務に集中できるようになります。

 

(3)「パレートの法則」に基づくアプローチをする

限られた時間の中で成果を最大化するために、「パレートの法則」が参考にされることがあります。パレートの法則とは、「成果の80%は、全体の20%の重要なタスクによって生み出される」という経験則です。

 

この法則をタスク管理に応用してみましょう。数ある業務の中から、最も成果に直結する「2割の重要なタスク」は何かを見極め、そこにリソースを集中投下するのです。

 

すべてのタスクに均等に力を注がず、インパクトの大きい作業を見極めて注力すれば、効率的に高い価値を生み出せるようになります。

 

☆あわせて読みたい
『ニッパチの法則とは?二つの意味と仕事における考え方を解説』

 

(4)マルチタスクとシングルタスクを使い分ける

複数のプロジェクトを同時に進めるコンサルティングの現場では、マルチタスクが効率的に見えるかもしれません。しかし生産性を高めるため、多くのコンサルタントはシングルタスクを戦略的に取り入れています。

 

そもそも、人間の脳は複数の作業を同時に処理するよりも、一つの作業に集中する方が高いパフォーマンスを発揮することがわかっています。

 

そのため、分析や資料作成といった高い集中力を要する作業の際は、他の通知をオフにするなどして、シングルタスクに没頭できる環境を整えましょう。

 

一方で、メールの確認や簡単な情報収集といった負荷の低い作業は、時間を区切ってまとめて処理するなど、タスクの性質に応じてマルチタスクを取り入れるとよいでしょう。

 

(5)ステークホルダーの期待値を調整する

自身のタスク管理を円滑に進めるには、上司やクライアントといったステークホルダーとの期待値調整が欠かせません。

 

期待値調整とは、自身とステークホルダーの間で、タスクやプロジェクトに対する認識のズレをなくすためのコミュニケーションのことです。

 

お互いが期待する成果物の品質や納期・現実的なスケジュールなどについて、初期段階で具体的に話し合い、共通の認識を形成します。

 

事前に合意形成しておけば、後から発生しがちな「言った、言わない」といった誤解や、無茶な要求による手戻りを防ぎやすくなります。結果的に、計画的にタスクを進められるようになるのです。

 

☆あわせて読みたい
『クライアント評価を決める期待値コントロールとは?』

 

外資系コンサルおすすめのタスク管理ツール

ガントチャート

タスク管理術を効率的に実践するには、目的に合ったツールを適切に活用しましょう。チームの規模やプロジェクトの特性、予算などを考慮し、自社のニーズに合ったツールを選ぶことが大切です。

 

実際にコンサルティングの現場では、タスクの性質やプロジェクトのフェーズに応じて様々なツールが使い分けられています。

 

ここでは、代表的なタスク管理ツールの種類と特徴を紹介します。自身の業務スタイルやチームの状況に合ったツール選びの参考にしてください。

 

(1)タスク整理に「カンバン形式」

タスク管理ツールのうち、カンバン形式は、ボード上にステータスごとのレーンを作成し、タスクをカードとして貼り付け、進捗に合わせて移動させていくものです。

 

どのタスクがどの段階にあるのか、作業が滞っているボトルネックはどこか、といった状況が一目で分かるのが、カンバン形式ツールのメリットです。タスクを整理し、進捗状況を直感的に把握するのに向いています。

 

シンプルでありながら強力なツールのため、個人の日々のタスク管理からチームでのプロジェクト管理まで幅広く活用されています。

 

(2)進捗の可視化に「ガントチャート」

ガントチャートは、横軸に時間、縦軸にタスクを並べ、各タスクの開始日と終了日を帯状のグラフで示すことで、プロジェクトの全体像とタイムラインを可視化するツールです。

 

進捗を可視化できるので、プロジェクト全体のスケジュール管理に向いています。複数のタスクが複雑に絡み合うプロジェクトでは、タスク間の依存関係を明確にして把握するのも役立ちます。

 

上手に活用すれば、プロジェクトのクリティカルパス(最も時間のかかる作業経路)を特定し、納期から逆算した現実的なスケジュールの設計をすることも可能です。

 

☆あわせて読みたい
『プロジェクト管理に悩むコンサルタント向け無料ガントチャートツール』

 

(3)タスクの追跡に「スマートフォンアプリ」

移動中や外出先など、PCを開けない状況でもタスク管理をするには、スマートフォンアプリの活用が非常に有効です。

 

多くのタスク管理ツールはスマートフォン向けアプリを提供しており、PCとリアルタイムで同期しておけば、場所を選ばずにタスクの確認・追加・更新ができます。

 

突発的な依頼や移動中に思いついたアイデアをその場で記録したり、リマインダー機能で締め切りを通知させたりすることもできるため、タスクの抜け漏れも効果的に防げるでしょう。

 

(4)チーム間で「共有機能」も活用を

チームでプロジェクトを進める際は、タスク管理ツールの共有機能が必要不可欠です。

 

担当者の割り当て、コメント機能でのディスカッション、関連ファイルの添付といった機能を活用すれば、タスクに関するあらゆる情報を一元管理できます。

 

メールやチャットツールに情報が散逸するのを防ぎ、「誰が」「何を」「いつまでに」行うのか、その進捗はどうなっているのかをチーム全員が常に把握できる状態を作れる点も強みです。

 

タスク管理ツールをコミュニケーションの基盤として活用すれば、報告の重複や確認の手間が削減され、チーム全体の連携がスムーズになるでしょう。

 

タスク管理を成功に導く外資系コンサルのマインドセット

デジタルな情報グラフィックの前で腕を組み、未来を見据えるように立つビジネスパーソン

これまで紹介してきた様々なフレームワークやツールを使いこなすには、土台となるマインドセット、すなわち仕事に対する基本的な考え方や姿勢が重要となります。

 

外資系コンサルタントが高い生産性を維持できるのは、彼らが共通して持つ特定のマインドセットに支えられている側面も大きいです。

 

ここで、タスク管理を成功に導くための3つの重要なマインドセットについて解説します。ぜひ日々の仕事に取り入れてください。

 

(1)アウトプット志向

外資系コンサルタントの仕事には、常に「アウトプット志向」が貫かれています。

 

アウトプット志向とは、単にタスクを完了させること(Doing)を目的とするのではなく、タスクを通じてどのような価値や成果を生み出すのか(Output)を常に意識する姿勢です。

 

例えば、情報収集というタスクを行う際も、ただ情報を集めるのではなく、「その情報からどのような示唆を導き出し、クライアントの意思決定にどう貢献するか」という最終的なアウトプットを念頭に置いて作業を進めます。

 

アウトプット志向が、一つひとつのタスクの質を高め、意味のある仕事、ひいては成果へとつなげていくのです。

 

(2)柔軟性と継続性

プロジェクトは常に計画通りに進むとは限りません。クライアントの要望変更や予期せぬトラブルなど、不確定要素への対応が求められる場面も多々あります。

 

優れたコンサルタントは、当初の計画に固執しすぎることはありません。状況の変化に応じて優先順位を見直し、スケジュールを再構築する「柔軟性」を持ち合わせています。

 

一方で、目先の変化に振り回されるわけではありません。プロジェクト全体のゴールを見失わず、粘り強くタスクを進める「継続性」も同時に持ち合わせているのです。

 

計画の見直しを恐れない柔軟性と目標達成までやり抜く継続性のバランスが、プロジェクトを成功へと導きます。

 

(3)挑戦し続けるマインド

優れたコンサルタントは、日々のタスク管理を自己成長の機会として捉えています。難易度の高いタスクや未経験の業務に直面しても、脅威ではなく自身の能力を伸ばすための挑戦と捉え、前向きに取り組むのです。

 

タスク完了後は必ず振り返りを行い、「もっと効率的な方法はなかったか」「アウトプットの質をさらに高めるにはどうすればよかったか」を自問します。

 

このように、現状に満足することなく常により良い方法を模索し、自身のスキルを磨き続けようとする姿勢が、タスク管理能力を継続的に向上させる原動力となっています。

 

 

まとめ

都会を歩くビジネスウーマンのポートレート

本記事では、外資系コンサルタントが実践するタスク管理術について、プロジェクト全体の設計から個人の時間管理術、それを支えるマインドセットに至るまで解説しました。

 

基本は、単にタスクを消化するのではなく、最終的なアウトプットから逆算して全てのプロセスを設計するという考え方です。

 

目的と完了基準の明確化、WBSによるタスク分解、重要度と緊急度に基づく優先順位付け、定期的な進捗確認と改善サイクルの構築が、タスク管理を成功に導きます。

 

紹介した手法や思考法は、コンサルタントという特定の職種に限らず、多くのビジネスパーソンが日々の業務に応用できるものです。できることから取り入れて、仕事の生産性を高めていきましょう。

 

→→転職を検討中の方はコンサルネクストで無料登録
→→フリーランスの方はこちらからコンサル登録

(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

◇おすすめ記事◇
プロコンサルタントが使う4つの思考法で劇的に仕事力が上がる