【システムコンサルタントになるには】転職に必要なスキルや資格は?年収やキャリアパスは?
最新更新日:2024/07/10
作成日:2022/04/21
システムコンサルタントとは、企業の経営課題を解決できるシステムの提案から設計、開発までをコンサルティングする立場です。年収が高く、エンジニアのキャリアパスとして注目されていますが、システムコンサルタントになるにはどんな資格やスキルがいるのでしょうか?今回はシステムコンサルタントへの転職などについてもQ&Aを交えて解説します。
目次
■システムコンサルタントの仕事内容
クライアント企業の課題を分析し、IT戦略やシステム企画を立案
システム開発の上流工程(要件定義、設計など)を担当
ITソリューションの提案やプロジェクトマネジメント
■システムコンサルタントに求められるスキル
(1)コミュニケーション能力
(2)課題解決能力
(3)プロジェクトマネジメント能力
(4)ビジネス理解力
■システムコンサルタントに資格は必要?
システム監査技術者
公認情報システム監査人
ISC(情報システムコンサルタント)
ITストラテジスト
ITコーディネータ
中小企業診断士
PMP
■システムコンサルタントに関するQ&A
(1)システムコンサルタントは激務?
(2)システムコンサルタントに転職するには?
(3)システムコンサルタントのキャリアパスは?
(4)システムコンサルタントは新卒でもなれる?
(5)システムコンサルタントとITコンサルタントの違いは?
システムコンサルタントとは
システムコンサルタントは、企業の経営戦略や経営課題解決のために必要なシステムを提案・開発するプロジェクトの最上流工程を担うポジションです。企業が抱える経営課題の中でも、システム開発によって解決できる課題を見極め、戦略をリードします。
システム開発プロジェクト遂行に必要な人材を集めるのもシステムコンサルタントの仕事の一つです。どのようなシステムを開発するべきか、企業と協議し、PMやSEを集め、チームでシステム開発に挑みます。
システムコンサルタントの仕事内容
より具体的な、システムコンサルタントの仕事内容を見ていきましょう。
クライアント企業の課題を分析し、IT戦略やシステム企画を立案
システムコンサルタントは、クライアント企業が直面するビジネス上の課題を深く理解し、その解決策として最適なIT戦略やシステム企画を立案します。
まずは、現状の業務プロセスやシステムの問題点を詳細に分析し、企業のビジネス目標を達成するためのロードマップを作成します。このロードマップには、最新の技術動向や業界標準を踏まえた、具体的なシステムアーキテクチャや運用計画の提案が含まれます。
システム開発の上流工程(要件定義、設計など)を担当
システムコンサルタントは、システム開発プロジェクトの上流工程において重要な役割を果たします。要件定義フェーズでは、クライアントのニーズを正確に把握し、システムに求められる機能や性能を明確にします。
次に、これらの要件を基にシステム設計を行い、具体的なシステム構成やデータフローを定義します。この段階では、技術的な実現可能性や将来的な拡張性を考慮し、最適な設計を提供します。
ITソリューションの提案やプロジェクトマネジメント
クライアント企業に対して最適なITソリューションを提案し、その導入をサポートします。
また、提案したソリューションの実装においては、プロジェクトマネージャーとしてプロジェクト全体の進捗管理を行い、リスク管理や品質管理を徹底します。クライアントとのコミュニケーションを密に取りながら、プロジェクトの成功に向けて全力で取り組むことが重要です。
システムコンサルタントになるには
システムコンサルタントには、IT領域の知見が必要とされています。ITエンジニア、システムエンジニアなどからシステムコンサルタントにキャリアアップする人が多いようです。
社内SEから勤め先のシステムコンサルタントにステップアップするというキャリアパスもありますが、コンサルタント未経験からシステムコンサルタントになるために別の会社に転職するなら、エンジニアとしても十分な経験と知見が求められる傾向です。
エンジニアからシステムコンサルタントのキャリアパスを望んでいる人は経験・知見を企業にうまくアピールするためにも、ITやコンサルタントの上流人材専門エージェントなどを利用するのが早道といえるでしょう。
システムコンサルタントの年収
システムコンサルタントの案件報酬は、おおむね高単価です。弊社のシステムコンサルティング案件でも100%稼働で月額60万~150万程度、年収にすると700万~1800万ほどです。
というのも、システムコンサルタントにはエンジニアとして十分な知識と実力、そして経験が重視されます。「10年くらいのエンジニア経験がないとシステムコンサルタントは難しい」ともいわれているため、年齢的にも30代以上の人材がシステムコンサルタントを目指すケースが多いからです。システムコンサルタントは十分に社会経験とIT領域の知見がある人が担っているので、実績とスキルに合う高額の年収が提示されるでしょう。
システムコンサルタントに求められるスキル
システムコンサルタントは、システムについて知識があり、システム設計ができれば誰でもなれるわけではありません。企業の経営課題を解決するための提案やシステム開発が仕事です。クライアント企業への営業に同行したり、経営課題の根幹は何か見極めたりすることも大切です。そこで求められるスキルを紹介します。
(1)コミュニケーション能力
システムコンサルタントは自社のシステム開発プロジェクトに参画するケースとシステムを外部に提供するケースを担当します。自社内のプロジェクトを推進する場合にもそれなりのコミュニケーション能力は必要です。外部企業のシステム開発を手掛ける場合は営業に同行し、課題の見極めから手掛けることもあるため、かなりのコミュニケーション能力が必要とされます。
外部企業に対しては、システム領域の知識だけでなくヒアリング能力や提案力、同行営業の評判をさげないような社会人としてのマナーが求められます。普段から、自社内でもコミュニケーション能力に難があると見られれば良い案件を担当できない可能性や必要な人材を集められない場合もあります。
どれだけ知識やシステムに関するスキルが高くても結局求められるのは人間性だといえます。
(2)課題解決能力
コンサルタントというからには、課題を見つけ、解決までの道筋を描く課題解決能力が求められます。特にシステムコンサルタントは、経営課題解決のためのシステム提案・開発が仕事なので、課題解決能力は重要視されます。
たとえば、外部企業がクライアントとなる場合、経営課題の真の理由が見えていない場合もあります。クライアントが将来どのような企業像を思い描いているのか、という要望から、課題を掘り出し、解決の方法をいくつか用意し、クライアントに提示することから課題解決は始まります。課題探究から解決まで一貫して筋道を立てられるよう仮説思考やロジカルシンキングなども必要となるでしょう。
(3)プロジェクトマネジメント能力
システムコンサルタントは、プロジェクトの全体像を把握し、計画通りに進行させるためのプロジェクトマネジメント能力が求められます。具体的には、プロジェクトのスコープ、スケジュール、予算、リソースを管理するスキルが含まれます。
また、リスク管理や品質管理も重要です。チームメンバーとの連携やコミュニケーションを円滑に進める能力も、プロジェクトの成功には欠かせません。
(4)ビジネス理解力
システムコンサルタントは、ITシステムの専門家であると同時に、ビジネスの理解も求められます。クライアントの業界や市場動向、競争環境を理解し、ビジネスの観点から最適なシステム提案を行う能力が必要です。
また、経営戦略や業務プロセスを理解し、それに基づいたシステム設計や改善提案を行うことで、クライアントのビジネス価値を最大化することが求められます。
システムコンサルタントに資格は必要?
システムコンサルタントを名乗るのに資格は必要ありません。ただし、ITやシステム系の資格、経営コンサルタントの資格など取得しておくと転職活動や年収交渉の際に有利になる資格は存在します。
システムコンサルタントが取得している資格として代表的なものは
・システム監査技術者
・公認情報システム監査人
・ISC(情報システムコンサルタント)
・ITストラテジスト
・ITコーディネータ
などです。
システム監査技術者
システム監査技術者の資格は、情報システムの監査に関する高度な知識と能力を証明する国家資格です。情報処理技術者試験の中で最高難度のレベル4に位置付けられており、非常に難関な試験として知られています。
企業の監査部門やセキュリティ担当としての就職に有利に働き、一部の大手企業では昇給・昇格の条件になっていることもあります。
公認情報システム監査人
公認情報システム監査人(CISA: Certified Information Systems Auditor)は、ISACAという国際的な非営利団体が認定する情報セキュリティに関する国際標準資格です。情報システム監査の専門家としての能力を証明し、グローバルに通用する資格として認知されています。
試験内容は、「情報システム監査のプロセス」「ITガバナンスとITマネジメント」「情報システムの調達・開発・導入」「情報システムの運用とビジネスレジリエンス」「情報資産の保護」という5つの出題分野により構成されています。
ISC(情報システムコンサルタント)
ISC(情報システムコンサルタント)は、JISCAが認定するコンサルタント資格です。ICTの知識や個別の技術スキルだけでなく、経営者の意図を理解し、顧客に最適なシステムを提案できるスキルについてもアピールできます。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、高度情報処理技術者試験の一つで、情報処理技術者試験の中でも最高難度のレベル4に位置付けられる資格です。高度なITの知見を活用して企業の課題を明確化し、業務効率化やIT戦略の立案を行う専門職を認定します。
キャリアへの影響としては、SIer(システムインテグレーター)や事業会社のIT部門、ITコンサルティングファームなどでの活躍が期待されます。
ITコーディネータ
ITコーディネータ(ITC)は、IT経営とDXを実現するために企業をサポートする専門家の資格です。IT経営やDXの実現に向けて、企業の体制構築、計画立案から実践、評価・改善までを包括的にサポートする能力を証明できます。
企業のIT活用と経営戦略を結びつける重要な役割を担う資格であり、デジタル化が進む現代のビジネス環境において、その重要性はますます高まっています。
また、経営コンサルタンティング能力を証明するために、取得しているシステムコンサルタントが多いのは下記の2資格です。
・中小企業診断士
・PMP
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断やアドバイスを行う、経営コンサルタントとしての国家資格です。「和製MBA」とも呼ばれ、MBAの学習内容に近い知識が求められます。
PMP
PMPは、Project Management Professional の略称で、アメリカのProject Management Institute (PMI)が主催するプロジェクトマネジメントに関する国際的な認定資格です。
国際的に認知された資格であるため、プロジェクトマネジメントの分野でグローバルに通用するメリットがあります。
システムコンサルタントの将来性
あらゆるITツールやシステムは一度導入すれば完成するものではありません。運用・保守を通して表面化した問題を解決したり、その度に課題解決のためカスタマイズが必要だったりするものです。そのためシステムコンサルタントの業務には、終わりがありません。
今後も何らかのITツールやシステムの導入を新調・検討する企業は増えると見られており、システムを最上流からコントロールできるシステムコンサルタントの仕事が減ることはないでしょう。
現在はシステム設計・開発をする企業にシステムコンサルタントが所属するケースが目立ちますが、今後はフリーランスで活躍するシステムコンサルタントが増えるといわれています。
システムコンサルタントに関するQ&A
(1)システムコンサルタントは激務?
近年、ITやデジタル分野のコンサルタントの需要は増しています。システムコンサルタントには、経営課題に対応できるコンサルタントとしての顔とシステム設計・開発に精通した人材としての顔の両方が求められるため「需要を満たすほどのシステムコンサルタントがいない」のが現状です。
そのため、現在活躍するシステムコンサルタントの一人ひとりが激務を強いられる場面があることは否めません。ただし、それだけハイスペックで希少な存在として扱われるシステムコンサルタントには、十分な年収や満足できる雇用条件を提示する企業がほとんどといえるでしょう。
勤務時間や休日についても交渉できる立場ともいえます。自分だけでなく、チーム全体が納得できない働き方を強いられていると感じたときは、激務にならないよう調整を進言することもシステムコンサルタントの必要な任務と考えましょう。
(2)システムコンサルタントに転職するには?
システムコンサルタントに転職するには、ITやデジタル領域のコンサルティングに強いコンサルティングファームの所属や自社のシステムコンサルタントの求人を出している企業への応募、フリーランスのシステムコンサルタントを紹介する人材企業に登録するなどの方法があります。
年収や雇用条件の相場がわかったり、正社員としての紹介案件があったりするので、特に人材企業への登録がおすすめです。エンジニア出身でシステムコンサルタントとしては未経験の人でも「どのようなスキル・資格・経験があれば、システムコンサルタントとして紹介可能か」などの情報収集もできるでしょう。
(3)システムコンサルタントのキャリアパスは?
システムコンサルタントのキャリアパスとして考えられるのは、一社に長く所属し、システム部門での出世を目指したり、フリーランスとして複数の企業に出入りしたりすることです。どちらも経験と実績を積むことでかなりの年収アップが見込めるでしょう。
(4)システムコンサルタントは新卒でもなれる?
現在、育成が急務ともいわれるシステムコンサルタントですが、新卒から目指すなら、システムコンサルタントチームに所属して経験を積んだり、資格を取ったりするなどがおすすめです。システムコンサルタントは基本的にエンジニアやPMを長年経験してから任されることが多いので、かなりの自己研鑽が求められるでしょう。
また、英語力やビジネス知識を磨くといった、他分野の知識を得ることも新卒でシステムコンサルタントを目指す上で武器になりそうです。
(5)システムコンサルタントとITコンサルタントの違いは?
システムコンサルタントとITコンサルタントは、取得していると有利な資格や経験していると実績とみなされる職務に共通点があり、違いがわかりにくいものです。
システムコンサルタントは、経営課題解決のために、システム導入から設計・開発・運用や保守のコンサルティングをする人です。
一方、ITコンサルタントはITツールをつかった業務改善・経営課題解決をコンサルティングする人という違いがあります。どちらも、ITの力を使った経営コンサルタントとしての側面も重視されます。
システムコンサルタントに転職するなら自己研鑽が必須
システムコンサルタントは、システム設計や開発を通して企業の経営課題を解決するコンサルタントです。システム開発に精通しているだけではなく、経営コンサルタントとしての知識も求められます。そのため、熟練のエンジニアやPMからシステムコンサルタントへとキャリアチェンジ・キャリアアップするケースが多く、それなりの社会人経験と年齢を重ねている人材がほとんどのため、高年収が期待できるでしょう。
将来的には、企業やコンサルティングファームで上を目指すだけでなく、フリーランスコンサルタントとして独立・起業が目指せる職種です。未経験や新卒で目指すなら、ITやシステムに強い企業で経験を積んだり、資格を取ったりしながら、自分の評判が上がるようコミュニケーション能力や課題解決能力など自己研鑽を積みましょう。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)