業務コンサルとITコンサルの違いは?役割・スキル・キャリアを比較
最終更新日:2025/10/15
作成日:2022/07/21
企業の課題解決に携わるコンサルタントには、さまざまな種類があります。業務改善を専門に扱う業務コンサルタントや、ITを駆使して業務改革を支援するITコンサルタントなどが具体例です。
両者は役割や求められるスキル、キャリアの方向性が異なりますが、企業の成長を支える重要な役割を担っています。
本記事では、業務コンサルとITコンサルの違いをわかりやすく解説します。
目次
■企業の課題解決を担う!業務コンサルタントとは?
(1)業務コンサルタントの役割
(2)業務コンサルタントの主な種類
■テクノロジーで業務改革を支援!ITコンサルタントとは?
(1)ITコンサルタントの役割
(2)ITコンサルタントの主な種類
■業務コンサルタントとITコンサルタントの違いとは?
(1)担当領域・役割の違い
(2)求められるスキルの違い
(3)年収の違い
(3)キャリアパスの違い
■業務コンサルタント・ITコンサルタントのやりがいと将来性
(1)仕事のやりがい
(2)将来性と今後の展望
■業務コンサルタントになるには
(1)未経験から業務コンサルタントを目指す場合
(2)転職で業務コンサルタントになる場合
■ITコンサルタントになるには
(1)未経験からITコンサルタントを目指す場合
(2)転職でITコンサルタントになる場合
企業の課題解決を担う!業務コンサルタントとは?

業務コンサルタントは、企業の業務プロセスを分析し、課題を特定して改善策を提案する専門職です。
具体的な役割や、どのような種類の業務コンサルタントがいるのかを見ていきましょう。
業務コンサルタントの役割
業務コンサルタントの業務内容は、クライアント企業の現状業務を詳細に可視化し、非効率や課題を明確化することから始まります。
As-Is分析(現状分析)とTo-Beモデル(理想像の設計)を用いて、改善施策を具体化し、実行段階まで支援。
業務全体の最適化を目指すだけでなく、人事、会計、生産管理など特定の部門や業務領域に特化して改善を行うケースもあり、専門知識を活かした提案が求められます。
クライアントと密にコミュニケーションを取りながら、現場に即した実践的な改善策を導くことが、業務コンサルタントとしての大きな役割です。
業務コンサルタントの主な種類
業務コンサルタントには、扱う業務領域によっていくつかの種類があります。代表的な種類と業務内容を見てみましょう。
- ・SCMコンサルタント:調達・生産・物流など、サプライチェーン全体の効率化やコスト削減、在庫最適化
- ・人事・組織コンサルタント:人事評価制度や人材育成プランを設計し、組織の生産性向上を支援
- ・財務・会計コンサルタント:資金調達やコスト改善、M&A支援を通じて企業価値向上を支援
このように、業務コンサルタントは企業の課題に応じて、SCM、人事・組織、財務・会計など、さまざまな専門領域で活躍します。
テクノロジーで業務改革を支援!ITコンサルタントとは?

ITコンサルタントは、IT技術を活用して企業の経営課題を解決に導く専門職です。 経営戦略に沿ったIT戦略を立案し、システム導入の企画から開発・運用・定着支援までを一貫して担います。
ここからは、ITコンサルタントの具体的な役割や、どのような種類があるのかを見てみましょう。
ITコンサルタントの役割
ITコンサルタントの主な役割は、クライアントの経営課題を理解し、それを解決するための最適なIT戦略と仕組みを設計・実行することです。
まず、経営層や現場へのヒアリングを通して課題を明確化し、システム導入や業務プロセス改善を含めた全体像を設計します。
次に、要件定義やベンダー選定、プロジェクトの進行管理などを行い、導入後もシステムの定着化や改善提案を継続的に支援。
単なる技術支援にとどまらず、経営・業務・ITを横断的に理解したうえで、企業の成長戦略を支えるのがITコンサルタントの重要な役割です。
ITコンサルタントの主な種類
ITコンサルタントは、担当する技術領域やシステム分野によってさまざまな専門職に分かれます。代表的な種類を挙げてみましょう。
- ・ERPコンサルタント:基幹システムを導入し、会計・人事・生産など全社業務の効率化を支援
- ・CRMコンサルタント:顧客情報管理システムを通じて、営業活動や顧客満足度の向上をサポート
- ・SCMコンサルタント:サプライチェーン全体を可視化し、業務の最適化を実現
- ・クラウドコンサルタント:クラウドサービスを活用し、柔軟でスケーラブルなIT基盤を構築
- ・セキュリティコンサルタント:情報漏えいやサイバー攻撃のリスクを防ぐ体制やシステムの設計・強化
このように、ITコンサルタントはテクノロジーを軸に多様な分野で活躍します。
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『【ITコンサルタントとSEの違いとは?】IT戦略への関わりや業務内容』
業務コンサルタントとITコンサルタントの違いとは?

業務コンサルタントとITコンサルタントは、企業の課題解決に関わる専門職ですが、担当する領域や求められるスキル、キャリアの方向性には違いがあります。
担当領域・役割の違い
まず大きな違いは、担当する領域にあります。
業務コンサルタントは、企業の業務プロセス全体を対象とし、戦略立案や業務フローの再設計といった経営課題の根幹に関わる上流工程を担当します。解決策はITに限らず、多面的なアプローチで業務改善を実現します。
一方でITコンサルタントは、IT戦略の策定からシステム導入、運用保守まで、ITに関連する領域を専門とします。
業務コンサルタントが立案した戦略や改善案を、ITシステムを使って具体的な業務プロセスに落とし込み、実際に運用できる形にするのがITコンサルタントの役割です。
両者は、密接に連携しながらプロジェクトを進めることが多くあります。
求められるスキルの違い
両者に共通するのは、論理的思考力やコミュニケーション能力ですが、専門スキルには違いがあります。
業務コンサルタントは、業界知識や会計、人事といった特定の業務領域の深い知見に加え、経営層と対話するための戦略的視点が求められます。
ITコンサルタントは、これに加えてシステム開発やインフラ、クラウド、セキュリティなどの最新技術知識が必要です。また、プロジェクトマネジメントスキルやシステム導入の実務経験も重要で、ITを使って業務課題を解決する能力が求められます。
年収の違い
年収水準にも差があります。
スタンバイplusの調査によると、業務コンサルタントの平均年収は約600万円とされています。
一方、厚生労働省の「job tag」によると、ITコンサルタントの平均年収は約752.6万円となっています。
また、ITスキル標準(ITSS)のレベル別に見ると、レベル3で600〜900万円、レベル4で650〜950万円、レベル5以上では700〜1,100万円と、スキルや役割に応じて幅があることがわかります。
どちらの職種も日本の平均年収である478万円よりも水準が高いです。
参考:業務コンサルタントになるには何が必要?求められる能力と仕事内容 - スタンバイplus(プラス)
参考:ITコンサルタント - 職業詳細|職業情報提供サイト(job tag)
参考:令和6年分 民間給与実態統計調査
キャリアパスの違い
キャリアパスにも、それぞれ特徴があります。
業務コンサルタントは、ファーム内でマネージャーやパートナーに昇進するほか、事業会社の経営企画やM&A担当、起業など経営に近いポジションへの転身もあります。
一方でITコンサルタントは、ファーム内昇進のほか、CIOやCTO、IT企業のプロダクトマネージャーといった、テクノロジー分野のリーダーを目指す道が一般的です。
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業務コンサルタント・ITコンサルタントのやりがいと将来性

企業の変革に深く関わる業務コンサルタントとITコンサルタントは、高い責任が伴う一方で、他では得られないやりがいを実感できる職種です。
ここでは、それぞれの仕事の魅力と、今後のキャリアにおける展望について具体的に見てみましょう。
仕事のやりがい
業務コンサルタントは、クライアント企業の経営層と直接対話し、組織全体の変革を主導できる点に大きなやりがいがあります。
自ら立案した戦略や改善策によって、企業の業績が向上したり従業員の働き方が改善されたりする様子を目の当たりにすることで、達成感を強く感じられます。
一方、ITコンサルタントは、最新のテクノロジーを駆使して企業の課題を解決できる点が魅力です。
導入支援を行ったシステムが稼働し、業務が効率化されたり、新しいサービスが生まれたりするなど、目に見える形で成果を実感できる機会が多くあります。
どちらの職種も、自分の提案や施策が企業の変化につながる喜びを味わえる点は共通しています。
将来性と今後の展望
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、業務コンサルタントとITコンサルタントの市場価値はますます高まっています。 今後は両者の境界が低くなり、互いの領域を理解し、補完し合える人材の重要性が増していくでしょう。
業務コンサルタントにはITの知識、ITコンサルタントには経営や業務プロセスへの理解が求められるようになり、両方のスキルを兼ね備えた人材の需要はさらに高まる見込みです。
また、AIやIoTなどの先端技術を活用し、ビジネスモデル自体を変革するような、高度で複合的なコンサルティング案件が増えていくとも予想されています。
このように、両者のスキルを磨くことで、より挑戦的で影響力の大きいキャリアを築けます。
業務コンサルタントになるには

業務コンサルタントとして活躍するには、経験やスキルに応じてさまざまなアプローチがあります。
ここでは、未経験の場合と転職の場合、それぞれの特徴や準備すべきポイントを見てみましょう。具体的な取り組みや注意点もあわせて解説します。
未経験から業務コンサルタントを目指す場合
未経験から業務コンサルタントを目指す場合、新卒や第二新卒でコンサルティングファームに入社するのが一般的です。この場合、専門知識よりも、論理的思考力や問題解決力、コミュニケーション力といった潜在能力が重視されます。
ケース面接では、複雑な課題を整理し、構造的かつ説得力のある解決策を示す力が求められます。
また、学生時代に長期インターンシップで実務経験を積んだり、中小企業診断士などの資格を取得したりするのも、意欲や学習能力をアピールする有効な手段です。
未経験者の場合、まずは基礎力を固め、コンサルティング現場での学習意欲を示すことが、採用の鍵となります。
転職で業務コンサルタントになる場合
他業種からの転職で業務コンサルタントを目指す場合は、これまでの実務経験が大きな強みになります。
金融業界で法人営業を経験していれば金融機関向け、製造業で生産管理を担当していればメーカー向けの業務改善プロジェクトで、その知見を活かせます。
さらに、事業会社での企画部門やマーケティング部門での経験、プロジェクトマネジメント経験も高く評価されます。
転職者は、自分の専門分野や強みを明確にして、それに合ったコンサルティングファームを選ぶことが、転職成功のポイントです。
ITコンサルタントになるには

ITコンサルタントとして活躍するには、未経験から挑戦する方法と、転職でキャリアを活かす方法があります。
ここでは、それぞれのケースにおける具体的なルートや準備すべきポイントを見てみましょう。経験やスキルに応じたアプローチを解説します。
未経験からITコンサルタントを目指す場合
未経験からITコンサルタントを目指す場合、新卒や第二新卒向けのポテンシャル採用に応募するのが一般的です。
情報系の学部出身者やプログラミング経験者は有利ですが、文系出身者も多く活躍しています。重要なのは、IT技術への関心と論理的思考力です。
資格取得も有効な手段です。ITパスポートや基本情報技術者試験などを取得することで、ITの基礎知識と学習意欲を示せます。
入社後は、研修制度が充実しているファームも多く、未経験でも段階的に専門知識を身につけることが可能です。
また、インターンシップや短期プロジェクトに参加して、現場での経験や実務感覚を事前に得られる点も大きな強みとなります。未経験者は、基礎力と学習意欲を示す準備が鍵です。
転職でITコンサルタントになる場合
他業種からの転職でITコンサルタントを目指す場合、システムインテグレーター(SIer)やソフトウェアベンダーでの開発経験、PLやPMとしてのプロジェクト管理経験が強みになります。
さらに、事業会社の情報システム部門で、システム企画や導入に携わった経験も高く評価されます。
特に、クラウド、AI、データサイエンス、サイバーセキュリティといった技術分野での専門性は、コンサルティングファームからの需要が高く、市場価値を大きく高めます。
転職を成功させるには、自身の経験・専門性を活かせる領域を明確にし、その分野に強い企業やプロジェクトを狙う戦略が重要です。
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まとめ

業務コンサルタントとITコンサルタントは、それぞれ専門性や担当領域は異なりますが、どちらも企業の成長や変革を支える重要な役割を担っています。
自分の強みや興味に合わせてキャリアを選択することで、よりやりがいのある仕事に挑戦できるでしょう。
これからのキャリアを考える際は、情報を整理し、自分に合った道を選ぶのが大切です。転職やフリーランスとしての活動を検討している方は、専門のサービスを活用すれば、効率的に次のステップに進めるでしょう。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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