シニアの起業が増加中!アクティブに働く新しい働き方とは?

作成日:2018/01/17

 

シニア起業が増えている理由とは

シニアの起業が増加中!アクティブに働く新しい働き方とは?_1

フリーコンサルタントとして活動している方にとって、起業のトレンドは気になるところではないでしょうか。日本の開業率はここ数年日本全体の起業状況は、日本の開業率は4~5%でここ数年横ばい傾向です。政府の掲げる開業率10%台という目標には至っておらず、イギリスやフランスの開業率約14%と比べても日本での開業率が低いことがわかります。

 

増加傾向にあるのが50代・60代のシニア層による起業です。こうしたシニア起業について知っておくと、フリーコンサルタントの方にとっても今後新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。そこでシニア起業が増えている理由や支援体制など、シニア層の起業トレンドについて詳しくご紹介します。

 

出典:「平成29年度以降に向けた創業・起業支援について」(中小企業庁)

 

こうした状況の中で、増加傾向にあるシニア層。とある調査では、2012年の起業家で最も割合が高いのが60代(32%)となっています。しかも年々増加しており、1997年には21%だったものが5年で32%と約1.5倍になっています。

 

なぜ日本でシニアの起業が増えているのでしょうか?高齢化ということも大きな要因ですが、まず考えられるのが公的年金の受給開始年齢です。現在は65歳となっていますが、今後も引き上げが検討されています。つまりシニアも年金に頼らずに働き続ける社会になりつつあります。同じ会社で働き続けるよりも、以前からやりたかったことで起業を目指す方が増えてきたことが考えられます。

 

また、定年を迎える前に早期退職して起業するシニアも多いようです。2012年に日本政策金融公庫がまとめた調査結果によると、シニア起業家が開業直前の勤務先を離職した理由は「自らの意思による退職」(57.1%)が最も多くなっています。これは定年退職(19.5%)や勤務先都合(18.2%)と比べても突出して高い割合になっています。

 

出典: 「シニア起業家の開業~2012年度「新規開業実態調査」から~」(日本政策金融公庫)

 

大手企業でも今は先行きが安泰とは限りません。会社に頼らない生き方を目指して、早期退職して起業したいというシニアの方も多いかもしれません。

☆あわせて読みたい

『フリーランス人材の悩みとは?業務委託の雇用形態とメリットデメリットを解説』

『簡単にわかる「フリーランスとは」入門ガイド 』

『フリーコンサルタントは副業でも稼げる?単価・種類・注意点を解説!』

 

 

シニア起業の特徴とは?若者の起業との違い

シニアの起業が増加中!アクティブに働く新しい働き方とは?_2

20代・30代の起業家とシニア層の起業には、大きな違いがあります。2012年に日本政策金融公庫がまとめた調査結果をもとに、3つのポイントをご紹介します。

(1) まとまった自己資金がある

シニア起業家(55歳以上)が開業時に準備した自己資金額は、平均605万円。34歳以下の平均369万円と比べて高い金額になっています。また、シニア起業家の4人に1人がなんと自己資金1,000万円以上!貯蓄や退職金などのまとまった資金があるのが、シニア層の特徴です。

(2) 売上よりも、やりがい重視

シニア起業家(55歳以上)が起業する動機は、以下の通りになっています。

1位 仕事の経験・知識や資格を生かしたかったから(51.1%)
2位 社会の役に立つ仕事がしたかった(36.2%)
2位 年齢や性別に関係なく仕事がしたかった(36.2%)
4位 自由に仕事がしたかった(35.1%)
5位 収入を増やしたかった(24.5%)

一方、34歳以下の起業家では、「自由に仕事がしたかった」「収入を増やしたかった」がともに50%以上。シニア層の起業する動機は若者と大きく違い、売上よりもやりがい重視で起業していることがわかります。特に、定年を迎えた方の中には、年金をもらいながら社会とのつながりを持つために起業したい方も多いようです。

(3)過去の経験・人脈を活用

斯業経験年数(現在の事業に関連する仕事の経験年数)の平均は、シニア起業家(55歳以上)では17.8年。他の年齢層よりも長くなっています。つまり、会社員時代に培った経験を生かして、起業するパターンが多いのが特徴です。また過去の業務経験とあわせて、会社員時代の人脈をうまく活用して成功しているケースもあるようです。

 

 

シニア起業を後押しする支援も増えている

シニアの起業が増加中!アクティブに働く新しい働き方とは?_3

シニア起業の増加に伴い、政府や地方自治体などでシニア層の起業をサポートする動きも活発になっています。例えば神奈川県では、県内のシニア起業を促進するために下記のようなさまざまな取り組みを行なっています。

■神奈川県のシニア起業を支援する取り組み例

・ガイドブック「人生100歳時代! 輝けシニア起業家」」作成
・シニア向け起業セミナー、起業スクールの開催
・シニア向けレンタルオフィス「かながわシニア起業家応援サロン」の開設
・「かながわシニア起業家ビジネスグランプリ」の開催

ほかにも、例えば兵庫県では「シニア起業家支援事業」として、最大100万円まで助成する「シニア起業家向け助成金」を設けています。厚生労働省でも2016年度から「生涯現役起業支援助成金」を創設しています。60歳以上の方が起業する場合は助成額が拡大し、最大で200万円まで助成されます。融資についても、日本金融公庫では女性や55歳以上のシニア向けの融資制度「女性、若者/シニア起業家支援資金」を設けています。

 

 

シニアはどんなビジネスで起業している?

シニアの起業が増加中!アクティブに働く新しい働き方とは?_4

では、シニア起業家はどんなビジネスプランで起業を考えているのでしょうか?シニア起業を後押しする神奈川県の支援策でご紹介した「かながわシニア起業家ビジネスグランプリ」によると、下記のようなビジネスプランが入賞しています。

・動きがあった時だけ画を出すセンサー・カメラの開発と事業化
・ウクレレシニアサークルの展開
・新しい可能性を広げるクラウド展示会『エアメッセ』

出典:「かながわシニア起業家ビジネスグランプリ2017開催報告」(銀座セカンドライフ株式会社)

やはりシニアをターゲットにしたものが多く、比較的小規模な事業が中心です。シニアの起業動機が売上よりもやりがい重視というスタンスが、浮き彫りになっています。また、中小機構によるWebサイト「J-Net21」では、さまざまなシニア起業家の方のインタビューが「頑張れシニアベンチャー」にて掲載されています。過去の業務経験を生かしたビジネスとあわせて地域活性・国際協力など社会貢献につながるビジネスが多いように見受けられます。

 

 

高齢化が進む中、行政や自治体の支援もあり引き続きシニア起業家は増加していくことが予想されます。現状のシニア起業は売上よりもやりがいを重視し、比較的スモールビジネスが中心となっています。

 

とはいえ、将来的にはシニアの強みであるまとまった自己資金や過去の業務経験、豊かな人脈をフル活用していくシニア起業家が増えれば、新しい技術の開発や大規模ビジネスを手掛けるケースも出てくるのではないでしょうか。フリーコンサルタントの方々にとって、新しいマーケットになる可能性もあります。ぜひ今後もシニア起業に関するトレンド動向をチェックしていきましょう。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

◇こちらの記事もオススメです◇

「政府も推進する「社会人の学び直し」、コンサルタントにとってのメリット・デメリットとは