PDCAサイクルを補う新たな手法“OODAループ”とは

作成日:2017/05/15

 

PDCAサイクルとOODAループ

 

PDCAサイクル

 

いまやビジネスパーソンなら知らない人はいないのではないかと思える“PDCA”。

 

事業活動におけるプロジェクトマネジメントや目標管理、生産管理などの各種マネジメントに用いられているのはもちろん、近年では教育や医療の現場にも導入されていると言われています。

 

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって業務を継続的に改善を目指すのがPDCAサイクルです。もともとは、品質管理の手法として構築されたと言われていますが、現在では経営のマネジメントにも応用されています。さまざまなあらゆる分野で活用されているPDCAサイクルですが、最近、「PDCAサイクルに代わる」ものとして新たに“OODAループ”という手法が話題です。

 

アメリカ空軍で撃墜王と呼ばれたパイロットのジョン・ボイド大佐によって提唱されたと言われているOODAループ。軍事という、ビジネスとは一見まったく関係がなさそうな分野で生み出された手法が、ビジネスの現場にどんな効果をもたらしてくれるのでしょうか。

 

今回は、OODAループについて、簡単にご紹介します。

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OODAループとは

OODAループ

 

“OODA”とは、Observe(観察)→Orient(方向付け)→Decide(決心)→Act(実行)の頭文字をとった略語で、OODAループとは、この4段階を繰り返すこと、つまり、相手をよく観察した上で自分たちの出方を決めるという戦い方から生まれた意思決定プロセスのことを言います。

 

米軍でOODAループが採用されたのは湾岸戦争の時だと言われています。非常に手ごわい相手であると目されていた当時のイラク軍に対し、米軍率いる多国籍軍は、次の3つの特徴を備える「機動戦」という戦い方を新たに採り入れたとされています。

  • 1.敵の動きを読んでその弱点を突く
    2.体力勝負の消耗戦ではなく、頭脳戦で挑む
    3.事前の計画より、事後の臨機応変さを重視する

これに対し、イラク軍は事前の計画をガチガチに固めていて、兵力も一ヶ所に集中投下していたため、手ごわいという事前の予想に反して短期間で多国籍軍に勝利を奪われてしまったと伝えられています。

 

「PDCAに代わる」という枕詞や「Observe(観察)→Orient(方向付け)→Decide(決心)→Act(実行)」の4アクションによって構成されている点から、OODAループでは計画はまったく立てないのか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。OODAでも計画は立てますが、ただその計画にこだわることはしない、要は事前の計画よりも事後の臨機応変さの方が重視されるだけです。「PDCAに代わる」というより「PDCAを補う」といった方が適しているかもしれません。

 

PDCAサイクルを回すことで業務改善しながら、同時にOODAループを回すことで環境の変化に臨機応変に対応できるような意思決定を行なって、プロジェクトを成功に導いたり、企業の継続的な発展を目指したり、という状況を考えると、PDCAとOODAは対立する概念ではなく、併用できる別分野の手法であると考えられます。

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人材育成にも活かせるOODAの考え方

人材育成にも活かせるOODAの考え方

 

変化に対する柔軟性を重視するOODAですが、人材育成の分野でも、PDCAと併用することによって、より効果的に作用する可能性があると言われています。

 

基本的な部分をマニュアルに沿ってこなせるよう育成する、というのはこれまでのPDCAサイクルのみの活用で可能になりますが、ここにOODAを加えることによって、マニュアルにないイレギュラーな場面でも自分で正しい判断を下せるような人材を育てることができるというのです。

 

OODAを紹介する書籍『米軍式 人を動かすマネジメント』(日本経済新聞出版社)では、軍の機動戦を支える要素として、OODAループの他に「Mission Command(ミッションコマンド)」と「Critical Intelligence(クリティカルインテリジェンス)」の2つが挙げられています。

 

OODAの活用によって自発的に動ける人材が育ったら、彼らを組織としてどう動かすかが問題になってきますが、この著書によるとその問いの答えになるのが、仕事の目的とゴールだけを説明して細かい部分は個人に任せる「Mission Command(ミッションコマンド)」というマネジメント手法と、個々人の判断や行動に直結する情報のみを与える「Critical Intelligence(クリティカルインテリジェンス)」です。

 

ベースとなる能力を備えつつ自発的に動ける人材を育てた後に「裁量と必要十分な情報を与えることで、個人も組織も成長し、活性化されていく」そんな好循環が起きる人材育成の可能性をも、OODAは秘めているのかもしれません。

 

企業を取り巻く環境が激しく変化する現代において、従来の業務マネジメント手法であるPDCAを補完する意思決定手法として提唱され始めたOODA。人材育成に応用することで個人の意思決定のスピードも速めることができ、ひいては組織の機動力向上にもつながる可能性があるとなると、とり入れてみて損はなさそうに思えます。

 

企業の経営に関わる人はもちろん、人材のマネジメントに悩む人も、一度OODAについて調べてみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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