効率よく有能な人材を採用できるリファーラルリクルーティングとは

作成日:2017/03/08

 

そもそもリファーラルリクルーティングとは何か

 

多くの企業にとって、有能で信頼できる人材を効率的に採用し、かつ長く安定して勤務してもらうことは、人事政策上の大きな課題になっているのではないでしょうか。昨今は終身雇用の慣習が実質的に崩れ、転職に対する心理的な抵抗感もなくなってきています。

 

他社でも通用する有能な人材ほど、高いコストを掛けて採用したにも関わらず、ヘッドハンティングで引き抜かれるようなことも珍しくありません。そこで、わが国でも最近注目を集め始めた人材採用の手段として、「リファーラルリクルーティング」というものがあります。初めて耳にされる方も多いかもしれませんが、簡潔に説明すれば、「社内・社外の信頼できる人脈を活用した紹介・推薦による人材採用活動」と言うことができます。ちなみに、リファーラル(referral)とは本来、「紹介」「推薦」「委託」などの意味を持つ単語です。

 

リファーラルリクルーティングが生まれた背景には、求人サイトや人材エージェント(キャリアコンサルタント)、ハローワークなどの既存の採用チャネルに依存せず、個人と個人との人間的な繋がりに注目して、採用する人材の質や信頼性を一定レベル以上に担保することで、採用時にはわからないアンマッチを極力避けたいという採用側の考えがあります。米国企業などでは、既に8割以上の企業がリファーラルリクルーティングを活用した採用活動を実施している、というデータもあるようです。

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縁故採用とリファーラルリクルーティングとは似て非なるもの

 

 

ここで、旧来からある縁故採用とリファーラルリクルーティングとは、一体何が異なるのか、と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。確かに、社内・社外の人脈を用いた人材の紹介・採用、という点に関しては、両者は同じようにも映ります。そして、縁故採用については、自社と採用される人材とのマッチングなどの観点から、あまり良い印象を抱いていない方もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げると、両者の決定的な違いは、その目的にあります。縁故採用の場合、自社と紹介者とのコネクションを維持・発展させることが主な目的であり、初めから採用ありきのスタンスとなることが一般的です。採用される本人の適性・能力や、自社カルチャーとのマッチングなどを考慮することは、二の次の話となりがちです。また、縁故採用は、新卒採用・中途採用を問わずに利用されているケースが多いようです。

他方、リファーラルリクルーティングでは、採用候補の人材に一定レベル以上の適性・能力と、信頼性とを担保すると同時に、採用コストの抑制が主な目的となります。最初から採用ありきのスタンスではなく、選考ルートに一旦載った後は、他の採用候補者と同じ扱いとなることが一般的です。そして、自社と紹介者との関係性は、採否の結果で左右されないことも特徴です。キャリアを持つ人材の中途採用に利用されるケースが目立ちます。

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リファーラルリクルーティングを採用活動に用いるメリットとは

 

では、この採用方法を用いるメリットは何なのでしょうか。主なメリットは、次の3点に集約されます。

1.優秀な人材を採用しやすい

リファーラルリクルーティングを利用する主目的とも重複しますが、一定レベル以上の能力を有する、信頼性の高い人材を採用しやすいことが最大のメリットです。例えば、自社の優秀な営業マンが紹介者である場合、社内における自身の信用問題にも関わってくるため、それなりに優れた候補者を自らの人脈から探し出してくることでしょう。これは、社外の人が紹介者であるような場合でも同様であると考えられます。

2.採用後の定着率が高い

次に、採用後の定着率が高い(離職率が低い)こともメリットです。企業側は、自社とつながりの深い紹介者を通じて、候補者に企業文化や業務の実態をあらかじめ伝えることが可能ですし、候補者も紹介者の面子を潰さないように振舞うことが一般的であるため、採用後のアンマッチが生じにくいのです。

3.採用にかかるコストや工数が抑えられる

採用コストが抑えられることも、昨今の企業環境では大きなメリットとなります。人材エージェント(キャリアコンサルタント)や求人サイトの活用による採用コスト負担は、スタートアップ期のベンチャー企業や、中小企業の経営にとっては、決して小さくないものです。

人材エージェントを活用した場合、紹介を受けた人材が自社での採用に至ると、企業側は想定年収の30~35%を報酬として支払うことが一般的だからです。もちろん、人材エージェントのネットワークは、自社の既存人脈では通常出会えないような人材を紹介してくれる場合も多いので、必ずしも報酬が高いとも言い切れない面もあるでしょう。 加えて、自社の人事部門スタッフの採用工数が抑制できることも、軽視できないメリットでしょう。リファーラルリクルーティングを活用すれば、企業説明・書類審査・採用面談などに割く工数を最小化することが可能なので、自社内のリソースの効率的な活用にもつながります。

 

リファーラルリクルーティングを活用する環境が整ってきている

 

本来、信頼度の高い人物を媒介とした人材採用活動は、比較的工数が掛かり、また紹介されるタイミングも不確定です。そのため従来は、スタートアップ期のベンチャー企業や、高い難易度の資格・特殊なスキルが求められるポジションの採用活動に限って、リファーラルリクルーティングの活用が見られました。長きにわたり、リファーラルリクルーティングは、採用チャネルの主流にはなり得なかったのです。ところが、昨今はソーシャルメディアの急速な発達により、人と人とのつながりが仮想ネットワーク上で可視化されるようになりました。これがリファーラルリクルーティングの仕組み化を可能にし、信頼の置ける人づて採用活動の利便性・効率性を一気に向上させる結果となりました。

さらに、転職希望者の立場から見ても、リファーラルリクルーティングによる採用活動は、メリットが大きいのではないでしょうか。新たな採用チャネルの出現ということで、転職の可能性を拡げ、かつ知己からの紹介ということで、他の転職支援サービスに比べるとマッチングの観点からの安心感もあります。最近では、SNS上で自社社員や関係者などと、どこの部門の、どのようなポジションの人材が欲しいのか、といった求人情報を共有して、その人的関係から採用にまで至った場合、企業から紹介者に対してインセンティブが支払われるなど、斬新なリファーラルリクルーティングの仕組みを構築しているケースも出てきています。

 

リファーラルリクルーティングを活用した採用が成功する必要条件は、人材の紹介者となり得る社員に対しても、社外関係者に対しても、魅力的な企業・職場であることでしょう。紹介者に対してどれほどのインセンティブが支払われようとも、魅力的な企業・職場であるとみなされなければ、自らの大切な友人・知人を推薦しようとは思わないからです。換言すれば、リファーラルリクルーティングによる採用活動自体が、その企業の業務改革・業務改善の大いなるきっかけになってくれる可能性も秘めている、とも言えるかもしれませんね。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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