サブスクリプションはメリットだけじゃない?注目される課題とは

最終更新日 2020年11月11日(水)
作成日 2020年10月30日(金)

最終更新日:2020/10/30
作成日:2018/10/24

新たなビジネスモデルとして注目されている、サブスクリプション(定額制)サービス。CNET JAPAN(※1)の記事によれば「過去7年間で、北米、欧州、およびアジア太平洋地域のサブスクリプション企業の売上高は300%以上増加」(2019年07月31日 の記事)というように、世界中でサブスクリプションサービスは急成長しています。

 

日本でもSpotifyやNetflixといったサブスクリプションサービスは、すでに定着していますよね。さらに、キリンやトヨタといった企業も新たにサービスをサブスクリプション化させています。

 

サブスクリプションモデルは企業にとっても収益が安定するなどメリットの多いビジネスモデル。しかしその一方で撤退する企業もあり、課題があることも見えてきました。ビジネスコンサルタントとしては、このようなトレンドはチェックしておきたいところではないでしょうか。そこでサブスクリプションサービスについて、メリットとともに今後の課題についてまとめました。

 

目次

■自動車もビールもサブスクリプションの時代!若い世代に人気の理由とは
(1)手ごろな料金で使いたい期間だけ利用できる
(2)モノを所有するこだわりがなくなってきた
(3)人気のあるサブスクリプションサービスは?

 

■企業から見たサブスクリプションモデルのメリットとは?
(1)安定した売上が見込め、予測しやすい
(2)新規顧客の開拓につながる
(3)マーケティングデータを入手しやすい

 

■サブスクリプションのビジネスモデルにはデメリットもある
(1)顧客の契約維持のためにリソースがかかる
(2)安定した売上につながるまでに、時間がかかる

 

■サブスクリプションサービスが今抱える課題とは
(1)スーツのAOKIはサブスクリプションサービスを始めたものの、半年後に終了
(2)海外ではミールキットのサブスクリプションサービスが苦戦

 

※本コラムは、2020年10月30日に「続々と登場するサブスクリプションサービス」を再構成したものです。

 

 

自動車もビールもサブスクリプションの時代!若い世代に人気の理由とは

 

サブスクリプションサービスは、プロダクトやサービスを購入するのではなく、利用期間中に一定の金額を支払うというビジネスモデル。なぜ今、サブスクリプションサービスが若年層を中心に利用者が増えているでしょうか。主な背景を2つご紹介しましょう。

(1)手ごろな料金で使いたい期間だけ利用できる

サブスクリプションサービスは音楽や動画配信など、定額制で使い放題というサービスが一般的。つまり利用すればするほど、お得感が増します。またソフトウェアなどの購入は高額になりますが、定額制なら毎月支払う金額は低く抑えられ、手ごろ感があります。またやめたいときにストップできるため、「一定期間だけ試しに使いたい」というときに安く利用できるメリットがあります。

(2)モノを所有するこだわりがなくなってきた

最近では若年層を中心に「モノの所有にこだわらない」という感覚が広がっていて、これもサブスクリプションサービスの利用が伸びている理由とも言われています。これはインターネットの影響も大きいでしょう。小説も音楽も映画も、スマートフォンのアプリを使えば今やいつでもどこでも見ることができます。

 

またかつては「成功して高級なものを購入することがステータス」という感覚がありました。しかし最近の若年層はモノを持つことへのこだわりが少なく「使いたいときだけ使えるほうが効率的」「モノを持つと収納場所に困る」と考える傾向がある様子。こうしたトレンドにあわせて、最近は服や時計、家具・家電などを定額でレンタルできるサブスクリプションサービスも登場しています。

(3)人気があるサブスクリプションサービスは?

では実際にどんなサブスクリプションサービスが利用されているのでしょうか。マクロミルの調査(※2)によると、利用しているサービスは動画配信が最も多く、音楽配信、本・雑誌・コミック書籍と続きます。その他を見てもニュースやソフトウェア、ゲームなどアプリ系コンテンツ関連がほとんどという状況。しかし「今後使いたいサービス」を見ると、「飲食」「衣料品」「自動車」などのデジタルコンテンツ以外のサービスも上位に入ってきていました。

 

しかし、この調査の翌年である今2020年、新型コロナウイルスによって世の中は大きく変化しました。“おうち時間”が激増したことにより、衣料品や化粧品などへの需要が下がっていることは周知のとおりです。外出は散歩程度ですませて家の快適化を重視するようになった人が増え、お花の定額アプリ“ハナノヒ”(※3)などのような、生活に潤いをプラスするようなサービスにも注目集まるようになりました。

そのかたわらで、外食やレジャーを筆頭に低迷した産業を支援するGO TOキャンペーンなどが始まり、現在は遠出する人も徐々に増加してきました。モノの消費に対する状況も日々変化しています。

 

 

とはいえ、モバイルアプリの普及もあり、サブスクリプションサービスの主流はやはりデジタルコンテンツ。しかし今後利用したいサービスを見ると、リアルなプロダクトを使ったサービスもこれから伸びしろがあることが見えてきます。

 

たとえばトヨタでは、自動車を定額で利用できるサービス「KINTO」を2019年7月からスタートさせました(※4)。販売に影響が出るという懸念もありますが、他社より先駆けて参入する動きには、戦略の面に大きなメリットもあるはずです。一方キリンは、すでに2017年からサブスクリプションサービス「Home Tap」を始めています(※5)。これはビアサーバーを無償で貸し出し、定期的に工場からビールを直送するというサービス。キリンではこのサービスにて、直販事業(EC)にも取り組み始めました。

 

 

企業から見たサブスクリプションモデルのメリットとは?

 

用者だけではなく、企業にとってもサブスクリプションモデルはさまざまなメリットがあります。代表的なメリットを3つピックアップしました。

(1)安定した売上が見込め、予測しやすい

プロダクトやサービスを売る場合、月によって売上にバラつきが大きくなることもしばしば。その点、サブスクリプションモデルは定額制のため、毎月一定の売上が見込めます。ある程度安定した売上を見通すことができ、将来の売上予測がしやすいというのは企業にとって大きなメリット。追加投資などの計画も立てやすくなります。

(2)新規顧客の開拓につながる

サブスクリプションモデルは、売り切りと比べて手ごろな金額で利用でき、初期費用もあまりかかりません。つまりハードルが下がるため、新たな顧客の獲得につながりやすい点がメリット。

例えば前述したレンタカーをサブスクリプション化させたようなサービス「KINTO」も、この新規顧客獲得に貢献することが期待できます。自動車をローンで購入するのに比べ、サブスクリプションサービスなら「使いたい期間だけ使える」という気軽さがあります。また、レンタカーのように、利用する度に手続きをする手間もありません。車離れが進んでいると言われる若年層や、なかなか車を所有しづらい転勤の多い人など、従来とは異なる顧客をターゲットにしているようです。

(3)マーケティングデータを入手しやすい

サブスクリプションモデルには、マーケティングデータとしての活用側面もあります。

サービス申込時には一定の情報を入力する必要があるため、マーケティングに必要な顧客情報を入手しやすいと言えます。また継続利用が前提のため利用動向データも得られます。こうしたマーケティングデータを他の事業に活用できるという点は、企業にとって大きなメリットでしょう。

 

 

サブスクリプションのビジネスモデルにはデメリットもある

 

メリットに注目が集まっている一方、サブスクリプションモデルのデメリットもおさえておきたいところです。

(1)顧客の契約維持のためにリソースがかかる

り切り型のビジネスモデルと比べて、サブスクリプション化したビジネスは、顧客維持に手間がかかる点がデメリット。サブスクリプションサービスは気軽な分、解約されやすいのも特徴のひとつなのです。解約を防ぐには継続したプロモーションを導入したり、サポートの充実を図る必要があります。

 

また利用者対応に手間がかかるため、契約数が一気に増えると運用できなくなる可能性もあります。例えば前述したキリンのビール定額制サービス「Home Tap」は、開始当初申し込みが殺到したため、一旦受付を停止せざるを得ませんでした。

(2)安定した売上につながるまでに、時間がかかる

サブスクリプションモデルは、安定した売上が見込めるというメリットがある一方、サービスや商品の開発、在庫準備などかかった投資費用の回収に時間を要します。資金の少ないスタートアップ企業は特にこの点は大きなデメリットでしょう。例えば洋服のサブスクリプションサービスを運営する「メチャカリ」も、サービスを始めた3年後にようやく黒字化が見えてきたと言います(※6)。

 

 

サブスクリプションサービスが今抱える課題とは

 

日本でも多くの企業がサブスクリプションサービスに参入していますが、成功している企業はまだまだ多くないのが実状です。解約率の高さに悩む企業もあれば、ひっそりとサブスクリプションサービスから撤退する企業もあります。コンサルタントとしてはこうした事例から、何が問題となっていたのかを把握しておきたいところではないでしょうか。そこで日本や海外の事例をもとに、今サブスクリプションモデルが直面している課題をまとめました。

(1)スーツのAOKIはサブスクリプションサービスを始めたものの、半年後に終了

AOKIでは2018年にスーツのレンタルをサブスクリプション化した新サービス「suitsbox」をスタート。しかしその半年後にこのサービスは終了してしまいました。ここまで短期間で終了した事例は珍しいでしょう。社長の交代により経営方針が変わった影響もあったそうですが、「Suitsbox」サービスに課題があったことも事実のようです。

 

日経クロストレンドの記事によれば、「Suitsbox」がうまくいかなかった理由として、「サービス運用コストがかかった」「顧客が店舗利用者とほぼ同じ年代だった」などの項目を挙げています(※7)。特にスーツなどリアルな製品のレンタルを扱う場合、在庫管理配送などにどうしてもコストがかかります。その一方で、月額料金は低く抑える必要があります。料金の設定や運用コスト削減、効率化といった点は、今後のサブスクリプションサービスにとっても大きな課題と言えるでしょう。

 

AOKIでは店舗利用者が40代男性中心のところ、サブスクリプション化したサービスでは20~30代男性をターゲットに設定しました。しかし実際にはサブスクリプションも店舗と同じく40代が主に利用し、新規顧客の獲得につながらなかったそうです。本来ならサブスクリプションサービスをきっかけに新たな顧客を発掘し、販売にもつなげたいという狙いがあったと推測できます。

 

AOKIのような販売を手掛ける企業の事例を見ると、販売事業とサブスクリプション事業をどう両立させるか、相乗効果を出すかという点は大きな課題と言えます。

(2)海外ではミールキットのサブスクリプションサービスが苦戦

日本と同じく、海外でもサブスクリプションサービスに苦戦している事例はあるようです。例えばミールキット関連のサービス(ミールキットとは、自宅に準備された食材一式が届き、利用者がレシピに沿って食事を作ることができる商品)。ミールキットをサブスクリプション化したサービスを手掛けるアメリカの「ブルーエプロン」も苦戦している企業のひとつです(※8)。

ニュース記事によれば、ブルーエプロンの2018年末時点の利用者数は、前年より18万9000人減少。解約が多い理由としては「週〇回の注文が必須など条件があり使い勝手がよくない」「料理の選択肢が少ない」などが挙げられるようです。

 

ブルーエプロンの事例を見ると、継続利用が前提のサブスクリプションサービスでは、使い勝手や対応の柔軟さなどの重要性が高いと言えます。

しかし、新型コロナウイルスが追い風効果を発揮し、ブルーエプロンの株価が2020年3月17日に前日の終値からおよそ70%上昇するなど、未曽有の状況下で先読みも難しくなっていることもまた事実です(※9)。

 

 

世界で急速に広まるサブスクリプションサービス。本記事ではご紹介した事例以外にも、あらゆる業界でサブスクリプションモデルを採用する企業が増えています。そのため競争も激化していて、マーケットシェアもめまぐるしく変わっていく可能性があります。

リモートワークが一気に浸透し、オフィスでさえ不要である風潮も漂っている今、“モノ”離れがさらに進み、シェアが当たり前の時代が加速するのかもしれません。

 

<参照>
※1: https://japan.cnet.com/article/35140356/
※2: https://honote.macromill.com/report/20190425/
※3: https://www.hibiyakadan.com/shop/hananohi
※4: https://kinto-jp.com/
※5: https://hometap.kirin.co.jp/
※6: https://markezine.jp/article/detail/31583
※7: https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00105/
※8: https://digiday.jp/brands/blue-apron-hemorrhaging-subscribers-expands-retail-partnerships-strategy/
※9: https://forbesjapan.com/articles/detail/33148

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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