都市も地方も両方満喫できる「2地域居住」とは

作成日:2018/05/21

東京都心をはじめとする首都圏や大きな都市での暮らしは、何をするにも便利で楽しいことも多く、刺激に満ちています。その反面、人の多さや生活費の高さなどからストレスも大きいもの。都会の喧騒を離れて自然あふれる地域で暮らせたら・・・そのように考えたことがある方は少なくないでしょう。都市か地方か、都会か自然か――この選択は、いまや二者択一ではありません。都市の便利さも郊外の自然も両方満喫できる生活様式「2地域居住」です。

 

 

2つの拠点をもつ2地域居住

2つの拠点をもつ2地域居住_1

 

2地域居住とは都市部と地方部の両方に居住地をもってその両方で生活をすることです。2つの拠点をもつという意味で「2拠点居住」とも呼ばれます。これまでも、都市部で生活しながら別の地域に別荘をもって、休暇の時期に避暑やレジャーに出かけるといったライフスタイルは存在しましたが、この形態ではあくまでレジャーにとどまるものがほとんどでした。

 

2つの拠点をもつ2地域居住の場合は、どちらの拠点でも「生活」するというニュアンスが強いです。地方の拠点にも一部の季節だけ訪問するのではなく、毎週末など定期的に通い、菜園を育てたり平日とは異なるビジネスをもちながら暮らしをたてていきます。

 

「そんな生活は、リタイア後ではないと無理なのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、30代や40代といった現役のビジネスパーソンでもこうしたライフスタイルを取り入れる人が増えているのです。

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国・自治体も2地域居住を推進

国・自治体も2地域居住を推進_2

2地域居住のスタイルは実にさまざま。「平日は都市の拠点で仕事をしながら過ごし、週末は地方の拠点で菜園を育てて暮らす」「メインの仕事は都市部にもちながら地方の拠点で新たなビジネスを興し、両拠点で仕事しながら生活する」「夫は主に都市部に居住し、妻と子どもは地方を主たる居住地として、お互いに行き来しながら暮らす」など、人と地域の数だけバリエーションがあるといえます。こうした多様なライフスタイルの実現を喜んでいるのは、生活者自身ばかりではありません。

 

少子高齢化が着々と進みつつある現在の日本。地方部では過疎化が進み、人口の半分以上を65歳以上の高齢者が占める限界集落も増加の一途をたどっています。その一方で、人口や会社が東京に一極集中する状況はいまもなお解消に至らず、住宅環境の過密や通勤ラッシュ、災害リスクに対する脆弱性など、さまざまな問題が指摘されています。

 

そうした状況下で増えつつある2地域居住は、地方部で生活の一部を送る半定住者の準ずる人の増加を促したり、都市部で災害が発生した場合のセーフティーネットの構築につながる効果があるとして、国土交通省も推進。地方での体験交流プログラムの情報提供といった活動を実施しています。

 

危機感の当事者である地方自治体としても、日本全体で人口が減少しているなかで完全定住者の人口を増やすことはなかなか難しいことから、2地域居住にも並々ならぬ関心を寄せており、各自治体で地域のことを知ってもらう交流イベントの実施や、移住や2地域居住の相談窓口を東京都内に設けるといった取り組みを行っています。

 

移行の課題は仕事と交通費

移行の課題は仕事と交通費_3

 

一挙両得を狙える2地域居住ですが、ライフスタイルの移行には解決すべき課題もあります。最も大きな課題は「仕事」でしょう。働き方改革が叫ばれる今は、テレワークをはじめとするさまざまな働き方を許容する会社が増えてきており、時間や場所にとらわれずに働くことを実現しやすくなってきてはいます。

 

しかしながら、現実的にはそうした会社ばかりではありませんし、職種によっては2地域居住の実現のしやすさに差が出てしまうことは否めません。また、2つの拠点をもつということは、住居費をはじめとする生活費の支出が二重になるということ。その費用をどのように確保するかといったことも考えなければなりません。自治体の支援を受けたり空き家を安価で借りるといったことでコストを削減できるケースもありますが、いずれにしても支出は増えることになります。

 

加えて、意外と重い負担になり得るのが「交通費」です。2地域居住をする2つの地域の間にはそれなりに距離があることが大半であり、そこを家族で定期的に行き来するわけですから、車で通うとしても、交通機関を利用するとしても、その往復にかかる時間と出費は計算しておく必要があります。そのほかにも、小さいお子さんがいる家庭ではお子さんの保育園や学校といったことも検討する必要がありますし、将来的に親御さんの介護が必要になった場合の生活なども考えておくべきでしょう。

 

仕事の創出を考えてみよう

仕事の創出を考えてみよう_4

 

今、都市部で会社に勤めている方であれば、2地域居住のスタイルとしてまずイメージしやすいのは「平日に現在の仕事を続けながら、週末に地方の拠点で過ごす」というものでしょう。SEやエンジニア、フリーランスの方など、多くの日で在宅勤務が可能であれば、現在の仕事をどちらの拠点でも行なうことができるわけですから、さらに安心でしょう。

 

しかし、2つ目の拠点で現在の仕事とは別の新たな仕事をする、さらに可能ならば新たな仕事を生み出すといったことができると、2地域居住の醍醐味をフルに味わうことができます。せっかく縁のできた地域。より深く関われるような仕事を創り出す、以前からあたためてきたビジネスプランを実現する・・・生活だけでなく仕事も複数持つことで、人生をより豊かにできるチャンスが生まれるのです。

 

新たな仕事を創り出すことは、2地域居住にかかる二重の生活費を支える効果も生むことになり、経済的な負担という課題の解決にもつながります。それだけでなく、周囲の人とのつながりも作りやすくなることも。何が起こるかわからない今の世の中では、複数の仕事を持つことは人生そのものへのリスクヘッジにもなり得るのです。1点気をつけておきたいのは、メインの仕事で副業が禁止されていないかどうか。2地域居住でしようとすることが会社の規程や雇用契約に抵触しないかは、事前にきちんと確認しておく必要があります。

 

まとめ

今の暮らしを維持しながら、別の地域での新たな暮らしを始めることができる2地域居住は、いざ始めるとなれば多くの調整や準備が必要になります。「実際にやっていけるのか不安」「会社員の自分にはできるわけがない」と二の足を踏む方も少なくないでしょう。そんな場合は、各地方自治体が運営する相談窓口を利用したり、各地で開催されている「お試し滞在」に参加してみるという方法があります。

 

自治体以外にも、2地域居住を支援するNPO法人や地元のコミュニティ、ほかの地域からの転入希望に対して不動産物件を紹介する不動産会社といった存在も。地域移住経験者や2地域居住を実践する人がNPO法人やコミュニティを立ち上げているようなところであれば、さらに心強い味方になります。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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