求められるダイバーシティマネジメントとは?

最新更新日:2023/02/01
最新作成日:2023/02/01

マネジメントは、日本語では「管理」と訳されますが、管理には仕事の効果を最大化するという目的があります。管理職のコンサルタントの方々は業務効果の最大化がミッションになります。今回は、先進的な企業で取り組むダイバーシティマネジメントをご紹介します。

マネジメントの目的

 

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マネジメントは、日本語では「管理」と訳されますが、管理には仕事の効果を最大化するという目的があります。管理業務においては仕事の不出来を指摘するだけでは不十分であり、業務の効果を最大化することで初めて管理として意味を成すのです。
したがって、管理職に就いているコンサルタントの方々のミッションは、業務の効果を最大化することとなります。このことを前提に、ダイバーシティマネジメントについて見ていきましょう。

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ダイバーシティが意味するもの

ダイバーシティは「多様性」と訳されます。「女性の社会進出を促進する」という文脈で用いられることが多いですが、それだけの話ではありません。性別はあくまでダイバーシティが扱う属性の一側面に過ぎず、もっと広い意味での多様性を意味するのがダイバーシティという言葉なのです。

ダイバーシティは「属性のダイバーシティ」と「ライフスタイルのダイバーシティ」の二つに大別されます。具体的な事例を下記にいくつか挙げてみます。

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「属性のダイバーシティ」

○ 性別、ジェンダー
○ 人種・民族・民族・宗教
○ 身体状況(身体障がい)
○ 世代 など

「ライフスタイルのダイバーシティ」

○働き方の多様性
○働く場所の多様性
○雇用形態の多様性 など

ダイバーシティは流行の言葉ではありません。むしろ、古来より存在している個々人の考え方や属性を指す普遍的な言葉であるといえます。ここからは、ダイバーシティが認められるようになった歴史や、企業がダイバーシティマネジメントを行うメリットなどを見ていきましょう。

[画像注: レインボーフラッグはLGBTの尊厳と社会運動を象徴する]

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ダイバーシティの歴史

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アメリカで、ダイバーシティマネジメントが始まったのは1960年代です。公民権運動や雇用機会均等法に端を発し、企業は法律の遵守や訴訟回避のために、有色人種や女性の雇用に積極的に乗り出しました。

続いて1980年代には、CSRの観点からダイバーシティを推進する企業や、グローバル化の流れによりダイバーシティを重視する企業が増え始め、さらに多くの企業がダイバーシティを受容するようになりました。

現代では、ダイバーシティを推進することが企業にとっての競争優位になると考えられています。日本は残念ながら、2016年現在でも、ダイバーシティについては後進国と言わざるをえません。性別やライフスタイルに基づくダイバーシティの受容は、欧米諸国に比べてまだまだ進んでいないといえます。

ダイバーシティの推進にあたっては、企業は下記の4段階で発展していくと考えられています。

①    拒絶                属性やライフスタイルに関する価値観の違いを許容しない
②    同等機会          違いは許容しきれないものの、機会は同等に提供する
③    許容                価値観を認める
④    活用                価値観の相違を活かして競争優位に立つ

日本には、①や②の段階に属する企業が、まだまだ多く存在します。
そこで、この段階を一つ前に進めるべく、ダイバーシティを推進するメリットを考えましょう。

 

ダイバーシティ採用のメリット

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日本においても、先進的な企業では既にダイバーシティに富んだ採用を行っています。たとえば日本IBMでは2015年に、LGBT関連施策として「同性パートナー登録制度」が新設されました。また、同性パートナーとの事実婚に対しても3万円の結婚祝い金が支給される制度が2012年から導入されているそうです。

 

一方、ダイバーシティに消極的な組織は、アイデアや事業が陳腐化されていくと言われています。変化の早い時代で外的要因に素早く対応し、業務の効果を最大化するためには、さまざま志向や属性を持つ人材を雇用することが、最も効果的な方法の一つであるというのがその理由です。

 

ネット上で少し前に話題になった言葉があります。視覚障がいを持つ方による、次の言葉です。

「私が知事になって、自分勝手に施策を立てていいのなら、街灯は撤廃する。私には必要ないから。」

「健常者」には当たり前の光景である街灯が、この方にとっては不必要な設備であるというこの言葉は、ダイバーシティによって物事の捉え方は大きく変わるということを示す好例だと言われています。

世の中は多数派に適合した形で成り立っています。自分が多数派側にいる場合、それが当然だと考えてしまうのは仕方のないことではありますが、ダイバーシティ採用を行うことで、「多数」の人が気付かないことに気づくことができます。

 

たとえば、今では当然のように使われている炊飯器の開発は、「女性は家庭を守るべき」という意識が世間で当たり前だと思われていた中、他の家事や育児をして いる間に炊飯できれば助かるという女性の意見がもとになったと言われています。「家事で楽をするなんてとんでもない」という反発意見もあったようですが、 このアイデアも当時の男性には思いつかないことでしょう。

 

この点がダイバーシティを活用する最大のメリットです。

 

ダイバーシティマネジメントの実現方法

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では、ダイバーシティマネジメントを実現するにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、その具体的な方法をいくつかご紹介します。

 

  • 社(組織全体)として取り組む

トップダウンメッセージとして、企業のトップ(代表)がダイバーシティマネジメントに取り組む旨を全社に発信することが重要です。一部署で行っただけでは異動 で他部署に移った際にはダイバーシティマネジメントが認識されていないという事態になってしまいますので、業務効果の最大化を図るダイバーシティのメリッ トが活かせません。組織全体で取り組むことが非常に重要なのです。

 

  • 意見を否定しない

ダイバーシティマネジメントにおいては、人材は十人十色です。冒頭で前提として記述したように、マネジメントの目的は業務効果の最大化です。ダイバーシティ による考え方などの相違は否定されるべきことではありません。さまざまな意見を受け入れ、業務効果を最大化するために何を選ぶかが重要です。正しい/間違って いるという観点で意見を聞くのではなく、業務効果の最大化のために意見を取捨選択することが重要です。

 

  • ゴールを共通にする

属性以外にも、例えばパートタイマーやアルバイトなどの雇用形態の違い、労働環境の違いなど、人によってさまざまな相違点があるはずです。そういったライフスタイルの多様性も、各々のメリットを活かす方向で受け入れる体制を整えるといいでしょう。

 

  • 組織風土にダイバーシティを組み込む

先述した、日本IBMのようなダイバーシティ関連施策を人事制度や評価項目として組み込むと、ダイバーシティマネジメントがより深く浸透していきます。一般的なダイバーシティマネジメントの手法を採り入れつつ、各組織に適合した制度・評価項目を構築するといいでしょう。

 

  • 衝突を防ぐ仕組みを作る

個々人で考え方は異なるので衝突することもあると思いますが、日々のコミュニケーションの取り方を工夫することで、各人の考えを尊重することができます。

 

ダイバーシティマネジメントの目的は、「ダイバーシティを活用して、企業価値を最大化する」ことです。

人材を画一化して扱いやすくするという手法は、日本企業がこれまで得意としてきたやり方ですが、IT技術の発展やグローバル化による価値観の多様化は避けら れないことであり、本来多種多様な人材を画一的にマネジメントするというのは不可能な話です。BtoBにしろBtoCにしろ、ユーザーや消費者が多様化す る中、自社だけ画一化を続けることは、サービス提供者としてユーザー層と乖離が大きくなっていく原因になってしまいます。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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