フリーランスの確定申告はいくらから必要?会社員や副業の基準も解説
作成日:2026/01/11
フリーランスや個人事業主は、所得額に応じて自身で税金を申告する確定申告が必要ですが、「いくらから必要なの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
実際に申告義務が生じる基準は立場によって異なり、どの金額を参考にすればよいか分かりにくいのが実情です。
確定申告が必要であるにもかかわらず手続きを怠ると、意図せずペナルティを課される事態にもなりかねません。
この記事では、確定申告が必要になる所得の基準額を、それぞれの働き方に応じて分かりやすく解説します。
目次
■確定申告はいくらから必要?金額の基準
(1)フリーランスや個人事業主の場合
(2)給与所得者(会社員やアルバイト・パートなど)の場合
(3)配当金・FX・仮想通貨の利益がある場合
(4)個人年金を受給している場合
■確定申告が必要な人とはどんな人?
(1)フリーランスや個人事業主
(2)その年の給与所得が2,000万円を超える人
(3)副業の所得が年間20万円を超える給与所得者
(4)公的年金を受給している人
(5)株取引で利益がある人
(6)不動産所得・譲渡所得がある人
■フリーランスが確定申告をするメリット
(1)様々な控除を受けられる
(2)青色申告のメリットを受けられる
(3)源泉徴収されていると還付金を受け取れる場合がある
(4)収入や所得の証明になる
■フリーランスの確定申告の手順
(1)日常的に帳簿を付ける
(2)確定申告に必要な書類を集める
(3)青色申告決算書か収支内訳書を作成する
(4)確定申告書を作成する
(5)確定申告書類を税務署に提出する
(6)納税する、もしくは還付を受ける
■給与所得者の確定申告の手順
(1)必要書類をもとに確定申告書を作成する
(2)作成した書類を税務署に提出する
(3)納税する、もしくは還付を受ける
■フリーランスの確定申告に関連するよくある質問
(1)収入がない場合、確定申告は必要?
(2)フリーランスは源泉徴収される?
(3)フリーランスの確定申告に役立つ会計ソフトとは?
確定申告はいくらから必要?金額の基準

フリーランスや個人事業主は、原則として「所得(収入−経費)」が一定額を超えると確定申告が必要です。
ただし、申告の要否は「働き方」だけでなく、収入の種類(給与/報酬/投資など)や、控除の状況によっても変わります。
そこでここでは、ケース別にいくらから確定申告が必要かを具体的に見ていきましょう。
(1)フリーランスや個人事業主の場合
フリーランスや個人事業主の場合、所得税の確定申告が必要かどうかは、年間の合計所得金額を基準に判断します。
目安として、2025年分以降は年間の合計所得金額が95万円を超えると、確定申告が必要になるケースが一般的です。
所得税の計算では、すべての人が受けられる「基礎控除」という所得控除があり、2025年分以降だと、合計所得金額が132万円以下であれば基礎控除額は95万円です。
年間の所得が95万円以下であれば、基礎控除を差し引いた課税所得が0円となり、原則として所得税は発生しません。
例えば、年間の売上が200万円で、事業にかかった経費が50万円の場合、所得は経費を差し引いた150万円となります。基礎控除額の95万円を超えるため、所得税が発生して確定申告が必要です。
参考:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
(2)給与所得者(会社員やアルバイト・パートなど)の場合
会社員やアルバイトなど、勤務先で年末調整を受けている給与所得者の場合、副業による「給与以外の所得」が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
通常、給与所得者は勤務先が年末調整を行うことで、所得税の納税が完了します。しかし、副業で得た事業所得や雑所得(業務委託による報酬など)は年末調整の対象外です。
これらの所得が年間20万円を超える場合は、本業の給与と合算して個人で確定申告を行い、税額を確定させる必要があります。
例えば、本業の給与とは別に、Webデザインの副業で年間30万円の所得を得たとしましょう。この場合、所得が20万円の基準を超えるため確定申告が必要です。
(3)配当金・FX・仮想通貨の利益がある場合
株式の配当金やFX、仮想通貨などの金融商品で得た利益については、所得の種類や取引形態によって、確定申告が必要かどうかの判断基準が異なります。
まず、株式の配当金や売却益については、利用している証券口座の種類が申告要否に影響します。
源泉徴収ありの特定口座で取引している場合は、利益が出た時点で税金が自動的に差し引かれるため、原則として確定申告は不要です。
一方、源泉徴収なしの特定口座や一般口座の場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
FXや仮想通貨の利益は、原則として「雑所得」に分類され、証券口座の区分はありません。勤務先で年末調整を受けている会社員の場合、FX・仮想通貨による年間の所得が20万円を超えると確定申告が必要です。
(4)個人年金を受給している場合
年金は、税制上「雑所得(公的年金等)」として扱われ、受給している方は確定申告の対象です。
ただし、受給者の負担を軽減するため、次の2つの条件をいずれも満たす場合は「確定申告不要制度」が適用されます。この場合、確定申告を行う必要はありません。
- 1. 1年間の公的年金等の収入金額が400万円以下
- 2. 1年間の公的年金等以外の所得金額が20万円以下
例えば、公的年金の収入が300万円のみで他に所得がない場合は、確定申告は不要です。
一方、公的年金の収入が300万円あり、さらに個人年金やパート収入などによる所得が25万円ある場合、年金以外の所得が20万円を超えるため確定申告が必要です。
確定申告が必要な人とはどんな人?

確定申告は、フリーランスや個人事業主だけが行うものではありません。一定の条件に当てはまる会社員や、年金を受給している方なども、所得の状況によっては確定申告が必要です。
次からは、どのような人が確定申告の対象になるのかを、詳しく解説します。自身の状況がどれに当てはまるのかを確認しながら読み進めてみてください。
(1)フリーランスや個人事業主
フリーランスや個人事業主は、年間の合計所得金額を基準に、所得税の確定申告が必要かどうかを判断します。
前述の通り、2025年分以降は年間の所得が95万円を超えるかどうかが判断基準の一つです。
所得は「事業所得」として扱われ、1年間の総売上から必要経費を差し引いて計算します。算出した所得が基準額を超える場合には、所得税が発生し、確定申告が必要です。
(2)その年の給与所得が2,000万円を超える人
会社員やアルバイトなどの給与所得者であっても、1年間の給与収入が2,000万円を超える場合は、確定申告が必要です。
通常、給与所得者は勤務先で年末調整が行われることで、所得税の納税が完了します。しかし、給与収入が2,000万円を超える人は年末調整の対象外とされており、勤務先が税額の精算を行いません。
そのため、給与の支払先が1社のみであっても、源泉徴収された税額と本来納めるべき税額を精算するために、個人で確定申告を行う必要があります。
(3)副業の所得が年間20万円を超える給与所得者
勤務先で年末調整を受けていても、副業の所得が年間20万円を超える給与所得者は確定申告が必要です。年末調整は本業の給与所得のみを対象としており、副業で得た所得は含まれません。
そのため、副業の内容や所得額によっては、本業の給与と合算して個人で確定申告を行い、所得税額を確定させる必要があります。
なお、副業の種類(アルバイト・業務委託など)によって、所得の計算方法や申告の判断基準が異なります。ここで、副業の形態別に確定申告が必要となる人を確認しましょう。
副業がアルバイト・パートで「給与」を受け取っている
副業がアルバイトやパートなどの「給与所得」に該当する場合、主たる勤務先以外から受け取った給与収入の合計が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
給与所得者の年末調整は、原則として1か所の勤務先(主たる給与)についてのみ行われます。副業として別の勤務先から給与を受け取っている場合、その分は年末調整に含まれません。
例えば、本業の会社とは別に、週末のアルバイトで年間30万円の給与収入を得ている場合、20万円の基準を超えるため、確定申告が必要となります。
副業先が複数ある場合は、それぞれの給与収入を合算した金額で判断します。
副業がアルバイト・パート以外で報酬を受け取っている
副業が業務委託や請負などで報酬を受け取っている場合、その収入は「事業所得」または「雑所得」に分類されます。この場合、収入から必要経費を差し引いた「所得」が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。
例えば、副業の報酬が年間25万円で、その仕事のために通信費や消耗品費などの経費が6万円かかった場合、所得は19万円(25万円−6万円)。20万円以下のため、確定申告は不要です。
一方、経費が3万円だった場合、所得は22万円となり、20万円を超えるため確定申告が必要になります。
アルバイト・パートとそれ以外の両方で副業している
副業としてアルバイト・パートによる給与収入と、業務委託などによる報酬収入の両方がある場合は、それぞれの金額を合算して確定申告の要否を判断します。
アルバイト・パートによる給与収入と、報酬から必要経費を差し引いた所得を合計し、合計額が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
例えば、副業のアルバイトで年間15万円の給与収入があり、同時に業務委託で8万円の所得(収入から経費を差し引いた金額)がある場合、合計は23万円となります。
(4)公的年金を受給している人
公的年金を受給している方は、所得税の仕組み上は原則として確定申告の対象です。
ただし、1年間の公的年金等の収入が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得が20万円以下の両方を満たす場合、確定申告は不要です。
(5)株取引で利益がある人
株取引によって配当金や売却益を得た場合、「特定口座(源泉徴収あり)」で取引している方は、利益が出た時点で税金が自動的に差し引かれるため、原則として確定申告は不要です。
一方、「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」で取引している方は、年末調整の対象外となるため、原則として確定申告しなければなりません。
(6)不動産所得・譲渡所得がある人
不動産を貸して家賃収入を得ている場合は不動産所得、資産を売却して利益を得た場合は譲渡所得に該当し、原則として確定申告が必要です。
譲渡所得には、土地や建物などの不動産の売却益の他、株式などの資産の売却益も含まれます。
次からは、不動産を貸している場合(不動産所得)と、資産を売却した場合(譲渡所得)に分けて、確定申告が必要となる人を解説します。
不動産所得の場合
不動産を貸して家賃収入などを得ている場合、その収入は「不動産所得」に分類され、原則として確定申告が必要です。
不動産所得は、1年間の家賃収入などの総収入金額から、その不動産を維持・管理するためにかかった必要経費を差し引いて計算します。
必要経費には、固定資産税・修繕費・管理費・損害保険料・減価償却費などが含まれます。
例えば、年間の家賃収入が120万円で、固定資産税や修繕費などの経費が40万円かかった場合、不動産所得は80万円です。この金額を不動産所得として確定申告を行います。
譲渡所得の場合
土地や建物などの不動産を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」に分類され、原則として確定申告が必要です。
譲渡所得は、不動産の売却価格から、購入時の代金や購入にかかった費用(取得費)、売却時の仲介手数料などの費用(譲渡費用)を差し引いて計算します。
例えば、5,000万円で売却した不動産について、取得費が4,000万円、譲渡費用が200万円だった場合、譲渡所得は800万円です。
資産を売却した際は、売却価格だけでなく取得費や譲渡費用を証明する書類を保管し、正しく譲渡所得を計算することが重要です。
フリーランスで確定申告が不要な人もいる

フリーランスは基本的に確定申告が前提となりますが、年間の所得が一定額以下の場合など、所得税の確定申告が不要となるケースもあります。
所得税は課税所得に対して発生するため、収入から必要経費や各種控除を差し引いた結果、課税所得が0円以下であれば、所得税は発生せず、申告義務も生じません。
例えば、2025年分以降、年間の所得が基礎控除額である95万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要です。
ただし、取引先から報酬を受け取る際に源泉徴収されている場合は、確定申告を行うことで、払いすぎた税金が還付される可能性があります。
申告義務がない場合でも、申告した方が有利になるケースは少なくないため、自身の状況に応じて確定申告を検討するとよいでしょう。
フリーランスが確定申告をするメリット

フリーランスにとって確定申告は、単に納税義務を果たすためだけの手続きではありません。
申告を行うことで、税金の還付を受けられたり、各種控除や制度を活用できたりと、金銭面・実務面の両方でメリットがあります。
次からは、フリーランスが確定申告を行うことで得られる具体的なメリットについて、項目ごとに詳しく見ていきましょう。
(1)様々な控除を受けられる
確定申告を行うことで、様々な所得控除や税額控除を適用できるようになります。
控除を適用すれば課税される所得や税額が減り、結果として支払う税金の負担を軽減できる可能性があります。
確定申告をしなければ受けられない控除も多いため、手続きを忘れないようにするためにも事前に把握しておきましょう。
例えば、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)、住宅ローン控除の初年度などは、原則として確定申告が必要です。ここで、フリーランスが利用しやすい代表的な控除について、具体的に解説します。
例1:医療費控除
医療費控除は、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。納税者本人だけでなく、生計を同一にする配偶者や親族のために支払った医療費も対象となります。
控除額は、実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補填された金額を差し引き、さらに10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)を引いて計算します。
医療費控除は年末調整では適用できません。控除を受けるには確定申告が必要です。
例えば、1年間に支払った医療費が15万円で、保険金などで補填された金額が3万円だった場合、
15万円 − 3万円 − 10万円 = 2万円
となり、この2万円が医療費控除の対象額となります。
参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
例2:寄附金控除
寄附金控除は、国や地方公共団体、特定の法人などに寄付を行った場合に適用される所得控除です。公益性の高い活動への資金提供を税制面から支援するための制度であり、ふるさと納税も寄付金控除の一種です。
控除額は、1年間に支払った寄附金の合計額から2,000円を差し引いた金額が基本となります。原則として、この控除を受けるためには確定申告が必要です。
ふるさと納税の場合、給与所得者で、寄附先が5自治体以内の場合に「ワンストップ特例制度」を利用すれば、確定申告をせずに控除を受けることができます。
一方で、6自治体以上に寄付した場合や、フリーランスの方・医療費控除など他の理由で確定申告をする方は、寄付金やふるさと納税分も合わせて申告しなければなりません。
参考:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
例3:住宅ローン控除
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・購入・増改築した場合に受けられる税額控除です。
年末時点の住宅ローン残高に応じて、所得税から一定額が直接差し引かれます。
例えば、年末時点の住宅ローン残高が3,000万円の場合、その0.7%にあたる21万円が、その年の所得税額から控除されます。
このように、住宅ローン控除は控除額が大きくなりやすいため、適用できるかどうかで税負担に大きな差が出ます。
住宅ローン控除を受けるには、住宅を取得した初年度に必ず確定申告を行う必要があります。これは、住宅の取得内容やローン契約の状況を税務署が確認する必要があるためです。
2年目以降は、給与所得者であれば勤務先の年末調整で手続きが可能になりますが、フリーランスの場合は引き続き確定申告で控除を受けます。
参考:国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ」
(2)青色申告のメリットを受けられる
フリーランスや個人事業主が確定申告を行う際、「青色申告」を選択することで、税制上の様々なメリットを受けることができます。
青色申告は、正確な帳簿付けを行うことを条件に、節税効果の高い特典が用意されている申告方法です。代表的なメリットは、最大65万円(または55万円)の青色申告特別控除です。
この控除を受けることで課税所得を大きく減らせて、結果として支払う税金の負担を軽減できます。
その他にも、家族への給与を必要経費にできる「青色事業専従者給与」や、事業で生じた赤字を翌年以降に繰り越せる「純損失の繰越控除」など、白色申告にはない制度を利用できます。
これらのメリットを活用するためには、青色申告で確定申告を行うことが前提です。
(3)源泉徴収されていると還付金を受け取れる場合がある
フリーランスが取引先から受け取る報酬の中には、支払時に所得税が源泉徴収されているものがあります。源泉徴収とは、あくまで概算で税金を前払いしている状態です。
確定申告を行い、1年間の所得や必要経費・各種控除を反映して税額を計算した結果、源泉徴収された税額の方が多かった場合は、差額が還付金として戻ってきます。
年間の所得が少ない場合や、医療費控除・青色申告特別控除などを適用できる場合は、申告義務がなくても還付を受けられるケースがあります。
報酬から源泉徴収されている場合は、所得額にかかわらず、確定申告(還付申告)を検討するとよいでしょう。
(4)収入や所得の証明になる
確定申告を行うことで作成される「確定申告書の控え」は、フリーランスにとって公的な収入証明書として機能します。
会社員と異なり、フリーランスには源泉徴収票のような勤務先が発行する収入証明がありません。
そのため、自身の所得を客観的に証明する手段として、税務署の受付印がある確定申告書の控えが社会的に広く認められています。
例えば、次のような生活の様々な場面で収入証明の提出が求められますが、フリーランスは確定申告書の控えで対応できます。
- ・賃貸物件の入居審査
- ・住宅ローンの申し込み
- ・クレジットカードの作成
- ・子供の保育園の入園手続き
- ・各種補助金の申請 など
このように、確定申告は税金のためだけの手続きではなく、フリーランスとして生活や事業を円滑に進めるための基盤となるものでもあるのです。
確定申告不要でも住民税の申告をしよう

確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になるケースがあります。これは、所得税と住民税が別の税金であり、申告の仕組みも異なるためです。
所得税の確定申告を行った場合、その内容は市区町村に共有されるため、原則として住民税の申告は不要です。
しかし、確定申告を行わない場合、市区町村は個人の所得状況を把握できず、住民税を正しく計算できません。
例えば、フリーランスで所得が基礎控除額以下の場合や、会社員の副業所得が20万円以下で確定申告をしない場合でも、所得があるのであれば、住民税の申告が必要となることがあります。
所得税の確定申告が不要と判断した場合でも、住民税の申告が必要かどうかをお住まいの市区町村の案内などで確認することが重要です。
確定申告をしなかったらペナルティが発生する

確定申告の義務があるにもかかわらず、期限内に申告をしなかった場合、ペナルティとして追加の税金が課される可能性があります。
申告が遅れた場合には「無申告加算税」が、本来納めるべき税金の支払いが遅れた場合には「延滞税」が発生します。
また、意図的に所得を隠したり、虚偽の申告を行ったと判断された場合には、より重い「重加算税」が課されることもあります。
これらのペナルティは、悪意がなく「知らなかった」「うっかり忘れていた」場合でも、原則として免除されません。
そのため、確定申告が必要かどうか迷う場合でも、早めに確認し、期限内に手続きを行いましょう。
参考:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
フリーランスの確定申告の手順

フリーランスの確定申告は、日々の帳簿付けから始まり、書類の作成、提出、納税(または還付)まで、いくつかの手順に沿って進める必要があります。
確定申告の期間は限られているため、直前になって慌てないよう、全体の流れを把握し、計画的に準備を進めましょう。
また、青色申告で最大65万円の特別控除を受けるには、複式簿記での記帳やe-Taxによる電子申告など、事前に満たすべき条件があります。
次からは、フリーランスが確定申告を行う際の具体的な手順を、ステップごとに解説します。
(1)日常的に帳簿を付ける
フリーランスが確定申告をスムーズに進めるには、申告時期だけ頑張るのではなく、普段から売上と経費を記録しておくことが大切です。
確定申告書類は1年分の取引記録をもとに作成しますが、直前にまとめようとすると入力漏れや金額の間違いが起きやすくなります。
帳簿付けといっても、最初から難しく考える必要はありません。
まずは「いつ・誰から(誰に)・いくら・何の取引か」「経費なら何に使ったか」が分かるように、請求書やレシートとセットで記録していきましょう。
会計ソフトに入力する方法のほか、表計算ソフトで簡単にまとめるだけでも、申告直前の作業量を大きく減らせます。
こまめに記録しておけば、確定申告がラクになるだけでなく、売上や支出の傾向を把握しやすくなり、日々の事業判断にも役立ちます。無理のない範囲でこまめに行いましょう。
(2)確定申告に必要な書類を集める
確定申告を行うためには、帳簿の内容を裏付ける各種書類をそろえておく必要があります。これらの書類は、売上や経費、各種控除の内容を正しく申告するための根拠となるものです。
事業に関する書類としては、請求書や支払調書、経費の領収書やレシートなどがあります。
控除を受ける場合には、国民年金や国民健康保険の支払額が分かる書類・生命保険料控除証明書・医療費の明細なども必要です。
申告時期になってからまとめて探そうとすると、書類が見つからなかったり、内容を思い出せなかったりすることも少なくありません。
日頃から「申告で使う書類」として一か所にまとめて保管しておくことで、確定申告の作業をスムーズに進められます。
例えば、封筒やファイルをひとつ用意し、「確定申告用」と決めて書類を放り込むだけでも後の負担が軽減するでしょう。
(3)青色申告決算書か収支内訳書を作成する
確定申告書を作成する前に、1年間の事業の収支をまとめた書類を作成します。青色申告をしている場合は「青色申告決算書」、白色申告の場合は「収支内訳書」を用意しましょう。
これらの書類は、年間の売上や経費を整理し、最終的な事業所得の金額を確定させるものです。
確定申告書には、この書類で計算した所得金額を転記するため、申告手続き上、先に作成する必要があります。
青色申告決算書や収支内訳書では、月別の売上や経費の内訳、減価償却費などを記入します。日々の帳簿付けができていれば、その内容を集計する形になるため、作業自体はそれほど難しくありません。
会計ソフトを利用している場合は、日々入力したデータをもとに自動で書類を作成できることが多いため、手作業の負担を大きく減らせます。
(4)確定申告書を作成する
青色申告決算書や収支内訳書が完成したら、それらの内容をもとに確定申告書を作成します。
確定申告書は、事業所得や副業収入、各種控除を反映し、最終的な所得税額を確定させるための中心となる書類です。
確定申告書には、決算書などで算出した事業所得の金額に加え、社会保険料控除や生命保険料控除など、該当する所得控除を記載していきます。
これらを反映することで、実際に納める税額、もしくは還付される金額が計算されます。
申告書の作成には、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで税額の自動計算が可能です。
会計ソフトを利用している場合は、決算書の内容を連携させて申告書まで一括で作成できることが多く、入力の手間を減らせます。
(5)確定申告書類を税務署に提出する
作成したすべての確定申告書類は、定められた申告期間内に管轄の税務署へ提出します。
提出方法には、次の3つがあります。
- ・税務署の窓口へ直接持参する
- ・郵送で送付する
- ・e-Taxを利用してオンラインで電子申告する
e-Taxでの提出は、インターネットの環境さえあれば、自宅から24時間いつでも申告できる点がメリットです。
また、青色申告で最大65万円の特別控除を受けるためには、e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存を行うことが要件となっています。
郵送で提出する場合は、通信日付印が提出日とみなされるため、期限に余裕をもって送付することが重要です。
申告期限(原則として毎年2月16日から3月15日まで)を過ぎてしまうとペナルティが課される可能性があるため、期限を厳守しましょう。
(6)納税する、もしくは還付を受ける
確定申告書類を税務署に提出し、納税額または還付額が確定したら、期限内に納税手続きを行う、もしくは還付金を受け取ります。
確定申告は、申告書を提出するだけでなく、税金の納付や還付まで完了してはじめて手続きが終わる点に注意が必要です。
納税が必要な場合は、口座振替やクレジットカード納付・コンビニ納付・e-Taxを利用したオンラインでの電子申告など、複数の方法から選択できます。
自分の生活スタイルや資金管理に合った方法を選ぶとよいでしょう。
一方、源泉徴収などにより税金を払いすぎていた場合は、還付金が発生します。
確定申告書に金融機関の口座情報を記載しておけば、申告書の提出後、数週間から1か月半ほどで指定口座に振り込まれます。e-Taxで申告した場合は、還付までの期間が比較的短くなる傾向です。
☆あわせて読みたい
『フリーランス・個人事業主の確定申告のやり方は?経費になるものの例も紹介』
給与所得者の確定申告の手順

給与所得者が確定申告をする際も、フリーランスと同じように必要書類を集めてから確定申告書を作成していきます。
年末調整だけでは反映できない控除や副業収入があるときは、内容に応じた書類が追加で必要です。ここで、給与所得者が確定申告を進める手順を確認していきましょう。
(1)必要書類をもとに確定申告書を作成する
給与所得者が確定申告書を作成する際は、勤務先から発行される源泉徴収票が必須です。
確定申告書には、源泉徴収票に記載されている給与収入や源泉徴収税額などの内容を転記するため、事前に手元に準備しておきましょう。
また、副業として業務委託で収入を得ている場合や、事業所得がある場合は、売上や必要経費が分かる書類もあわせて用意する必要があります。
さらに、医療費控除や住宅ローン控除を初めて申告する場合は、医療費の明細書や住宅ローンの残高証明書など、控除内容に応じた書類の提出が求められます。
必要書類がすべてそろったら、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用して、画面の案内に沿って確定申告書を作成しましょう。
(2)作成した書類を税務署に提出する
給与所得者が作成した確定申告書類一式は、期限内に管轄の税務署へ提出する必要があります。
提出方法は、税務署の窓口へ直接持参する・郵送で送付する・e-Taxを利用してオンラインで電子申告するという3つです。
申告期限は、原則として毎年2月16日から3月15日まで。期限を過ぎてしまうと期限後申告となり、無申告加算税などのペナルティが課される可能性があるため、必ず期限内に提出を完了させましょう。
なお、給与所得者で医療費控除や住宅ローン控除の初年度申告などを行う場合も、提出方法や期限は同じです。
郵送で提出する際は、通信日付印が提出日とみなされるため、余裕をもって送付しましょう。
(3)納税する、もしくは還付を受ける
確定申告書類を税務署に提出したあとは、フリーランスの場合と同様に、納税が必要な場合は期限内に納付を行い、税金を払いすぎている場合は還付金を受け取ります。
源泉徴収などにより税金を払いすぎていた場合は、申告後、確定申告書に記載した金融機関口座へ数週間から1か月半ほどで還付金が振り込まれます。
フリーランスの確定申告に関連するよくある質問

確定申告の基本や流れを理解しても、「自分の場合はどうなるの?」と迷う場面は少なくありません。
特にフリーランスの場合、収入が少ない年の扱いや、申告を忘れた場合の影響、報酬から天引きされる税金の仕組みなど、不安や疑問を感じやすいポイントがあります。
こうした疑問をそのままにしていると、申告漏れや思わぬトラブルにつながる可能性もあるでしょう。
そこでここでは、フリーランスの確定申告について特に多く寄せられる質問を取り上げ、それぞれ分かりやすく解説します。
(1)収入がない場合、確定申告は必要?
その年に収入がない、または経費を差し引いた所得が基礎控除額以下の場合、原則として所得税の確定申告は不要です。課税対象となる所得が0円であれば、所得税が発生しないためです。
ただし、フリーランスの場合は注意が必要で、報酬を受け取る際に源泉徴収されている場合、実際には納める必要のない税金をすでに支払っているケースがあります。
この場合、確定申告(還付申告)を行うことで、納めすぎた税金が戻ってくるかもしれません。
所得が少ない年や実質的な利益が出ていない年であっても、源泉徴収がされている場合は、確定申告をした方が有利になることがあります。
(2)フリーランスは源泉徴収される?
フリーランスの報酬は、仕事の内容によって源泉徴収される場合があります。
原稿料やデザイン料、講演料などは法律で源泉徴収の対象と定められており、報酬を支払う側(取引先)が、あらかじめ所得税を差し引いて国に納付します。
参考:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
一方で、すべてのフリーランスの報酬が源泉徴収されるわけではありません。業務内容や契約形態によっては、源泉徴収されず、報酬がそのまま支払われるケースもあります。
源泉徴収されているかどうかは、契約書や報酬明細、支払調書などで確認できます。
☆あわせて読みたい
『【フリーランス必見】源泉徴収とは?計算方法や対象となる報酬を紹介』
(3)フリーランスの確定申告に役立つ会計ソフトとは?
フリーランスの確定申告を効率化するには、会計ソフトの導入が効果的です。会計ソフトを使えば、日々の取引記録(記帳)から申告書類の作成までを一連の流れで進めやすくなります。
簿記の知識が不安な場合は、画面の案内に沿って入力できるタイプや、自動仕訳機能があるものを選ぶと負担を減らせるでしょう。
申告書類の作成やe-Taxでの申告に対応しているサービスもあり、オンラインで申告まで完結させやすい点もメリットです。
例えば「freee会計」や「弥生(やよいの青色申告 オンライン等)」は、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込める機能があり、手入力の手間を削減できます。
まとめ

フリーランスや副業を行う人にとって、確定申告が必要になる所得の基準を正しく理解しておくことは非常に重要です。
働き方によって判断基準は異なり、フリーランスは年間の所得が95万円を超える場合、会社員の副業では所得が20万円を超える場合が、確定申告が必要かどうかの目安となります。
これらの基準を知らないまま放置してしまうと、意図せず申告漏れとなり、ペナルティを課されるリスクがあります。
まずは、自身の収入や経費を整理し、確定申告が必要かどうかを確認することから始めましょう。
必要に応じて会計ソフトなども活用しながら正しく申告を行うことが、フリーランスとして安心して活動を続けるための土台となります。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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