【フリーランス必見】源泉徴収とは?計算方法や対象となる報酬を紹介

作成日:2025/05/27
フリーランスとして活動する中で、税金に関する手続きは避けて通れません。その中でも、特に耳にすることが多いのが「源泉徴収」です。
しかし、初めて耳にした際には、その仕組みや計算方法がわかりにくく、請求書の書き方や自身の報酬が対象になるのかといった疑問を抱く方も少なくありません。
源泉徴収とは、所得税を報酬を支払う側があらかじめ差し引いて国に納める制度のことです。
本記事では、フリーランスが知っておくべき源泉徴収の基本から、対象となる報酬や計算方法、請求書作成時のポイントまでをわかりやすく解説します。
目次
■源泉徴収とは?仕組みをフリーランス向けに解説
(1)源泉徴収税
(2)源泉徴収票
■フリーランスの報酬で源泉徴収されるものとされないもの
(1)報酬別にわかる源泉徴収の範囲
(2)法人契約ならどうなる?フリーランスが知るべき違い
■報酬からいくら引かれる?源泉徴収税額の算出方法
(1)1回の支払額が100万円以下の場合
(2)1回の支払額が100万円を超える場合
(3)消費税が絡むときの注意点!フリーランスのチェック項目
■確定申告で損しない!フリーランスの源泉徴収対策
(1)確定申告の重要性と源泉徴収金額の管理
(2)還付金を受け取るコツ!確定申告の流れを押さえよう
(3)復興特別所得税って何?忘れがちなポイントを確認
(4)請求書に源泉徴収税額を明記!トラブル回避の方法
■源泉徴収票を確定申告で活用するには?
(1)支払い元に源泉徴収票を依頼する方法
(2)源泉徴収票がない場合の確定申告対応
源泉徴収とは?仕組みをフリーランス向けに解説
源泉徴収とは、特定の所得を支払う際に、支払う側が所得税を差し引き、国に納める仕組みです。フリーランスの場合、報酬を受け取る際にクライアントが源泉徴収を行うケースがあります。
差し引かれた税金は確定申告時に精算され、払いすぎた分は還付される仕組みになっています。この制度を理解し、適切に対応することが重要です。
源泉徴収税
源泉徴収税とは、所得税の一種です。特定の所得が支払われる際に、その所得からあらかじめ差し引かれます。「源泉所得税」とも呼ばれますが、どちらも同じ意味で使われる用語です。
主に給与所得や、フリーランスが受け取る特定の報酬などが、源泉徴収の対象となります。報酬を支払う側が所得税額を計算し、報酬から差し引いて国に納付するため、報酬を受け取る側は差し引かれた金額を受け取ることになります。
源泉徴収票
源泉徴収票とは、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払われた給与や報酬の総額、そこから源泉徴収された所得税額などが記載された書類です。
会社員は年末調整後に勤務先から受け取れますが、フリーランスに対しては、原則として源泉徴収票の発行義務はありません。
ただし、確定申告を行う際には、1年間に源泉徴収された所得税額を正確に把握する必要があります。
そのため、支払い元に支払調書の発行を依頼するか、毎月の請求書や支払い明細で自身で管理することが重要です。
源泉徴収票や支払調書に関する詳しい内容や記載事項については、国税庁の公式ホームページを参考にしてください。国税庁のサイトでは、源泉徴収に関する詳細な説明や、正確な確定申告の手続き方法が案内されています。
フリーランスの場合、源泉徴収票や支払調書を適切に管理することで、確定申告がスムーズに進むだけでなく、税務上のトラブルを回避できるでしょう。
フリーランスの報酬で源泉徴収されるものとされないもの
フリーランスが受け取る報酬には、源泉徴収の対象となるものと、そうでないものがあります。これは報酬の種類や契約形態によって異なります。
個人事業主として業務委託契約を結んで仕事を行う場合、自分が提供するサービスや成果物に対する報酬が源泉徴収の対象になるかどうかの確認が必要です。すべての業務委託契約で発生する報酬が源泉徴収されるわけではありません。
報酬別にわかる源泉徴収の範囲
フリーランスが受け取る報酬で源泉徴収の対象となる範囲は、所得税法によって定められています。主にデザイン料、原稿料、講演料、特定の資格を持つ人への報酬などが該当します。
例えば、Webデザイナーのデザイン業務や、イラストレーターのイラスト制作料は源泉徴収の対象となる場合があります。
カメラマンの撮影料や、エンジニアがプログラム開発を行う業務、コンサルタントのコンサルティング料については、個別の契約内容や業務範囲によって、源泉徴収の対象となるかどうかが異なります。
Webサイト制作のように、デザインと開発が一体となった業務の場合、デザイン部分のみが源泉徴収の対象となる可能性があります。クライアントとの契約時に報酬の内訳や源泉徴収の有無について明確に確認することが重要です。
法人契約ならどうなる?フリーランスが知るべき違い
フリーランスとして活動していても、業務委託契約の相手が個人の場合と法人の場合で、源泉徴収の扱いが異なります。
報酬の支払いを受けるのが個人の場合は、特定の報酬に対して源泉徴収が必要となることがありますが、支払いを受ける側が法人の場合は、原則として源泉徴収の必要はありません。
したがって、あなたが法人としてクライアントと契約している場合、その報酬に対して源泉徴収されることは基本的にありません。ただし、法人として従業員を雇っている場合などは、あなたが源泉徴収を行う義務を負う場合があります。
報酬からいくら引かれる?源泉徴収税額の算出方法
フリーランスの報酬にかかる源泉徴収税額は、報酬額によって計算方法が異なります。正確な計算方法のやり方を理解するのは、受け取る報酬額や確定申告での納税額を把握するために重要です。
源泉徴収税額を計算する際の税率は、報酬の支払額に応じて2つの区分に分けられます。
1回の支払額が100万円以下の場合
1回の報酬の支払額が100万円以下の場合、源泉徴収税額は以下の計算式で算出されます。
源泉徴収税額=支払金額×10.21%
この税率10.21%には、所得税10%と復興特別所得税2.1%(所得税額に対して)が含まれています。例えば、報酬が10万円の場合、源泉徴収税額は10万円×10.21%=10,210円となります。
1回の支払額が100万円を超える場合
1回の報酬の支払額が100万円を超える場合、源泉徴収税額の計算方法は以下のようになります。
源泉徴収税額=(支払金額-100万円)×20.42%+102,100円
この計算式では、100万円以下の部分に対しては10.21%の税率が適用された102,100円(100万円×10.21%)が計算に含まれており、100万円を超えた部分に対して20.42%の税率が適用されます。
税率20.42%は、所得税20%と復興特別所得税2.1%(所得税額に対して)を合計したものです。
例えば、報酬が150万円の場合、源泉徴収税額は(150万円-100万円)×20.42%+102,100円=50万円×20.42%+102,100円=102,100円+102,100円=204,200円となります。
消費税が絡むときの注意点!フリーランスのチェック項目
報酬に消費税が含まれている場合、源泉徴収税額を計算する際に注意が必要です。原則として、報酬と消費税が明確に区分されていない場合は、消費税を含めた総額に対して源泉徴収税率をかけて計算します。
しかし、請求書などで報酬と消費税額が明確に区分されている場合は、消費税を含めない報酬額のみを源泉徴収の対象とすることができます。
インボイス制度の開始により、適格請求書では消費税額の記載が必須となりますので、消費税を含めずに源泉徴収を行うためには、請求書で報酬と消費税額を明確に分けて記載するようにしましょう。
これにより、正確な源泉徴収税額が計算され、後々の税務処理がスムーズになります。
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確定申告で損しない!フリーランスの源泉徴収対策
フリーランスにとって確定申告は、1年間の所得を正確に整理し、所得税を計算・精算する重要な手続きです。
報酬から源泉徴収されている場合、確定申告を通じて納め過ぎた税金を還付される可能性があります。ここでは、確定申告を適切に行うためのポイントを整理しました。
確定申告の重要性と源泉徴収金額の管理
フリーランスとして働く場合、源泉徴収金額の管理は収支を適切に把握するための基本です。
確定申告では、1年間に源泉徴収された金額や予定納税額を精算します。源泉徴収税額を記録・把握していないと、正確な申告ができず、還付金を受け取るチャンスを逃す可能性があります。
そのため、以下のポイントに気をつけましょう。
- ・報酬を受け取るたびに源泉徴収税額を記録する。
- ・請求書や支払調書を保管し、必要な書類を準備する。
また、青色申告を活用すると、節税効果が期待できます。青色申告特別控除を利用すれば最大65万円の控除を受けられますが、正確な帳簿の作成と電子申告が必要です。
還付金を受け取るコツ!確定申告の流れを押さえよう
確定申告では、1年間の収入から必要経費や控除を差し引き、課税所得を計算します。その後、所得税額を算出し、すでに支払った源泉徴収額や予定納税額との差額を精算します。確定申告の流れは以下の通りです。
- 1. 必要書類(収入記録、領収書、支払調書など)を準備する。
- 2. 所得を正確に計算し、課税対象額を確定する。
- 3. 還付金が発生する場合は、期限内に申請する。
還付申請は翌年1月1日から5年間受け付けられますが、早期に提出すると早く還付金を受け取れます。
復興特別所得税って何?忘れがちなポイントを確認
復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源を確保するために創設された税金です。2013年1月1日から2037年12月31日までの間に生じる所得に対して課され、所得税額に2.1%の税率をかけて計算されます。
源泉徴収が行われる際には、この復興特別所得税も所得税と合わせて徴収されます。フリーランスの報酬にかかる源泉徴収税率である10.21%や20.42%には、すでにこの復興特別所得税が含まれています。
確定申告で所得税を計算する際には、この復興特別所得税も考慮に入れる必要があるため、忘れずに計算に含めるようにしましょう。
請求書に源泉徴収税額を明記!トラブル回避の方法
クライアントに発行する請求書に源泉徴収税額を明記することは、報酬に関する誤解や税務上のトラブルを防ぐために非常に有効です。
請求書に報酬額、源泉徴収税額、実際に振り込まれる金額を明確に記載すると、クライアントは支払うべき金額を正確に把握でき、あなた自身もいくら源泉徴収されたかを記録として残すことができます。
これにより、「源泉徴収されていると思ったらされていなかった」「源泉徴収額が間違っている」といった事態を防げるのです。
また、確定申告の際に、請求書に記載された源泉徴収税額を基に計算を進められるため、スムーズな申告につながります。
源泉徴収票を確定申告で活用するには?
フリーランスの場合、会社員のように勤務先から源泉徴収票が発行されることは原則ありませんが、クライアントによっては支払調書を発行してくれる場合があります。
支払調書には1年間に支払われた報酬額や源泉徴収された所得税額が記載されており、確定申告で源泉徴収された金額を申告する際に非常に役立ちます。
源泉徴収された金額を正確に確定申告書に記載すると、納め過ぎた税金があれば還付を受けることができます。
支払い元に源泉徴収票を依頼する方法
フリーランスに対しては源泉徴収票の発行義務はありませんが、確定申告のために支払調書が必要な場合は、支払い元であるクライアントに発行を依頼できます。
しかし、支払調書の発行は義務ではないため、依頼する際は丁寧にお願いすることが望ましいです。
依頼する時期としては、確定申告の準備を始める年末から年明けにかけて行うとスムーズです。依頼方法については、メールや書面で正式に依頼すると良いでしょう。
源泉徴収票がない場合の確定申告対応
クライアントから支払調書が発行されない場合や、紛失して手元にない場合でも、確定申告は行う必要があります。この場合、毎月の請求書や支払い通知などで源泉徴収された金額を確認し、自身で集計して確定申告書に記載します。
これにより、源泉徴収された税額を所得税の前払いとして正しく申告し、納め過ぎた税金があれば還付を受けることができます。日々の取引において、源泉徴収された金額を正確に記録しておくのが重要です。
まとめ
フリーランスにとって源泉徴収は、報酬を受け取る上で理解しておくべき重要な税務の一つです。
源泉徴収の仕組み、対象となる報酬の種類、正確な計算方法を把握することで、クライアントとの取引を円滑に進め、自身の税務を適切に行えます。
また、確定申告では、源泉徴収された金額を正確に申告すると、納め過ぎた税金があれば還付を受けられます。
日々の取引における源泉徴収額の管理や、確定申告に向けた準備をしっかり行うことが、フリーランスとして安心して活動するために非常に大切なのです。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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