パレートの法則とは?身近な例とビジネスでの応用
作成日:2022/01/18
パレートの法則は、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが発見した法則です。その意味は「物事の構成要素の割合には偏りがあり、複数要素の一部により大部分が占められている」ということです。パレートの法則をマーケティングや営業活動などビジネスシーンで活用する方法やポイントについて紹介します。
目次
■パレートの法則の具体例5つ
(1)企業の売上を生み出す社員の割合
(2)売上を生み出す顧客の割合
(3)故障する部品の割合
(4)仕事の成果を生み出す時間の割合
(5)PV数を記録更新したコンテンツの割合
■ビジネスシーンでのパレートの法則活用方法
(1)売上に貢献する社員を評価する
(2)売上を生み出す顧客に寄り添う
(3)故障の原因となる部品を改善する
(4)仕事の成果を生み出す時間帯を見極める
(5)PV数を生むコンテンツに注力する
■パレートの法則の注意点3つ
(1)満点は目指さない
(2)法則ではなく経験則である
(3)行動量が評価につながるわけではない
パレートの法則とは
パレートの法則とは、経済活動において全体の中の8割の利益は2割の顧客が生み出しているといわれるものです。イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが「人口の20%の富裕層が、富の80%を所有している」ことに目を付け調査したことに由来します。
働き蟻の法則と同じ意味で使われることが多く、組織の中で2割の人員が全体の大部分、8割の利益を上げていることも表します。その2割が抜けると、残りの8割の中でまた2割の人員が大部分の利益を上げるようになるといわれています。
80対20の法則やばらつきの法則とも呼ばれ、経済活動以外の自然界の現象においても応用されています。
パレートの法則の具体例5つ
では、実際にパレートの法則はどのような場面に当てはめて考えることができるのでしょうか。ここでは、経済活動や日常生活での5つの具体例について説明していきます。
(1)企業の売上を生み出す社員の割合
パレートの法則に合わせて企業の利益をひも解くと、売上を生み出している社員は会社全体の従業員の中の2割ということになります。つまり2割の社員が企業の経営と発展を支えていることを意味します。
2割の社員を、企業内で生産性を上げる重要な人材として教育に力を入れたり正当な評価に見合った賃金やポジションを与えたりする必要があるでしょう。
(2)売上を生み出す顧客の割合
売上を生み出す顧客の割合についても、8割の売上を2割の優良顧客が生み出していることになります。
売上の大部分を担う、いわゆる太客を把握した上で、営業の方向性の改善や対策を練る必要があります。
(3)不具合を起こす部品の割合
私たちの日常生活に身近な家電製品などにもパレートの法則を当てはめることができます。機械の不具合は、原因の8割が全部品の2割の部品によって起こっているケースがほとんどです。
実際に「故障するのはいつも同じ部品」という経験をされている人も多いでしょう。「不具合が起こりやすい部品はあらかじめスペアを用意しておく」「新品のうちから故障時の対処法を調べておく」などするのがおすすめです。
(4)仕事の成果を生み出す時間の割合
仕事の成果を生み出す時間においても同様です。全体の仕事時間の2割が、仕事の大部分を占める8割の成果を生み出しています。2割の時間を何に当てるか、見極めが重要です。
2割の時間により集中力を高められるような職場の環境作りも欠かせません。
(5)PV数を記録更新したコンテンツの割合
ウェブサイトもパレートの法則の具体例として応用できます。ソフトウェアの利用者の8割は、全体の機能の2割ほどしか利用していません。
そのため、WEBサイトのPV数の8割は、全体における2割のコンテンツによって達成されると考えられます。自社サイトのPV数を稼ぐ2割のコンテンツがどのページなのか、見極めるのはもちろん、優秀なコンテンツとして新規コンテンツの見本にするとよいでしょう。
PV数の多い2割のコンテンツをよく分析することでマネタイズの方向性が変わる可能性もあります。
ビジネスシーンでのパレートの法則活用方法
パレートの法則の概要を理解したところで、活用法について見ていきましょう。パレートの法則を現状の課題に当てはめることで有効な経営戦略が見えてくるでしょう。
(1)売上に貢献する社員を評価する
何度も言及しているように、「売上に大きく貢献する社員は全体の社員の2割である」ことから、その2割の社員の評価と待遇がとても重要です。
売上に貢献する2割の社員には、長く在籍してもらえる待遇を用意し、よりよいパフォーマンスが継続的にできるよう環境を整えるなど社内調整が必要になるでしょう。
(2)売上を生み出す顧客に寄り添う
パレートの法則でいうところの「売上の8割を生み出す2割の顧客」に寄り添う営業活動の施策が効率的な売上アップに繋がります。
パレートの法則に類似した管理方法としては「abc分析」があります。顧客や商品を重要度で分類し、それぞれに合わせた管理方法や対応を行なう方法です。
具体的には、2割の優良顧客に対して、訪問回数を増やしたり付加価値サービスを提案したり、などのアプローチを戦略的に行い、顧客に寄り添うことで現状の改善と売上アップに繋げるのが一般的です。
(3)故障の原因となる部品を改善する
故障においてパレートの法則を当てはめると、「2割の部品が8割の不具合を引き起こしている」可能性が高いです。すべての部品の完璧な改善が必要なのではなく、故障の原因となる2割の部分を見極め、改善することで8割の不具合は改善される確率が高いです。
故障の状況を正確に把握し、故障の傾向値を抽出し、対応策を練ることで品質の維持につながります。
(4)仕事の成果を生み出す時間帯を見極める
パレートの法則は仕事時間の使い方にも応用されます。仕事時間に法則を当てはめてみると「労働時間全体の2割が8割の成果をもたらす」といえます。
求める成果の8割をもたらす2割の時間の見極めがとても重要です。どの業務に2割の時間を当てるのか、どの時間帯を当てるのかを考えてみましょう。
(5)PV数を生むコンテンツに注力する
パレートの法則をウェブサイトのPV数に応用すると、「全コンテンツの2割に8割のアクセスPV数が集中している」ことになります。
実際、ウェブサイトの運営で多くのコンテンツを展開すると、閲覧数の多いページとそうでもないページの差が開きがちです。そのため、アクセスが集中している2割の部分を見極め、2割のコンテンツに力を入れ対策することで、全体のPV数の上昇につながるでしょう。
また、新規コンテンツ制作や改修時は共通するキーワードやトピックを分析して取り組むのが効率的です。
パレートの法則の注意点3つ
パレートの法則の応用には、注意点もあります。ここでは3つのポイントを紹介します。
(1)満点を目指さない
まず、100点満点の完璧主義を目指さないことです。80点を目標とし、2割の体力と時間を使って80点達成を目指していきましょう。
2割以上の労力を使わずに、80点を達成するには簡単に作業効率が上がる利便性の高いツールを使うなどの工夫も必要でしょう。
また、人間関係においても同じことがいえます。全体の中で意見が合わない人がいることはパレートの法則に沿った自然の摂理にかなっています。組織の中で全員と上手くやることを求めず、自分の意思を大切にすると人間関係が楽になるでしょう。
(2)法則ではなく経験則である
原則として覚えておきたいのが「パレートの法則は、あくまで経験則である」という点です。論理や理論ではないので「正規分布ではないので当てはまらないこともある」ことを覚えておきましょう。
パレートの法則は経営に当てはめると売上は一部の社員と顧客が生み出していることになり、注力する部分を選択する必要性の根拠として注目されています。パレートの法則の仮説に基づいて施策テストや分析を行なうことで、新たな効果や効率を発揮することが期待できます。
しかし、中には全社員が一丸となって売上をあげていたり、売上を作る社員の元でサポートに徹している社員もいたりするものです。売上の8割を購入する顧客のほかにも、良い口コミを流してくれたり新規客を紹介してくたりする顧客もいます。
社員や顧客のレベルを判断するとき、売上や購買金額の大小にとらわれない意識が必要です。
(3)行動量が評価につながるわけではない
8割の売上は2割の商品が生み出していることを考えれば、体力や行動量をどれだけ使ったかではなく、どこにフォーカスをするかがとても重要であることが分かります。
多くの体力、労力を使ったとしても力を入れる部分が誤っていると取り越し苦労になりがちです。力を注ぐポイントが合っていれば、近い将来成果に結び就くでしょう。
行動量も大切ですが、やみくもにアクションを繰り返しても比例して評価に繋がるとは限りません。行動を始める前の見極めが大切です。
パレートの法則をビジネスに役立てよう
パレートの法則は、要約すると「経済活動の数値の大部分は、全体の要素の一部が担っている」ことを表しています。
この法則は経験則であり、必ずしも当てはまらないものですが、うまく活用することでビジネスや私生活で効率化を図ることができます。マーケティングや営業活動、人材育成などに応用してぜひ目標を達成しましょう。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)