ビジネス・キャリア検定試験とは?メリットや履歴書に書けるかどうかを解説
最終更新日:2025/10/01
作成日:2017/01/18
ビジネス・キャリア検定試験は、専門知識や実務能力を客観的に証明するための公的資格です。
この記事では、ビジネス・キャリア検定の基本的な情報から、資格取得がもたらすメリット、各等級の難易度、具体的な勉強方法までを網羅的に解説します。
さらに、転職活動での有効性や履歴書への正しい書き方といった、多くの人が抱く疑問にも答えていきます。
<監修者プロフィール>
金子 浩明
グロービス経営大学院大学 経営研究科 教授、ピーエムラボ合同会社代表。東京理科大学および政策研究大学院大学の修士課程を修了。リンクアンドモチベーションで組織人事コンサルティング、グロービスで経営人材育成、日本アイ・ビー・エムでAIやDXに関するビジネスコンサルティングに従事。上場企業の社外取締役、企業や公的機関のアドバイザーも務める。
目次
■ビジネス・キャリア検定試験の基本情報
(1)ビジネス・キャリア検定とは?
(2)試験日程と申し込み方法
(3)ビジネス能力検定試験ジョブパスとの違い
■ビジネス・キャリア検定を取得するメリット
(1)実務能力を証明できる
(2)キャリアアップや昇進・昇格に繋がる
(3)自身の知識を整理できる
■ビジネス・キャリア検定の等級ごとの難易度
(1)BASIC級
(2)3級
(3)2級
(4)1級
■ビジネス・キャリア検定の勉強方法
(1)公式の標準テキストで学習する
(2)過去問題を繰り返し解く
(3)教育訓練講座を受ける
■ビジネス・キャリア検定に関するよくある質問
(1)ビジネス・キャリア検定を持っていると転職で有利?
(2)ビジネス・キャリア検定は意味ないって本当?
(3)履歴書にはどう書けばいい?
(4)コンサルタントを目指す人におすすめの資格は?
ビジネス・キャリア検定試験の基本情報

ビジネス・キャリア検定は、職務に必要な専門知識を評価する公的な資格試験です。ここでは、まず試験の概要や目的を解説します。
ビジネス・キャリア検定とは?
ビジネス・キャリア検定試験は、厚生労働省が策定した「職業能力評価基準」に準拠し、中央職業能力開発協会(JAVADA)が実施する公的資格試験です。
人事や経理、営業、生産管理といった事務系職種の8分野において、それぞれの職務遂行に必要な実務知識や能力を体系的に評価・証明することを目的としています。
試験は4つの等級に分かれており、自身の職務経験や役職に応じて目指すレベルを選択できます。企業の人材育成や自己啓発の指標としても活用されており、個人のスキルを客観的な形で可視化する手段となります。
試験日程と申し込み方法
ビジネス・キャリア検定試験は、前期と後期の年2回実施されます。前期試験は例年10月上旬、後期試験は2月中旬にかけて行われるのが通例です。
令和7年度の試験日は、下記の通りです。
- ・前期:令和7年10月5日(日)
- ・後期:令和8年2月15日(日)
申し込み期間は試験日のおおよそ2ヶ月前から約1ヶ月間に設定されていますが、等級や分野によって試験日が異なる場合があるため、受験を希望する際は必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
申し込みは、日販セグモ株式会社(業務委託先)のウェブサイトでマイページ登録をし、オンラインで行うのが基本です。支払い方法には、クレジットカード決済とコンビニ決済が利用できます。
ビジネス能力検定試験ジョブパスとの違い
ビジネス・キャリア検定とビジネス能力検定試験ジョブパスは、それぞれ異なる目的を持つ資格試験です。
ビジネス・キャリア検定は、人事や経理といった特定の専門分野における実務知識を評価するもので、厚生労働省が策定した職業能力評価基準に基づいて実施されています。
ビジネス・キャリア検定は、専門職としての深い知識と応用力を測ることに特化している点が特徴です。例えば、経理分野であれば財務諸表の分析能力、人事分野であれば人材育成の知識などが問われます。
一方、文部科学省が後援するビジネス能力検定は、業種や職種を問わず、すべての社会人に共通して求められる基礎的なビジネススキルを評価するものです。
これには、ビジネスマナー、コミュニケーション能力、論理的思考力、文書作成能力などが含まれます。社会人として円滑に業務を進めるための土台となる汎用的なスキルを測る試験です。
したがって、専門性を深めたい方や特定の職種でキャリアアップを目指す方にはビジネス・キャリア検定が、社会人としての総合的な基礎力を高めたい方にはビジネス能力検定が適していると言えます。
ビジネス・キャリア検定を取得するメリット

ビジネス・キャリア検定の資格を取得することは、キャリア形成において多くの利点をもたらします。ここでは、資格取得が具体的にどのようなメリットにつながるのか、実務能力の証明とキャリアアップという2つの側面から解説します。
(1)実務能力を証明できる
ビジネス・キャリア検定は、厚生労働省が定める職業能力評価基準に基づいて設計されているため、合格することで自身の専門知識と実務能力を公的に証明できます。
日々の業務で培ったスキルや経験は、他者から見えにくいものですが、ビジネス・キャリア検定によって、客観的な評価として可視化されます。
これにより、社内での評価や異動希望の際に自身の能力を具体的に示せるほか、転職活動においても、採用担当者にビジネススキルをアピールする材料になります。
知識の体系的な整理にもつながり、能力の証明と自己のスキル確認の両面で役立つでしょう。
(2)キャリアアップや昇進・昇格に繋がる
資格取得は、キャリアアップや昇進・昇格の好機となる場合があります。企業によっては、ビジネス・キャリア検定の取得を人事評価の加点項目としたり、昇格の必須要件として定めたりするケースも少なくありません。
また、資格取得を目指して体系的に学習することで、現在の業務に対する理解が深まり、より高い視点から業務改善や課題解決に取り組めるようになります。実務能力の向上が評価されれば、責任ある役職を任される可能性も高まります。
自己啓発への積極的な姿勢を示すこと自体が、組織内での信頼を高める一因ともなり得ます。
(3)自身の知識を整理できる
ビジネス・キャリア検定の試験対策を通じて、日々の業務や読書、研修などで得てきた知識を整理できることもメリットです。
日々の業務では部分的な知識に偏りがちですが、検定の学習は関連する理論や概念を体系的に学ぶ機会となります。これにより、個々の知識が結びつき、より深い理解へとつながります。
自身の専門分野における知識基盤を強化し、実務における応用力を高められるでしょう。
ビジネス・キャリア検定試験の試験内容

ビジネス・キャリア検定試験は、事務系職種を網羅する以下の8つの専門分野から構成されています。
- ・人事、人材開発、労務管理
- ・経理、財務管理
- ・営業、マーケティング
- ・生産管理
- ・企業法務、総務
- ・ロジスティクス
- ・経営情報システム
- ・経営戦略
受験者は自身の職種やキャリアプランに応じて、これらの分野から受験するものを選択します。
ビジネス・キャリア検定の等級ごとの難易度

ビジネス・キャリア検定は、以下の4つの等級に分かれており、それぞれ対象となる人物像や求められる知識レベルが異なります。
- ・BASIC級
- ・3級
- ・2級
- ・1級
これから、各等級がどのようなレベルに相当するのかを具体的に解説し、自分のスキルや経験に合った等級を選ぶための参考にします。
BASIC級
BASIC級は、ビジネス・キャリア検定の中で最も基礎的な入門レベルに位置づけられています。主な対象者は、これから就職活動を始める学生や、社会人としての経験が浅い新入社員などです。
BASIC級では、特定の職務分野における基本的な用語や仕組みを理解しているかが問われます。仕事を進める上で最低限必要となる知識を測ることを目的としており、専門的な深い知識までは要求されません。
そのため、合格率は比較的高く、これから専門分野の学習を始める第一歩として適した難易度です。まずはBASIC級で基礎を固め、上位級への足がかりとすることが推奨されます。
3級
3級は、実務経験3年程度で、チームのリーダーや係長を目指す若手・中堅社員を対象としています。
3級では、上司の指示や助言を受けながら、担当者として主体的に業務を遂行できるレベルの専門知識が求められます。BASIC級で問われた基礎知識に加え、より実践的で具体的な業務内容に関する理解度を測る問題が出題されるのが特徴です。
合格するためには、公式テキストの内容を単に暗記するだけでなく、実務と関連付けて深く理解しておくことが必要です。
難易度はBASIC級よりも一段階上がり、専門職としての土台を築くための重要なステップとなります。
2級
2級は、実務経験5年程度で、課長職などの管理職を目指す中堅社員が主な対象です。
チームの中心メンバーとして、自らの判断で問題解決や業務改善の提案ができるような、応用的かつ高度な専門知識が求められます。3級までの知識を前提とした上で、より幅広い視野と深い洞察力が必要となるでしょう。
合格は容易ではなく、十分な実務経験と計画的な学習が不可欠な難易度の高い等級です。
1級
1級は、ビジネス・キャリア検定における最上位の等級であり、実務経験10年以上の部長職や経営層を目指す人材を対象としています。
1級で問われるのは、企業全体の経営戦略を深く理解し、担当する部門の戦略立案や組織マネジメントを主導できるトップレベルの専門知識です。
試験はすべて論述式で実施され、実務経験に裏打ちされた高度な分析力、課題解決能力、意思決定能力が総合的に評価されます。
合格率も極めて低く、最高難易度を誇る資格です。取得できれば、その分野における非常に高度な専門家であることを証明できます。
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ビジネス・キャリア検定の勉強方法

ビジネス・キャリア検定の合格を目指すには、計画的かつ効率的な学習が不可欠です。試験範囲が広く専門的な内容を含むため、やみくもに勉強するのではなく、適切な方法で知識を積み重ねる必要があります。
ここでは、合格者の多くが実践している代表的な勉強方法を3つ紹介します。
(1)公式の標準テキストで学習する
ビジネス・キャリア検定の学習において最も基本となるのが、試験実施団体である中央職業能力開発協会が発行する公式の標準テキストです。
試験問題は公式テキストの内容に準拠して作成されるため、合格を目指す上では避けて通れない教材と言えます。
まずはテキスト全体を読み通して試験範囲の概要を掴み、次に各章の内容をじっくりと理解していく進め方が効果的です。専門用語や重要な概念を確実に押さえ、体系的な知識の土台を築くために、繰り返し読み込むことが重要になります。
すべての学習の出発点として、公式テキストを徹底的に活用してください。
(2)過去問題を繰り返し解く
公式テキストで知識をインプットした後は、過去問題を解くことで実践力を養う段階に移ります。過去問題を繰り返し解くことには、出題形式や問題の傾向を把握できるという大きなメリットがあります。
また、時間配分を意識しながら解く練習をすることで、本番の試験に対応する能力も高まります。間違えた問題や理解が曖昧な箇所は、必ずテキストに戻って復習し、知識の穴を埋めていくことが重要です。
公式サイトでは2年分の過去問題が公開されているため、少なくとも3回分以上は繰り返し解き、解答のプロセスを完全に理解するまで演習を重ねるのが望ましいです。
(3)教育訓練講座を受ける
独学での学習に不安がある場合や、より効率的に学習を進めたい場合は、教育訓練講座の受講が有効な選択肢です。
専門の講師が試験の要点や頻出分野を分かりやすく解説してくれるため、複雑な内容でもスムーズに理解を深めることができます。
また、計画的にカリキュラムが組まれているため、学習のペースを維持しやすいというメリットもあります。費用や時間を考慮し、自分に合った講座を選択することで、合格の可能性を高められます。
ビジネス・キャリア検定に関するよくある質問

ビジネス・キャリア検定の受験を検討するにあたり、多くの人がさまざまな疑問を抱きます。ここでは、実用的な側面に関するよくある質問を取り上げ、それぞれに具体的にお答えしていきます。
ビジネス・キャリア検定を持っていると転職で有利?
ビジネス・キャリア検定の資格が転職の成否を直接決定づけるわけではありませんが、有利に働く可能性は十分にあります。
特に、応募する職種と関連性の高い分野で2級以上を取得している場合は、知識と実力を客観的に証明する強力な材料となります。採用担当者に対して、自己啓発に意欲的で、体系的な知識を身につけていることを具体的にアピールできるでしょう。
未経験の職種へ挑戦する際にも、その分野への関心や学習意欲を示す根拠として評価されることがあります。
実務経験と組み合わせることで、自身の市場価値を高める有効な手段の一つです。
ビジネス・キャリア検定は意味ないって本当?
「ビジネス・キャリア検定は意味ない」という意見は、この資格が弁護士や税理士のような業務独占資格ではなく、一部の国家資格に比べて知名度が高くないことに起因しています。
しかし、ビジネス・キャリア検定は厚生労働省が後援する公的資格であり、自身の専門知識を体系的に整理し、客観的に証明する上で非常に有用です。
特に未経験の職種への転職を目指す場合、ビジネス・キャリア検定を持っていると、学習意欲や向上心、業務に必要なスキルを保有していることをアピールできます。
履歴書にはどう書けばいい?
ビジネス・キャリア検定は、履歴書の「免許・資格」欄に正式名称で記載します。
まず取得年月日を和暦または西暦で記入し、続けて正式名称である「ビジネス・キャリア検定試験」と書きます。その後ろに、合格した分野名と等級を忘れずに明記することが重要です。
例えば、「2025年3月 ビジネス・キャリア検定試験 経理・財務管理2級合格」のように具体的に記述します。分野と等級を正確に記載すると、採用担当者に自身の専門性を正確に伝えることが可能です。
複数の分野や等級に合格している場合は、応募する職種との関連性が高いものを優先して書きましょう。
コンサルタントを目指す人におすすめの資格は?
コンサルタントになりたいと考えている人には、ビジネス・キャリア検定よりもMBAの取得が有効です。MBAは、コンサルタント予備校ではないものの、経営者や経営参謀になるトレーニングを受けられるという点で、役に立ちます。
中小企業診断士の資格も、コンサルタントの業務に直結する知識を得られるため、おすすめの資格と言えます。
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まとめ

ビジネス・キャリア検定試験は、人事、経理、営業など8つの専門分野における実務能力を公的に証明する資格です。BASIC級から1級までの等級があり、自身の経験やキャリアプランに応じて目標を設定できます。
資格取得は、専門知識の体系的な習得につながるだけでなく、社内での評価向上や昇進、さらには転職活動においてスキルを客観的にアピールする有効な手段となります。
学習の基本は公式テキストと過去問題の活用ですが、必要に応じて教育訓練講座の利用も効果的です。自身のキャリアを主体的に形成していく上で、ビジネス・キャリア検定は有力な武器となり得ます。
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