パフォーマンスアップの鍵!ボスマネジメントとは?

作成日:2016/12/28

 

上長との良好な人間関係は高い生産性のベース

コンサルティング会社における上長との良好な人間関係は高い生産性のベース

多くのビジネスパーソンにとっての仕事やプロジェクト上の大きな悩みの1つに、上長との人間関係があげられます。

「パフォーマンスを適切に評価してくれない」、「難易度の高い仕事のサポートを頼んでも、対応してくれない」、「自身の意見を絶対視して、進言に聞く耳を持ってくれない」などなど、上長への不満は多かれ少なかれ、誰しも持っているものです。上長との人間関係は、コンサルティング業界に身を置くか否かにかかわらず、フリーランスでない限りは普遍的な課題でしょう。

「ボスマネジメント」という言葉を耳にされたことはあるでしょうか。昨今は組織行動論を学ぶ米国MBAのカリキュラムにも採用されており、仕事の目的を効率的に達成するため、上長に戦略的、かつ効果的に働きかける技術を指しています。上長を効果的に巻き込んで協力を引き出し、自分にとってパフォーマンスを発揮しやすい、快適な環境を作り出す技術、と言い換えてもいいでしょう。

そもそも、米国のビジネスパーソンの間では、「上長はクライアントだと思え」という意識が一般的です。パフォーマンスの高い人間ほどボスマネジメントに長けているものだ、という共通認識が米国にはあります。あなたの社内を見回しても、パフォーマンスが高いとされる人は、上長やマネジメント層に働きかけるのが上手なことが多いと思うことがあるのではないでしょうか。反対に、パフォーマンスが低いと思われている人ほど、上長に対して苦手意識が強い傾向はないでしょうか。

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ボスマネジメントの目的は上長が持つ機能を活用させてもらうこと

ボスマネジメントの目的は上長が持つ機能を活用させてもらうこと

わが国における人事・雇用問題の第一人者であり、リクルートワークス研究所所長の大久保幸夫氏が2006年に上梓された、『上司に「仕事させる」技術―そうか!ボスマネジメント!』によれば、上長は以下の7つの便利な機能を持つ、とされています。

(1)キャリアコーチ(career coach)/なりたい自分を実現するための相談相手
(2)アセッサー(assessor)/部下の成果や能力の評価者
(3)トラブルシューター(trouble shooter)/トラブルの処理・謝罪役
(4)スタンパー(stamper)/ゴーサインを出してくれる捺印者・承認者
(5)ハイパープロフェッショナル(hyper-professional)/ノウハウを教えてくれる師匠
(6)コーワーカー(co-worker)/難易度の高い仕事を代わってやってくれるパートナー
(7)ネットワーカー(networker)/必要な人脈の紹介者

部下としては、効率的に仕事を進めるためにこれらの機能を活用させてほしいわけですが、上長も1人の生身の人間です。これら7つの機能を、ある一定以上のレベルで全て持ち合わせていることは稀です。そこで、上長からさらに上位のマネジメント層に働きかけてもらうことも、場合によっては視野に入れる必要が出てきます。

いずれにせよ、上長の機能を効果的に活用させてもらうためには、相手とあなたとの間に、あるレベル以上の信頼関係を醸成しておく必要があります。

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上長との信頼関係を醸成するための5つのポイント

上長との信頼関係を醸成するための5つのポイント

上長との間に信頼関係を醸成するために重要なポイントは、次の5つです。

1.適切なホウレンソウ(報告・連絡・相談)を行う

上長との信頼関係を築くベースは、適切なコミュニケーションであることは、言うまでもありません。タイミングのいいホウレンソウ(報告・連絡・相談)を心がけ、相手との情報共有を欠かさないようにすることが大切です。上長に「そんなの聞いてないよ」と言わせない気配りが、ボスマネジメントの大前提になります。仕事に慣れてくると、ホウレンソウが疎かになりやすいので、意識して実行しましょう。

2.上長のタイプに合わせたアプローチをする

例えば、口頭ベースでの細かい報告を好むタイプなのか、メールなどで可視化してまとめた報告を好むタイプなのかなど、相手に合わせて報告や相談のスタイルを変えた方が効果的です。また、プライベートでも関わることを好むタイプなのか、ビジネスオンリーの関係を好むタイプなのか、そのあたりも見極めて上長との接し方を変えるといいでしょう。相手に合わせた能動的なアプローチは、信頼関係の効果的な構築につながります。

3.上長の持つ価値観を理解しておく

上長に気持ちよく動いてもらうためには、日頃から、相手が求めているものや相手の望みを理解しておくことが重要です。相手が何を大切にしているのか、何を好ましいと思っているのか、自分なりに理解し、押さえておく習慣を付けましょう。上長の立ち位置や、置かれている状況を理解し、あなたに積極的に協力してもらうメリットを認識してもらうようにするのです。いわば、気持ちよく動いてもらえる環境作り、お膳立ての準備としての情報収集と言えます。プロジェクトの企画や提案などでも、相手の好みを考慮したものにすると、信頼を掴むのに効果的です。

4.言い訳はしない

例えば、「プロジェクト体制が現状に合っていないから動けない」など、この手の言い訳をしている人間を見ると、誰しもよい印象は抱けないでしょう。当事者意識が弱く、何でも周囲に責任転嫁をする人間だと理解されるのも無理からぬことで、相手も協力したいとは思えなくなるものです。仮にあなたの責任ではない場合でも、他に責任転嫁するように聞こえる物言いには、くれぐれも要注意です。生身の人間であれば、失敗することもあります。その際、言い訳を考えるのではなく、自分なりの前向きな提案・取り組みができると、上長からの協力も得やすくなります。

5.上長の懐に飛び込む気概を持つ

上長の好み次第ですが、始業前や昼休みを利用して、仕事と無関係の雑談をしてみたり、ランチに一緒に行ってみたりすることも、情報収集や信頼感の醸成には案外有効です。ビジネス以外でのこちらとの接点を、相手が全く見出そうとしないタイプだと厄介ですが、そのような際は、きっかけを掴んで、相手の上長や同期と仲良くなってしまうのも、上長の懐に飛び込む上では大いに有効です。

 

ボスマネジメントを実行する上で心がけたいこと

ボスマネジメントを実行する上で心がけたいこと

ボスマネジメントを実行する上で、常に心に留めておきたいのは、「自分は○○さんという人間に仕えるのではなく、上長という相手の役回りに仕えるのだ」という心構えです。そこには、役回り上での上下関係は存在していても、人間としての上下関係は存在しません。仕事上の目的を達成するため、組織戦略の実行のため、必要ならば進言は大いにするべきですし、相手との相性を過剰に心配する必要もないのです。言うまでもなく、卑屈な気持ちになる必要もありません。

また、自分の主観のみを頼りにせず、組織・プロジェクト全体から俯瞰した上長とあなたとの位置関係を理解して、意識するようにしましょう。相手と自分が全体の中で、どのような役割を担い、期待されているのかを認識するのです。上長の信頼を掴んでいる部下は、「彼(彼女)は全体の状況と、自分の役回りが分かっているな」と思われているものです。

 

ボスマネジメントを効果的に実行するためのポイントを見てきましたが、何と言っても大切なのは、部下が能動的に自ら上長に働きかけることに尽きます。働きかけて上長を変化させるのではなく、相手の価値観や好みを理解して、アプローチの方法を柔軟に変化させるのです。誰しも、苦手なタイプの上長の下で仕事をせねばならなくなる可能性はあります。好き嫌いの感情は、生身の人間同士である以上、否応なく生じるものですが、パフォーマンスが高い人間は、その感情を敢えて脇に置くのです。

仕事・プロジェクトの目的を達するために上長を戦略的に活用するボスマネジメント。あなたも早速取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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