合同会社と個人事業主はどっちがいい?違いとメリット・デメリット

最終更新日:2026/02/11
作成日:2016/08/24

独立を検討する際、「合同会社と個人事業主のどっちがいいのだろう」と疑問に思う方は少なくありません。

 

税金が得かどうか。信用は上がるのか。借金や損害賠償のリスクはどこまで背負うのか。このような気になるポイントが多く、調べれば調べるほど“決め手”が見えなくなっている方もいるでしょう。

 

そこで本記事では、合同会社と個人事業主の違いを解説し、株式会社も併せた選択の基準や法人成りの目安まで、できるだけ具体的に解説します。

 

目次

 

■事前にチェック!合同会社・個人事業主とは?
(1)合同会社とは
(2)個人事業主とは

 

■合同会社と個人事業主の違いを9項目で比較
(1)開業に必要な費用
(2)税金(税率・税目)
(3)経費
(4)資金管理
(5)赤字の繰越期間
(6)経理・決算業務の負担
(7)社会保険の加入義務
(8)社会的な信用度
(9)責任の範囲

 

■個人事業主が合同会社を設立する2つのメリット
(1)節税対策につながる
(2)株式会社より簡略な手続きで低コスト

 

■個人事業主が合同会社を設立する2つのデメリット
(1)資本金を用意したほうがよい可能性がある
(2)社会的信用度は低い傾向

 

■合同会社への切り替え・個人事業主の法人化の基準
(1)従業員の雇用を検討するタイミング
(2)事業拡大のタイミング
(3)課税所得が695万円超えたタイミング
(4)インボイス未登録で売上が1,000万円超えのタイミング

 

■独立するなら合同会社と個人事業主どっちがいい?
(1)初期投資の少なさで選ぶなら個人事業主
(2)チームで事業を行うなら合同会社
(3)売上を自由に活用したいなら個人事業主

 

■個人事業主には「株式会社」という選択肢も

 

■合同会社と個人事業主の兼任時の注意点

 

■迷ったら?合同会社・個人事業主・株式会社の判断基準
(1)個人事業主か法人化かで迷ったら
(2)合同会社・個人事業主・株式会社で迷ったら

 

■合同会社と個人事業主に関連するよくある質問
(1)合同会社は個人事業主ですか?
(2)個人事業主と合同会社ではどちらが得?
(3)個人事業主から合同会社への切り替えの流れは?

 

■まとめ

 

事前にチェック!合同会社・個人事業主とは?

ノートパソコンを前に、相手の話を聞きながら微笑むビジネスウーマン

そもそも合同会社と個人事業主は、それぞれどのように定義されているのでしょうか。それぞれの概要を把握すれば理解が深まり、自身の事業規模や将来の展望に適した形態を判断しやすくなります。

 

事業の形態を選ぶ前に、合同会社と個人事業主の基本的な定義や特徴を理解しましょう。

 

(1)合同会社とは

合同会社は、会社法によって定められた「法人」の形態の一つです。株式会社とは異なり、出資者である社員がそのまま経営者となるため、所有と経営が一致します。

 

合同会社の特徴は、比較的低いコストで法人格のメリットを享受できることです。

 

社員全員が「有限責任」であることも特徴の一つです。会社が倒産したり借金を抱えたりしたとき、出資した金額以上の責任を負わなくて済みます。

 

合同会社として法人化すると社会的信用が高まり、個人事業主では難しかった取引が可能になるほか、経費として認められる範囲が広く、役員報酬などを活用した節税も可能です。

 

設立手続きが株式会社より簡素なため、迅速に法人を設立したい場合にも適しています。

 

☆あわせて読みたい
『正しい理解で賢く節税!知っておくべき役員報酬の3つの税務ルール』

 

(2)個人事業主とは

個人事業主とは、法人を設立せず個人として事業を行い、事業所得を得ている人を指します。

 

税務署に開業届を提出すれば開業できる手軽さから、多くのフリーランスや小規模なビジネスで選ばれています。開業時、合同会社のような登記費用は基本的にかかりません。

 

また、事業で得た利益は直接個人の所得となり、資金を自由に使える柔軟性も魅力です。

 

ただし、税金面では所得が増えるほど税率が高くなる累進課税が適用されるため、一定以上の所得になると法人よりも税負担が重くなる可能性があります。

 

また、事業上の責任はすべて個人が負う「無限責任」であることや、節税の選択肢が法人に比べて限られる点も考慮が必要です。

 

 

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合同会社と個人事業主の違いを9項目で比較

チェックマークが入った項目が並ぶチェックリストと、上に置かれたペン

合同会社と個人事業主は、費用や税金、社会保険などのルールが異なります。どちらが自身の事業に適しているかを判断するには、次の主な違いを理解しておきましょう。

 

  • ・開業に必要な費用
  • ・税率・税金
  • ・経費
  • ・資金管理
  • ・赤字の繰越期間
  • ・経理・決算業務の負担
  • ・社会保険の加入義務
  • ・社会的な信用度
  • ・責任の範囲

 

ここからは、各項目を順番に解説します。「結局、どこが違うの?」という方は、気になるところからご確認ください。

 

(1)開業に必要な費用

事業を開始する際の初期費用は、個人事業主の場合ほとんどかかりません。一方、合同会社では、法人として登記するための登録免許税などの法定費用が必要になります。

 

合同会社を設立するには、最低でも登録免許税として6万円が必要です。電子定款を利用すれば収入印紙代の4万円は不要になりますが、それでも一定の初期コストは避けられません。

 

一方、個人事業主は書類準備の手間のみで開業できます。スモールスタートを切りたい場合や、初期投資を極力抑えたい場合は、個人事業主のほうが費用面で有利といえるでしょう。

 

参考:法務省「合同会社の設立手続について

 

(2)税金(税率・税目)

適用される税金の種類と税率の構造は、個人事業主と合同会社の違いの一つです。個人事業主には、所得に応じて税率が5%から45%まで変動する累進課税の所得税が課されます。

 

一方、合同会社では法人税が課され、税率は所得金額などによって区分されます(中小法人は年800万円以下の部分が15%など)。

 

また、実際の税負担は所得税や法人税だけでなく、住民税や事業税なども含めて決まる点も理解しておきましょう。

 

個人事業主は、所得税に加えて住民税、業種によっては個人事業税がかかります。合同会社は、法人税のほかに法人住民税や法人事業税などを合わせて納める必要があります。

 

そのため、所得が増えてきた段階で合同会社を設立するかどうかを、税額全体で比較して検討する方が多くなります。

 

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」、「No.5759 法人税の税率

 

(3)経費

個人事業主と合同会社を比較すると、経費として計上できる範囲にも違いがあります。

 

法人では、一定の要件を満たす場合に、役員に支払う報酬(役員給与)や退職金などを税務上の経費として扱える点が特徴です。

 

一方で、個人事業主が経費計上できる範囲は事業に必要な支出に限られており、自分自身への報酬や退職金を経費にはできません

 

また、自宅を事務所として利用する場合、個人事業主は事業使用割合に応じた按分が必要です。

 

しかし法人で社宅(借上社宅)として扱う場合は、役員から一定額の家賃を受け取るなどの条件を満たすことで、会社負担分を経費で処理できるケースがあります。

 

(4)資金管理

事業で得た資金の扱い方において、個人事業主は自由度が高い一方、合同会社は会社と個人の資産を厳格に区別しなければなりません。

 

個人事業主の場合、事業の利益はそのまま事業主本人の所得とみなされます。そのため、売上から経費と税金を差し引いた残りは、生活費などに充てるなど比較的自由に使える点が特徴です。

 

一方、合同会社では、会社のお金はあくまで会社のものです。合同会社のトップ・代表社員であっても、会社の口座のお金を生活費のために自由に引き出すことはできません。

 

代表社員が受け取れるお金は、基本的に役員報酬として決めた金額になります。

 

このように、合同会社は資金管理が厳格で経理の透明性が高まりやすい反面、資金使途の柔軟性は下がる点に注意が必要です。

 

☆あわせて読みたい
『個人事業主は事業用口座が必要?分けるメリットや注意点、開設手順を解説』

 

(5)赤字の繰越期間

事業で生じた赤字(欠損金)を翌年以降の黒字と相殺できる期間は、個人事業主より合同会社の方が長く設定されています。

 

これは法人に対する税法上の優遇措置の一つであり、事業の立ち上がりに時間がかかるケースを想定して、より長期間での損益通算を認めているためです。

 

個人事業主が青色申告を行っている場合、赤字の繰越控除は最大で3年間認められています。

 

これに対し、合同会社(青色申告法人)の場合、欠損金の繰越期間は最大10年間(2018年4月1日以降開始事業年度)です。

 

特に設立初期に大きな投資が必要で、数年にわたり赤字が見込まれる事業の場合、この繰越期間の長さは、将来の税負担を軽減する上で重要なメリットとなります。

 

(6)経理・決算業務の負担

日々の経理処理や決算業務の難易度にも違いがあります。

 

個人事業主の場合、簿記の知識が少なくても会計ソフトを利用すれば、自分一人で確定申告(青色申告)が可能です。コストを抑えるため、税理士に依頼せず手続きをしている方も少なくありません。

 

一方、合同会社は、会社としての決算書類の作成・保存や、法人税申告書などの作業が発生し、個人事業主より手続きが増えやすい傾向にあります。

 

そのため、税理士に依頼するケースも多く、個人事業主と比べて維持費用や手間がかかりやすい点はデメリットです。

 

(7)社会保険の加入義務

社会保険への加入義務の有無は、個人事業主と合同会社の明確な違いであり、コストと保障の両面で大きな影響を与えます。

 

法人は原則として、役員や従業員の人数にかかわらず、健康保険と厚生年金保険への加入が法律で義務付けられています。一方、個人事業主は国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的です。

 

合同会社を設立すると、たとえ代表社員一人であっても社会保険に加入する必要があり、保険料は会社と個人で折半して負担します。これは、事業者側にとってはコスト面でのデメリットになり得ます。

 

一方で、厚生年金や健康保険といった手厚い保障は従業員にとってのメリットとなり、福利厚生の観点から人材採用で有利に働く場合もあります。

 

(8)社会的な信用度

一般的に、社会的な信用度は個人事業主よりも合同会社の方が高いと評価される傾向にあります。

 

合同会社は法人として登記されており、会社の基本情報が公的に確認できるためです。取引先にとって「実在性」や「責任の所在」が見えやすく、信頼を得やすいという側面もあるでしょう。

 

企業によっては、契約手続きやコンプライアンスの都合で、法人との取引を求めることもあります。

 

法人化によって取引先の選択肢が広がり、受注機会や資金調達の方法が増える可能性があります。

 

(9)責任の範囲

事業上の債務に対する責任の範囲が、個人事業主は個人の財産まで及ぶのに対し、合同会社の社員は出資額を限度とする点が根本的に異なります。

 

個人事業主は事業と個人が一体とみなされるため、事業上の負債が返済できない場合、個人の財産も返済の対象になり得ます。

 

一方、合同会社の社員は、原則として出資した金額の範囲内で責任を負う「有限責任」です。

 

ただし、金融機関の融資などで代表者が連帯保証人になっている場合は、法人であっても個人が返済義務を負うことがあります。

 

個人事業主が合同会社を設立する2つのメリット

「Merit」と書かれた札が留められているメモスタンド

個人事業主が合同会社を設立する主なメリットは次の2点です。

 

  • ・節税対策につながる
  • ・株式会社より簡略な手続きで低コスト

 

ここからは、それぞれのメリットを順番に解説します。法人成りを検討する際の判断材料としてご活用ください。

 

(1)節税対策につながる

合同会社を設立すると、個人事業主のときよりも税負担を軽減でき、手元に残る資金を増やせる可能性があります。これは、個人と法人で税金の仕組みが異なり、利益の配分方法を設計しやすくなるためです。

 

例えば、事業の利益を役員報酬として自身に支払うことで、受け取る側は給与所得となり、給与所得控除の対象になります。

 

また、家族に実態のある業務があり報酬額が妥当であれば、役員報酬などを通じて所得を分散し、世帯全体の税負担を抑えられる場合もあります。

 

さらに、退職金の支給や生命保険の活用など、法人特有の取り扱いを利用できるケースもあります。

 

ただし、実際の税負担は法人税だけで決まらず、住民税や事業税、社会保険料、税理士費用なども含めて総合的に比較することが重要です。

 

(2)株式会社より簡略な手続きで低コスト

合同会社は株式会社に比べて設立手続きがシンプルで、法定費用を抑えやすい会社形態です。合同会社は定款の公証人認証が不要で、登記時に必要な登録免許税の最低額も株式会社より低く設定されています。

 

例えば株式会社は、登録免許税が最低15万円に加えて、定款認証手数料(資本金額等により1万5,000円〜5万円)がかかります。

 

一方、合同会社は登録免許税が最低6万円で、定款認証手数料は不要です。この費用差は、事業開始時の自己資金が限られている場合に資金繰りの余裕につながるでしょう。

 

また、合同会社は内部ルールを柔軟に設計しやすく、スピード感を重視して法人化したい場合にも向いています。

 

参考:日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」、法務省「合同会社の設立手続について

 

個人事業主が合同会社を設立する2つのデメリット

「Demerit」と書かれた札が留められているメモスタンド

合同会社の設立には多くのメリットがある一方で、次のデメリットも存在します。

 

  • ・資本金を用意したほうがよい可能性がある
  • ・社会的信用度は低い傾向

 

それぞれのデメリットの内容を把握し、自身の事業計画や将来の展望と照らし合わせ、設立後のミスマッチを防ぎましょう。

 

(1)資本金を用意したほうがよい可能性がある

合同会社を設立する際は、個人事業主の開業と異なり、資本金(出資金)を決めて払い込む必要があります。資本金は登記簿に記載され、会社の規模感を示す情報として取引先や金融機関に見られる項目です。

 

法律上は1円から設立できますが、資本金が極端に少ない場合は、融資審査で不利になったり、取引先に支払い能力を不安視されたりする可能性があります。

 

そのため、設立直後に必要となる運転資金を目安に、無理のない範囲で資本金を準備しておくと安心です。資本金の準備が、自己資金に余裕がない場合のハードルになり得る点はデメリットといえます。

 

(2)社会的信用度は低い傾向

合同会社は法人であるため、個人事業主よりは信用を得やすい面があります。一方で、株式会社と比べると認知度が低く、取引先によっては慎重に見られる場合がある点はデメリットです。

 

これは、日本では会社形態として株式会社が最も一般的で、取引先の審査や契約フローが「株式会社を前提」に設計されていることが多いためです。

 

合同会社でも問題なく取引できるケースがほとんどですが、社内規程や慣習の都合で取引先を「株式会社のみ」としている企業もあります。

 

また、合同会社は株式を発行できず上場もできないため、ベンチャーキャピタルなど外部投資家から大規模な資金調達を行いたい事業には向きません

 

将来的に上場や大型調達を視野に入れる場合は、株式会社のほうが選択肢が広がります。

 

合同会社への切り替え・個人事業主の法人化の基準

机の上に置かれた「法人化」と書かれた積み木と、書類や文房具

個人事業主から合同会社への切り替えを検討する際は、税負担だけでなく、事業規模や社会的信用の必要性、事務負担の増減まで含めてタイミングを判断する必要があります。

 

法人化が早すぎると維持コストが重荷になりやすく、遅すぎると節税の余地を取りこぼしたり、取引機会を逃したりする可能性があるためです。

 

そこでここからは、法人化を判断する目安として、代表的な4つのタイミングについて解説します。

 

(1)従業員の雇用を検討するタイミング

従業員を雇用し、事業を組織的に運営していくことを考え始めたタイミングは、法人化を検討する重要な基準の一つです。

 

法人になると社会保険への加入が原則として義務付けられるため、健康保険や厚生年金といった制度を整えやすくなります。

 

これは福利厚生の観点から求職者にとって安心材料になり、採用面でプラスに働く場合もあるでしょう。

 

一方、個人事業主のままでは法人と比べて社会保険の適用が限定的になるケースが多く、条件面で不安を持たれる可能性があります。

 

このように従業員が安心して働ける基盤を整えることは、人材の定着率向上にもつながり、長期的な事業成長の土台となります。

 

(2)事業拡大のタイミング

取引先の拡大や、より大きな規模のビジネスを目指すタイミングは、合同会社への切り替えを判断する良い機会といえます。

 

企業によってはコンプライアンスや与信管理の都合で、法人との取引を求める場合があり、個人事業主のままではビジネスチャンスを逃す可能性があるためです。

 

例えば、大手企業の下請けや公的機関の案件では、入札参加資格の取得など、一定の要件を満たすことが求められます。

 

個人事業主でも参加できるケースはありますが、案件ごとに条件が異なるため事前確認が欠かせません。

 

合同会社を設立して法人となることで、こうした取引への道が開かれ、事業のステージを一段階引き上げられる可能性があります。

 

また、資金調達についても、法人化によって手段や相談先が広がる場合があります。

 

(3)課税所得が695万円超えたタイミング

個人事業主の所得税率は累進課税のため、所得が増えるほど税率が高くなります。

 

課税所得が695万円を超えると所得税率は23%となり、中小法人の法人税率(年800万円以下の部分で15%など)よりも高くなるケースが出てきます。

 

このタイミングで合同会社へ切り替えると、役員報酬の設計などにより税負担を抑えられる可能性が高まります。

 

ただし、法人は法人税以外にも地方税などがかかるため、税率だけで単純比較はできません。ご自身の所得状況を確認し、法人化による節税効果がどれくらい見込めるかシミュレーションしましょう。

 

(4)インボイス未登録で売上が1,000万円超えのタイミング

インボイス登録をしていない個人事業主でも、原則として2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると消費税の課税事業者となり、納税義務が発生します。

 

ただし、前年の前半6か月(特定期間)の売上などが一定額を超える場合は、2年前の売上にかかわらず課税事業者となるケースもあります。

 

このタイミングで合同会社を設立すると、資本金が1,000万円未満であれば、設立後に免税となる期間が生じる可能性があります。

 

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独立するなら合同会社と個人事業主どっちがいい?

資料が積まれたデスクで、ノートパソコンを見ながら考え込む女性

これから独立して事業を始める場合、合同会社と個人事業主のどちらを選ぶべきか悩む方もいるでしょう。

 

それぞれの形態にメリットとデメリットがあり、事業の特性や経営者の価値観によって最適解は異なるため、選択に正解はありません

 

一般的に、次の基準で合同会社か個人事業主を選ぶ方が多い傾向にあります。

 

  • ・初期投資の少なさで選ぶなら個人事業主
  • ・チームで事業を行うなら合同会社
  • ・売上を自由に活用したいなら個人事業主

 

ここでそれぞれのポイントを詳しく解説します。

 

(1)初期投資の少なさで選ぶなら個人事業主

事業開始時のコストを可能な限り抑えたいのであれば、個人事業主の方が合理的です。

 

個人事業主は設立費用が必要ありません。事業が赤字で、他に大きな所得がなければ、所得税や住民税の負担が生じにくく、維持コストも低く抑えられます。

 

一方、合同会社は設立時に最低でも6万円以上の法定費用がかかる上、事業が赤字であっても法人住民税の均等割を納める義務があります。

 

さらに、社会保険料の会社負担分も発生するため、維持コストは個人事業主より高くなります。

 

(2)チームで事業を行うなら合同会社

複数のメンバーで共同経営を行う場合、権限や利益配分のルールを明確にできる合同会社の設立がおすすめです。

 

個人事業主の共同経営では、出資比率や各自の役割・責任の所在を契約で補わないと曖昧になりやすく、後々のトラブルに発展するリスクが高い側面があります。

 

一方、合同会社なら定款でこれらのルールを法的に定められます。例えば合同会社では、定款で定めれば出資額に関わらず、技術的な貢献度が高いメンバーに多くの利益を分配するといった柔軟な設計が可能です。

 

これは、原則として保有株式数に応じて議決権や配当が決まる株式会社とは異なるポイントでもあります。

 

(3)売上を自由に活用したいなら個人事業主

事業で得た利益をプライベートな資金として柔軟に活用したい場合は、個人事業主の方が適しています。

 

個人事業主の利益は、事業主個人の所得として直接扱われるため、法人と比べて資金の引き出しに大きな法的制約がありません。帳簿上の区別は必要ですが、事業で得た利益を生活費などに回しやすい点が特徴です。

 

これに対して合同会社などの法人では、会社の利益はあくまで会社のものとされ、個人が自由に使えるお金は、役員報酬や定款等に基づく利益分配に限られます。

 

合同会社の場合、経営者は役員報酬という形で定額の給与を受け取るのが基本であり、会社の口座にある売上金を生活費のために自由に引き出すことはできません。

 

個人事業主には「株式会社」という選択肢も

「会社設立関連書類」と書かれた書類と、印鑑・電卓

個人事業主が法人化を検討する際、合同会社だけでなく株式会社の設立も有力な選択肢の一つです。特に、高い社会的信用や大規模な資金調達を目指す場合に適しています。

 

株式会社は最も認知度が高く、株式発行による資金調達が可能であるため、事業の永続性や成長性に対する信頼を得やすいというメリットがあります。

 

株式会社では、重要な意思決定は株主総会で行われる仕組みとなっており、制度上は会社の所有者(株主)と経営者が分離しているのが原則です。

 

加えて、決算公告の義務や役員の任期があるなど、合同会社よりも運営ルールは厳格に定められています。

 

設立費用も合同会社より高額になりますが、将来的な上場や外部からの大規模な出資を視野に入れるのであれば、株式会社の設立を選択すべきといえるでしょう。

 

合同会社と個人事業主の兼任時の注意点

注意や警告を示す黄色の三角形アイコンを、人差し指で示している様子

個人事業主と合同会社を兼任することは可能ですが、税務上のリスクを避けるために明確な事業内容の分離と、それぞれの適切な経理処理が不可欠です。

 

両者で実質的に同じ事業を行ったり売上や経費の付け替えが疑われたりすると、税務調査で租税回避と見なされ、経費否認や追徴の対象になる可能性があります。

 

例えば、個人事業でコンサルティング、合同会社で不動産賃貸業といったように、事業内容を明確に分けると説明しやすくなるでしょう。

 

また、経費の按分や取引の記録も厳格に行わなければなりません。特に、同じ支出を二重計上しないこと、按分基準を説明できる形で残しておくことが重要です。

 

事務的な負担は増えますが、これらの注意点を守ることが安全に兼任を続けるための重要なポイントとなります。

 

迷ったら?合同会社・個人事業主・株式会社の判断基準

黄色の背景に「個人?」「法人?」と書かれた木製ブロック

個人事業主、合同会社、株式会社の三つの選択肢から最適なものを選ぶには、事業のステージ、将来の目標、そして運営スタイルを総合的に検討する必要があります。

 

ここからは、個人事業主か法人化か、さらに合同会社か株式会社かを判断する基準を紹介します。

 

(1)個人事業主か法人化かで迷ったら

独立を検討している段階でも、すでに独立している場合でも、まずは「個人事業主のまま進めるか、法人化するか」を判断しましょう。

 

個人事業主か法人化かで迷ったら、次の項目に該当するかどうかをチェックしましょう。

 

  • ・取引先に「法人名義」が必須のものがある
  • ・近いうちに従業員を雇う/採用を強化したい
  • ・事業の赤字・事故・損害賠償リスクを個人から切り離したい
  • ・社会保険(会社負担込み)の固定費を払ってもキャッシュが回る
  • ・課税所得が695万円~900万円前後に近い/超えてきている

 

当てはまる項目が多いほど、法人化が適している可能性が高いです。

 

(2)合同会社・個人事業主・株式会社で迷ったら

合同会社・個人事業主・株式会社のいずれかで迷ったら、次の基準で整理するとよいでしょう。

 

  • ・初めて事業を行う場合やフリーランスなど小規模なビジネスなら個人事業主
  • ・法人として信用度を高めつつコストを抑えたいなら合同会社
  • ・上場や外部からの大規模な資金調達を目指すなら株式会社

 

ただし、法人化の損得は事業内容や利益率、役員報酬の設計で変わるため、可能なら試算して判断しましょう。

 

合同会社と個人事業主に関連するよくある質問

「Q」「&」「A」と印字された木製ブロックが、机の上に並んでいる様子

最後に、合同会社と個人事業主について、多くの人が疑問に感じやすいポイントをQ&A形式で解説します。

 

「合同会社は個人事業主なのか」「どちらが得なのか」「法人化の流れはどうなるのか」などの、つまずきやすい疑問を整理しました。

 

これまで解説してきた内容を踏まえつつ、制度の違いや注意点を改めて確認し、自身の状況に当てはめて考える際の参考にしてください。

 

(1)合同会社は個人事業主ですか?

合同会社は個人事業主ではありません

 

合同会社は会社法に基づいて設立する法人で、法律上の人格(法人格)を持ちます。これに対して個人事業主は、法人を作らず個人のまま事業を行う形態です。

 

この「法人格の有無」が、社会的信用、税制、責任の範囲などの違いにつながります。

 

なお、合同会社の経営者が個人事業主を兼ねることはあっても、合同会社そのものが個人事業主になるわけではありません

 

(2)個人事業主と合同会社ではどちらが得?

どちらが得かは、所得額や事業の状況によって変わるため、一概に断定はできません

 

一般に、所得が低い段階では設立費用や維持コストの少ない個人事業主が有利になりやすく、所得が増えてくると法人化によって税負担を抑えられる可能性が出てきます。

 

目安となる課税所得の金額は、695万円~900万円です。

 

695万円を超えると所得税率が23%の区分に入り、900万円を超えると33%に大きく上がるため、この金額前後から法人化を比較検討する人が多い傾向にあります。

 

ただし法人化すると、社会保険料(会社負担分を含む)や経理・申告の負担が増えるため、税率だけで判断せず、総コストで試算して決めることが重要です。

 

(3)個人事業主から合同会社への切り替えの流れは?

個人事業主から合同会社への切り替えは、一般的に、合同会社の設立手続きと個人事業の廃業手続きを並行して進めます。

 

法的に「切り替え」という制度はありません。新たに法人を設立し事業を移管するという形をとるため、両方の手続きが必要です。

 

個人事業主から合同会社への切り替え手順は次の通りです。

 

  1. 1.合同会社の定款作成・資本金の払込み・法務局への設立登記申請を行う
  2. 2.設立後、税務署へ「法人設立届出書」(必要に応じて青色申告の承認申請など)を提出する
  3. 3.個人事業で使っていた資産を合同会社へ売却または現物出資する
  4. 4.事業の引き継ぎの完了後、税務署に個人事業の「廃業届」や青色申告の「取りやめ届出書」などを提出する

 

許認可が必要な事業の場合は、法人として再度取得し直す必要がある点にも注意しましょう。

 

まとめ

腕を組み、将来を考えるような表情で立つ男女2人

合同会社と個人事業主は、税金だけでなく、社会保険、責任の範囲、信用度、事務負担まで含めて違います。どちらが正解かは一律ではないため、まずは「何を優先したいか」を整理して検討しましょう。

 

スモールスタートで独立したい・資金の自由度を重視したいなら個人事業主が向きます。

 

一方、法人取引が必要になってきた・雇用や拡大を考えている、などの状況であれば、合同会社を比較検討するタイミングです。

 

本記事で整理した判断軸に沿って、まずは「個人のまま進めるか」「法人化するか」を決め、必要に応じて試算して次の一手につなげてください。

 

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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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