小泉元首相から学んだ、「正しい姿勢を貫くこと」と「心に残る伝え方」。

作成日:2017年10月24日(火)
更新日:2017年10月24日(火)

母校・慶應義塾大学の卒業生が集う会で、小泉元首相の講演を拝聴してきました。メッセージの伝え方や、柔軟に考えるからこそ手にできる「真実に基づいた正しさ」、日本のみらいに至るまで、考えさせられることがたくさんありました。

慶應義塾大学はさまざまな卒業生が集う会が催されており、卒業生同士の交流が活発です。私自身もそういった会には何度か参加していますが、先週は慶應卒のベンチャー経営者が集まる『ベンチャー三田会』が開催され、参加してきました。数年前から参加していますが、今回は記念すべき第10回目の会ということで、小泉純一郎元内閣総理大臣が講演にいらっしゃっていました。
 

小泉さんは慶應大学卒でして、後輩たちにメッセージを、ということでいろいろなことをお話いただきました。小泉さんが内閣総理大臣を退任されてからもう10年が経つのかと思うと、時間が経つのも早いものだなと改めて感じたりもします。さて肝心の内容についてですが、「さすが小泉さん!」でして、参加しているベンチャー経営者の方々が食い入るような視線を向け、話に聞き入っていました。
小泉元首相 慶応講演3

メイン・トピックとしてお話されていたことは『原発』。首相時代、小泉さんは原発を支持していましたが、3.11以降は脱原発を主張するようになっていらっしゃり、支持派から反対派に至った経緯や小泉さん自身の心の変化についてお話されていました。
かつて自分が主張していたことと真逆の主張を公にすることはなかなか出来ることではないと思いますが、過去の自分を肯定しながらも その時に「正しい」と思う事をしっかりと主張するという姿勢は、なかなか勉強になりました。

また「事故は必ず起きる前提で物事は考えるべきだ」という考えをおっしゃっていましたが、この考え方は仕事に通じる部分が多いなと思いました。日本には「雨降って地固まる」という諺がありますが、仕事をしている上では、トラブルなどが生じた際、それから逃げ出さず真摯に向き合ったことで良い方向に向かったということを何度か経験しました。
もちろんトラブルが起きないことが一番なのですが、どうしても回避できない時もあるものですので、重要なのは『起きた後にどのように対応するのか』ですね。トラブルを起こしてしまったことがあるクライアントの方とは、その後良い関係を築けることも意外と多いものです。それこそ、マイナスが最終的にプラスに転じる「雨降って地固まる」ということではないでしょうか。

小泉元首相 慶応講演5ただし、絶対に起こしてはならないトラブルがあります。例えば個人情報や機密情報の流出。これらのことが生じると企業は存続の危機に陥りますので、そのようなリスクについては、人為的な間違いは起きようがない業務プロセスを構築する、といった発想が必要だと感じます。このように『取って良いリスク』と『取ってはならないリスク』を混在せず、適切なリスク管理をすることが大事ですね。

小泉さんと言えば、「自民党をぶっ壊す」「感動した」「構造改革なくして成長なし」など頭や心に残るフレーズをいくつも残してこられた記憶があります。講演でも聞いている側に伝わるよう、心に残る語り方をしている印象でした。たとえば福井県にある高速増殖炉“もんじゅ”のコストが高い、一日5000万円の維持費がかかっているという話をするときには、この“5000万円”が記憶に残るようフレーズとして数回盛り込み講演されていました。このキーとなるメッセージを繰り返すなど、小泉さんのキャラクターをしてどのようにすれば人に伝わるのかというのを知り尽くされている印象を抱きました。なるほどなぁと感心しながら講演を聴き、全く同じようなプレゼンテーションが出来るわけないですが、私自身のキャラクターに合った伝え方を試行錯誤しながら追求していってみよう、と心の中で思ったりしました。
さて講演の後半では、「日本人はピンチをチャンスに変えることがうまい」という点を取り上げ、事例として日本は太平洋戦争を経てアメリカと近づき、また高度経済成長を遂げたことや、オイルショックを経て省エネやエコカーなど環境ビジネスで躍進したことなどをお話されていました。もちろん簡単にこれらのピンチを乗り越えてきたわけではなく、先人の努力と強い想いがあってこそ成し遂げて来られたことですが、この「ピンチをチャンスを変える」という発想はとても大切だと感じています。

小泉元首相 慶応講演2日本は世界で最も高齢化が進んでいく国だと言われていますが、それに伴いさまざまな社会問題が生じてくることでしょう。社会保障制度などもそうですが、労働人口の低下なども大きな課題となってくるはずです。そしてこれらの社会問題を世界に先んじて解決するイノベーションを起こすことが、今後の日本を支える産業になっていくのかもしれません。

私たちみらいワークスは、当社のビジョン『“プロフェッショナル人材が挑戦するエコシステム”を創造する』を実現し、フリーランサーや起業家を支える社会インフラを創っていくことが今後の日本を支える仕組みになっていくと信じ、日々活動していますが、その過程にはさまざまな壁が待ち受けていることでしょう。ビジネスを進めていると本当に色々なことが起きますが、そういった大変なことも、みらいの日本の仕組みを創る上で必要なプロセスであり、そこに繋がっていることを忘れないようにしたいですよね。一つ一つの困難を乗り越えるたび、私たちのビジョンの実現に近づいたのだと心に留めながら、みらいの社会の仕組みをつくるため一歩ずつ進んで行きたいと思います。