″本を読む″目的は?自らの『読書の仕方』をコンサルティング~大切なのは、本を読んだ「その後」~

作成日:2017年10月17日(火)
更新日:2017年10月17日(火)

目標冊数を決めるのは一見効果的ですが、『目標達成するための』読書になってしまっては本末転倒です。自分にとって『本当の効果』を得られる方法を考えてみましょう。

私は読書が好きです。起業を決めた10年ほど前から習慣化して読書を続けるようになりました。といっても習慣が身に着いたのは30代からで、20代の頃は「本を読みたい」と思ってはいましたが、なんだかんだで仕事に直結するところでしか読んでいませんでした。アクセンチュアに在籍していた際は、コンサルタントという仕事柄、仕事に関係がある本はかなりの数、目を通さざるを得なくて、特に戦略グループに転籍してからは読む機会が増えました。
 

例えば、某携帯会社のコールセンターの今後のビジョンを検討するプロジェクトにアサインされた際は、すぐに本屋に行って関係しそうな本を10冊くらい買い込み、一週間以内には流し読みしてプロジェクトで使えそうなところにはポストイットを張りながら、エッセンスを理解する。そんなことを繰り返していました。

みらいワークス岡本祥治(りんご)「仕事に直結しないところでも本は読みたい」と思って書籍を買い込んだりもしていましたが、結局全く読むことが出来ず、狭い部屋にただただ本が積みあがるだけでした。

読書を習慣化するにあたり考えなければならないと思ったのは、読んだ内容をどうやって自分で身に着けるか、振り返るか、糧としていくのか、ということでした。正直なところ、昔は読んで終わりになってしまっていて、「良いことが書いてあった」とは思っても、それを実践する、身に着けていくことが出来ませんでした。そんな日々が続き、どうしたものかなと考えていたときに、まさしく『読書方法』について書かれた本に出会いました。

数冊を読み込んで、そこに書かれていたことを実践することで徐々に得た情報を体に染み込ませることができ、またペース良く読めるようにもなっていきました。

読書方法は人によってさまざまだとは思いますが、私にとって最も重要なことは″読むペースの見える化″でした。要は「年間で何冊読むか」を決めて、あとは読んだ本のタイトルをひたすらEXCELに書きだしておく。私は目に見える目標があるとそれに向かって走ることができるようでして、この方法を取り入れてからは予定していたペース通りに読めるようになりました。

みらいワークス岡本祥治(人)起業したての最初の頃は『月10冊』と決めて読み始めまして、2008年は120冊、2009年には98冊というペースで読んでました。が、2010年には26冊、2011年はなんと5冊!! 最初は良かったのですが、個人コンサルタントとしてプロジェクトにどっぷり入る時期などは全然読むことが出来なかったりで・・・という言い訳を自分にしてしまい、結果として読書の習慣が一旦は破たんしてしまいました。

その時に何が起きていたのかなと振り返ったりもしたのですが、2008年~09年の頃は『冊数をこなすこと』が目的になってしまっていて、ついつい200ページ~250ページくらいの2時間程度で読める本を選んだりもしていました。400ページくらいある本で読みたい本も買ってあったのですが、倍くらい時間が掛かると思うとついつい避けてしまっていましたが、これでは本来の読書の目的とかけ離れてしまい、「目的と手段を逆転させてしまっていたなぁ」なんて反省をしたものです。その結果として、本を通して身に着くことも減ってしまうので自分自身も読書に意義を感じなくなり、読む冊数も減る・・・という悪循環に(笑)

これではマズイと思いまして、まず読む冊数を、自分にとって無理のないペースに変えました。そして、その年読みたい本はあらかじめリストに入れておく(買い置きして、次に読む棚に置いて見えるようにしておくのです)ことや、読んだ内容の振り返りを習慣化するといったことに取り組むようになりました。

数年いろいろと試してきましたが、この三年ほどは年間52冊、つまりは週1冊のペースで落ち着いてきていまして、これくらいが今の私にとってはちょうど良いみたいです。もちろん仕事の忙しさや、プライベートでの変化などがあればペースを変えることもあるとは思いますが、その時に合わせた自分なりのペースを見つけることが大切なのだなと改めて感じています。

みらいワークス岡本祥治(本から煙)読んだ本の中身の身に着け方についてはまた別の機会に書くことにしようと思いますが、何冊も本を読み続けると、自分自身が良いと感じる本の傾向もわかってきます。

読む本はビジネス書が中心ですが、良いなと思う本の特徴は二つ。一つ目は物語調で書かれているものです。ストーリー・テリングという言葉もありますが、たとえば組織のマネジメントについての本はかなりの数がありますが、ストーリーに沿って書かれているもののほうが響いてきます。そして二つ目は、定量的な数字や検証に基づいて書かれている本です。本の中には経験則で書かれているものも多いですが、それよりはしっかりとした数字に基づいて論理展開している本のほうが響いてきます。

最近はみらいワークスの社員から勧められた本を読むこともありますが、人から勧められた本は『その人が何を大切にしているのか』という事も見える気がして、そういった視点で読んでみるのも違う面白さがありますよね。

ご縁があってビジネス上でお付き合いさせていただいている方が書いた本を読むこともありますが、内容について本人からさらに詳しく聞けたりする時もまた興味深いなと感じたりします。今年は年間52冊に向けてややビハインド気味で、あと二ヶ月半で17冊を読む予定ですが、薄めの本ばかりを手に取ることなく(笑)、読書を楽しみたいと思います。