フリーランスは家賃を確定申告で経費にできる?按分の考え方と計算手順
作成日:2026/02/25
自宅で仕事をしているフリーランスは、家賃の一部を経費として計上できます。適切に按分すれば、所得を抑えられ、節税効果も期待できるものです。
ただし、経費にできるのは「事業で使用している分」だけです。全額を計上できるわけではなく、合理的な根拠に基づいて割合を算出する必要があります。
この記事では、家賃を経費にするための家事按分の考え方、具体的な計算方法、確定申告での処理、注意点までをわかりやすく解説します。
目次
■フリーランスの家賃の経費は「事業で使う分」だけ
(1)家事按分とは?事業と私用を分ける基本ルール
(2)家事按分が必要になる主な費用
■家賃を経費にするための家事按分|2つの計算方法
(1)床面積で按分する方法
(2)使用時間で按分する方法
(3)家賃割合に「上限」はある?
■【状況別】家賃以外に経費にできる費用一覧
(1)賃貸の場合に対象となる費用
(2)持ち家の場合に対象となる費用
■フリーランスが家賃を経費にする際の仕訳方法
(1)勘定科目は「地代家賃」で仕訳する
(2)【仕訳例】家賃10万円・事業割合40%の場合
■家賃を経費にする際の5つの注意点
(1)敷金は経費にならない
(2)住宅ローンの元本は経費不可
(3)住宅ローン控除との関係に注意
(4)親族名義の物件は原則経費にならない
(5)按分の根拠資料を保管する
フリーランスの家賃の経費は「事業で使う分」だけ

自宅兼事務所として物件を利用している場合でも、家賃の全額を経費にすることはできません。
税務上、経費として認められるのは「事業を行うために直接必要な部分」に限られます。つまり、仕事で使っているスペースや時間に応じた金額のみが対象です。
プライベートの生活費と事業の支出を明確に分け、その根拠を説明できる状態にしておくことが重要です。
家事按分とは?事業と私用を分ける基本ルール
家賃のように、業用と私用が混在する支出を一定の基準で分けることを「家事按分」といいます。按分する際は、「客観的で合理的な基準」を大切にしましょう。
たとえば、
- ・自宅全体の面積に対する仕事部屋の割合
- ・1日のうち事業に使っている時間の割合
など、第三者が見ても納得できる計算方法を用いる必要があります。「なんとなく半分」など曖昧な設定では、税務調査で否認される可能性があるので注意が必要です。
家事按分が必要になる主な費用
家事按分の考え方は、家賃だけに限りません。以下のような費用にも適用されます。
- ・電気代・ガス代・水道代
- ・インターネット回線費
- ・共益費・管理費
自宅兼事務所で事業を行う場合、多くの支出が按分対象になります。
そのため、最初に按分ルールを整理しておくことが、後の経理処理をスムーズにするポイントです。
家賃を経費にするための家事按分|2つの計算方法

家賃を経費にするためには、事業で使用している割合を合理的に算出する必要があります。按分方法にはいくつかの考え方がありますが、実務上よく使われるのは「面積」と「時間」を基準とする方法です。
ここでは、家賃の家事按分に用いられる代表的な2つの計算方法と、その注意点を解説します。
床面積で按分する方法
最も客観性が高く、税務上も説明しやすいのが「床面積」で計算する方法です。計算式は、「事業用スペースの面積÷自宅全体の総面積」です。
たとえば、総面積60㎡の自宅で15㎡の部屋を仕事専用として使用している場合、「15㎡ ÷ 60㎡ = 25%」となり、家賃の25%を経費として計上できます。
明確に区分された仕事部屋がある場合は、この計算方法がもっとも合理的と言えます。
ワンルームの場合は区分が難しいため、使用スペースを図面などで説明できるようにし、実態に即した割合を設定する点が重要です。
使用時間で按分する方法
専用の仕事部屋がない場合は、「使用時間」を基準にする方法もあります。計算式は、「1週間の事業時間 ÷ 168時間(1週間の総時間)」です。
たとえば、週40時間仕事をしている場合は、「40÷168≒約24%」となります。
ただし、時間按分は面積按分に比べて主観的と判断される可能性があります。業務日報や作業記録など、時間を証明できる資料を残しておくと安心です。
家賃割合に「上限」はある?
家賃の事業割合に明確な法定上限はありません。
ただし、一般的な在宅ワークでは、極端に高い割合を設定すると合理性が問われる可能性があります。
重要なのは「平均的な目安」ではなく、自身の事業実態に基づいた根拠を説明できることです。
たとえば、
- ・自宅の半分以上をスタジオや在庫保管スペースとして使用している
- ・来客対応のために専用スペースを設けている
といった明確な理由があれば、高い割合が妥当と判断されるケースもあります。最終的には、税務調査などで説明できるかどうかが判断基準になるのです。
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【状況別】家賃以外に経費にできる費用一覧

自宅兼事務所で事業を行う場合、家賃以外にも按分できる費用があります。家事按分の考え方を正しく理解していれば、計上漏れを防ぎ、適切な節税につながるでしょう。
ここでは、賃貸・持ち家それぞれで経費にできる代表的な費用を整理します。
賃貸の場合に対象となる費用
賃貸物件では、家賃以外にも按分対象となる支出があります。主なものは、次のとおりです。
- ・管理費・共益費
- ・更新料
- ・火災保険料
- ・礼金(一定額以上は繰延処理)
これらは、家賃と同じ事業割合で按分します。
持ち家の場合に対象となる費用
持ち家でも、事業割合に応じて経費にできる項目があります。
- ・固定資産税
- ・建物の減価償却費
- ・火災保険料・地震保険料
- ・住宅ローン利息
注意点として、住宅ローンの元本部分は経費になりません。対象となるのは利息部分のみです。
フリーランスが家賃を経費にする際の仕訳方法

家事按分で算出した家賃は、帳簿に正しく仕訳する必要があります。処理方法を誤ると、経費が正しく反映されません。
勘定科目は「地代家賃」で仕訳する
事業用として按分した家賃は、経費の勘定科目である「地代家賃」として仕訳するのが一般的です。
一方で、プライベートで使用している分の家賃は、事業用の経費にはあたらないため「事業主貸」という勘定科目で処理します。
この書き方にすることで、一つの支出から事業用の経費と個人用の支出を明確に区別して帳簿に記録できます。
【仕訳例】家賃10万円・事業割合40%の場合
具体的な書き方を例で確認しましょう。家賃10万円を普通預金から支払い、事業使用割合が40%の場合、帳簿には次のように記帳します。
まず、経費分として「地代家賃」が4万円、プライベート分として「事業主貸」が6万円となります。
(借方)地代家賃40,000円/(貸方)普通預金100,000円
(借方)事業主貸60,000円
このように仕訳することで、10万円の支出のうち4万円が事業の経費として計上されます。
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家賃を経費にする際の5つの注意点

家賃を経費にできるとはいえ、計上方法を誤ると否認や修正申告につながる可能性があります。特に持ち家の場合や親族名義の物件などは、判断を誤りやすいポイントです。
ここでは、家賃を経費にする際に押さえておくべき主な注意点を解説します。
敷金は経費にならない
賃貸契約時に支払う敷金は、原則として退去時に返還される性質のものです。そのため、支払時点では経費にならず、「差入保証金」などの資産として計上します。
退去時に原状回復費用などが差し引かれた場合、差引額は修繕費として経費計上できます。
なお、礼金は返還されない支出のため、原則として支払時に経費計上が可能です。一定額以上の場合は繰延資産として処理するケースもあります。
住宅ローンの元本は経費不可
持ち家の場合、住宅ローン返済額の全額を経費にすることはできません。
経費にできるのは、ローンの「利息部分」のみです。元本は建物の取得にかかる資本的支出(借入金の返済)とみなされるため、経費にはなりません。
返済予定表などで、元本と利息を正確に区分して処理する必要があります。
住宅ローン控除との関係に注意
持ち家で事業を行う場合、住宅ローン控除との関係にも注意が必要です。
住宅ローン控除は居住用部分に適用される制度であり、事業使用割合が一定以上になると適用要件を満たさなくなる可能性があります。一般に、事業使用割合が50%を超える場合は適用できないとされています。
経費計上による節税効果と、住宅ローン控除のメリットを比較したうえで判断することが重要です。
親族名義の物件は原則経費にならない
生計を共にしている親族が所有する物件に対して家賃を支払っても、原則として経費にはなりません。
同一生計内での支払いは、事業上の対価ではなく家庭内の資金移動とみなされるためです。
ただし、生計を別にする親族に対し、相場に基づく適正な家賃を支払う場合などは、個別判断となります。
按分の根拠資料を保管する
家賃を経費にする場合は、按分割合の根拠を説明できる資料を保管しておく必要があります。
- ・賃貸借契約書
- ・住宅の面積が分かる図面
- ・家賃の振込明細や領収書
これらは税務調査で確認される可能性があります。確定申告後も、法定保存期間に従って保管しておきましょう。
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まとめ

フリーランスが自宅の家賃を経費にできるのは、「事業で使っている分」だけです。重要なのは、面積や時間など合理的な基準で家事按分を行い、その根拠を説明できる状態にしておくこと。
賃貸か持ち家かによって経費にできる項目は異なり、住宅ローン控除との関係など注意すべき点もあります。正しく理解して処理すれば、家賃の経費計上は有効な節税対策になります。
経費管理や確定申告を適切に行うことは、フリーランスとして安定して働き続けるための土台です。
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