ERPコンサルタントとは?年収相場や将来性、キャリアパスについて解説
作成日:2024/06/27
- 「ERPコンサルタントの年収はどのくらい?」
- 「ERPコンサルタントは将来性があるの?」
という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
- ・ERPコンサルタントの年収相場
- ・ERPコンサルタントの将来性
- ・ERPコンサルタントのキャリアパスは?
の順に解説します。
現在、ERPコンサルタントの方、ERPコンサルタントへの転職を検討している方に役立つ記事です。ぜひ最後までご覧ください。
目次
■ERPコンサルタントについて
そもそもERPとは?
SAPコンサルタントとの違い
■ERPコンサルタントに必要なスキル
ERPパッケージに関する知識
企業の業務に関する知識
コミュニケーションスキル
問題解決能力
■ERPコンサルタントにおすすめの資格
応用情報技術者試験
SAP認定コンサルタント資格
ORACLE MASTER
ITストラテジスト
簿記検定試験
中小企業診断士
MBA
■ERPコンサルタントの将来性
SAPの2027年問題
企業のデジタル化への取り組み
■ERPコンサルタントになるには
ERPエンジニアから転職する
他分野のコンサルタントから転職する
未経験からERPコンサルタントに転職できる?
■ERPコンサルタントのキャリアパスは?
ERPコンサルタントの上位職を目指す
他のコンサルティングファームへの転職
SAPコンサルタントへの転職
ITコンサルタントへの転職
事業会社への転職
フリーランスへの転身
ERPコンサルタントについて
ERPコンサルタントについてERPの意味、仕事内容、類似した職種との違いを解説します。
そもそもERPとは?
ERPとは(Enterprise Resource Planning)の略称で、「企業資産計画」と訳されます。「ERPシステム」「統合基幹業務システム」「基幹システム」など、複数の呼称があります。本記事ではERPシステムと表記します。
企業の基幹業務には会計・人事・生産・物流・販売があります。これらの業務は部門ごとに処理が行われていましたが、各部門の処理を統合して効率よく運用するために誕生したのがERPシステムです。
SAPコンサルタントとの違い
ERPコンサルタントと類似した職種にSAPコンサルタントがあります。SAPとはドイツのSAP社が提供するERPシステムのことです。
ERPコンサルタントは、さまざまな企業が提供するERPシステムに精通したコンサルタントを指し、SAPコンサルタントはERPコンサルタントの中の1つで、SAP社のERPシステムに特化したコンサルタントのことです。
ERPコンサルタントの年収相場
ERPコンサルタントとして働いている方、これからERPコンサルタントに転職を考えている方にとって、ERPコンサルタントの年収相場は気になることの1つでしょう。
求人サイトでERPコンサルタントの年収を調べたところ、2024年5月現在、ERPコンサルタントの平均年収は550万円ほどでした。400万円〜1,100万円と年収の幅は大きくなっています。
これらはERPコンサルタント未経験の求人です。ERPコンサルタント経験者や他の職種のコンサルタント経験者、ERPコンサルタントの経験がなくてもERPエンジニアや業務に活かせる資格を取得している場合はこちらで紹介した年収よりも、より高収入な転職ができる可能性があります。
ERPコンサルタントに必要なスキル
ERPパッケージに関する知識
ERPパッケージとは、ERPシステムのことですが前述したSAPの他にOracle EBS、Microsoft Dynamicsなど、さまざまな企業が提供しているERPシステムに関する知識のことです。一言でERPパッケージと言っても、それぞれ特徴や機能が異なるため、理解しておかなければクライアントの課題解決に最適な提案ができません。また、特定の業界に特化したERPパッケージもあるため、ERPパッケージに関する幅広い知識を身につける必要があります。
企業の業務に関する知識
クライアントとなる企業の業務に関する知識も欠かせないスキルの1つです。ERPシステムとは、企業の基幹業務を効率よく運用するためのシステムです。業務の詳細な内容は企業ごとに異なります。ERPコンサルタントがクライアントの業務内容に精通していないと最適なERPシステムを提案できません。クライアントごとに異なる業務内容を理解して、課題解決に最適なERPシステムを提案するにもクライアントの要望を正しく理解するためにも業務に関する知識もクライアントごとに身につけなくてはいけません。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、コンサルタントの基本スキルです。ERPコンサルタントはクライアント企業内部の人間だけでなく、必要に応じて外部のステークホルダーとも交渉などを行う場合があります。プロジェクトに携わる人たちと良好な関係を構築しつつ、こちらの意見を相手に正確に伝えて、相手の意見も引き出さなくてはいけません。これらのことを行うためにコミュニケーションスキルが欠かせません。
問題解決能力
クライアントがERPコンサルタントに求めるのは、抱えている課題の解決です。そのためには問題解決能力が不可欠です。分析・調査を行い明確になった課題の解決には、どのようなERPシステムを導入すれば良いのか、もしも、導入したERPシステムが想定した結果を出せない場合は、どのような改善策があるのかを的確に判断できる高い問題解決能力がERPコンサルタントには求められます。
ERPコンサルタントにおすすめの資格
資格がなくてもERPコンサルタントとして働けますが、客観的な知識の証明に資格は有効です。おすすめの資格を7つ紹介します。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験です。IT知識を応用して活用できるスキルが証明できます。試験は4つのレベルがあり、応用情報技術者試験は上から2番目のレベル3、合格率は25%前後と難易度が高い試験です。
ERPコンサルタントはクライアントに最適なERPシステムを提案するため、要件定義などの上流工程の知識が不可欠です。未経験からERPコンサルタントを目指す場合、要件定義などの上流工程の知識の証明に有効な資格です。
SAP認定コンサルタント資格
SAP認定コンサルタント資格は、ドイツのSAP社の認定資格です。SAPソリューションに関する知識が証明できます。SAPコンサルタントに不可欠な資格ですが、ERPコンサルタントにとっても欠かせない資格です。
アソシエイト・スペシャリスト・プロフェッショナルの3つのレベルがあり、資格の種類は3つのレベル合計で130種類以上あります。
どのレベルもERPコンサルタントとしての知識が証明できますが、プロフェッショナルは実践的な知識が証明できるため、キャリアアップにも活用できます。
ORACLE MASTER
ORACLE MASTERは、日本オラクル社の認定資格です。ORACLE Databaseの管理・運用に関する知識が証明できます。
ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナの4つのレベルがあり、これまでブロンズから順番に取得する必要がありましたが資格体系の変更でシルバーから受験が可能となり、ゴールドで必修だった研修が廃止されて試験合格だけで取得が認められます。資格の有効期限も廃止されるなど、受験者にメリットがある変更が行われました。
オラクル社の製品は国内シェアが高いため、キャリアアップにも有効な資格です。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、応用情報技術者試験と同じIPAが主催する国家試験です。試験の難易度は最も高いレベル4、合格率は15%前後です。
合格難易度が非常に高い資格ですが実践的なIT戦略の策定が可能な知識が証明できるため、ERPコンサルタントとしての活躍の場を広げることができます。
簿記検定試験
商工会議所の簿記検定試験で会計の知識が証明できます。企業の会計に関する知識の証明には2級以上の取得が必要です。取得に必要な勉強時間は200~250時間ほどとされています。未経験からERPコンサルタントを目指す場合、簿記検定を取得しておくと企業の会計に関する知識の証明に有効です。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営全般、成長戦略などを含めた適切なアドバイスが可能な知識を証明する国家資格です。コンサルティングスキルを証明する国家資格とも言えます。取得するには企業経営に関する幅広い知識を身につける必要がありますが、取得すればクライアントから信頼されやすくなり、マネジメントに関する知識も身につきます。
MBA
MBAは、「Master of Business Administration」の略称で、日本語では「経営学修士」と訳されます。MBAはよく資格と間違えられますが正しくは学位です。以前は海外のビジネススクールに通う必要がありましたが、最近は国内でも取得できるようになりました。
MBAを取得すると経営に関する実践的な知識が身につきます。取得するには数年間の受講期間と100万円単位の学費が必要となるため、勤務先の協力や学費を確保する必要があります。
ERPコンサルタントの将来性
ERPコンサルタントとしてキャリアアップを目指す、転職を考えている場合、気になるのが将来性です。結論を言えば、ERPコンサルタントは十分、将来性があります。その理由として以下の2つが挙げられます。
SAPの2027年問題
SAPの2027問題とは、2027年にSAP社の「SAP ERP 6.0」のサポートが終了することをさす言葉です。
日本国内だけで2,000社以上の企業がSAP社の製品を導入しており、これらの企業は追加のサポート料金を支払って、既存の製品を利用するか、後継となる製品または他社製品への移行が迫られています。この問題に対応するため、ERPコンサルタントが求められています。
企業のデジタル化への取り組み
もう1つの理由は企業のデジタル化への取り組みです。ERPシステムは基幹業務を一元管理して課題の解決と業務の効率化をするだけでなく、収集したデータの活用によって、デジタル化の実現に向けた業務改革を行うことができます。
企業のデジタル化が進むことでERPシステムの需要も高まり、同時に専門家であるERPコンサルタントの需要も高まります。
ERPコンサルタントになるには
ERPコンサルタントに転職するには、以下の3つの方法があります。
ERPエンジニアから転職する
ERPエンジニアは、ERPコンサルタントに転職しやすい職種です。ERPエンジニアはERPの開発から運用・保守まで、ERPシステムのすべてに精通しているため、コンサルタントに必要なスキルが身につけば転職の成功率が上がります。ERPエンジニアとして上流工程に携わった経験があれば、さらにERPコンサルタントへの転職の可能性が高まります。
他分野のコンサルタントから転職する
他の分野のコンサルタント経験者もERPコンサルタントに転職しやすい職種です。コンサルタントとしての実務経験と必要なスキルが備わっているので、ERPに関する知識を身につければスムーズに業務に従事できます。コンサルタントの中でもITコンサルタントは、経験と知識が評価されやすいため転職しやすくなります。前述したおすすめの資格を取得して、転職の成功率を高めましょう。
未経験からERPコンサルタントに転職できる?
未経験でも経験・知識次第で転職できる可能性があります。ERPコンサルタントの求人は即戦力となるERPエンジニアや他分野のコンサルタント経験が条件とされることがありますが、人材の確保と育成のために未経験者が採用されることもあります。
勤めていた企業でERPの導入・運用経験がある、経験はない場合はERPに関連する資格を取得していると採用される可能性が高まります。経験がない場合は資格を取得するか、取得に向けて勉強していることをアピールしましょう。
ERPコンサルタントのキャリアパスは?
ERPコンサルタントのキャリアパスには何があるでしょうか?ERPコンサルタントの主なキャリアパスを6つ紹介します。
ERPコンサルタントの上位職を目指す
1つ目は所属するコンサルティングファームで働き続けて昇進を目指すことです。コンサルタントはマネージャー以上に昇進すると、案件を獲得するための営業スキルが求められます。他に人材育成などコンサルタント以外のスキルも求められますが、成果を出すことで高収入が期待できます。
他のコンサルティングファームへの転職
現在、所属しているコンサルティングファームは上位職に空きがない、正当な評価をされていないと考えるなら、他のコンサルティングファームに転職することも選択肢に入れましょう。ERPコンサルタントの経験・スキルが活かせるためキャリアアップ、収入アップ、ワークライフバランスに優れた働き方が実現できる可能性があります。
SAPコンサルタントへの転職
SAP社の製品に関する専門知識を深めて、SAPコンサルタントへの転職もキャリアパスの1つです。ERPシステムに関する知識と実務経験があるので、スムーズな転職が可能です。特に現在は「SAPの2027問題」があるため、SAPコンサルタントは特需と呼べる状態です。
SAP認定コンサルタント資格を取得していれば転職の難易度が下がり、今よりも高収入を目指せる可能性があります。
ITコンサルタントへの転職
IT全般の知識を活かして、ITコンサルタントへの転職という選択肢もあります。ERPもIT技術の1つです。転職前に改めてIT知識を身につけるか資格を取得することで、SAPコンサルタントへの転職と同じように、これまでの経験・スキルも活かして働くことができるでしょう。
事業会社への転職
ERPコンサルタントの経験があると、事業会社への転職も可能です。ERPシステムのベンダー、または特定の業種ではなく、業務改革を担当する部署がある企業などです。どちらもERPコンサルタントの知識・スキルが活かせるため、即戦力と評価されて転職の成功率が上がるでしょう。
フリーランスへの転身
コンサルティングファームなどの組織に所属せず、自由に働きたいならフリーランスへの転身も選択肢の1つです。ERPコンサルタントとして経験とスキルを積んでいれば可能です。
フリーランスの案件獲得方法は人脈を活かして獲得する方法がありますが、フリーランスコンサルタント向けのサイトを活用すると、希望条件に沿った案件や好条件の案件に出会える可能性もあります。
まとめ
ERPコンサルタントは、クライアントの経営課題の解決に最適なERPシステムの設計・開発・導入を行い、業務の効率化を実現するのが仕事です。
SAPの2027年問題、企業のデジタル化への取り組みなど、ERPコンサルタントの需要は高く、フリーランスとして独立しても十分、活躍できます。
フリーコンサルタント.jpでは、フリーランスコンサルタントに向けて案件を紹介しています。業種、希望条件など、さまざまな条件から案件をお選びいただけます。稼働中のサポートも充実しています。活躍の場を広げたい方は、ぜひ、ご登録をご検討ください。
(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)