経営コンサルタントのキャリアパスは?関連資格や将来性を解説

作成日:2025/04/30

経営コンサルタントには、どのようなキャリアパスがあり、どういった資格が武器となるのでしょうか。

 

本記事では、経営コンサルタントになるためのコンサルティングファームでのキャリアパスや、必要な資格について解説しています。

 

平均年収や適した性格についても触れているので、経営コンサルタント、さらに起業を目指す人がどのような資格や素養を手にすれば明るい未来が開けるのか、参考にしてください。

 

目次

■経営コンサルタントとは?

 

■経営コンサルタントの4つのキャリアパス
(1)アナリスト・ジュニアコンサルタント
(2)アソシエイト・コンサルタント
(3)マネージャー
(4)パートナー・プリンシパル

 

■経営コンサルタントにおすすめの資格6つ
(1)中小企業診断士
(2)社会保険労務士
(3)公認会計士
(4)弁護士
(5)税理士
(6)経営士

 

■経営コンサルタントに必要とされる特徴6つ
(1)コミュニケーション能力
(2)体力や精神力
(3)ロジカルシンキング
(4)プレゼン能力
(5)実行力
(6)仮説思考

 

■経営コンサルタントの収入

 

■経営コンサルタントの今後の予測

 

■まとめ

 

経営コンサルタントとは?

タブレットを片手に考え込むビジネスマン

経営コンサルタントとは、クライアントの経営戦略をくみ取り、企業競争の中で生き抜くための方針を、提案や経営計画の実施に向けてアシストする仕事です。中長期経営計画にかかわることもあれば、事業戦略を企画することもあります。

 

コンサルティングファームに属し、クライアント企業の社員と協力して経営戦略を担うケースが多いでしょう。企業の社内コンサルタントとなり、業績アップやトラブル回避を請け負うポジションに就く場合もあります。

 

サービス業やスポーツ企業、外資系企業、農業、医療・福祉、運送業、建設業など、幅広いジャンルで必要とされています。

 

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経営コンサルタントの4つのキャリアパス

「CAREER」の文字と右肩上がりの矢印のイラスト

多くの経営コンサルタントは、コンサルティングファームに所属し、まず「アナリスト」としてキャリアをスタートします。

 

アナリストは、主にデータの分析や情報整理を担当し、経験を積む中でコンサルタントの補助業務にも取り組みます。このように、段階的にスキルを磨きながらステップアップしていくのが一般的です。

 

ここからは、経営コンサルタントとして独立する以外の主なキャリアパス・役職を4つ紹介していきます。

アナリスト・ジュニアコンサルタント

アナリストやジュニアコンサルタントは、情報収集や分析、資料作成を行うのが主な仕事です。基本的に、コンサルタントの指示を受けるアシスタントの立場です。

 

アナリスト・ジュニアコンサルタントは、未経験者や会社を経営したことのない人でも挑戦できます。新卒採用された新入社員が配属されるケースが多く、その後の若手人材の育成にも関わります。

 

アソシエイト・コンサルタント

アソシエイトやコンサルタントは、マネージャーの指導の下、プロジェクトを遂行しつつ、自らの判断に基づいて必要な情報収集や分析を行うのが主な業務です。

 

提言を行うことで企業のモチベーションを高め、個人レベルで業務への意識改革を働きかけます。必要な能力はアナリストの段階で培い、MBA採用者と同部署で業務に就くケースが多いです。

 

転職でアソシエイト・コンサルタントを目指す人もいます。

 

マネージャー

マネージャーはプロジェクトの責任者であり、顧客開拓が主な業務です。リレーションマネジメントに貢献しながら、知財開発を行います。人材の採用から教育、内部管理まで幅広く活動する職種です。

 

リーダーシップだけではなく、問題点を発見する洞察力と、それに関する必要な知識を取得していく姿勢が求められます。

 

パートナー・プリンシパル

パートナーやプリンシパルは、コンサルティングファームの共同経営者として、経営における重要な意思決定に関わります

 

労務管理、顧客開拓、オフィスマネジメント業務などが主な業務です。企業のプロジェクト運営に関する最終的責任者となり、社内の知財開発を測ります。

 

アルバイトから正社員まで人材の採用に携わり、従業員の教育を行って、仕事内容の評価など内部管理における主導的役割も担うのが特徴です。

 

営業方法を土台から考えるため、開業時から支えになる立場です。スタートアップ以外の企業では、魅力ある企業へ立て直すのが仕事と考えると良いでしょう。

 

経営コンサルタントにおすすめの資格6つ

字を書く手元と「SKILL」と書かれたブロックが積まれている

経営コンサルタントになるために、絶対に必要な資格はありません。ただし、取得しておくとコンサルティングファームやシンクタンク、企業の社内コンサルタントとして求職する際、有効な資格はあります。

 

これから紹介する資格は、経営コンサルタントに最適な資格ばかりですが、どれも難易度が高く取得までの道のりはなかなか厳しいのが実情です。

 

しかし、資格を取得することでコンサルティングの基本を理解でき、経営コンサルタントとしての市場価値が高まります

 

特に、独立・開業するキャリアを視野に入れている経営コンサルタントにおすすめの資格を、6つ紹介します。

 

(1)中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営状況を適切に評価し、課題の解決に向けた助言や提言を行う専門家です。企業の成長をサポートするために、収益構造の見直しやコスト削減、業務プロセスの改善など、多岐にわたる支援を行います。

 

中には個人事業主として独立開業し、企業のパートナーとして活躍する診断士も少なくありません。

 

中小企業診断士として活動するには、国家資格である中小企業診断士試験に合格する必要があります。試験では経営理論や財務分析などの幅広い知識が問われ、診断士としての基礎的なスキルが求められます。

 

中小企業診断士の主な職務は、経営戦略の策定支援や事業計画の作成支援などです。これにより、企業の競争力を強化し、将来的な成長を実現するための基盤を築きます。

 

また、新規事業の展開や資金調達に関するアドバイスを行い、経営者が意思決定を行う際の重要なサポート役を担います。

 

さらに、経営環境の変化に対応するため、業界動向や市場ニーズを分析し、企業が持続的な発展を遂げられるようサポートするのも重要な役割です。

 

このように、中小企業診断士は幅広い知識と実務経験を活かし、中小企業の経営改善や成長支援に貢献する存在です。

 

(2)社会保険労務士

社会保険労務士の仕事は、労働および社会保険に関する諸法令に基づいて帳簿を作成し、関連する手続きや申請業務を代行することです。

 

例えば、厚生年金の加入手続きや給与計算の補助を行うだけでなく、労務管理の改善に関するアドバイスを提供します。また、労働時間の管理や退職金の見直しなど、従業員の働きやすさや、将来の保障にも配慮した支援を行います。

 

これらの業務を通じて、企業の健全な経営の実現をサポートするのが、社会保険労務士に期待される役割です。

 

社会保険労務士も国家資格です。受験するには、「学歴」「実務経験」「指定の国家資格」のうち、いずれかの要件を満たしている必要があります。

 

例えば学歴による受験資格は、短大・大学・高等専門学校の卒業者に主に与えられます。専修学校(専門課程)で2年以上学び、総授業時間1,700時間以上を修了した場合や、短大卒と同等以上の学力が認められた場合にも受験資格があります。

 

通算3年以上の実務経験や、行政書士試験や司法試験予備試験などの関連分野の国家資格を取得している人も受験の対象です。

 

さらに、資格取得後、全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録するには、2年以上の実務経験を積むか、事務指定講習を修了する必要があります。

 

この登録を完了して初めて、社会保険労務士として正式に活動することが可能となります。

 

(3)公認会計士

公認会計士は、財務諸表の分析や確認を通じて、企業の適切な経営環境を維持する重要な役割を担っています。

 

主な業務は、企業の会計処理や監査を通じ、企業活動の透明性や信頼性を確保し、健全な経営運営をサポートすることです。投資家や株主をはじめとする利害関係者に対し、公正で正確な情報を提供する役割も果たします。

 

公認会計士になるには、国家資格である「公認会計士試験」に合格しなければなりません。

 

公認会計士試験を突破することで、財務諸表の作成や分析、監査などの専門知識と技能を身に付け、資本主義経済の公正性を支える専門家として活躍できます。

 

近年では、監査業務にとどまらず、経営コンサルティングや財務アドバイザリーといった分野でも活躍の場が広がっており、企業経営における重要なパートナーとして期待されています。

 

(4)弁護士

弁護士は、日本における最難関国家資格の一つとして広く知られています。

 

一般的には法曹界での業務を遂行するための資格と考えられますが、近年では中小企業診断士など他の資格を併せて取得して、より多様なキャリアを築く人も増えています。

 

例えば、企業法務を専門とする「インハウスロイヤー」として、法律だけでなく経営的視点を持つプロフェッショナルとして活躍するなどです

 

また、法律事務所に所属する弁護士が中小企業診断士資格を併せて取得することで、企業法務に特化したサービスを提供できる体制を整え、事務所の成長を後押しするケースも見られます。

 

このような弁護士は、法律問題の予防や解決に留まらず、経営課題へのアプローチも可能となり、クライアントからの信頼を一層深められるでしょう

 

弁護士の主な業務には、紛争処理や法的トラブルの予防、契約書の作成・レビュー、さらには企業の法的リスクの洗い出しと、その対応策の立案などが含まれます。

 

これにより、クライアント企業の法務面での安全性を高め、安定した経営を支える役割を果たします。

 

(5)税理士

税理士は、国家資格の中でも特に「独占業務」が認められている重要な資格です。税理士にしか行えない業務には、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」があります。

 

これらの業務を通じて、クライアントの税務に関する課題を直接解決する役割を果たします。

 

さらに、税理士は会計・財務・経営管理の分野における専門家として認知されており、これらの分野に関するアドバイスを提供することが可能です。

 

経営コンサルタントが税理士資格を保有している場合、企業へのコンサルティングサービスの幅が広がり、非常に有利に働くケースが多いです。

 

税理士試験の受験資格には、学識(学歴)、資格、職歴の3つの要件があり、いずれかを満たせば受験資格が得られます。

 

試験合格後には、2年以上の実務経験を積んで税理士として登録が可能になります。

 

また、弁護士や公認会計士、またはその資格を有する人は、試験を受けずに登録資格が得られます

 

(6)経営士

経営士は、歴史と伝統を持つ経営コンサルタント資格の一つです。経営士の資格を取得するためには、少なくとも5年以上の経営管理に関連する実務経験が必要であり、学生は受験できません。

 

経営士の試験は年に2回実施され、合格率は約70%と比較的高い傾向にあります。この高い合格率の背景には、受験者の多くが経営実務の現場で経験を積んだプロフェッショナルである点が挙げられます。

 

経営士資格を取得すると、企業からの信頼を得やすくなり、さまざまなビジネスシーンで大きなメリットがあります。

 

また、経営士資格の前段階として「経営士補」という資格試験も用意されており、ステップアップを目指す際に挑戦してみるのも良い選択肢です。

 

☆あわせて読みたい
『コンサルタント志望の人向けに解説!必要な11の資格とは』

 

経営コンサルタントに必要とされる特徴6つ

机にパソコンを置き話し合うビジネスマン

経営コンサルタントの導入は、大手企業や海外企業では一般化しています。未経験でも経営コンサルタントの求人に応募はできますが、難易度の高い資格取得以外にも重要視されるのが素養。性格や人間性などの特徴です。

 

どのような特徴の人物が経営コンサルタントに向いているのかをご紹介します。

 

(1)コミュニケーション能力

経営コンサルタントにとって、コミュニケーション能力は欠かせないスキルです。一部の業務においては、直接的なコミュニケーションが少ない場合もありますが、大半の仕事では、クライアントやチームとの円滑な意思疎通が求められます。

 

特に経営課題の解決においては、クライアントのニーズを正確に理解し、それを基に的確な提案を行う必要があります。

 

そのため、クライアントとの信頼関係を築く能力や、複雑なアイデアを分かりやすく伝えるプレゼンテーションスキルも重要です。

 

現代の企業では、「コミュニケーション能力が高い人材」が強く求められる傾向にあります。

 

コンサルタントを目指す段階から、インターンシップやアルバイト、日常生活を通じて積極的に多くの人と接し、コミュニケーションスキルを磨くようお勧めします。

 

(2)体力や精神力

経営コンサルタントは、企業の課題解決や成長支援を行う中で、日々多岐にわたる業務を同時進行で遂行する必要があります。

 

そのため、持続的に働ける体力と、困難な状況にも冷静に対応できる精神力が求められます。

 

また、クライアント企業のさまざまな立場の人々と協力しながら、働きやすい環境を整えたり、課題解決に向けた提案を行ったりすることも重要な職務です。

 

この過程では、多様な業界や分野に対する知識を吸収する好奇心や、失敗や壁に直面しても立ち直れる粘り強さが必要です。

 

経営コンサルタントとして成功するためには、心身の健康を保ちながら、柔軟性と忍耐力を鍛える努力が欠かせないと言えるでしょう。

 

(3)ロジカルシンキング

経営コンサルタントに求められる重要なスキルの一つが、ロジカルシンキング(論理的思考)です。物事を「結論」と「根拠」に分けて、冷静に分析する能力は、問題解決において欠かせません。

 

理論的なつながりを意識しながら、複雑な状況を多面的に理解し、的確な判断を下すことが求められます。

 

また、クライアントの意向をしっかりと聴き取り、その要望に応じた提案を行う一方で、矛盾点や潜在的な問題点を見抜く冷静さも必要です。

 

柔軟かつ冷静にアプローチし、最適な改善策を導き出すためには、客観的かつ構造的な思考が重要となります。

 

(4)プレゼン能力

経営コンサルタントの重要な業務の一つに、「クライアントの意向に基づき、改善案をプレゼンテーションで説明し、承認を得ること」が挙げられます。

 

プレゼン能力は、単に情報を伝えるだけでなく、提案内容を分かりやすく整理し、相手に納得してもらうスキルを指します。

 

具体的には、門的な内容をかみ砕いて説明し、企業改革の要点を的確に伝える能力が求められます。このスキルを磨くには、実際にプレゼンの場を積み重ねることが不可欠です。

 

また、YouTubeなどで有名な起業家やプレゼン講師の講義を視聴し、優れたプレゼンのテクニックを学ぶのも効果的です。

 

プレゼンには、魅力的で効果的な資料の作成も重要です。データやグラフを視覚的にわかりやすく提示し、丁寧で日常的な言葉を用いて内容を親しみやすく伝えるのがポイントです。

 

注目を引くレイアウトや図表、適切なビジュアルエフェクトを活用し、プレゼン資料のクオリティを高めるスキルも磨いておくとよいでしょう。

 

(5)実行力

経営コンサルタントには、実行力が必要不可欠です。3~6ヵ月ほどかかる中長期的なプロジェクトが一般的であるため、モチベーションもともに維持する意識が必要です。

 

実行力は、生まれ持った性格によるものだととらえられがちですが、一つ一つ行動を起こすことで身につけられます。口だけにならないよう、行動も伴ったコンサルティングを心がけましょう。

 

(6)仮説思考

限られた情報の中から有力な仮説を導き出す仮説思考力を身につけると、企業にとってメリットのある改善策を提案し、良い方向に導く変化をもたらせます。

 

社員がやりがいのある仕事を多く出来るように人材の配置を変えたり、働き方改革を取り入れたりする際に、仮説思考力のノウハウは必須です。どうやったら企業が儲かるか、マーケティングなどの情報を基に計画を立てましょう。

 

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『コンサルタント志望の人向けに解説!必要な11の資格とは』

 

経営コンサルタントの収入

植木鉢に水をやるビジネスマンと右肩上がりに伸びる矢印の形をした植物、収入が増えるイメージ

経営コンサルタントは、契約更新や就業年数が上がるごとに年収が上がっていくと考えてよいでしょう。

 

最も多い層は、年収500万~700万くらいですが、戦略提案の成功率や実効力によっても収入が上がる傾向があります。20代や30代で1000万を超える人も少なくないようです。

 

経営コンサルタントとして中途採用で転職する場合、顧問料や収入、契約書に記載されている報酬や料金、経費の費用や値段などに不自然な点がないか、きちんと確認しておきましょう。

 

 

 

経営コンサルタントの今後の予測

窓の外を見つめるビジネスマン

現在、市場では企業経営が不安定になりやすい時代が長く続いています。経営コンサルタントの需要は今後ますます広がっていくでしょう。

 

専門性の高い経営コンサルタントには、国や自治体の経営相談では対応しきれない企業の問題を解決していく能力が求められています。

 

地域の金融機関なども、無料で顧客である中小企業の経営相談に乗ってくれるものですが、効果が出にくいケースが多いのが現実です。

 

有料の経営コンサルタントには、こうした無料相談とさらなる差別化を進めていくことが必要とされるでしょう。

 

まとめ

握手をするビジネスマンの手元

経営コンサルタントは、実務を遂行しながら学ぶことが多い仕事です。勉強が楽しめる人に向いている業種といえます。

 

また、思考力や吸収力以外にも実行力や説明力が求められるため、常にインプットやアウトプットできる事柄を探す好奇心が必要です。つまり、資格取得や人間性の強化は避けられません

 

現在、ビジネス市場で需要の高まりを見せる経営コンサルタントとして独立も見据え、日々努力できるものを探していきましょう。

 

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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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