起業資金をクラウドファンディングで集めたい!そのために必要な準備とは?

最終更新日:2025/07/14
作成日:2017/08/21

会社から独立して起業を目指す人にとっての大きな悩みのひとつ、それは起業資金が足りないことでしょう。

 

今やさまざまな形での起業があり、事業内容によっては資金がほとんど掛からないビジネスもありますが、設備投資が必要なビジネスを立ち上げる際などはそれ相応の資金が必要です。

 

資金の調達でまず代表的なのは金融機関からの融資や補助金ですが、今ではクラウドファンディングで集める方法も広く知られるようになりました。

 

今回は、起業資金をクラウドファンディングで集めるための方法をご紹介します。

 

目次

■ますます一般的になってきたクラウドファンディング
(1)クラウドファンディングは資金集めの選択肢の1つ
(2)クラウドファンディングの市場規模は年々拡大中
(3)クラウドファンディングの成功事例

 

■起業資金をクラウドファンディングで集めるメリット
(1)個人でも資金調達ができる
(2)PRにつながる
(3)支援者との接点が持てる
(4)資金が集まらない時に手数料はかからない

 

■資金調達のために必要なマーケティングとは
(1)過去の成功事例を調べる
(2)PDCAを意識する
(3)クラウドファンディングとマーケティングの別の関連性

 

■クラウドファンディングを利用する際の注意点
(1)アイデア段階で公表するリスク
(2)資金が手元に入るまでに時間がかかる
(3)資金調達できないリスク
(4)調達した資金にかかる税金に注意

 

■クラウドファンディングを成功させるためには
(1)まずは身近な人達に応援してもらう
(2)すでに評価されているものは評価しやすい
(3)掲載期間を意識すること

 

ますます一般的になってきたクラウドファンディング

(1)クラウドファンディングは資金集めの選択肢の1つ

独立して自分の事業を始める方にとって、どうやって資金を調達するかは大きな課題。

 

資金調達するには、融資や助成金を検討するのが一般的ですが、最近では新しい資金調達方法の1つとして、クラウドファンディングも選択肢の一つとして上がるようになりました。自身でプロジェクトを組み起業資金を集めるという仕組みです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、「クラウドファンディング」(Crowdfunding)とは、Crowd(群衆)とFunding(資金調達)を組み合わせた単語。

 

つまり、銀行や投資家ではない不特定多数の人々(個人や法人)から、インターネットを通じてお金を集める方法です。

(2)クラウドファンディングの市場規模は年々拡大中

2015年は379億円程度だった市場規模は、2022年にはおよそ4倍の約1,642億円にまで拡大しました。2018年には2000億円を超えたこともあります。今後もクラウドファンディングは、ますます一般化されていくと予測されています(※1)。

 

(3)クラウドファンディングの成功事例

個人でも利用できて少額でもOKなクラウドファンディング。インターネットを通じて幅広く出資者から資金を集められるのが大きなメリットです。

 

クラウドファンディングを使って資金調達に成功した事例の中で、有名なもののひとつが「この世界の片隅に」

 

元々は2007年から2009年にかけて連載されていた漫画作品でしたが、2011年にドラマ化されたことで一般にも有名になり、2016年には映画化も果たしました。

 

ビジネスとしても成功したメディアミックスの代表例のような同作ですが、実は映画の制作時に資金不足に陥ってしまったそうです。

 

そこでクラウドファンディングサイトを通じて支援者を募集するプロジェクトが発足。プロジェクトの目標金額であった2,000万円の倍近い金額が集まり、無事に映画は完成しました。

 

映画も好評だったため、2019年8月にあらためてNHKでテレビでも放映され、ますます作品の知名度を上げたのです。

 

もしも、クラウドファンディングでのプロジェクトがなければ映画は完成せず、NHKでのテレビ放映もなかったかもしれません(※2)。

 

また、人気お笑い芸人であるキングコングの西野氏が仕掛けたクラウドファンディングも有名です。絵本の個展を入場無料で行うというプロジェクトが発足され、クラウドファンディングで資金を集めました。

 

その結果、目標の180万円を大きく上回る4,600万円もの資金が集まり、無事に個展は入場無料で開催されました(※3)。有名人が主催したプロジェクトとはいえ、個人でも数千万円を集められる好例と言えるでしょう。

 

ちなみに、これまでにアマチュアからプロフェッショナルな集団までさまざまな人達がクラウドファンディングで資金を集めようと試みましたが、成功率は全体の25%から40%程度と言われています。

 

 

起業資金をクラウドファンディングで集めるメリット

(1) 個人でも資金調達ができる

般人が少額でも投資家になれる、不特定多数の方からお金を集められるなど、ビジネスの幅が広がるクラウドファンディングにはさまざまなメリットがあります。

 

ひと昔前ならば金融会社の審査が通らなければ創業を諦めてしまったケースも、クライドファンディングでビジネスモデルに共感する人たちを獲得することで、資金調達できるという新しい可能性が生まれました。

 

クラウドファンディングという選択肢が増えたことは、起業を志すビジネスマンにとって大変喜ばしいことです。

(2)PRにつながる

クラウドファンディングで起業資金を募った場合、そのビジネスアイデアはクラウドファンディングのサイトやSNSなどのインターネットを通じて、多くの人に伝わります

 

そのため、起業資金を募っている段階で知名度アップが期待できます。この宣伝効果を十分に活用するために、情報発信などSNSを上手に活用しましょう。

(3) 支援者との接点が持てる

クラウドファンディングを通じて投資してくれた人は、少なからずプロジェクトに興味を持ってくれているということ。独立する前から支援者との間に接点が生まれることも大きなメリットです。

 

投資家、支援者との間につながりが生まれると、晴れて創業した際にあなたの会社に仕事を依頼してくれる可能性もあります。

 

また、クラウドファンディングが成立しなかったとしても、投資家との間に生まれたコミュニケーションは財産として残ります。人脈を広げる良い機会となるはずです。

(4)資金が集まらない時に手数料はかからない

プロジェクトが成立するのがなりよりですが、成立しなかった場合でも、多くのクラウドファンディングサイトでは審査や掲載まで無料でできます。

 

つまり、目標金額に達すれば望みは叶いますし、達しなかった場合でも無料。金銭面に関するリスクは低いといえます。

 

資金調達のために必要なマーケティングとは

(1)過去の成功事例を調べる

成功率が20%から40%と言われているクラウドファンディングですが、やみくもにエントリーをするだけではなかなか目標金額を集めるのは難しいでしょう。

 

資金調達のためには、プロフェッショナルな姿勢でマーケティングを行う必要があります。

 

特に重要なのが、過去の成功事例の調査です。自分と同じようなプロジェクトに成功例があるのならば、その成功したプロジェクトは良いお手本となるでしょう。

 

逆に、似たプロジェクトが失敗していたら、資金が集まらなかった理由を考え改案することで、より自身のプロジェクトを成功に近づけることができるかもしれません。

 

海外のクラウドファンディングでも、実にさまざまな事例があります。

 

進化系クーラーボックス「Coolest Cooler」は、大ヒットしたことで有名なプロジェクト。スマホ充電ができるUSB、LEDライトの搭載など、これまでのクーラーボックスでは考えられなかった機能が搭載されています。

 

このプロジェクトは、アメリカのクラウドファンディングサイト「Kickstarter」にて展開されました(※4)。

 

また、太陽の光を受けて動く宇宙船「LightSail」も、クラウドファンディングで資金調達を行いました。

 

このプロジェクトの魅力は、何と言っても「宇宙事業」に関わることができる点。出資者は宇宙船に名前が記されるなど、夢が広がるイベントも用意されていたそうです(※5)。

 

宇宙関連の仕事をするのは狭き門ですが、このような形で関わることができるのもクラウドファンディングならではと言えるのではないでしょうか。

 

活発になったとはいえ、クラウドファンディングにおいて日本はまだまだ後発組。海外のクラウドファンディングには、日本にはまだない多彩なプロジェクトがありそうです。

(2)PDCAを意識する

ビジネスにおいて常識であるPDCA。クラウドファンディングを成功させるために、今一度意識してみましょう。

 

特に重要なのはPlanですが、他の3つのポイントも疎かにはできません。準備段階で何度でも企画をブラッシュアップさせ、より多くの起業資金集めを目指しましょう。

 

また募集が始まった後も、メルマガや自身のブログ、SNSなどで情報を発信し続けることが大切です。

 

一度大きな宣伝をしただけで告知を終了させるのではなく、募集期間中は常に情報を発信し続けることが、プロフェッショナルとしての第一歩です。

(3)クラウドファンディングとマーケティングの別の関連性

クラウドファンディングは資金集めはもちろんのこと、マーケティングツールとしても活用できると話題になっています。

 

クラウドファンディングに登録すれば、その企画はより多くの人の目に触れます。否定的な意見を含む何らかの反応を見ることができるはず。

 

それらの反応の全ては、消費者ならびに顧客の生の声とも言えます。つまり、クラウドファンディングにエントリーすることで、コストをかけずに宣伝でき、テストマーケティングをすることもできるのです。最近ではこのようなプロジェクトを行う会社も増えているようです。

 

 

クラウドファンディングを利用する際の注意点

 

クラウドファンディングは手軽に資金調達に挑戦できる方法として注目されていますが、一方で利用する際には気を付けたいポイントがあります。

(1)アイデア段階で公表するリスク

インターネットを通じて広く支援者を募集するために、アイデア段階で広く世間にビジネスアイデアを公表しなければなりません。

 

アイデアや事業プランを公表すれば、もちろんPRにつながりますが、同時にアイデアや事業プランを他人に盗まれる可能性もあります。

 

特に、まったく新しいアイデアの事業を創業しようとするのなら、非常に大きなデメリットになってしまいます。

 

デメリットとメリットの両側面を見ながら、上手に活用しましょう。

(2)資金が手元に入るまでに時間がかかる

クラウドファンディングでは期間を決めて募集を行うのが基本。審査なども含めると数か月かかるケースも少なくありません。

 

銀行などからの融資と比べ時間がかかるケースもあるでしょう。そのため、なるべく早期に創業したいのであれば、時間とのバランスを十分に検討しましょう。

(3)資金調達できないリスク

クラウドファンディングでは、当然ながら募集しても思うように投資家からの賛同を得ることができず、創業のための融資が集まらないケースもあります。

 

もしも、プロジェクトが目標金額に達しなかった場合、創業時期が延びてしまうのと同時に、別の資金調達手段を考えなければなりません。

 

クラウドファンディングの利用自体は無料とはいえ、その後の計画を大きく見直す必要も出てくるでしょう。

(4)調達した資金にかかる税金に注意

クラウドファンディングが成功した場合、集めた融資金には税金がかかります。融資金にかかる税金は、リターンの内容や融資された金額によって異なるため、できれば専門家に相談したほうが確実です。

 

 

クラウドファンディングを成功させるためには

(1)まずは身近な人達に応援してもらう

ラウドファンディングを通じて融資してもらうためには、大勢の人からの支持を得ることが前提です。

 

そのためにも、まずは身近な人から支持されるように、自分自身とプロジェクトをアピールすることが大切です。身近な人を魅了できなければ、大勢を魅了することはできません。

(2)すでに評価されているものは評価しやすい

クラウドファンディングが普及してくると、一般的なサラリーマンでも「援助しても良い」と思うことも少なくないでしょう。

 

しかしながら、資金援助するプロジェクトはたくさんあります。ひとつのクラウドファンディングサイトをのぞいただけで、融資の対象はいくらでもあります。SNSを通じて資金募集を知ることもあるでしょう。

 

多くの選択肢が目の前にある時に、より注目が集まりやすいのは、既にある程度の金額が集まっているプロジェクトのようです。

 

人間の心理として、1円も集まっていないプロジェクトよりも、ある程度お金が集まっているプロジェクトのほうが魅力的に見えてしまいやすいのです。

 

「他の人も評価しているから」、人は既に評価されていることに価値を感じやすいのです。

(3)掲載期間を意識すること

クラウドファンディングの掲載期間は、一般的には30日から45日程度が多いようです。その掲載期間の中で、援助金がより集まりやすい時期が2回あると言われています。

 

1回目は、掲載当初の5日間前後。この期間に注目度が高ければ、目標金額に達する可能性も高まります。では、この5日間の注目度を上げるためにはどうすればよいのでしょうか。

 

ポイントは「事前告知」です。

 

公開前からクラウドファンディングを行うことを周知し、あらかじめプロジェクトに関心をもってもらえるよう工夫しましょう。そして、ある程度関心が高まったタイミングで公開することによって、良いスタートを切ることができるのです。

 

成功しているプロジェクトほど、クラウドファンディング公開前から準備を始めているそうです。

 

そして、2回目の援助金が集まりやすいタイミングは、最後の5日間と言われています。

 

特に、事前にプロジェクトを周知していた人々は仲間意識を抱いてくれていることも多いでしょう。「ファン化」している支援者達にとっても、援助金が集まるのかどうか気になる時期のため、支援者達が自ら宣伝してくれることもあるようです。

 

また、この時期はある程度の支援金は集まっているはず。その「目標達成まであと少し」という見せ方ができるこの時期が、もっとも支援が入りやすいと言われています。

 

「100万円達成まであと8万円」と聞いた時の「あと一歩」感を、このプロジェクトにかける思いと共にSNSなどで再度周知しましょう。「自分の支援が目標達成のカギを握るかもしれない」という気持ちを生み、支援の手を差し伸べてもらうことができるかもしれません。

 

最初の5日間と最後の5日間を上手に使い、クラウドファンディング成功の可能性を高めましょう。

 

まとめ

クラウドファンディングを通じて起業資金を得るための方法をご紹介しました。最近では、プロジェクトの数自体が増えているため、何らかの方法で注目を浴びることが、成功の秘訣になっているかもしれません。

 

事業を興す前段階として、クラウドファンディングの仕組みをどのように活用すればプロジェクト成功となるか、プロフェッショナルとしての腕試しとしても取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

※参照1:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3042https://statdb.jp/facts/29820
※参照2:https://www.makuake.com/project/konosekai/
※参照3:https://camp-fire.jp/projects/10837/view
※参照4:https://www.kickstarter.com/projects/ryangrepper/coolest-cooler-21st-century-cooler-thats-actually?lang=jahttps://relic.co.jp/battery/articles/997
※参照5:https://www.kickstarter.com/projects/theplanetarysociety/lightsail-a-revolutionary-solar-sailing-spacecrafthttps://nge.jp/2015/06/03/post-106300

 

(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

 

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