ブレインストーミング(ブレスト)の効果的な活用法とは

作成日:2016/11/16

 

ブレインストーミング(ブレスト)がうまくいかない?

コンサルティングファーム、一般企業でもお馴染みのブレインストーミング

 

日本でも昨今はすっかりお馴染みになった感のあるブレインストーミング、略称「ブレスト』。コンサルティングファームではない一般企業でも、「一度関係者でブレストやろうよ」などというフレーズをしばしば耳にするのではないでしょうか。

ブレインストーミングとは、ブレイン(Brain:脳)とストーム(Storm:嵐)とを組み合わせた造語であり、脳を激しく活動させて、アイデアを出し合う活動、という意味です。三人寄れば文殊の知恵、という言葉もある通り、複数名でアイデア出しを行う方が、数だけの問題ではなく、相互に触発されて新たな発想の切り口が生まれたりもします。

ところが、このブレインストーミング、いざやってみると、「盛り上がらず、陳腐な常識的アイデアしか出なかった。」「上長の独演会に終わってしまった。」「せっかく出たアイデアがそのまま放置され、忘れ去られた。」など、うまく活用できていないという声が案外と多いものです。これらは、参加者がブレインストーミングの目的を理解していないか、ブレインストーミングのやり方自体を間違えているか、いずれかが原因の場合がほとんどです。

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ブレインストーミングの目的と、効果的なやり方とは?

コンサルタントがブレインストーミングを行う目的

 

そもそも、コンサルタントがブレインストーミングを行う目的は、大きく分けて2つあります。

1つは、多様な観点からのアイデアや、アプローチ方法を収集する目的でのブレインストーミングです。この目的はコンサルティングファームに限らず、一般企業でもポピュラーでしょう。もう一つは、参加者で共に考えよう、皆同じ船に乗っているのだ、という一体感を醸成するのが目的でのブレインストーミングです。

前者のブレインストーミングは、言わば正統派、本流です。基本的には、社内のプロジェクトチームや、タスクフォース単位などで実施されるケースが多いことでしょう。テーマは、主催する人間が予めシッカリ考えておく必要があり、参加者は立場や肩書きに囚われることなく、忌憚のないアイデアを積極的に出し合い、発想を膨らませることが期待されます。それでも、ブレインストーミングに慣れていない参加者が多い場合、職位が上の参加者や、声の大きな参加者に場のイニシアチブを取られてしまい、自由闊達なアイデア出しができなくなる懸念があります。また、フリーランスのコンサルタントとしてプロジェクト稼働している場合、時にして意見を言い辛いこともあります。そのように慣れていない参加者が多い間は、発言時はポストイットにアイデアを書き出してボードに貼り付けてゆくなど、プレッシャーを感じない工夫をすると効果的です。

また、ブレインストーミングではテーマが広範になる程、収束させる難易度は高くなります。進行役(ファシリテーター)の力量次第ではあるにせよ、テーマを絞り込んで限定した方が、収束させやすくなるのは確かです。特に慣れていないうちは、テーマを狭い範囲に限定することを意識しましょう。

他方、後者の目的でのブレインストーミングの場合、参加者全員で意見を出し合うことにより、後の合意形成を容易にする狙いがあります。これは、コンサルタントがクライアントのキーパーソンと実施することも多く、ブレインストーミングの形を借りた一体感の醸成技術であり、プロジェクトを遅滞なく進めるための根回し術とも言えます。この手のブレインストーミングの場合、参加予定のコアメンバーで、本番同様のプレ・ブレインストーミングを予め何度か実施しておきます。どこを落としどころにするのか、事前に整理しておくわけです。この目的のブレインストーミングでも、本番では言わずもがな、参加者からの意見はオープンに受け容れます。それでも、最終的には予め想定しているフレームワークに意見を落とし込み、収束させるよう導くのです。

多少のブレは出るにせよ、コアメンバーが事前に想定していた範囲内に参加者の意見を集約させるので、後々の合意形成はスムーズになります。これは、利害関係を異にする参加者間での実施が、特に有効なブレインストーミングです。

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効果的なブレインストーミングを実施するための4つの基本ルールとは

効果的なブレインストーミングを実施するための4つの基本ルール

 

いずれの目的のブレインストーミングであれ、効果を出すためには基本ルールを守って実施することが大前提です。そうでないと、参加者の工数をいたずらに浪費して終わります。主な基本ルールは以下4つです。

(1)荒削りなアイデアを歓迎すること(突飛なアイデアも歓迎)
(2)出てくるアイデアの量を重視すること(質は量に伴う)
(3)アイデアの優劣・善悪の判断をしないこと(ジャッジメンタルの否定)
(4)出てくるアイデアを結合し発展させること(触発と改善を重視)

これら基本ルールを参加者間に徹底するためにも、職位が上の参加者が進行役を務めることは、極力避けた方が無難です。「今日はブレインストーミングだから、君らも好きにアイデアを出して良いぞ。」なんて上から目線で参加者に呼び掛けてしまうと、却って参加者に序列を意識させ、自分がこれを言って良いのかと躊躇させることになりかねません。立場・意見に優劣なく、一体感を持って自由にアイデアを出し合う、というブレインストーミングの大前提を崩さないためにも、参加人数は5~6名がベストで、多くても10名までに抑えるのがおすすめです。

もう一つ、ブレインストーミングのテーマはセンスの良い、収束させやすいものを選ぶことも大切です。収束させて、適切なフレームワークに落とし込めて、初めて有益なブレインストーミングだった、と参加者が気持ちを共有できるのです。いかに進行役のファシリテーションスキルが秀逸であったとしても、テーマがピント外れであったり、曖昧模糊としたものであったりすれば、ブレインストーミングの効果はガタ落ちになります。

 

アフター・ブレインストーミングの課題、終了後のアイデアの纏め方とは?

アフター・ブレインストーミングの課題、終了後のアイデアの纏め方

 

一般的な日本企業では、ブレインストーミングをやっても、やりっぱなしになってしまっていることが、まだまだ多いように見受けます。これはとても勿体ないことで、ブレインストーミングを効果的に収束させ、フレームワークに落とし込めたとしても、アフター・ブレインストーミングを意識していないと、せっかくの工数が無駄になりかねません。フリーランス、コンサルティングファーム出身如何に関係せずコンサルタントも使うことが多い、ブレインストーミング終了後のアイデアの纏め方を紹介しておきましょう。

まず、KJ法と言われるものがあります。元来はフィールドワークで収集した膨大な情報をカードに書き出して、結論を導き出す手法として、東京工業大学の名誉教授であった川喜田二郎先生が考案されたものです。ブレインストーミングで出たアイデアを1つずつポストイットなどに書き出し、グルーピングの考え方で小さなグループに纏めます。それを中ぐらいのグループへ、さらに大きなグループへと纏めてゆき、様々な関連するアイデアを組立てて、図解してゆく流れです。ボトムアップ型の思考整理方法と捉えることもできるでしょう。

このKJ法では、グループ間の関係性を示す図解化が肝であり、対立関係、原因・結果関係、並存関係など、各々のグループの関係性を視覚的に理解できるように、線や矢印で繋いだり、囲んだりします。そして、最後には叙述(文章)化を行います。前段階で図解して表現したものを、文書に落とし込むのです。このステップで、矛盾や誤解が明らかになったり、新たなアイデアが生まれたりもします。

もう一つは、マインドマップ法と呼ばれるものです。英国の著述家トニー・ブザン氏が考案した思考法であり、最初にコアとなるアイデアを中央に据え、これに放射状に枝を次々と書き足しながら、各々のアイデアを書き出してゆきます。KJ法とは逆の発想で、大きなグループから中くらいのグループへ、さらに小さなグループへとグルーピングを徐々に解いてゆくイメージです。こちらは、トップダウン型の思考の整理方法とも言え、KJ法よりもロジカルな色彩が強いアイデアの整理方法となります。

これら2つのアイデアの整理方法は、どちらが優れている、必ずどちらでなければいけない、という性格のものではありません。各々の特徴を理解した上で、どちらを用いるのかを、都度感覚的に決めれば良いのです。ブレインストーミングで出て来たアイデアをベースに、自由に発想を膨らませていくイメージならば、KJ法が良いかも知れません。反面、強いてある程度発想の幅を限定し、MECE的観点(漏れなくダブりなく)でアイデア整理をしたいならば、マインドマップ法が比較的適していると言えます。

 

ブレインストーミングは、その言葉が広く知れ渡ってはいるものの、まだまだ有効活用されていない場合が多いのが実態です。まずは、今回紹介させて頂いた基本ルールを、参加者が共有するところから始めてみてください。場数をこなす内に、少しずつでも今までのブレインストーミングが変わり始めることが実感できると思います。

ブレインストーミングの効果を高めるためには、ファシリテーションを担う進行役のみならず、参加者もある程度の場数を踏んで、場慣れすることも大切になります。コンサルタントが主導するブレインストーミングでさえ、効果不十分となることも当然あります。基本を押さえた上で、臆さずに数をこなしていきましょう。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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