苦手な人ほど距離を縮めてみると、プロフェッショナルとして新たな発見がある。

作成日:2017年8月1日(火)
更新日:2017年8月1日(火)

相手は自分を映す“鏡”。
「苦手」「やりにくい」時ほど、自分を変えるチャンスが詰まっているのです。

会社を経営していると、実にたくさんの方々と出会います。もちろんすべての経営者の方が同様ではありませんが、私の場合は、社内のビジネスネットワークを作る事や、1人でも多くの方にみらいワークスの存在と経営理念・ビジョンを知ってもらうことは自分自身の大切な仕事の一つだと考えているので、積極的に社外にも出て行きます。
そして多種多様な方と新たに出会うのですが、苦手なタイプの方と出会うこともあります。そんな時、仕事上での人間関係において気を付けていることがあります。それは、『自分から苦手な人や避ける人を出来る限り作らない』ということです。
 

過去を振り返ってみると人間関係で悩むことも多かったですし、仕事をしていて、実際に苦手な人はどの場所にも一人や二人はいた気がします。コンサルタントとしてプロジェクトに参画すると、クライアントとの関係が良好な時はいいですが、いつもいつもそんな状況ではありません。
15年ほど前、私がまだアクセンチュアに勤めていた頃、こんなことがありました。

プロフェッショナル

当時私は新卒2~3年目で25歳くらいでした。クライアント先に常駐し始めた直後、先方の担当者の方からの風当たりがかなり強い状況になり、「これは何なのだろう?あの人苦手だな・・・」と、若いなりに悩んだりしました。しかもそんな人に限ってキーマンだったりするのです。その為、仕事の進捗にも悪影響が生じたりしていて、上司からは「なんとかしてこい」とつつかれていました。しかし、「その方法は自分で考えろ」「それがお前の仕事だ」と言い放たれて、どうしたら良いのかわからない状況でした。

のちに、その担当者に近しい人と仲良くなり、その時のことについて聞いてみると、その担当者の方は、「外資系コンサルティング会社から若い人がやってきたが、あの年齢の若手に毎月数百万の高いお金を払っているかと思うと、ついつい風当たりを強くしてしまう」と思っていたとのことでした。もちろん会社勤めの立場でしたから自分がその報酬をもらっていたわけではありませんが、コンサルタントとして外部からクライアント企業に入り込むと、そういった見られ方をされることも多くありますので、プロジェクトの人間関係構築については常に試行錯誤を繰り返してきました。
6~7年ほど前までは私自身もフリーコンサルタントとしてさまざまなプロジェクトに参画していましたが、関西の大手メーカーのプロジェクトに参画していた際に、今も忘れられないこんな出来事がありました。
クライアントのほとんどがコテコテの関西弁を話す方々。「東京者が来たらしいで~」という歓迎はされていない温度感で、どうにもこうにも距離が縮まりません。しかし同じ場所で働いているのに「苦手だからコミュニケーションをとりたくない」と思ってしまうと仕事に悪影響を及ぼします。

「自分から距離を縮めにいかなければプロジェクトでパフォーマンスを発揮することが出来ないし、仕事は進まない・・・。」 毎日のようにその人達との関係性をどうしたらよいかを考えていました。そして悩んだ結果としてその時実際に行なったことは、一番攻撃的な人に対して、徹底的に距離を縮めにいくことでした。ランチにいくときは出来る限り隣に座ったり、バス移動する時も隣の席に座り、たわいもない話をするなど、些細なことから行ないました。仕事以外のところで会話する回数が増えると自然と距離が縮まるのではと思ったからです。正直、何を話したら良いか考えてしまう時もありましたが、話しているうちに自然と話題が見つかり、仲良くなれた気がしますし、次第に、仕事でも協力的になってくれました。

プロフェッショナルその時の気づきは二つ。
一点目は、「苦手だ」と感じてしまう人がいたとして、その人と接する際に「何故自分はその人を苦手だと思っているのか?」をよくよく考えてみると、自分の内面で新しい発見があったりして、むしろ面白いと感じるようになりました。苦手な人というのは『認めにくい自分の内側を映し出している』ことが多く、それに気付いた時から、苦手な人と対峙することを面白いと思える機会が増えてきました。

二点目は、自分が「苦手だ」と感じてついつい距離をおいていたとしても、必ずしも相手は自分を嫌っていたり、苦手だと思っているとは限らないということです。そういう人とは、自分が苦手意識を持たずに接すれば、すんなりと新たな関係を構築することができたかもしれません。そう考えると、自分が苦手だからといって行動しないのは、単純に“チャンス”を逃しているということですよね。そんな風に考えるようになってから、自分から苦手な人を作ってしまうのは、もったいないからやめようと思うようになりました。相手から嫌われるのは仕方がないことですが、自分が苦手だと思った時にどういう行動を起こすかは自分自身であり、自分の行動は変えることができます。言い方を変えると、それは『自分でしか解決できない』ことなのです。相手を変えることはできませんが、自分を変えることはできるのです。

実際、苦手だと思っていた人も、距離が縮まるととてもいい人だったということも多く、今でも可愛がってくださっているクライアントの方もいらっしゃいます。大切なのは、何事も自分がどう捉えるのかということ。人を変えるのは難しいですし、環境が変わるには時間がかかるかもしれません。しかし自分がどう考えるか、どう受け止めるかはすぐに変えることが出来ます。
みらいワークスの行動指針“みらイズム”には『主体性:私たちは周りで起きることを自分事として、自ら行動して責任を果たします。』という一説がありますが、これからもこの考えを実践していきたいと思います。