『見える化』という終わりなき闘い。

作成日:2017年7月18日(火)
更新日:2017年7月20日(木)

“見せる化”を経て“見える化”へ。「データはそこにある」と思っていても、『無意識』で目に飛び込んでくるかどうかで、意識に訴えかける力には大きな差がある。

みらいワークスのオフィスの壁にはさまざまな情報が紙で張り出されています。社内の情報共有はシステムでも実装しているのですが、『見える化』を促進するために敢えてアナログな紙での張り出しをしようということで、この試みを始めました。(上記写真は、先日始めた『Thankyouカード』という取り組みで使用しているメッセージカードです。詳細はコチラ

 

さて、この『見える化』という言葉ですが、経営用語としては10数年前くらいから流行り始めたと記憶しています。外資系コンサルティング・ファームのローランド・ベルガーの会長の遠藤功さんが、2005年に『見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み』という本を出版されていますが、この頃からはやり始めたのではないでしょうか。この『見える化』という言葉、業界や業種によっても適用範囲や深さが異なるのでさまざまな解釈があり、言葉が独り歩きしがちで、人によって言っていることが違ったりしますよね。

見える化

他の業種ではどのように適用しているかはそれぞれの業界の専門家に聞いてみたいところですが、ここでは、“みらいワークスでどのように活用しているのか”を考えてみたいと思います。
みらいワークスにおける『見える化』への取り組みは、創業から5年経って売上規模や社員数の成長、事業内容によってどんどん変わってきており、今後も会社の成長と共に間違いなく変わっていきます。従って、あくまでも“今時点”での取り組み状況について考えたいと思っており、数年後にこの文章を見返した時、「これだけ進歩したのだな」と、みらいワークスの『見える化』の進化度合いがわかるといいなとも考えています。

さて、現時点でみらいワークスにおける『見える化』の活動は、1.情報/数字の見える化、2.状況の見える化、3.ノウハウの見える化のカテゴリに分類できます。
それぞれ順番に見ていきます。

1.情報/数字の見える化:
社内のどこかにある情報を、目に見える形に整理して、目に見えるところに設置することです。たとえば営業チームの今月の新規受注件数などは、社内システムで情報を見る事ができるので、“見に行けば見える”レベルでの見える化はすでに実行されていました。それを今年に入ってからは、“自然と情報が目に入って来る”レベルでの見える化に進化させるために、壁への張り出しを行ないました。他にも、みらいワークスの行動指針である『みらイズム』についても、大きなポスターが社内のいたるところに貼ってあります。みらイズムは社内資料や、コーポレートのWebサイトには掲載されていますが、これも日々目に留まるところに張り出すことで、“勝手に目に入って来るレベル”での見える化に進化させました。

2.状況の見える化:
目標に対しての進捗状況などです。例えば新規受注数は、目標に対して今何件になっているのかという情報が目に飛び込んでくることで、「今月もっと頑張らないとな」と気を引き締める効果があります。これももちろん社内にデータとして目標と実績の情報が格納されているのですが、“自分で確認しようと思えば見に行けるレベル”に留まっていました。それを、オフィス内にいれば“ついつい目に入ってしまうところ”に張り出すことで、意識しなくとも状況が把握できるようになります。
また、他社の状況の見える化で上手だなと感心した仕組みは、オフィスのエレベーターホールに設置されたモニターへ、ビル内に数カ所ある社員食堂の混雑状況が映し出されるというもの。ランチ時に映し出されるため、混んでいるのを見て「後にするか」などの判断ができ、無駄な待ち時間を減らすことが出来ます。こういった一工夫は思いつき次第でいくらでもやりようがあるのだろうと改めて感じた仕組みでした。

3.ノウハウの見える化:
社内には、それぞれが勝ちパターンとして持っている仕事のコツ、 俗人的になっているさまざまなノウハウがありますが、このような言語化されていない暗黙知を見える化するという活動も行なっています。みらいワークスでは、『みらペディア』というドキュメント群がありまして、さまざまな業務のノウハウ集や、業務マニュアルなどから構成されています。また、“みらペディア委員会”という会のメンバーが、そのアップデートや社内啓蒙活動に取り組んでいます。

見える化2 みらいワークス

そして、そもそも情報が整理されていない、定義されていない、収集していないという理由により、見える化したくとも出来ない場合があります。つまり見える化の前段階には、『見せる化』というステップがあり、これを経てはじめて『見える化』が実現されることになります。
以前、プライベート・エクイティ・ファンドに勤めている方に、「数十億~数百億を投資した出資先をバリューアップさせるために真っ先にすることは何か?」ということを聞いた時、「とにかく見える化を徹底することだ」との答えをいただいたことがあります。戦略を実行する、業務を改善する、そういった経営上の施策を進めるにあたり『見える化』が出来ていなければ、進捗も管理できない、効果も検証できないからです。また不振に陥っている企業には、この『見える化』が出来ていない企業が少なくないという結果も出ているそうです。

みらいワークスでは、創業当初から数年の間は社内の営業情報のほとんどをEXCELで管理していたので、マニュアルでの情報管理で大変でしたが、裏を返すとどんな情報でもEXCEL上で見る事が出来るという状況が続いていました。つまりは「見せる化」については出来ていたということです。しかし『見える化』しようと思うと、情報の加工などが都度必要になるという、なかなか大変な状況でした。
その後、一部の業務をシステム化することで自動化され情報の精度も上がりましたが、システムの仕様によって統一できないこともあります。また情報をどの様に見るか、見なければならないかという使い方も変化し続けているため、 情報をエクスポートしてEXCEL上で精査するような場面も生じています。会社が成長し、業務も変化し、それにあわせて社内の仕組みも進化し続けなければならないので仕方のない事ですが、見える化された情報を活用し、成果につなげなければこの改善活動も無駄に終わってしまいますよね。

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自分でコンサルタントとして活動していた時代には、見える化の現状とこの重要性、改善策などを取りまとめて、クライアントへの報告資料に書いたこともありましたが、振り返るとその本質的なことはまだ理解できていなかったのではと感じています。『見える化』は言うのは簡単なことですし、やったほうがいいに決まっていますが、これを“徹底して進める”事が難しいのです。また『見える化』をしたことにより創出された成果を実感できなければ、『見える化』に取り組んでいる人達のモチベーションも維持できなくなってしまいます。
みらいワークスにおける『見える化』への挑戦はまだまだ道半ばですし、会社が成長し続けると共に変化を続けることなので、終わりなき挑戦ともいえます。当たり前すぎることかもしれませんが、当たり前の事を当たり前のようにやり切れるチームが強い、そう考えていますので、これからもこの挑戦に取り組んでいきたいと思います。