ニッパチの法則とは?二つの意味と仕事における考え方を解説
最終更新日:2025/07/18
作成日:2017/01/04
ニッパチの法則とは、特定の2割の要素が全体の8割の成果を生み出しているという経験則です。ビジネスでは、売上の8割が2割の顧客から生まれていたり、組織では2割の社員が8割の成果を上げていたりと、さまざまな場面でこの偏りが見られます。
ニッパチの法則を理解すると、リソースの使い方や仕事の進め方が根本から変わってきます。とくに独立や起業を考えている方にとっては、成果を生み出す部分に集中することの重要性を再認識するヒントにもなるでしょう。
本記事では、ニッパチの法則が示す仕事や組織の本質を、実例を交えてわかりやすく解説していきます。
目次
■ニッパチの法則とは?
(1)「ニッパチ」の意味と語源
(2)ビジネスにおける基本的な定義
■ニッパチの法則が当てはまる仕事や組織の実例
(1)組織の中の2割が8割の成果を出す
(2)売上の8割は2割の顧客から
(3)仕事時間の2割が8割の成果を生む
■ニッパチの法則を独立・起業にどう活かすか
(1)自分の「2割の強み」を見極める
(2)労力をかけるべき「2割の業務」に集中する
(3)「2割の人材」に焦点をあててチームを構築する
■独立・起業で陥りがちな「8割の無駄」を減らす方法
(1)「見える化」で隠れた無駄を発見する
(2)「断捨離」と意思決定基準の明確化
(3)完璧主義を捨て、仮説検証のスピードを上げる
(4)ツールや外部の力を活用して負担を減らす
■ニッパチの法則に関連する考え方と他の法則
(1)パーキンソンの法則
(2)ABC分析
(3)ロングテール理論
ニッパチの法則とは?
ニッパチの法則とは、特定の2割の要素が全体の8割の成果を生み出しているという経験則で、別名「パレートの法則」や「2:8の法則」「20:80の法則」とも呼ばれています。
ここではまず、なぜ「ニッパチ」という言葉が使われるのか、意味や語源、その背景にある考え方を整理しておきましょう。
「ニッパチ」の意味と語源
「ニッパチ」という言葉には、主に二つの意味があります。
一つは、飲食店やサービス業などで2月と8月は売上が低迷するという意味です。これは、年末年始の疲れによる節約や気候の変化などが原因とされています。
もう一つは、「パレートの法則」の別名です。 パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した統計の法則で、全体の数値の8割は2割の要素が生み出しているというものです。
パレートの法則は、ビジネスにおいて「仕事」や「組織」の本質を捉える上で重要な考え方として、さまざまな分野で応用されています。
ビジネスにおける基本的な定義
ニッパチの法則の別名である「パレートの法則」とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが提唱した法則で、「全体の成果の約8割は、2割の重要な要素から生み出される」というものです。
ビジネスの場面では、少数の顧客や社員が大部分の売上や成果を支えていることが多く、組織運営や仕事の効率化に活用されています。こうした考え方を理解すると、リソースの最適配分や効果的な時間管理を実現できるのです。
本記事では、このパレートの法則を「ニッパチの法則」として捉え、独立や起業に役立つポイントを解説します。
ニッパチの法則が当てはまる仕事や組織の実例

ニッパチの法則は、ビジネスのさまざまな現場で広く当てはまります。
以下では、具体的にどのような実例があるのか見ていきましょう。
組織の中の2割が8割の成果を出す
組織におけるニッパチの法則とは、全体の成果の約8割を、従業員全体のうちの2割の優秀な人材が生み出しているという考え方です。少数のハイパフォーマーは企業にとって非常に重要であり、組織の成功を支える柱と言えます。
したがって、企業は2割の貢献度の高い社員を的確に見極め、彼らの離職防止や育成に注力しなければなりません。
また、ニッパチの法則は「働きアリの法則」や「2:6:2の法則」とも関連しています。
「働きアリの法則」「2:6:2の法則」とは、多くの組織に「よく働く2割」「普通に働く6割」「あまり成果を出さない2割」が存在するという考え方です
売上の8割は2割の顧客から
ニッパチの法則は、売上面でも顕著に現れています。多くの企業において、全売上の約8割は全顧客のうちの2割の優良顧客が生み出しています。
この偏りを理解することは、経営資源を効率よく配分し、価値の高い顧客層に特化した戦略を立てるうえで非常に重要です。
限られた時間や予算を最も効果的に活用するためには、売上の源泉である2割の顧客を重視する必要があります。
仕事時間の2割が8割の成果を生む
パレートの法則は、仕事の時間管理にも当てはまります。全労働時間のうち、わずか2割の時間が全体の成果の8割を生み出していると考えられています。
成果に直結する重要な業務に集中し、2割の時間を最大限に活用することで、仕事の効率を大幅に向上させられます。
漫然と時間を費やすのではなく、価値ある仕事にリソースを集約すると、限られた時間内で最大の成果を出せるのです。
☆あわせて読みたい
『プロコンサルタントが使う4つの思考法で劇的に仕事力が上がる』
ニッパチの法則を独立・起業にどう活かすか

ニッパチの法則は、組織や仕事の現場でよく見られる傾向ですが、独立や起業の場面でも非常に役立ちます。限られたリソースの中で最大の成果を上げるには、何に注力すべきかを理解し、効率的に行動することが重要です。
ここでは、ニッパチの法則を活かすための具体的なポイントを見ていきましょう。
自分の「2割の強み」を見極める
独立や起業を目指す際は、自分自身の中にある「成果を生み出す2割の強み」を見つけ出すことが不可欠です。単にスキルや経験だけでなく、他者から高く評価される点や、自然と没頭できる分野もヒントになります。
自己分析や第三者からのフィードバックを活用して、自分の強みを明確にしましょう。強みを知ると、どの分野で勝負すべきかが見え、事業成功の可能性が高まります。
労力をかけるべき「2割の業務」に集中する
起業後は、限られた時間と労力を効率よく使うことが成功の鍵です。仕事の中でも、全体の成果に大きく影響を与える「重要な2割の業務」に意識的にフォーカスしましょう。
具体的には、売上に直結する顧客対応や、商品開発、マーケティング戦略の立案などが該当します。タスクを整理して優先順位をつけると、無駄を省き生産性を最大化できます。
ただし、「2割に集中する」といっても手を抜くのではなく、集中と工夫が求められます。
「2割の人材」に焦点をあててチームを構築する
起業後にチームを作る際は、成果を大きく生み出す「2割のキーパーソン」を見極め、その人材が最大限に能力を発揮できる環境をつくることが重要です。
これにより組織全体のパフォーマンスが向上し、限られたリソースの中でも効率的に目標達成へと近づけます。
また、キーパーソンを支えるフォロー体制や育成計画も忘れずに整備すれば、持続可能な成長が期待できます。
☆あわせて読みたい
『個人で起業するには?独立前に知っておきたいこと』
独立・起業で陥りがちな「8割の無駄」を減らす方法

独立や起業の現場では、限られた時間と資源の中で効率よく成果を出すことが求められます。しかし、実際には、成果にほとんどつながらない「8割の無駄な作業」に多くのリソースを割いてしまいがちです。
ここでは、その無駄を理解し、どう減らすかを深く見ていきましょう。
「見える化」で隠れた無駄を発見する
まずは、自分やチームの業務の中で「時間がどこに消えているのか」を正確に把握しましょう。
これには、日々の作業内容や所要時間を丁寧に記録・分析し、成果に直結しない活動を洗い出す「業務の見える化」が欠かせません。
多くの場合、何気なく行っている会議、メールチェック、報告作業などの積み重ねが、想像以上に大きな時間を奪っているのに気づかされます。無意識の「時間ロス」を可視化することで、業務改善の方向性が見えてきます。
「断捨離」と意思決定基準の明確化
発見した「無駄」は、思い切って手放す覚悟が必要です。重要なのは、単に減らすのではなく、「何をやらないか」を明確にする判断軸を持つこと。
たとえば、「売上や顧客満足に直結しない業務は原則やらない」といったルールを設ければ、余計な迷いが減り、自然と行動が絞られていきます。
やらないことを決めると、やるべきことに集中できる体制が整い、限られた時間やリソースを効果的に活用できるようになります。
完璧主義を捨て、仮説検証のスピードを上げる
独立・起業の初期にありがちなのが、「準備が整うまで動けない」という状態です。しかし、限られた資源のなかでは、理想を追い求めすぎるよりも、まず必要最低限の形で始めてみることが成果への近道になります。
たとえば、完成度が80点でも構わないので一度サービスを世に出し、実際の利用者の声を受けて改良を重ねていきます。
行動を起点に改善していく姿勢は、机上の計画だけでは見えない課題やニーズを明らかにし、結果的に無駄な時間や労力の省略につながります。
完璧主義を手放し、試行錯誤を前提に動くことこそ、限られたリソースで前に進むための現実的な戦略です。
ツールや外部の力を活用して負担を減らす
起業直後は、何から何まで自分でこなそうとしてしまいがちです。しかし、限られた時間とエネルギーを本当に大切な仕事に集中させるには、効率化が欠かせません。
日々の業務には、便利なツールやサービスを取り入れて手間を減らし、専門的な分野は信頼できる外部の力を借りると良いでしょう。
必要なサポートを柔軟に取り入れることで、「やらなくてもいい8割」に振り回されずに済み、成果につながる2割に集中できる環境が整っていきます。
ニッパチの法則に関連する考え方と他の法則

ニッパチの法則(パレートの法則)は、単体でも非常に有用な考え方ですが、他の理論や法則と組み合わせて理解することで、より広い視点で物事を捉えられます。
ここでは、関連する3つの代表的な法則について見ていきましょう。
パーキンソンの法則
パーキンソンの法則とは、「仕事は与えられた時間を使い切るまで膨張する」という法則です。たとえば、30分で終わる作業に1時間の余裕があれば、自然と1時間かかってしまう傾向があります。
これは、ニッパチの法則が示す「2割の時間で8割の成果を出す」という効率的な働き方とは反対の現象で、残りの8割の時間を無駄に使ってしまうことを意味します。
つまり、パーキンソンの法則は「いかに仕事の時間をダラダラ使わず、重要な2割に集中するか」が成果向上のカギであることを教えてくれているのです。
ニッパチの法則を活かすためには、時間の膨張を防ぎ、メリハリをつける意識が不可欠です。
ABC分析
ABC分析とは、「売上の8割は、上位2割の商品・顧客が生み出す」というニッパチの法則を実務に落とし込んだ手法です。
商品や顧客を売上や利益への貢献度に応じて、以下のように分類します。
- ・A(最重要:上位20%)
- ・B(中間層)
- ・C(重要度が低い)
たとえば、Aランクの商品が全体の売上の多くを占めていれば、在庫補充や販促を優先すべき対象が明確になります。
一方で、B・Cランクは見直しの対象とすることで、無駄なコストを削減可能です。直感ではなく、数値に基づいて「どこに注力すべきか」を判断できるのが、ABC分析の大きな強みです。
ロングテール理論
ロングテール理論とは、インターネット上のビジネスで、ニッチな商品群の売上合計が全体に大きく貢献するという考え方です。
実店舗では、在庫やスペースの制約から主力商品に集中しがちですが、オンラインでは多種多様な商品を扱えます。その結果、従来なら見過ごされていた「売れにくい8割」が積み重なって、無視できない収益源になるのです。
これは、少数の売れ筋商品が全体の2割を生むという「ニッパチの法則」とは逆の現象のようにも見えますが、ニッパチの「残りの8割」の可能性を最大化するアプローチとも言えるでしょう。
☆あわせて読みたい
『行動心理学とは?法則・しぐさの例やビジネスで活用する方法を紹介』
まとめ

ニッパチの法則は、「成果の約8割が、全体の2割の重要な要素から生まれる」という考え方です。
独立や起業においては、自分の強みや核となる業務に集中し、限られたリソースを効果的に活用することが成功のポイントとなります。まずは「自分の強みとなる2割」を見つけて、そこにエネルギーを注いでください。
また、時間管理を意識して無駄を省き、成果を最大限に引き出しましょう。
ニッパチの法則を理解し実践することが、独立や起業での成功への大きな一歩となるはずです。
→→転職を検討中の方はコンサルネクストで無料登録
→→フリーランスの方はこちらからコンサル登録
(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
◇おすすめ記事◇
「ランチェスター戦略に学ぶ弱者逆転の手法で独立・起業! ニッチマーケットの狙い方」
