お金をかけない最強の販促手段「販促広報」のススメ

作成日:2016/12/07

 

コストの割に効果が不明な広告とセールスプロモーション活動

コストの割に効果が不明な広告とセールスプロモーション・マーケティング活動

 

どんなに優れた商品やサービスであっても、それを消費者が知らなければ売れません、利用されることもありません。そこで企業は、マーケティングを行い、販売促進施策を実施して、商品・サービスの優秀さを消費者にアピールし、拡販を図るわけです。一般に、この方法には主に広告宣伝(Advertising/AD)と、狭義の販売促進(Sales Promotion/SP)の2種類があるといわれています。また、最近は弊社でもマーケティングのコンサル案件が増えてきており、注目されているお仕事の1つになっております。とりわけ消費者の動向を分析した上でKPIを設定し、新規コンテンツやイベントによって集客を図るマーケティング業務を多くの企業が重宝しているように思われます。

広告宣伝とは、言うまでもなく新聞・雑誌・ラジオ・TVなどのメディアを通して商品やサービスを広く知らせ、人々に興味を持ってもらう活動です。これに対して販売促進は、チラシやサンプル、あるいはWEBのバナー広告などで、消費者の購買マインドを直接刺激し、そのまま購買活動につながるような仕組みのことを意味します。認知や興味喚起を目的とする活動が「広告・宣伝」、販売につなげる活動が「販売促進」や「マーケティング」となりますね。

しかし、これらはいずれもかなりのコストがかかる上に、どのくらいの拡販効果が見込めるのか予測しにくいという弱点があります。そこで、お金がかからず、独立したばかりの起業家や個人事業主にとっても有効な第三の販売促進施策として期待できるのが、「広報(Public Relations/PR)」という活動です。

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“販促広報”とはメディアに商品・サービスを無料で紹介してもらうこと

“販促広報”とはメディアに商品・サービスを無料で紹介してもらうこと

 

広報とは、英語のPublic Relationsの意訳語です。これをもう少しわかりやすく言うと、「企業が社会とより良い関係を築くこと」になります。自社の経営・商品・サービスが社会的に価値あるものだと社会に発信し続けるのが広報活動ということです。

もちろん、この活動のためには、企業・商品・サービスの素晴らしさを紹介してくれる媒介者が必要です。これが先ほど述べた、新聞・雑誌・ラジオ・テレビといった俗に4大メディアといわれる存在です。企業はこれらの媒体の制作セクションに、自社の新商品やサービスを「報道資料」(プレスリリース)という体裁でA4一枚程度にまとめあげて一斉送信します。それが非常に特徴ある商品・サービスなら、記者や編集者、ディレクターの目に留まり、無料で記事や番組で紹介をしてくれるわけです。

ここが広告と広報の最大の違いです。広告は、クライアントやスポンサーがメディアのスペースや時間を買い取って、商品・サービスなどを自由にアピールするものです。これに対して広報は、メディアが社会やユーザーにとってよい商品・よいサービスだと認めてくれたときに限り、客観的に紹介してくれるというものです。

広報の販促手段としての強みは、この客観性にあります。ある意味、メディアという第三者がお墨付きを与えたようなものですから、広告に対して懐疑的な消費者も思わず信頼してしまう可能性があるのです。独立・起業間もない個人事業主やフリーランスの方は、ただでさえ会社や個人に対しての信用・信頼が十分ではないはずなので、そんな中においてメディアからお墨付きをもらえることはことのほか大きな意味を持ちます。

たとえば、テレビ番組で紹介された地場商品がいきなり全国ヒットを飛ばしたり、無名の店舗が行列店になったり、独立・起業したての経営者のインタビューが新聞記事に載ったり、そうしたチャンスを自分のものにするのが販促広報の狙いなのです。つまち、費用を抑えたマーケティング活動の中でも一気に露出が増える可能性を秘めた告知方法の1つです。

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販促広報において大事なコト

販促広報で重要になるのが、「わかりやすい報道資料(プレスリリース)」、「マスコミリスト」、そして諦めない気持ちです。

まず、マスコミ受けする報道資料の作り方には一定のルールがあります。一般にビジネス文書は、「拝啓」から始まって「時候の挨拶」を経て本論に入ります。ところがこれは、報道資料の書き方としては、一番やってはいけないことです。マスコミは毎日大量に送られてくる情報の質を一瞬で判断しなければならないため、余計な修飾文があるだけで、即ゴミ箱行きとなってしまうのです。

ではどのような構成で作成すればいいのかといえば、「結論、起承転結」という形がスタンダードになっています。新聞を見ていただければわかるように、記事は必ず「○が○した」という簡潔な事実から書き出されています。報道資料も同様に「○○社は、○○のために○○を新発売しました」など、結論から書き始めることが必須です。そこで興味を持たれれば、その後に続く起承転結の説明文も読んでくれるというわけです。

次の課題は、送信先となるマスコミリストをどうやって集めるかということです。もしマンパワー的に余力があるのなら、一社一社に電話して報道資料の送付先を直接尋ねる方法もありますが、独立・起業して間もない会社はそうした余裕がない場合が多いかと思いますので、いくつかのPRコンサル企業からマスコミリストが販売されていますので、それらを利用するのも手です。

ただ、市販のマスコミリストはFAX番号が中心で、メールアドレスまで記載されているものはごく僅かです。情報提供用の窓口があるマスコミは別として、記者やディレクターのメールアドレスは個人情報ですから、入手しづらいことはお分かりいただけるでしょう。また、報道資料を一度送っただけでは、なかなか取り上げてくれない場合がほとんどです。諦めずに、週に1回から10日に1回程度、いろいろな切り口で報道資料を配信し続ければ、その「熱心さ」が目に留まり、「一度は取り上げてみよう」という気持ちになることもあるかもしれません。「独立・起業間もないうちの会社なんて取り上げられるわけがない」と初めから諦めるのではなく、せっかくの取り組み・商品を世の中に広く知らしめたい、という熱い想いをもってアプローチしていきましょう。

報道資料の内容は、毎回新製品の紹介などである必要はありません。たとえば、社内でコンプライアンス遵守の体制ができたとか、何らかの社外活動で地域に貢献した、他社とアライアンスを組んだなど、ビジネスに関することや会社が関わった社会活動といったものならすべてOKです。「自分たちは広報活動を大事にしていますよ」という姿勢をアピールすることがなによりも大事なのです。

ペイドパブリシティは両刃の剣

ペイドパブリシティは両刃の剣

 

近年、従来型の広報活動ではなく「お金を払って記事や番組で紹介してもらう」ペイドパブリシティ(Paid=お金を払った、Publicity=広報)が増加しています。この背景には、広告の信頼度低下があります。情報・調査会社のニールセンが2009年~2010年の間に実施した調査では、テレビCMで24%、雑誌広告で20%、新聞広告で25%も信頼度が低下したとされていて、いまや、テレビCMを信頼している人は47%、雑誌広告も同じく47%、新聞広告は46%であり、実に半分以上の人が「広告は信用できない」と感じているという結果が出たと言われています。こうした理由で、記事風や番組風に見立てた商品広告が数多く登場するようになったのです。

余談になりますが、たとえば新聞のなかに、化粧品や健康食品の体験談が記事のように乗っている紙面があったり、バラエティー番組で芸能人がやけに褒める商品が、実はお取り寄せできるものだったということがあったり、というのがペイドパブリシティです。通販専門番組もこのカテゴリーに入ると言っていいでしょう。ペイドパブリシティは、広告であることをカムフラージュしているために、情報活用能力(情報リテラシー)が低いユーザーに対しては強力な販促ツールとなりえます。PRコンサル企業の中には、広報=ペイドパブリシティと考えて、その領域に特化している会社も存在します。

しかし、これは広報における最後の手段であり、ペイドパブリシティを何度も繰り返していると、いずれ消費者に広告のバリエーションでしかないことに気づかれてしまいます。また、販促広報の前提である「お金をかけない」という主旨にも反します。販促広報とは、あくまで社会・消費者に有益な情報をマスコミに届け、それを広めてもらうことで結果としての販促につながるという考え方なのです。

 

プレスリリースを送付した後は、各マスコミからの取材依頼を待つだけです。報道資料の内容に興味を持ってもらえた場合、一般的には早ければ1週間以内に問い合わせが来ます。独立・起業したばかりで人手が足りないというケースもあるかもしれませんが、この時のマスコミ対応は非常に重要になってきます。せっかくマスコミが興味を持って問い合わせてきたのに担当者が不在、対応がずさんでは、記事掲載や番組紹介のチャンスを失ってしまいます。

繰り返しになりますが、広報はマスコミに対する「紹介のお願い活動」です。特に、販促広報として商品やサービスを取り上げてもらいたい場合は、写真やイラストなどマスコミがそのまま利用できる資料を添付し、視覚的にわかりやすくするような工夫も重要です。また、最近のプレスリリースを拝見していると、自社で作成した調査結果やアンケート集計をプレスリリースに掲載することで露出を高めている企業なども見受けられます。

販促広報を活用し、独立・起業間もない個人事業主やフリーランスの方も今日から攻めの広報活動にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

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