ワークライフバランスの意味とすぐにできる3つの実践ポイント
作成日:2016/09/23
ワークライフバランスとは
近年、ワークライフバランスという単語をよく耳にするようになりました。
仕事の業務量が多い時、お洒落感覚で「ワークライフバランスが〜」と言ったことのある人もいるでしょう。またフリーランスや個人事業主の方は、ワークライフバランスを意識して独立・起業された方もいらっしゃるのではないでしょうか。意外に思うかもいれませんが、実はワークライフバランスとは仕事とプライベートのバランスをとるということだけではありません。ワークライフバランスについては、「仕事と生活の調和」という項目で、内閣府のWebサイトで憲章が公開されています。
具体的には
1.業務就労による経済的自立が可能な社会
2.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
3.多様な働き方・生き方が選択できる社会
にまとめられます。
各人の人生を、各人の意思で選択することができるという社会が「仕事と生活の調和が実現した社会」と言えます。仕事に忙殺されることに対して、プライベートを充実させたいというレベルでの話にも通じますが、本質的な意味合いとしては、仕事と家庭・余暇を両立することにあります。
例えば、子供が生まれたことでキャリアを諦めるというケースや、働けど働けど、暮らしの経済的基盤が確保できないため、働き続けなければならないというケースを指して、「ワークライフバランスが崩れている」と言うのです。また、会社勤めの人が仕事に忙殺され、独立してフリーランスや個人事業主になって仕事と家庭を両立できるようになった方も大勢いらっしゃいます。
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ワークライフバランスを改善する鍵はダイバーシティマネジメント
前回のコラム記事にも記述した通り、ダイバーシティマネジメントでは、性別や障がいの有無のみならず、働き方や労働場所に関する各人の考え方も許容し活用することで業務効果の最大化を目指します。
その意味では、ワークライフバランスは、ダイバーシティマネジメントにより実現可能性が上昇すると言っても過言ではありません。ワークライフバランスとダイバーシティマネジメントは表裏一体です。個々人は人生観からワークライフバランスを確保したいという意思を表明しますが、組織にとって各人の意思表明は、ダイバーシティと捉えられるためです。
現在の日本では、女性の出産や育児は残念ながらまだまだキャリアアップの妨げになっています。一部の先進的な企業では、産休中の報酬や育児休暇明けのポジションを保証するなど充実した制度を備えているものの、「家庭も育児も両立できるのが当たり前」という意識の浸透はまだまだできておらず、ワークライフバランスの両立を実現した社会と言うにはほど遠いところです。しかし、ライフスタイルが理由でキャリアを諦める人が増えてしまうとしたら、それは社会的にも重大な損失です。優秀な人材がダイバーシティを認められないことで仕事を諦めてしまっているとしたら、いかがでしょうか。
リクルートホールディングスは、2016年1月に全社員に対し、上限日数のないリモートワークを本格導入しました。ポイントは、育児や介護を必要としない社員でもリモートワークを選べるという点です。
以下、リクルートホールディングスの公式発表から冒頭文を引用します。
昨今、ビジネスのグローバル化への対応や今後予測される人口減少による労働力の不足、ダイバーシティの推進、派遣・パート社員の増加といった経営課題に対応するため、働き方の見直しや多様な働き方を実践する動きが官民で広がっています。リクルートグループにおいても、イノベーションにより新しい価値を創造するため、場所にとらわれない働き方への挑戦や時間当たりの生産性を向上させる施策など、働き方変革に積極的に取り組んでいます。
大企業であるリクルートによるこの施策の導入は、日本社会においてダイバーシティを推進する上で参考にすべきモデルケースになるはずです。 リクルートは導入に先んじて検証期間を設け、効果を実証したと言われています。日本の人材ビジネス関連企業の最大手たるリクルートがこの施策を導入したことは、今後のダイバーシティ促進にさらなる拍車をかけることでしょう。
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高齢化社会におけるワークライフバランスによる労働人口の確保
日本は言うまでもなく高齢化社会です。この先も間違いなく高齢化は進んでいくでしょう。労働人口は減少の一途をたどると言われています。
企業が欲しがるような即戦力の優秀な人材の採用はますます難しくなり、フリーランスや個人事業主として独立・起業をされる方が増える事態を考えると、ライフスタイルによって仕事を辞めざるを得ないケースは極力無くしていくべきです。また、パートタイム就業を認めることにより、場合によっては会社を掛け持ちして働くことも可能にしていくべきでしょう。事情に応じて柔軟に働けるようになる可能性がありますし、企業にとっても人材が確保しやすいというメリットがあると言えます。
また、リモートワークを許可することで、たとえば東京の企業も北海道や福岡在住の人材を雇用することができます。働く側のワークライフバランスを考慮することにより、人材の母集団は格段に広がることでしょう。
ワークライフバランスへの取り組みは企業にもメリットがある
ワークライフバランスへの取り組みのメリットの一つは上述の通り、労働人口を確保できる点です。
さらに、コスト面についても考えてみましょう。
ある女性社員が妊娠した場合、現在の日本では概ね、退職、または産休・育休申請をするかという選択肢になるかと思います。退職時にかかるコスト(退職金、人材補充コスト、研修コスト、引き継ぎコスト)と一時休職を認める場合では、後者の方が低コストであることは明らかでしょう。コスト面でも就業継続をする選択肢があれば、ワークライフバランスを充実させつつ、企業としても低コストで済むケースが多いのです。昨今では企業戦略の一環として、そういった福利厚生面を充実させることによりコストカットを図る逆転の発想を取り入れる企業も増えてきております。
また、プライベートの充実はメンタルヘルスや健康にも関わってきます。健康と気力を十分に充実させた状態だと、社員の病欠を防ぐことができます。結果として、業務の生産性が向上し、社員の企業に対する満足度の向上にも繋がることが予測できます。
社員の健康づくりを会社で率先している企業もあります。ローソンやロート製薬は社員を会社の財産と捉え、健康づくりを奨励する制度があります。CSRの一環としても、高齢化によって嵩む医療費を削減する狙いもあるようです。
ワークライフバランス再考
さて、企業の取り組みの事例を紹介し、企業の観点からもメリットがあるダイバーシティの推進について見てきました。ここで、個人の観点に立ち戻って、ワークライフバランスについて考え直してみましょう。
ワークライフバランスは、あくまで個人の仕事と生活を両立させるための概念です。幸福を得るために、「ワーク」によって基盤を確保し、「ライフスタイル」は「ワーク」の邪魔にはならないという考え方です。
無理に会社組織に合わせず、フリーランスや個人事業主として個人の志向を尊重させることで、仕事にも集中しプライベートも充実させることができるというのが最終目標です。
個人の力を結集し、ワークライフバランスを充実させる施策を着実に推進させましょう。
ワークライフバランスを充実させる3つの実践ポイント
最後に業務効率を上げてワークライフバランス充実に必須なポイントをお伝えします。
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無駄な時間を省く
労働環境が整っているにもかかわらず、ワークライフバランスが確保できない場合には、時間の使い方を見直す必要があります。例えば、会議をダラダラと長引かせていませんか?話し合う議題は、前もって参加者に資料として配信し、会議では議論することのみに集中することで業務効率化を図ることができます。資料を読めば済むことを、時間をとって読み合わせると、どうしても時間がかかってしまいます。
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誰でもできることはマニュアル化する
労働リソースを最適化するために、誰でもできることは誰でもできるようにマニュアルを用意しておきましょう。誰でもできる仕事は手が空いた人が協力することで業務効率を上げ、組織全体として仕事を早く終えることができます。
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整理整頓を心がける
会社のキャビネットに入っている書類がすぐに取り出せますか?パソコン内でも同じです。フォルダは整理されてファイルが管理されていますか?
上記のように、業務効率化ですぐにできることから実践していきましょう。ワークライフバランスの確保に向けて、自分ができることから一つ一つ実践していくことがなによりも大切ですね。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)