「新しい働き方」を実践するチームのマネジメントは、ベンチャーに学べ

作成日:2017年4月7日(金)
更新日:2017年7月12日(水)

政府が進める“働き方改革”の中でも注目を集めている、フリーランスという働き方。創業当時を振り返りつつ、大企業へ伝えたいメッセージ。

昨年の秋から、経済産業省の「雇用関係によらない働き方(フリーランス、アライアンス等)」の研究会に計4回出席してまいりましたが、その最終報告書が3月27日にリリースされました。この研究会で議論されている内容を聞いていて思ったのは、まず国が本気でフリーランサーの活用に取り組んでいるのだな、というのを肌で感じました。
 

「新しい働き方」を実践するチームのマネジメントは、ベンチャーに学べ。報告書以外にもツールが発表されているとおり、中小企業庁からは『フリーランス必見!!知って得するツール集』といった資料も公開されていました。独立した方が活用できるさまざまな国の制度や仕組みが紹介されており、中小企業基盤機構が提供するTIP*S、中小企業大学校や、各種補助金、優遇された融資制度などについて記載されており、国が提供する仕組みがこんなに多いのか、と初めて知りました。私も起業して10年近くが経ちますが、初めて知る制度ばかりだったので、より多くの人がこれらの制度を認知すれば、活用も進むかもしれないな、と思ったりしました(写真の資料はコチラから:http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170327001/20170327001-1.pdf)。

さて政府が進める働き方改革、女性活用やシニア活用を皮切りに、最近は兼業・副業、フリーランサーなどが注目を集めています。大企業が続々とその制度を取り入れようとしており、先進事例の企業がメディアで紹介されているのもよく目にするようになりました。その中でふと思ったことがあります。我々の周りには、こういった「新しい働き方」を実践してきている人も多いし、そういった方々に手伝ってもらっている企業も多いのではないか?という問いです。

振り返ってみると、みらいワークスは5年前に創業してからの最初の5人の仲間のうち2名はフルタイムでしたが、1人はパートタイムの主婦の方、1人はフリーでイベントコーディネートなどをしている主婦の方にパートタイムで来てもらい、もう1人は業務委託で週1日、といった感じで「新しい働き方」を実践する混合メンバーの集まりでした。ベンチャー企業はお金もなく知名度もないので採用力が全くない中で事業を立ち上げなければなりません。そうなるとフルタイムの即戦力の中途社員を雇用することは難しいので、自分の周りにいる人たちにいろいろと手を借り、ビジネスを立ち上げ始めます。結果として、多様な働き方を柔軟に受け止めながら、なんとかビジネスを進めて、ある程度の規模になってくると、普通にフルタイムの雇用者が増えてくる。こんな立ち上げ方をしているベンチャー企業は、意外と多かったりするのではないか?と思います。
「新しい働き方」を実践するチームのマネジメントは、ベンチャーに学べ
日本経済全体をみてみると、マクロ的には雇用人口が減少傾向にあることは明白であり、人材の獲得合戦はますます過熱していくことでしょう。もちろん人気企業は依然として人材採用には苦労しないと思いますが、今まで苦労していなかった大企業でも人材採用に苦しむ会社は増え、結果として多様な働き方を認めることで雇用を確保する会社も出てくるでしょう。しかし多様な働き方を許容する文化が根付いている企業は少なく、それなりの苦労はあると思います。そんな時に備えて、大企業の方々に伝えたいのは、「新しい働き方の実践方法は、ベンチャー企業や中小企業から学んでみてほしい」ということです。一部のベンチャーや中小企業では多様な働き方を許容しなければ人材が確保できなかったはずで、 すでに新しい働き方を何年も前から受け入れている会社が日本にはたくさん存在しているのではないでしょうか。そして、まわりに多様な働き方を実践する人たちに囲まれて働いた経験をもつ人が大企業に増えることで、その大企業の文化の移行が促進することも期待できます。

外資系企業や海外の現地法人などで外国人をマネジメントした経験や、複数拠点/多国籍メンバーで構成されるプロジェクト管理をした経験などが、転職の際に評価されることはよくあります。兼業・副業、パートタイム、テレワークなどの「新しい働き方」、 多様な働き方をする人たちをマネジメントする能力や経験を、職務経歴書に書いている人はまだ少ないですが、そういった経験が評価される時代がそこまで来ているのかもしれませんね。私自身も、ついつい自分の価値観で働き方を見てしまうこともあるかもしれないので、働き方の多様性について、これからもアンテナを立てていきたいと思います。