ITスキルを武器に自分らしい生き方を目指して独立。根底にあるのは国際協力の経験で知った「自分にとっての幸せ」

自由な働き方だけではなく「自分らしい生き方」を目指せるという点も、独立の大きな魅力ではないでしょうか。

みらいワークスがお届けする「プロフェッショナリズム」、今回のインタビューは米澤隆志さん。学生時代に得た国際感覚とシステムの知識を買われ、新卒でいきなり国際協力関連プロジェクトのPMを任されました。その後ITのプロを目指すには経験が足りないと考え、事業会社へ転職。さらにコンサルティングファームを経て独立し、現在ITコンサルタントとして活躍されています。

独立によって自分らしい働き方・生き方を実現した米澤さんは、「収入も大切だけどもっと大切なものがある」と言い切ります。この考えのベースには、国際協力支援活動に関わった経験があると言います。

またフリーランスとして働く傍ら、日本酒好きが高じて日本酒造りにも挑戦中。「好きなことがあればすぐ行動することが大切」と語る米澤さんのインタビューをぜひお読みください。

米澤 隆志

今回のインタビューにご協力いただいたプロフェッショナル人材・コンサルタント

大学卒業後に公益法人日本国際協力システムへ入団、政府ODA関連プロジェクトを担当。その後外資系事業会社へ転職、ITインフラや管理システムの責任者としてマネジメントを行なう。コンサルティング会社を経て独立、現在はITコンサルタントとして活躍中。英語環境での業務経験が長く、外資系企業や海外関連の案件も多く手掛ける。

米澤 隆志

今の仕事のベースにあるのは、国際協力プロジェクトで知った現実

米澤さんは英語環境でのビジネス経験が長いそうですが、学生の頃から海外に行かれていたのでしょうか?

 

米澤さん(以下、敬称略):人と違うことがしたいと思い、東海大学の海洋学部へ進学しました。さらに人がやらないことをしたいと思って専攻は衛星リモートセンシングを選択。これは簡単に言うと、人工衛星が収集したデータをどう活用するかを研究するものです。水産庁の研究所と共同研究も行いまして、調査船に同乗して太平洋を横断したこともあるんですよ。船員が休憩を取るため定期的に港へ停泊するので、おかげでニューカレドニア、ハワイそしてタヒチにも行けました。これはすごく楽しかったですね。

 

大学卒業後は日本国際協力システムに就職されました。もともと国際協力に関心をお持ちだったのでしょうか?

 

米澤:海洋学は日本では珍しく先生も少ないのですが、海外では一般的なんです。だから私が専攻していた分野の第一人者もカナダにいらっしゃいました。そんな関係でイギリスへ語学留学したこともあり、国際協力に関わってみたい気持ちはもともとありました。

 

ただ日本国際協力システムに入団できたのは、偶然が重なったのも事実です。私が就職活動する時期にバブルがはじけまして。でもほとんど海の上にいたので知らなかったんです。おかげで厳しい就職活動でしたが、たまたま恩師の先生に紹介いただき応募できました。

 

日本国際協力システムという会社はIT系に見えますが、ODAの調査支援がメインでIT系ではないんです。ただ当時はODAの情報を公開する仕組みを作るプロジェクトを進めていた時期で、ちょうどシステムがわかる人材を求めていたそうです。就職氷河期で受けた学生の数もすごかったのですが、システムに関わった経験を評価していただき採用してもらえました。

 

そんな状況でしたので、新卒でいきなりJICAの情報開示システムプロジェクトのPMに任命されまして。前任者もいませんし当時PMという概念もあまりなく、全部自分で掘り起こしてやらなければならずきつかったですね。ただ何から何まで自分でやらせてもらえたという意味では、恵まれていました。この経験は現在の仕事の基盤になっていると思います。

 

新卒でPMを任されるというのはすごい経験ですね。国際協力関連のお仕事では、どんなところが特に大変でしたか?

 

米澤:2つありまして、1つはシステムに登録するデータ収集ですね。当時私が担当していたのが、過去の案件も含めた管理台帳システムの構築でした。システムを作っただけでは意味がなく、登録するデータが必要です。そこでどの国にどんな内容で協力したのか、あらゆる情報を集めることになりました。

この情報収集が本当に大変で。情報を持つのはJICAだけではなく外部の専門家も対象。でも専門家の方は国内にいないケースも多かったですね。さらに供与した相手国からも情報を得なければいけない。外国での情報収集は国内以上に大変でした。ある中近東の国では「男と男の約束だから、男同士しかわからない」なんて言われたこともあったんですよ。

 

もう1つは実際に海外に赴いた時の経験です。日本では知っている人が少ないのですが、あるプロジェクトで南米のガイアナという国へ行きました。ガイアナは旧イギリス領ギアナが独立した国で、人口数十万人という小さな国です。ガイアナの空港に迎えに来た車が、フロントガラスの壊れているバンで、まず驚きました。ダウンタウンを通っても明かりは全然見えないし、ホテルの前を牛車が通る。インフラが整備されていない途上国の厳しい状況を目の当たりにしたんです。

 

この時、現状を知らないと正しい支援はできないことを痛感しました。こちらから押し付けた援助では、うまくいかない。相手の状況を把握しているからこそ、正しい支援ができることをこの経験で学びました。

ITで生きていくためには幅広い経験が必要と考え、転職を決意

その後GapやBOSEといった民間企業へ転職されましたが、どういった理由でしょうか?

 

米澤:国際協力に参加できるやりがいのある仕事でしたが、取引先はどうしても限られます。自分の将来を考えた時にITがキーになると思ったんですが、そうなるともっと幅広いお客様に関わる必要があると感じました。そうしないとどこかで煮詰まってしまう。私の場合は民間企業での経験がありませんでしたから、ITのプロとして生きていくには民間での経験も必要だと思い転職しました。

 

最初の転職先はアパレルのGap。当時Gapは日本全国へ店舗展開するタイミングだったんです。私は海外も好きですが日本国内を巡るのも好きなので、全国に出張できて楽しいかなと思ったのが入社理由です。Gapでは店舗の売上データを集約するネットワークやデータセンターを整備したり、店舗で情報を共有するためのシステムを構築したり。技術系のプロジェクトをいくつか担当しました。

 

事業会社を経た後は、コンサルティングファームへ転職されています。コンサルタントとしてのステップアップを目指した転職だったのでしょうか?

 

米澤:事業会社ではシステム導入が終わると、運用フェーズに入ります。そうすると私のようなプロマネ屋って、正直言って居場所がなくなるんですよね。そんなときファイナンシャル系コンサルのアーンスト・アンド・ヤングから声をかけていただいて。ちょうど事業拡大のために新たに立ち上げた組織のIT責任者を探していました。それでやってみようかなと思ったのがきっかけです。

 

その頃はIT自体かなりコストがかかる代物になって、会社の事業計画に影響する状況でした。ですからいわゆるプロジェクト案件のほかに、IT戦略の策定なども担当していました。

独立には不安もあったけれど、それ以上に優先したいことがあった

コンサルティング会社に勤務された後独立されたのは、何か大きなきっかけがあったのでしょうか? 

 

米澤:以前から、組織って上下関係とかしがらみが強いなと感じていまして。自分でいうのもなんですが、出る杭は打たれやすいというか。私は好きなことを言うタイプなので、社内で嫌われることも少々ありました。そんなとき外部のコンサルタントという立場に関心を持ったんです。外部の方って、社員が言いづらいことを代わりに言ってくれることも多いじゃないですか。

 

例えばSAP導入って、実は大きなプロセスチェンジ。SAPに業務を合わせていく必要がありますから。メンバーもこれを頭では分かっているけれど、腹落ちできないこともあります。こんな時に内部の人が言うと問題になるから、外部の人に言ってもらいたいクライアントって実は多いんですよね。

 

そうなると、言いたいことが言える外部の立場の方が私に向いているし、ニーズもあるかなと思いました。一度きりの人生ですから、チャレンジしてみたい思いもあって独立しました。

 

独立後に収入が上がるケースもありますが、会社員と比べて収入が不安定になります。米澤さんは独立にあたって不安はありませんでしたか?

 

米澤:不安がゼロだったわけではありません。ただ収入も大切ですが、それ以上に優先したいことが私にはあります。これには、国際協力の仕事でいろいろな国の人を見てきたことが関係しています。

 

途上国の方々は裕福とは言えませんが、みんな幸せそうで笑顔なんです。海外から来た私にも、すごくよくしてくれました。そういう経験があるので、自分にとっての幸せって何だろう?と考えた時に給料とかではないなと。

 

例えば今私が大切にしているもののひとつが、家族との時間です。私の両親も妻の両親も高齢になり、サポートが必要になってきました。私が国際協力に関わったりITの仕事ができたりするのも、学生時代を支えてくれた両親のおかげ。つまり「お金ではない幸せがある」という考えのベースを作ってくれたのが、家族なんです。だから家族が支援を必要とするとき、すぐ動けるような働き方にしたかったんです。

独立後に意識しているのは、変革を生むために一石を投じること

独立後はみらいワークスの案件にも参画していただいています。その中で印象的だった案件はありますか?

 

米澤:ある大手企業さんの収入管理システムをSaaSへリプレイスする案件ですね。「システムのリプレイスにおいて何を本当にすべきか」ということを、あらためて考えさせてくれました。

 

大企業になると収入源は幅広くなります。いろんな条件や要素を持つユーザーさんにそれぞれにベストなサービスをしようとした結果が、収入となるわけです。それを「SaaSがこうなっているから」「システムなら効率が上がるから」という理由で変えようとしても、クライアントさんは納得しない。どんなものも収入を得る生業があってそれを最大限にするために業務プロセスがある。これを再認識させられました。

 

そういう視点をお持ちなのは、国際協力で途上国の方々と関わった経験が生きているのではないでしょうか。

 

米澤:そうですね。なぜ生業があるのかを知らないまま取り組んでも、必ず問題が起こります。だからしっかり把握しなければいけないなと常に意識しています。生業に対する人の想いを無視してしまうと、周囲の協力は得られませんから。

 

現在フリーランスとして案件を選ぶ上で、ポイントにしていることはありますか?

 

米澤:いろいろありますが、独立したきっかけでもある「内部にはっきり言える人がいなくて困っている」という案件にひかれます。そういう案件の方が業務系の人たちとコミュニケーションできて、楽しいですね。大きなコンサル会社がすでに統制している案件ですと、そういう方と繋がるチャンスは少ない。

 

ですから、「これどうみても困っているな」という案件を選びます。こういう案件では私の立場は明確です。クライアントの方がなかなか言えないこと、組織が求めていることをはっきり言うようにしています。

 

特にSAP案件では必ずプロセスチェンジが必要です。でもそこを曖昧にしがちなんですよね。例えばプロセスを整理する中で、ある業務の点線の先がなかったり、複数の場所に散っていたりすることもあります。そんな時は「あるべきプロセスはこれですよ」という感じで、太い線を1本引いてしまいます。やや強引ですが「どうすればこの形にできるのか、一緒に考えましょう」という流れで進めます。

 

時代や人の変化によって、必ず変革が必要なときがあります。でもみんな言いにくい。日本人ならではかもしれません。そんな状況に一石を投じるのが、フリーランスである私の役目だと思っています。

やりたいことはすぐに動く!現在は趣味の日本酒造りにもチャレンジ中

現在フリーランスとして活躍しながら、日本酒造りも手掛けているとお聞きしました。

 

米澤:神奈川県にある瀬戸酒造さんで日本酒造りの手伝いをしています。日本酒って作る工程が複雑なのをご存知ですか?しかも小さな蔵になると、多くの工程は手作業。でも品質を保つには、作業を一定の時間内に終えなければなりません。瀬戸酒造さんは小さな蔵なので、日本酒造りで人手が足りない時期に手伝いをさせてもらっています。

 

 

私のように、日本酒造りを手伝うおじさんが10人くらいいるんですよ。もともと瀬戸酒造さんは酒造りをやめていた時期があるのですが、町おこしプロジェクトの一環として2018年に再開しました。その時に地元の方や日本酒が好きな方が集まり、日本酒造りをサポートするおじさん集団ができました。元料理人の方や元エンジニアの方など、さまざまな方が参加しています。

 

面白い取り組みですね。米澤さんはどんなきっかけで日本酒造りを手伝うことになったんですか?

 

米澤:以前から日本酒が大好きで、全国各地に行ってお酒を楽しんでいました。あるとき神奈川県の蔵を巡るスタンプラリーに参加しまして、回った蔵の一つが瀬戸酒造さんでした。

 

瀬戸酒造さんのお酒を飲んで、そのおいしさにびっくりしましてね。今まで飲んだ日本酒と全然違ったんです。興味を持って調べたら、たまたま瀬戸酒造さんが杜氏見習いを募集しているのを見つけまして。気づいたらポチっと申込みしていたんです。結局杜氏見習いにはなれませんでしたが、これがきっかけで手伝うことになりました。これも偶然が重なったおかげ。好きなことがあったら、すぐ行動することが重要です。

 

普通の蔵元さんは、もろみを絞れるだけ絞ってお酒をとります。できるだけ多くお酒を造りたいから。でも瀬戸酒造さんはお米の繊維を傷めないように、絞りすぎません。味は柔らかく他の日本酒とは全く違う口当たりになります。

 

工程においしさの秘密があるわけですね。米澤さんのお話にあった「プロセスが重要」という考えと、通じるものがあります。

 

米澤:日本酒造りでも、できるまでのプロセスが重要だと感じます。日本酒造りって、造りの工程が重要なのはもちろんですが、掃除や段取りをするプロセスも非常に大切です。食品だから清潔にしなければならないのですが、それだけではありません。掃除のプロセスにも意味があります。例えば米粒一つでも床に落ちていれば、それが雑菌の原因になって日本酒の味に影響してしまう。米を蒸す布の畳み方も決まっていて、そうしないと米にムラができてやはり品質が変わってしまいます。

 

あらゆる手順には意味があり、それを理解しないと次に進めないし高品質なものはできない。これはITでも同じです。システム構築案件でも、なぜクライアントがそういうアウトプットを求めているのかを知るには、プロセスを理解する必要があります。ブラックボックスのように入口と出口だけ見ればいいということはありません。

 

今後やってみたいことはありますか?将来の展望をお聞かせください。

 

米澤:私が今仕事をできているのもITのおかげ。だから将来もITを使って世の中に貢献していきたいですね。例えば日本酒業界にITで貢献したい。日本酒造りの工程は複雑ですが、どの蔵でも共通するプロセスがあるはずなんです。これをシステム化して、蔵ごとに異なる部分はパラメーターとして入力する。そういう工程管理システムを作りたいと考えています。

 

日本酒の蔵元さんのほとんどが、小さな製造業です。ひとりの頭の中にしか工程が入っていないため、効率化できていないケースもあります。効率化できず生産量を上げられないジレンマに悩んでいるところも多いでしょう。悲しいことに日本酒の蔵って毎年どんどん減っているそうです。でも日本酒は日本が誇る大切な文化ですから、課題解決に向けて少しでも役立つことができればいいなと思っています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

国内・海外問わず新しいことや好きなことにどんどんチャレンジする米澤さん。その行動力が新たなチャンスを呼び込んでいるのではないでしょうか。

 

いろいろなチャレンジに取り組む一方で、米澤さんは常にプロフェッショナルとして芯となる考えをお持ちでいらっしゃいます。自分自身の芯となるものがあるからこそ、理想の働き方ができ自分の目指す生き方を実現できる。フリーランスとして活躍するために必要なことを、あらためて教えていただきました。

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