フリーランスの節税対策おすすめ10選!経費の裏ワザから法人化まで
作成日:2026/06/25
フリーランスとして独立し、売上は順調に伸びているものの、所得税や住民税、社会保険料の負担が重く、思ったように手元にお金が残らないと感じていませんか。
インボイス制度への対応によって課税事業者となり、消費税の負担が増えた方もいるでしょう。
そこでこの記事では、フリーランスが押さえておきたい経費計上の基本と節税対策を幅広く解説します。
iDeCoや小規模企業共済といった制度の活用、売上や所得が増えた場合に法人化を検討する目安まで、具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
■個人事業主にかかる4つの税金を理解しよう
(1)所得税
(2)住民税
(3)個人事業税
(4)消費税
■フリーランスの節税の仕組み
(1)節税の基本となる「経費」と「控除」の違い
(2)納める税金の計算方法
■【経費編】個人事業主の節税の裏ワザ5選
(1)家賃や光熱費を「家事按分」で経費にする
(2)少額減価償却資産を一括で経費にする
(3)短期前払費用の特例を活用する
(4)経費にできる税金・できない税金を知っておく
(5)経営セーフティ共済の掛金を経費にする
■【控除編】個人事業主の節税の裏ワザ5選
(1)青色申告特別控除を受ける
(2)各種「所得控除」を漏れなく申告する
(3)小規模企業共済に加入する
(4)iDeCo(個人型確定拠出年金)で年金を積み立てる
(5)ふるさと納税を活用する
■フリーランスが節税する際の注意点・落とし穴
(1)過度な節税によるキャッシュフロー(手元資金)の悪化
(2)書類や記録が不十分だと経費を説明できない
■「法人化」による節税効果
(1)法人化後の消費税の納税義務
(2)法人化による主な節税メリット
(3)フリーランスから法人化の適切なタイミング
■フリーランスの節税と確定申告
(1)複式簿記を会計ソフトで効率化
(2)電子帳簿保存法に対応した領収書・請求書のデータ管理
■フリーランスの節税に関連するよくある質問
(1)個人事業主の経費は何割くらいが目安?
(2)個人事業主の車購入は節税になりますか?
(3)節税対策としてNISAは意味がありますか?
(4)フリーランスの節税に役立つおすすめの本は?
個人事業主にかかる4つの税金を理解しよう

フリーランスに関係する主な税金は、「所得税」「住民税」「個人事業税」「消費税」の4つです。
課税される条件や申告・納付方法は税金ごとに異なり、個人事業税や消費税がかからない場合もあります。
節税対策を考える前に、それぞれの税金の仕組みを確認しておきましょう。
所得税
所得税とは、個人の所得に対して課される国税です。
フリーランスの場合、1年間の総収入金額から必要経費を差し引いて「事業所得」を算出します。
それを他の所得と合算した上で所得控除を差し引き、算出した課税所得に応じた税率を適用して所得税額を計算します。
所得税には、課税所得が多くなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されており、税率は5%から45%までの7段階です。
確定申告が必要な場合は、原則として翌年に所得と税額を申告し、納税します。必要経費や所得控除を漏れなく申告することが、所得税の負担を適正に抑える基本です。
参考:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」
住民税
住民税は、原則としてその年の1月1日時点で住所がある都道府県と市区町村に納める地方税です。
前年の所得に応じて課される「所得割」と、原則として定額で課される「均等割」から構成されます。
所得税の確定申告を行った場合は、その内容が自治体へ連携されるため、通常は住民税の申告を別途行う必要はありません。
必要経費や所得控除を適切に申告することは、翌年度の住民税の所得割を適正に抑えることにもつながります。
個人事業税
個人事業税は、地方税法で定められた法定業種を営む個人に対して、事務所や事業所のある都道府県が課す地方税です。
すべての個人事業主が対象になるわけではなく、業種によって税率も異なります。
税額は、事業所得などから事業主控除や一定の控除を差し引いた金額に、業種ごとの税率を掛けて計算します。
事業主控除額は原則として年間290万円ですが、事業期間が1年未満の場合は月割りとなります。
職種で変わる「個人事業税」の税率
個人事業税の税率は、法定業種の区分によって3%、4%、5%に分かれています。
例えば、コンサルタント業やデザイン業に該当する場合の税率は5%です。一方、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅう、柔道整復などの事業には3%が適用されます。
システムエンジニアやプログラマーなどは、職種名だけで課税対象かどうかを判断できません。
業務内容や契約形態によって取り扱いが異なる可能性があるため、事務所や事業所がある都道府県の税務担当窓口に確認しましょう。
消費税
消費税は、商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課される税金です。
課税事業者は、原則として売上にかかる消費税額から、仕入税額控除の対象となる消費税額を差し引いて納付税額を計算します。
個人事業主は、前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合に課税事業者となるのが原則です。
ただし、前々年の課税売上高が1,000万円以下でも、前年1月1日から6月30日までの特定期間の課税売上高などが1,000万円を超える場合は、課税事業者となることがあります。
また、インボイス発行事業者として登録している場合は、課税売上高が1,000万円以下であっても、原則として消費税の申告・納税が必要です。
参考:国税庁「No.6101 消費税の基本的なしくみ」
フリーランスの節税の仕組み

フリーランスの節税の基本は、必要経費や利用できる控除を正しく申告し、課税所得を適正に抑えることです。
ただし、経費と控除では、差し引く対象や税額計算に反映される段階が異なります。
そこでまず、経費と控除の違いや所得税額が決まる仕組みを理解しましょう。
節税の基本となる「経費」と「控除」の違い
経費と所得控除は、どちらも最終的な課税所得を抑える効果がありますが、差し引く対象やタイミングが異なります。
経費とは、事業の収入を得るために必要な費用です。事業所得を計算する際に、総収入金額から差し引きます。例えば、事業用の事務所家賃や通信費、交通費などが該当します。
一方、所得控除は、扶養親族の有無や社会保険料、生命保険料の支払いなど、納税者の事情を税負担に反映する制度です。各種所得を合計した金額から、適用できる所得控除を差し引いて課税所得を計算します。
経費と所得控除を区別し、適用できるものを漏れなく確定申告に反映することが、適正な節税につながります。
納める税金の計算方法
フリーランスの所得税は、主に次の流れで計算します。
- 1. 課税所得=総収入金額−必要経費−青色申告特別控除−所得控除
- 2. 所得税額=課税所得×所得税率−速算表の控除額
青色申告特別控除は、青色申告者が所定の要件を満たした場合に適用されます。
所得税率は、分離課税に対するものなどを除き、課税所得に応じて5%から45%までの7段階です。適用される税率や速算表の控除額は、国税庁のWebサイトで確認しましょう。
なお、実際の納税額を計算する際は、税額控除や復興特別所得税、源泉徴収税額なども反映されます。
必要経費を適切に計上し、各種控除を漏れなく適用することが、所得税の負担を抑えるポイントです。
参考:国税庁「No.1000 所得税のしくみ」
【経費編】個人事業主の節税の裏ワザ5選

個人事業主は、事業の収入を得るために必要な支出を必要経費として計上できます。
ただし、私的な支出は対象にならず、事業と私生活の両方に関係する支出は、事業で使用した部分を合理的に区分しなければなりません。
ここからは、家事按分や少額減価償却資産の特例など、必要経費を適切に計上するための5つの方法を紹介します。
家賃や光熱費を「家事按分」で経費にする
自宅を事務所として使用している場合、賃貸住宅の家賃や電気代、インターネット通信費などのうち、事業に使用した部分を必要経費として計上できます。
このように、事業用と私生活用に共通する支出を、それぞれの使用割合に応じて分けることを「家事按分」といいます。
按分割合は、実際の使用状況に基づく合理的な基準で算出しなければなりません。
例えば、家賃は自宅の総床面積に占める事業用スペースの割合、通信費は事業で使用した時間や日数を基準とする方法があります。
自動車を事業と私生活の両方で使用している場合も、減価償却費やガソリン代、保険料などの事業使用分を必要経費に計上できます。
按分方法に一律の基準はないため、使用状況を記録し、割合の根拠を説明できるようにしておきましょう。
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少額減価償却資産を一括で経費にする
パソコンやデスクなど、取得価額が10万円以上の減価償却資産は、原則として法定耐用年数に応じて減価償却し、複数年に分けて必要経費に計上します。
ただし、青色申告を行う一定の個人事業主は、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。
2026年4月1日以後に取得した、取得価額40万円未満の減価償却資産を事業の用に供した場合は、その取得価額を必要経費に一括計上することが可能です。
なお、2026年3月31日までに取得した資産については、改正前の30万円未満という基準が適用されます。
この特例を適用できる取得価額の合計は、年間300万円までです。個人事業主は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の摘要欄に必要事項を記載して申告しましょう。
参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」、財務省「所得税法等の一部を改正する法律案要綱」
短期前払費用の特例を活用する
事務所の家賃やサーバー利用料など、継続的にサービスの提供を受ける費用を前払いした場合、原則としてサービスを受ける期間に応じて必要経費に計上します。
ただし、支払日から1年以内に提供を受けるサービスの費用を実際に支払い、毎年継続して同じ経理処理を行う場合は、支払った年の必要経費に一括計上できることがあります。
これが短期前払費用の取り扱いです。
翌年分の費用を前倒しで計上できるため、その年の所得を抑える効果があります。ただし、利益が多い年だけ支払方法を変更するのではなく、その後も継続して同じ方法で処理しなければなりません。
対象になるかどうかは契約期間や支払日によって異なるため、契約内容を確認した上で適用しましょう。
参考:国税庁「〔その他の共通費用〕」
経費にできる税金・できない税金を知っておく
個人事業主が支払う税金には、必要経費にできるものとできないものがあることを理解しましょう。
事業に関係する個人事業税・固定資産税・自動車税・登録免許税・印紙税などは、原則として「租税公課」の勘定科目で処理します。
固定資産税や自動車税など、事業と私生活の両方に関係するものは、事業使用分のみを必要経費に計上しなければなりません。
また、税込経理方式を採用している場合は、納付する消費税も必要経費に算入できます。
一方、所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料は必要経費にできません。ただし、国民健康保険料や国民年金保険料は、原則として社会保険料控除の対象になります。
経営セーフティ共済の掛金を経費にする
経営セーフティ共済は、取引先の倒産によって売掛金などの回収が困難になった場合に、無担保・無保証人で事業資金を借り入れられる制度です。
個人事業主が納付した掛金は、事業所得の必要経費に算入できます。掛金は月額5,000円から20万円まで5,000円単位で設定でき、掛金総額800万円まで納付可能です。
解約手当金を受け取った場合は事業所得の収入金額となるため、税金が免除されるのではなく課税時期を繰り延べる効果があります。
なお、任意解約では掛金の納付期間が40か月未満の場合、解約手当金が掛金総額を下回ります。
また、2024年10月1日以後に解約して再加入した場合は、解約日から2年間に支払う掛金を必要経費に算入できないため注意しましょう。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営セーフティ共済の掛金」
【控除編】個人事業主の節税の裏ワザ5選

必要経費の計上に加えて、利用できる控除制度を適切に活用することも、税負担を抑える上で重要です。
控除には、事業所得を計算する際に差し引く青色申告特別控除や所得の合計額から差し引く所得控除などがあり、それぞれ仕組みや適用要件が異なります。
ここからは、個人事業主が確認しておきたい代表的な控除制度を紹介します。
青色申告特別控除を受ける
青色申告の代表的なメリットが、最高65万円の青色申告特別控除を受けられることです。この控除は、事業所得などの金額を計算する際に差し引かれるため、所得税や住民税の負担を抑える効果があります。
65万円の控除を受けるには、主に次の要件を満たす必要があります。
- ・複式簿記で記帳する
- ・貸借対照表や損益計算書などを添付し、期限内に確定申告する
- ・e-Taxで申告する、または所定の要件を満たす電子帳簿保存を行う
複式簿記や期限内申告などの要件を満たしていても、e-Taxまたは電子帳簿保存の要件を満たさない場合は最高55万円、それ以外の青色申告者は最高10万円の控除となります。
損益通算後も純損失が残った場合、原則として翌年以後3年間繰り越せることも青色申告のメリットです。
参考:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
各種「所得控除」を漏れなく申告する
フリーランスが利用できる所得控除には、社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除、扶養控除などがあります。
本人または生計を一にする配偶者・親族の国民年金保険料や国民健康保険料を支払った場合は、支払った金額の全額が社会保険料控除の対象です。
また、一定の生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料は生命保険料控除、地震保険料は地震保険料控除の対象になります。
所得控除は全部で16種類あり、それぞれ適用要件や必要書類が異なります。確定申告の際は、国税庁の一覧で利用できる控除を確認しましょう。
参考:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、国の機関である中小機構が運営する、個人事業主や小規模企業の役員などのための退職金制度です。
掛金は月額1,000円から7万円まで500円単位で設定でき、支払った全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象になります。月額7万円を12か月納付した場合、年間84万円を所得から控除可能です。
共済金を一括で受け取る場合は原則として退職所得、分割で受け取る場合は公的年金などの雑所得として扱われます。ただし、任意解約では年齢や加入期間によって税区分や受取額が異なる点に注意が必要です。
節税しながら廃業や退職後の資金を準備したい個人事業主におすすめの制度です。
参考:中小企業基盤整備機構「制度の概要」
iDeCo(個人型確定拠出年金)で年金を積み立てる
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出して運用商品を選び、老後の資金を準備する私的年金制度です。
掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税や住民税の負担を抑えられます。
国民年金第1号被保険者の場合、2026年11月までの拠出限度額は、国民年金基金の掛金などと合計して月額6万8,000円です。2026年12月からは、合計月額7万5,000円へ引き上げられます。
運用益は非課税で再投資され、年金として受け取る場合は公的年金等控除、一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象です。
原則として60歳まで引き出せないため、当面使う予定のない資金で取り組みましょう。
参考:iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)「iDeCo(イデコ)のメリット」、厚生労働省「私的年金制度、iDeCoの改正のポイント」
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ふるさと納税を活用する
ふるさと納税は、応援したい自治体へ寄附を行うことで、所得税や住民税の控除を受けられる制度です。
一定の上限までは、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税では寄附金控除、翌年度の住民税では寄附金税額控除が適用されます。
控除上限額は所得や家族構成などによって異なるため、寄附前に目安を確認しましょう。
返礼品を用意している自治体もあり、地域の特産品などを受け取れる場合があります。
確定申告を行うフリーランスは、寄附金受領証明書や、指定事業者が発行する寄附金控除に関する証明書を使用して申告しましょう。
参考:国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
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フリーランスが節税する際の注意点・落とし穴

節税対策には、不要な支出によって手元資金が減ったり、書類や記録が不十分で経費について説明できなくなったりする落とし穴があります。
税額を抑えることだけに目を向けず、支出の必要性を慎重に判断し、経費の根拠となる書類や記録を残しておくことが重要です。
ここからは、過度な節税によるキャッシュフローの悪化と、経費を説明するための書類・記録の残し方について解説します。
過度な節税によるキャッシュフロー(手元資金)の悪化
節税を意識するあまり必要性の低い高額な備品を購入するなど、不要な支出を増やすことは避けましょう。必要経費として認められるのは、事業収入を得るために必要な費用や、業務上生じた費用です。
例えば、100万円を支出し、所得税率を20%として所得税だけを単純計算した場合、税負担の軽減額は約20万円です。税負担が約20万円軽減されても、手元資金は差し引き約80万円減ることになります。
節税を目的に支出を増やすのではなく、事業上の必要性や支出後の資金繰りを踏まえて判断することが重要です。
書類や記録が不十分だと経費を説明できない
個人事業主は、収入や必要経費を帳簿に記載し、領収書や請求書などの書類を一定期間保存しなければなりません。
書類や記録が不十分な場合は、税務調査で支出の事実や事業との関連性を説明できない可能性があります。
特に、飲食費や贈答品など、私的な支出と区別しにくい費用には注意が必要です。領収書などと併せて、同席者や贈答先、事業上の目的を記録しておくと、事業との関連性を説明しやすくなります。
領収書を保存するだけでなく、支出の内容や目的も記録しておきましょう。
「法人化」による節税効果

事業の利益が増えた場合は、個人事業を法人化することで税負担を抑えられる可能性があります。
ただし、法人化の有利・不利は、法人税率だけでなく、役員報酬や社会保険料、会社の設立・維持にかかる費用などによって異なります。
ここからは、法人化による消費税や役員報酬への影響と、法人化を検討するタイミングについて解説します。
法人化後の消費税の納税義務
個人事業主が法人化した場合、新設法人には消費税の基準期間がないため、一定の条件を満たせば、設立1期目と2期目の納税義務が免除されます。
ただし、各事業年度の開始時点で資本金が1,000万円以上の場合や特定新規設立法人に該当する場合は、設立当初から課税事業者です。
また、設立1期目の特定期間における課税売上高などが1,000万円を超える場合は、2期目から課税事業者となることがあります。
インボイス発行事業者として登録した場合も、消費税の申告・納税が必要です。
法人化によって消費税の納税義務が免除されるかどうかは、資本金や売上、給与等支払額、インボイス登録の有無などをもとに確認しましょう。
参考:国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」
法人化による主な節税メリット
個人事業主では、事業の利益が本人の事業所得として課税対象です。一方、法人化すると、一定の要件を満たす役員報酬を法人の損金に算入でき、役員個人には給与所得控除が適用されます。
そのため、役員報酬を適切に設定すれば、個人事業主として利益の全額に課税される場合よりも、法人と個人を合わせた税負担を抑えられる可能性があります。
また、個人の所得税は5%から45%までの累進税率です。
法人には法人税や法人住民税、法人事業税などが課される仕組みであるため、所得が増えると法人化が有利になる場合があります。ただし、税率だけで判断することはできません。
法人事業所は、原則として健康保険と厚生年金保険への加入が必要です。保険料は会社と本人で分担するため、本人が直接負担する金額が減る場合もあります。
ただし、会社負担分も含め、法人と個人の負担総額で比較する必要があります。
フリーランスから法人化の適切なタイミング
法人化を検討する目安として、課税所得800万円~900万円前後が挙げられます。
ただし、この金額はあくまで一般的な目安であり、法人化による節税効果が必ず生じるわけではありません。
現在の所得だけでなく、役員報酬の金額や今後の利益見込み、社会保険料、消費税などを含め、法人と個人の負担総額を比較しましょう。
判断が難しい場合は、税理士などの専門家への相談がおすすめです。
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フリーランスの節税と確定申告

フリーランスが適切に節税するには、日々の取引を正しく記帳し、必要経費や各種控除を確定申告に反映することが重要です。
前述の裏ワザで紹介した最高65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による記帳に加え、e-Taxによる申告または所定の要件を満たす電子帳簿保存が必要です。
ここからは、クラウド会計ソフトを活用した記帳と、電子帳簿保存法に対応した書類・データの管理方法について解説します。
複式簿記を会計ソフトで効率化
青色申告で最高65万円の特別控除を受けるための要件のひとつは、正規の簿記の原則による記帳です。一般的には複式簿記で帳簿を作成します。
帳簿の作成にはクラウド会計ソフトを利用するとよいでしょう。対応する銀行口座やクレジットカードの取引明細を取り込み、仕訳候補を表示できるため、日々の記帳作業を効率化できます。
ただし、仕訳内容が正しいかどうかは、自分で確認しなければなりません。
帳簿データをもとに、青色申告決算書や確定申告書を作成できるソフトもあります。機能や対応書類を確認し、自分の申告内容に合うものを選びましょう。
電子帳簿保存法に対応した領収書・請求書のデータ管理
2024年1月以後、電子メールやWebサイトなどを通じて受け取った請求書・領収書などの電子取引データは、原則として電子データのまま保存する必要があります。
紙に印刷して保管しても、電子データの保存に代えることはできません。
保存する際は、訂正・削除の履歴が残るシステムを利用する、事務処理規程を設けるなど、改ざんを防止するための措置を講じます。
日付・金額・取引先で検索できる状態にすることも原則的な要件ですが、売上規模などによっては検索要件が免除される場合があります。
電子帳簿保存法に対応した保存機能を備える会計ソフトなどもあるため、必要に応じて活用しましょう。
フリーランスの節税に関連するよくある質問

フリーランスの節税では、どこまで経費にできるのか、どの制度が税負担の軽減につながるのかなど、判断に迷う場面も少なくありません。
ここからは、経費の割合や車の購入、NISAの活用など、フリーランスの節税に関するよくある質問に回答します。
個人事業主の経費は何割くらいが目安?
個人事業主の経費率は、一般的な目安として売上の50〜60%程度とされています。ただしこれは、法律や国税庁が定めた基準ではありません。業種や事業の運営方法によって実際の割合は大きく異なります。
必要経費として認められるのは、収入を得るために直接必要な費用や事業を行うために生じた費用です。売上に占める割合だけで、経費にできるかどうかが決まるわけではありません。
経費については領収書や請求書を保存するとともに、支出の内容や事業上の目的を記録し、必要性を説明できるようにしておきましょう。
個人事業主の車購入は節税になりますか?
事業で使用する車を購入した場合、減価償却費や維持費を必要経費に算入できるため、結果として税負担を抑えられる可能性があります。
車両の購入費用は原則として購入年に全額を経費計上するのではなく、固定資産として法定耐用年数にわたり減価償却します。
プライベートと兼用する場合は、走行距離や使用日数などの合理的な基準で家事按分し、事業利用分のみを計上しましょう。
節税対策としてNISAは意味がありますか?
NISA口座での投資額は必要経費や所得控除の対象にならないため、事業所得にかかる所得税や住民税を直接減らす効果はありません。
ただし、NISA口座で投資した金融商品から得られる売却益や配当・分配金は非課税です。事業の節税制度ではありませんが、個人の資産運用にかかる税負担を抑えるという点では、税制上のメリットがあります。
事業資金や生活費を確保した上で、余剰資金を使った将来の資産形成の選択肢として検討しましょう。なお、投資には元本割れの可能性がある点に注意が必要です。
フリーランスの節税に役立つおすすめの本は?
フリーランスの税金や節税を基礎から学びたい方には、きたみりゅうじ著『令和改訂版 フリーランスを代表して申告と節税について教わってきました。』がおすすめです。
フリーランスとして働く著者が、税理士に疑問を尋ねる会話形式で構成されています。
特徴は、青色申告や帳簿の付け方、経費、社会保険、法人化、税務調査など、フリーランスが知っておきたい内容を幅広く扱っている点です。
4コマ漫画やイラストも交えられているため、税金の専門用語に苦手意識がある方でも読み進めやすいでしょう。
同書は2020年に刊行されたものです。税制や申告制度は改正されるため、基本的な考え方を学ぶ入門書として活用し、最新の制度や要件は国税庁のWebサイトなどで確認しましょう。
参考:日本実業出版社「令和改訂版 フリーランスを代表して申告と節税について教わってきました。」
まとめ

フリーランスの節税では、事業に必要な支出を経費として正しく計上し、青色申告特別控除や各種所得控除を漏れなく活用することが基本です。
家事按分や少額減価償却資産の特例に加え、iDeCoや小規模企業共済など、自分の事業や資金状況に合う制度を選びましょう。
節税効果を確定申告に反映するには、日々の記帳と領収書・請求書などの保存も欠かせません。税額だけでなく手元資金とのバランスも考え、利益が増えてきた場合は、法人化も選択肢に入れて検討することが大切です。
まずは経費と控除を整理し、利用できる節税対策からひとつずつ取り入れていきましょう。
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(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)
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