【SAPコンサルタントの今後とは?】案件内容や将来性から考察!

最新更新日:2022/05/13
作成日:2019/08/13

 

現在コンサルティングファームの案件の中でも、非常に数が多いのがSAP関連プロジェクトです。2025年問題に絡み新規導入やバージョンアップのSAP関連案件の依頼が多く、コンサルティングファームやフリーコンサルタントは対応に追われる状況でしょう。現在世界シェアが非常に高いSAPですが、果たしてSAPコンサルタントとして活躍する上で、今後ERP市場がどのように変化して行くのかは気になるところです。現在あるSAP案件などをもとに、SAPコンサルタントの将来像を考察します。

 

目次

■SAPコンサルタントに求められる仕事内容
(1)SAPコンサルに求められるのは、ERPパッケージ導入コンサルとカスタマイズが中心
(2)SAPコンサルタントの主業務

 

■新環境への移行を見据えたSAPコンサルティング
(1)慢性的な人材不足が起きているSAPコンサルタント
(2)ITコンサルタントなら誰でも知っている2025年問題

 

■SAPが発表した新ブランドSAP C/4 HANAとCRM戦略
(1)製品自体のコンセプトを変えた新ブランド「SAP C/4 HANA」
(2)導入コンサルタントはスキルを磨き続ける仕事

 

■SAPコンサルタント業務を案件から考察
(1)フリーランスも多く活躍するSAPコンサルタント

 

■まとめ

 

 

SAPコンサルタントに求められる仕事内容

(1)SAPコンサルに求められるのは、ERPパッケージ導入コンサルとカスタマイズが中心

SAPはご存知の通り、ERP(Enterprise Resources Planning)=統合基幹業務システムのパッケージの一つです。

 

非常に高い世界シェアを誇りますが、もちろん日本も例外ではなく、SAP導入コンサルタントのニーズは国内でも依然として高い状況が続いています。ITコンサルタントとしてERP導入に関わった経験があればもちろんのこと、ITシステムコンサルタントや業務システムコンサルタント経験を持つ人がSAPコンサルタントを目指すキャリアパスも描けるでしょう。

 

ERPパッケージはユーザー企業数120ヶ国47800社以上、利用者1200万人を誇ると言われている統合基幹業務システムですから、案件数の期待度も申し分ありません(2019年現在)。SAPを開発したソフトウェア企業はドイツのヴァルドルフに本社があり、基幹システムパッケージを主力製品に運営しています。

 

SAPシステムがここまでシェアを伸ばした理由は、販売や物流のほか企業会計や人事データを一元化することで、経営の可視化と分析のリアルタイム化を可能にしたことでしょう。すでに30種類以上の言語サポートを実装し、国際会計基準にも対応しているため非常に利便性が高いシステムと言えます。

 

SAPコンサルタントに求められる仕事は、そんなERPパッケージの導入コンサルティングとカスタマイズが中心となっています。ただSAPコンサルタントには、単にシステムの導入コンサルタントとしてだけでなく、ビジネスコンサルタントとして案件を請け負う人材も少なくありません。

 

それはひとえにSAPがクライアント企業の経営基盤に深く関係するシステムであることが理由でしょう。先ほど触れたように、SAPはクライアント企業の経営自体を可視化し、分析することが可能なITシステムです。

 

一元化するのは財務会計・管理会計・販売・購買・生産・人事領域の管理ですが、これらはまさにクライアント企業の経営そのものとも言えます。パッケージを適用させるにはクライアント各社の経営形態に合わせたカスタマイズが必要となり、まずは経営基盤を深く知らなければなりません。

 

そのためコンサルティングにはマネジメントや経営に関する知識が求められることも多く、スキルの高いコンサルタントは上流となるビジネスコンサルティングから手掛けるケースが必然的に多くなるのです。

(2)SAPコンサルタントの主業務

前述のようにビジネスコンサルティングを請け負う場合もありますが、主業務は導入コンサルティング業務です。SAPのERPパッケージを新規導入する企業に対して導入前の業務分析を行なったり改善提案を提案したりすることはありますが、導入支援から導入後のフォローが業務の中心となります。

 

ただし、システム導入を希望するクライアント企業において、まったく何の既存システムも導入されていないケースはあまりないでしょう。ほとんどの場合すでに何らかの会計システムや販売管理システムが稼働しており、それら既存データの新環境への移行、場合によっては一部連携などが必要となります。

 

そのためSAPコンサルタントには高度なIT専門知識が必要とされ、既存システムの精査も含めて支障なく移行運用させる技術が必要となります。副次的にはデータベーステーブルのカスタマイズや移行、モジュールの適用など専門的な分野も受け持つ必要があるでしょう。

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新環境への移行を見据えたSAPコンサルティング

(1)慢性的な人材不足が起きているSAPコンサルタント

前述の通りSAPコンサルタントは多様性が求められる職種であり、案件数は膨大でも導入コンサルタントには高い専門性とスキルが要求されるため慢性的な人材不足が起こっているのが実情です。

 

もしSAPコンサルタントとして活躍したいと考え、コンサルティングファームから独立してフリーコンサルタントとしての活動を考えているなら、タイミングとしてはベストでしょう。プロフェッショナル人材派遣サービスに人材登録すれば、フリーコンサルタントとして充実のサポートを受けられます。

 

ただし、フリーコンサルタントとしてこれから活躍を目指す際に、気になるのは今後のERPのシェアではないでしょうか。

(2)ITコンサルタントなら誰でも知っている2025年問題

特に影響が大きいと言われている2025年問題は、ITコンサルタントなら誰もが知るものです。

 

現状多くの企業に導入されているSAP ERPは、ご存知の通り2025年にサポートが終了します。導入企業はサポート終了までに新たなパッケージSAP HANA環境に移行する必要があり、そのことでコンサルタントの需要が伸びているのも事実です。

 

2025年を過ぎるとまったく従来製品が使えなくなるわけではない模様ですが、多くの企業がそこからスタートを切るのでは遅すぎることを知っています。賢明なコンサルティングファームやフリーコンサルタントならこの問題をチャンスに捉える一方、企業がこれを機に別のERPに乗り換えるのではないかと懸念する目も持っていることでしょう。

 

ご存知の通り、同じSAP製品でもSAP HANAは大幅にシステムが変更されています。

SAP HANAはSAP ERPの新バージョンではなく新製品と捉える向きもあり、移行と言ってもバージョンアップではなく新規導入に近い形となります。結果的に工数もコストもかかるプロジェクトとなり、クライアント企業がこれを機に他社ERPの導入を検討する選択肢が視野に入るのは事実でしょう。

日本でも国産ERPが増えてきており、競合製品が多い状況となれば徐々に市場にも変化が起こる可能性は否めません。しかしながら、これだけ多くの市場シェアを獲得しているシステムパッケージが、そう簡単に牙城を崩される図式はほぼないのも事実でしょう。

変わっていくとしても変化は非常に時間がかかり、長い年月を経て行なわれるのが業界のセオリーです。

 

SAPサイドはSAP HANA導入企業数の順調な増加を公式にアピールしており、すでに2018年9月の段階でユーザー数前年同期比41%増を達成したと発表しています。

600社近くの新規契約の内約4割が新規ユーザーという点も強調しており、業界シェアには何の陰りもないことを主張しています。

出典:SAP、2018年度第3四半期決算発表 クラウドが予想を上回る急速な成長 SAP、2018年の見通しを引き上げ

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SAPが発表した新ブランドSAP C/4 HANAとCRM戦略

(1)製品自体のコンセプトを変えた新ブランド「SAP C/4 HANA」

ここで欧州SAPが2018年6月に「2018 SAPPHIRE NOW」で発表したSAP C/4HANAについてまとめておきましょう。SAP C/4 HANAは同社が開発したCRM(Customer Relationship Management )=顧客関係管理に特化したシステムです。

 

SAPジャパンによると、SAP C/4 HANAは製品自体のコンセプトを変えた新ブランドであり、カスタマーエクスペリエンスを高めることに特化したシステムとして開発したことが特徴です。

 

SAPジャパンSAP Customer Experience ソリューション事業本部長の高山勇喜氏によると、このブランド変更はHybrisからの脱却の意味合いがあったと言います。コマース機能からスタートしたHybrisは、CRMソリューションとしてはコマースの印象が強すぎ、顧客からSAPジャパンへ疑問の声が挙がることもあったからです。

 

カスタマーエクスペリエンスの名を冠することで、SAPジャパンとしてもCRMの提案がしやすくなったのは確かでしょう。

 

事実SAPはバックオフィス向けソリューション開発は得意ですが、CRM分野はSalesforceに市場を独占されている状況です。このことは欧州SAPも十分に承知しており、CEOのMcDermott氏は発表の冒頭で同社のイノベーションに累計500億ドルを注いだと述べています。結果生まれた「HANA」は21世紀型の革命的インメモリデータプラットフォームであり、現在のSAPのソウルになっています。

 

ちなみにSAP C/4 HANAの「C」はCustomerやCRMを意味しているとのことで、ここにも同社の強い意気込みが感じられるでしょう。このSAPの新しいCRMスイートはおおむね好意的な評価を得ることに成功しました。

 

SAP C/4 HANAを持ってSalesforceが独占するCRM市場に正面から宣戦布告した形になりますが、実際にシェアを獲得するにはSAP C/4 HANAに更なるテコ入れが必要とするアナリストもいるようです。

(2)導入コンサルタントはスキルを磨き続ける仕事

システム導入コンサルタントは、おそらくSAPソリューションのポートフォリオ更新スピードを肌で実感していることでしょう。特にフリーランスの導入コンサルタントは、その技術の変化を追いかけるだけでもかなり大変な努力を重ねる必要があります。

 

これまでの変遷を見ても、HANAデータベースの公開とS/4HANAへの移行、SAP Cloud Platformへの移行、C/4HANAなど新しいクラウドソリューションと快挙にいとまがありません。

 

知識と経験を積み重ねた傍から新たな知識を習得することは非常に困難を伴いますが、それでも導入コンサルタントにとってSAPが新しい技術に投資を続ける環境は、むしろ喜ぶべきことと言えます。

 

SAPがベンダーとして得た地位に安寧とせず、多大な投資を続けることでビジネス市場は拡大し、SAPが時代遅れの技術とならない環境が維持されます。フリーランスの導入コンサルタントは、いずれの業務であっても常に新しい知識を学びスキルを身につけなくてはならない事実は変わりません。

 

フリーランスである以上、自分が動いて最新の情報や技術をキャッチアップしなければ、あっという間に時代に追いつけなくなります。

 

フリーランスがトレーニングする場合、SAP Press、SAP Learning Hub、Open SAPという3つのオプションのどれかを使用するのが基本ですが、同時にプロジェクト経験を積むことも欠かせません。

 

プロジェクト経験で技術習得するためには、プロ人材派遣サービスを利用し、積極的にプロジェクトに参画することが重要です。机上に学び実践で身に染み込ませることだけが、スキルを磨く唯一の方法と言えます。

 

 

SAPコンサルタント業務を案件から考察

(1)フリーランスも多く活躍するSAPコンサルタント

では具体的にSAPコンサルタントのプロジェクトにはどのような案件があるのか見てみましょう。SAP関連の仕事ではフリーランスコンサルタントが数多く活躍しているのが特徴であり、コンサルティングファームの正社員でなくても多数の案件紹介が受けられます。もともと専門職種でありスキルがあれば正社員など雇用形態に指定はないため、最初からフリーランスで導入プロジェクトの経験を積む人が多いことも特徴です。

 

もしフリーランスという雇用形態を希望するのであれば、SAPコンサルタントは非常に相性の良い職種と言えるでしょう。寄せられている優良案件の例としては、以下のようなものが挙げられます。

 

・国内航空会社向け収入官吏システム刷新プロジェクト
・AI・IoT事業の実行支援
・情報セキュリティコンサルタント(サイバーセキュリティ対策サービスの販売支援)
・大手物流業SAP FI案件
・通信・メディア業インフラ刷新に向けた要件整理およびRFP作成支援

 

そのほかにも多数の高単価案件があり、コンサルタント登録から最短で即日案件紹介を受けることも可能です。しかもほぼすべての案件が報酬月額100~150万円という高単価案件で、すぐにでも支援して欲しいというクライアント企業ばかりなのも特筆できる点でしょう。

 

一言でコンサルタントと言ってもさまざまな業種にわたりますが、SAPコンサルタントはクライアント企業の課題をITの観点からソリューションする仕事です。ITコンサルタントの一種でありSAP製品に特化した専門知識を必要としますが、フリーランスという働き方とも非常に相性が良く、多くのフリーコンサルタントが活躍しています。

 

また近年の案件の特徴として、企業規模を問わなくなってきていることにも注目できます。これはクラウド形式でのERP製品の登場が状況を一変させたと言えますが、ERP製品を低コストで導入できるようになったことで、あらゆる業界のあらゆる規模の企業からニーズが急増しているのが事実です。

 

将来性も十分ありますし、大手ソフトウェアベンダーからシェアを勝ち取ったSAPを熟知するコンサルタントとして、フリーコンサルタントが輝ける時代が来ています。

 

まとめ

 

ニーズが高いSAPコンサルタントという職種について将来性を考察しました。

 

コンサルタントとして活躍できる場は広がる一方であり、ベンダーも現在の位置に甘んじることなく、多大な投資をかけて新しい分野を開発し続けています。世界シェアを誇るベンターが立ち止まることなく挑戦し続けている限り、その分野で専門家としてスキルを探求し続けることは大きな自己投資につながるでしょう。

 

次回コラムでは、「SAPのコンサルタント案件を獲得して年収を伸ばすには」をテーマにお伝えします。

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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