<フリーランス、個人事業主>2020年分確定申告は2月16日から!

最終更新日:2020/12/04
作成日:2019/09/30

独立開業すれば、経理や人事、労務といった業務を基本的に自分でこなす必要があります。特に個人事業主やフリーランスの方にとって大きなタスクと言えば、確定申告ではないでしょうか。ベテラン経営者でも頭を悩ませる人が多いと言われる確定申告。起業したばかりの方にとっては、心配なことも多いのではないでしょうか?実は2020年(令和2年)分の確定申告では、控除額の変更など大幅な改正が行なわれています。そこで2020年の確定申告について、初めての方でもわかりやすいように基礎知識と注意点をまとめました。

 

また2020年に話題になった「副業」。会社員の方が個人で業務委託契約を交わして副業をはじめたというケースも多いかもしれません。こうした副業も基本的に確定申告の対象となりますので、早めに準備しておきましょう。

 

※申請に関する詳細は、必ず国税庁のホームページなど該当機関の情報をご確認ください(※1)

 

目次

■まず確認!確定申告に向けて、フリーランスと個人事業主が最初に押さえるべきこと
(1)2020年分確定申告のスケジュール
(2)<初めての方向け>確定申告は何のためにするもの?
(3)確定申告には、青色申告と白色申告の2種類がある
(4)申告書の提出方法は、税務署へ持参するかオンラインの2通りある

 

■2020年分の確定申告、これまでとの変更点とは 
(1)基礎控除額が38万円から48万円に引き上げ
(2)青色申告特別控除額が最大65万円に引き上げ

 

■確定申告の不明点を誰かに相談したい!フリーランスや個人事業主が相談できる窓口
(1)税務署への相談方法
(2)税理士への相談方法
(3)マイナンバーの必要性について

 

※本コラムは、2020年12月04日に「個人事業主&フリーランス必見!2019年確定申告注意点と、注目のイベント情報」を再構成したものです。

 

 

まず確認!確定申告に向けて、フリーランスと個人事業主が最初に押さえるべきこと

(1)2020年分確定申告のスケジュール

2020年(令和2年)分の確定申告書の提出期間は、2021年(令和3年)2月16日(火)~3月15日(月)となっています。提出場所は、納税地(個人であれば自宅か事務所の住所)を管轄している税務署。税務署の開庁時間は原則として平日のみですが、確定申告書の提出期間は土日に開庁しているケースもあります。あらかじめ該当エリアの税務署について、土日の開庁日をチェックしておきましょう。なお税務署に行かずにオンラインで申告書を提出することも可能です。

 

納税が必要な場合、確定申告書の提出期限と同じく3月15日までに納税する必要があります。期限までに税金を納めないと催告書が届き延滞税がかかることもありますので、注意しましょう。ただ起業独立して間もない方、副業を始めたばかりの方は確定申告書の書き方に慣れていないことも多いですよね。提出が期限ぎりぎりになると納税も遅れてしまう可能性が高いので、早めに書類の作成に取り掛かりたいところです。そこで、まずは今のうちから確定申告の基礎知識を知っておきましょう!

(2)<初めての方向け>確定申告は何のためにするもの?

確定申告は1年間の所得と経費をもとに利益を計算し、その年の支払うべき納税額(主に所得税)を申告するために行ないます。会社員の場合は、会社が「年末調整」として給与や控除額をもとに納税額を計算して申告を代行してくれます。一方では個人事業主やフリーランスの方は、自分自身で計算して確定申告によって申告する必要があります。

 

なお個人事業主やフリーランスの方の中には、案件にもよりますが支払われる報酬からすでに源泉徴収されるケースも多いのではないでしょうか。源泉徴収とは、報酬から事前に納税額を引くこと。つまり取引先から報酬をもらう時点で、すでに納税額の概算が引かれているわけです。ただ1年間にかかった経費や控除額を加味して再計算すると、実は納税額が源泉徴収額より少なかったということもあります。この場合は確定申告をすることで、差額の還付(払い戻し)を受けることができます。当然源泉徴収の時点では経費や控除が反映されないため、一般的には還付を受けられるケースが多いのではないでしょうか。

 

ただし還付を受けるには、しっかり経費を計算することがポイントです。そのためには、経費を証明できる領収書を保管しておくことが大切です。なお会社員で副業をしている方の場合、給与は会社側で年末調整が行なわれますが。一方で副業で得た所得は自分で申告する必要があるため確定申告が必要です。場合によっては、副業で発生した損失分を給与所得から控除できるケースもあります。

 

確定申告や年末調整で申告するのは、所得税です(厳密には復興特別所得税や消費税、贈与税なども対象となりますが、本記事では所得税のみ触れます)。ただし個人事業主やフリーランスの方は、確定申告をすれば住民税や事業税を別途申告する必要はありません。

(3)確定申告には、青色申告と白色申告の2種類がある

確定申告には大きく「青色申告」「白色申告」の2種類があり、事業所得の場合どちらかを選択することができます。

 

・青色申告:複式簿記で帳簿を付ける必要がありますが、最大65万円の特別控除を受けられるなどのメリットがあります。

・白色申告:単式簿記でシンプルな帳簿でよいものの、特別控除はありません

 

「複式簿記」というと、難しいイメージがあるかもしれません。実際のところ独立開業したばかりの方なら、勘定科目など会計についての知識がないという方も多いでしょう。しかし現在では、会計ソフトを利用すれば経理の知識がなくても複式簿記で帳簿を付けることができます。そのためメリットの多い「青色申告」を選ぶ方が多いようです。

「freee(※2)」「マネーフォワード(※3)」といったクラウド型会計ソフトでは、帳簿だけではなく確定申告書の作成も簡単にできる機能を搭載しています。さらにクラウド会計ソフトの中には、確定申告の時期にあわせて書類の作成方法などのサポート情報を提供しているところもあります。

 

青色申告をするには、事前の手続きが必要です。まず開業した時点で「個人事業の開業・廃業届出書」という書類を税務署に提出しておく必要があります。ただし開業届だけでは青色申告はできません。別途、開業して2か月以内に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。これらの手続きに費用は掛かりません。

(4)申告書の提出方法は、税務署へ持参するかオンラインの2通りある

確定申告は従来通り書類を直接税務署に持参して提出することもできますが、オンラインで提出することもできます。現在国税庁では、書類の作成や提出をインターネット経由で行なえる「e-Tax」というシステムを提供しています。「e-Tax」なら混雑する税務署へ行かずに提出できるため、時間の節約につながります。

 

2019年より「e-Tax」での申告方法は、「マイナンバーカード方式」「ID・パスワード方式」の2種類になりました。「マイナンバーカード方式」は、その名の通りマイナンバーカードを所持している方が利用できます。スマートフォンまたはICカードリーダーを使ってマイナンバーカードを読み取り、利用登録を行ないます。「ID・パスワード方式」は、事前に税務署へ行ってID・パスワードを発行してもらう必要がありますが、マイナンバーカードを持っていない方でもe-Taxを利用可能。どちらの方式で提出するか事前に検討して、準備しておきましょう。

 

クラウド型会計ソフトの中には「e-Tax」に対応しているものもあります。こうしたソフトを使えば、さらに申告書類の作成・提出作業の手間が削減できます。

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2020年分の確定申告、これまでとの変更点

 

確定申告は毎年細かい変更が行なわれますので、確定申告の準備をする前に前年度との変更点をチェックしておきたいところ。2020年分の確定申告では、大きく2つの変更点があります。他にも細かい変更点はいくつかありますが、ここで解説する2つの変更点はぜひ把握しておきましょう。

(1)基礎控除額が38万円から48万円に引き上げ

所得税の計算では、所得(収入)から控除額を引いた金額をもとに、納税額を算出します。つまり控除が大きければ、その分納税額は少なくなるということ。この控除の中で、誰でも一律に所得から引くことのできるものが「基礎控除」す。

 

2020年分の確定申告では、従来38万円だった基礎控除額が48万円に変更となります。個人事業主やフリーランスの方にとっては、控除額が10万円アップすることになり納税額が下がる可能性があります!ただし基礎控除額は、2020年分の確定申告から合計所得額によって変わるようになります。例えば合計所得が2,400万円以下の場合、基礎控除額は48万円。しかし合計所得が2,500万円以上になると、基礎控除は0となります(※4)。

(2)青色申告特別控除額(最大65万円)の条件が変更

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類あるという解説をしましたが、青色申告の特別控除額も、2020年分の確定申告から変更があります。2019年分までは「青色申告」を選択すれば、一律で特別控除額は65万円でした。しかし2020年分からは65万円の控除を受けるには、従来の条件に加えて「e-Taxを使ってオンラインで申告を行うか、電子帳簿保存をする」という条件が加わります。この条件があてはまらないと、特別控除額は55万円となります。

 

この変更によって、2020年分の確定申告では「e-Tax」で申告する方が増える可能性が高いでしょう。独立開業してはじめて確定申告を行なう方は、早めに「e-Tax」を使うかどうか検討したいところです。

 

 

確定申告の不明点を誰かに相談したい!フリーランスや個人事業主が相談できる窓口

 

個人事業主、フリーランス、業務委託契約をしている方は、確定申告に不慣れなことも多いと思います。独立して初めて自己申告をする方が「どこまで経費に含めていいのか」と考え始めたらキリがありません。誤った申告を行なってしまうと、本来払うべき税額よりも増えてしまったり、反対に過少申告になってしまったりすることもあります。不安があれば、専門家へサポートを依頼しましょう。

確定申告について相談できる窓口は、下記の2つです。
・税務署
・税理士

(1)税務署への相談方法

税金のことですから、税務署へ相談するのがもっとも安心です。無料というのも大きなメリット。

 

一番手軽な方法の1つとして、申告先となる最寄りの税務署に電話で相談をする方法があります。税務署というと少々とっつきにくいイメージを思い浮かべるかもしれませんが、親切にサポートしてくれますし、匿名でも相談できます。個人事業主や業務委託で活躍されている方はもちろん、会社員が副業についても相談できます。

 

注意点として、電話相談は1年中可能なのですが、確定申告の時期は混雑して繋がりにくくなります。あらかじめ不明点や質問事項をメモし、スムーズに相談できるよう準備を整えておきましょう。

 

また、確定申告の受付期間であれば、税務署で別途サポート窓口を受け付けているところもあります。電話よりも対面の方がわかりやすいケースもありますので、税務署へ直接出向いて相談するのもひとつの方法です。

(2)税理士への相談方法

税金のサポートといえば、やはり税理士をイメージされる方も多いはず。豊富な知識と経験で、適切な申告方法から現実的な節税までアドバイスを受けられるのは税理士ならでは。

独立してまもない個人事業主、フリーランス、業務委託の方や副業を行なっている会社員だと「税理士を利用するとの費用が発生するのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、確定申告の時期は、全国各地で確定申告の無料相談会が行なわれています。

確定申告関連のセミナーや無料相談会は、一般的にエリアごとにある税理士会のWebサイトで告知されていることが多いので、チェックしてみましょう。

(3)マイナンバーの必要性について

2016年1月から税・社会保障に関する手続きでの利用が始まったマイナンバー。今では、e-taxのID・パスワード式以外の確定申告時には、必ず「マイナンバーの記載+マイナンバー証明書類の提出」が必要になりました。

 

「マイナンバーカード(表・裏)の写し」または「通知カードか住民票の写し(マイナンバーの記載があるもの)+運転免許証などの身元確認書類の写し」を合わせて提出します。

「e-Tax」で確定申告を行なう場合は、これらの書類の提出は不要ですので、事前にご自身がどの方法で確定申告を行なうのか決めておくとスムーズです。

 

しかし、マイナンバーは個人情報の漏洩に対する懸念から、提出を敬遠する考えもあります。確定申告でマイナンバーを記載せずに申告する対処法はあるのでしょうか?

 

結論からいえば、マイナンバー記載なしの申告書類を受理してもらうことは可能です。マイナンバーの記載は法律で義務付けられてはいるものの、違反しても罰則がありません(2021年1月現在)。制度導入からまだ時間がそれほど経っていないことからそのような措置が取られており、以下のように表記されています。

 

「税務署等では、(中略)制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしています」(※5。番号制度概要に関するFAQ)

 

ただし、後日税務署から連絡を受けることになる可能性もありますし、税務署から自治体に確認するなどして最終的にはマイナンバーが使われることになりますので、マイナンバーを記載する前提で確定申告を進めていくべきでしょう。

 

 

 

個人事業主やフリーランス、副業などで業務委託契約をしている方にとって、必須とも言える確定申告。最近はクラウド型会計ソフトと「e-Tax」を利用することで、書類作成や提出の手間をかなり減らすことができます。とはいえ1年分の所得や経費を改めてチェックする作業となりますし、2月や3月は年度末の企業も多く、案件が集中しがちな時期。スムーズに対応するために、余裕をもってスケジューリングしておきたいところです。

 

2020年はコロナ禍の影響によって受注案件が減り、「持続化給付金」などの給付金、補助金を受けたフリーランスや個人事業主の方も多いかもしれません。こうした給付金、補助金は確定申告で所得として含める場合がありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。

 

※当コラムの情報は、2020年12月04日時点によるものです。確定申告の詳細につきましては関係各所へお問合せください。

 

<参照>
※1:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2020/01.htm
※2:https://www.freee.co.jp/
※3:https://moneyforward.com/
※4:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
※5:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gaiyou_qa.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/info-mynumber1.htm

 

(株式会社みらいワークス FreeConsultant.jp編集部)

 

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