【個人事業主の常識】確定申告でおなじみ住宅ローン控除の方法とは?

作成日:2016/10/19

 

住宅ローン控除をするメリットとは?

住宅ローン控除をするメリット

マイホームを購入する方の大半は、長期のローンを組んで購入するケースが多いと思います。金額も大きく長期間の返済となり、元本の返済に加えて金利の返済も発生するので、月々の負担もなかなか大きいですよね。

 

新築でマイホームを購入する場合、確定申告で住宅ローン控除を申請すれば、10年間にわたって年末のローン残高の1%が還付されるのです!還付される金額については、平成26年4月1日から平成31年6月30日までに居住開始した住宅について、居住開始年度から10年間にわたり、各年末残高の1%を控除できます。(ただし、40万円を上限額とします。)

 

住宅を取得するタイミングによって控除される金額の最大値が多少異なりますが、たとえば、今年新築して住みはじめた住宅ローンの年末残高が3,000万円だとすれば、年明けに確定申告をすることで30万円も戻ってくるわけです。ローン残高は年々減っていくものの、これが10年間続くとかなりの金額になりますよね。

 

現在は低金利で住宅ローンの種類によっては金利が1%を切る場合もあるので、ローン残高の1%相当の金額が返ってくれば、借入をしているにもかかわらず利息の支払いよりも税金の還付が大きくなり、結果的に逆ざやで利益が出てしまった、なんていうケースもあるのです。

 

サラリーマンの場合は、住宅購入初年度に確定申告で住宅ローン控除の手続きを行えば、翌年度以降は年末調整を行うだけで控除を受け続けられますが、個人事業主やフリーランスの方は、しっかりと毎年確定申告の中でその申請を行う必要があるため注意が必要です。不動産会社や金融機関との購入時の契約条項を確認し、どの位の控除が受けれるのか分析しておきましょう、現在・新規事業にも繋がる費用にもなりかねますので。

 

そこで今回は、知らないと損をしてしまう、住宅ローン控除を受けるために必要なポイントをご紹介します。

 

住宅ローン控除を受けるための5つの条件

住宅ローン控除を受けるためには、以下の5つの条件を満たす必要があります。

  • (1)新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得(以下、「取得」とします。)した日から6か月以内に居住を開始し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
  • (2)控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
  • (3)新築又は取得をした住宅の床面積が50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が自己の居住用に利用されていること。
  • (4)新築又は取得のために組まれた10年以上にわたり分割返済する銀行等の金融機関や住宅支援機構などからの一定の借入金又は債務があること。
  • (5)居住を開始した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。

つまり「50㎡以上の床面積の新築のマイホームを購入して、10年以上のローンを組んでいる人で前後2年間を含む5年間に住宅取得に関する税務上の特典を受けていなければ、住宅ローン減税を受けられる」ということになります。

 

住宅ローン控除を受けるための手続とは?

住宅ローン控除を受けるためには、確定申告の際に住宅ローン控除を受けるために必要な書類を提出することになります。提出が必要な書類は控除を受ける最初の年と2年目以降で異なります。詳細は下記の通りです。

◆住宅ローン控除を受けるための必要書類

 (1)確定申告書

  • 必要事項を記載した確定申告書

 (2)添付資料A(敷地の取得に係る住宅借入金等がない場合)

  • 1.「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
    2.住民票の写し
    3.住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(2か所以上から交付を受けている場合は、その全ての証明書)
    4.次のことを明らかにする書類(家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し、売買契約書の写し等)
  • イ.家屋の新築又は取得年月日
    ロ.家屋の取得対価の額
    ハ.家屋の床面積が50平方メートル以上であること
    ニ.家屋の取得等が特定取得に該当する場合には、その該当する事実(平成26年分以後の居住分に限ります)
  •  (3)添付資料B(敷地の取得に係る住宅借入金等がある場合)
  • この場合、(2)の添付資料Aに加えて、以下の書類も必要です。
  • 1.敷地を取得したこと、取得年月日及び取得対価の額を明らかにする書類(敷地の登記事項証明書、売買契約書の写し等)
    2.敷地の購入に係る住宅借入金等が次のイ)~ハ)までのいずれかに該当するときは、それぞれ次の書類
  • イ.家屋の新築の日前2年以内に購入したその家屋の敷地の購入に係る住宅借入金等・・・家屋に一定の抵当権が設定されていることを明らかにする書類(家屋の登記事項証明書など)
    ロ.家屋の新築の日前3か月以内の建築条件付きで購入したその家屋の敷地の購入に係る住宅借入金等・・・契約において3か月以内の建築条件が定められていることなどを明らかにする書類(敷地の分譲に係る契約書の写しなど)
    ハ.家屋の新築の日前一定期間内の建築条件付きで購入したその家屋の敷地の購入に係る住宅借入金等・・・契約において一定期間内の建築条件が定められていることなどを明らかにする書類(敷地の分譲に係る契約書の写しなど)
  • ※2年目以降の必要書類は(1)、(2)1、(3)3のみ。

手続きは、必要事項を記載した確定申告書に必要書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出するだけです。

1年目は住民票や不動産の売買契約書など、さまざまな書類を提出する必要がありますが、2年目以降は確定申告の際に、計算明細書(ひな型は国税庁のホームページにあります)と金融機関から送付されてくる住宅ローン残高の明細を提出すれば済みます。

☆あわせて読みたい

『フリーランス人材の悩みとは?業務委託の雇用形態とメリットデメリットを解説』

『簡単にわかる「フリーランスとは」入門ガイド 』

『フリーコンサルタントは副業でも稼げる?単価・種類・注意点を解説!』

 

過去に遡って控除を受けるには?

過去に遡って控除を受ける

マイホームを購入したのに住宅ローン控除を受ける手続きを忘れていた・・・というケースでも、場合によっては過去にさかのぼって控除を受けることができます。サラリーマンの方は会社に話をすることで控除を受けるための具体的書類も貰えますが、フリーランスや個人事業主の方はそのままにして泣き寝入りすることがないよう、十分な情報を得た上で対応しなければならないでしょう。

個人事業主やフリーランスの方の場合は、ご自身で確定申告をされるケースが一般的かと思います。いったん確定申告をしてしまった場合、「更生の請求」をすることで、5年間までは遡って提出した確定申告を修正することができます。しかし、「更生の請求」はあくまで計算間違いがあった場合などに限定して適用されるものであり、住宅ローン控除のように任意の特典を受けるために必要な申告を忘れてしまったようなケースでは、書類を出さないイコールそもそも特典を受けないという意思表示を確定申告でしてしまった、と判断されて、過去に遡った修正はできないものと考えるのが一般的です。実際、過去の国税不服審判所の事例でも、同様のケースで過去の修正を認めないという判断がなされているので、ほぼ修正の余地はないといって良いかと思います。

なお、給与所得者の場合は、ご自身で確定申告をされずに会社に年末調整をしてもらうケースが一般的かと思います。この場合、過去5年以内の新規取得であれば、遡って「確定申告」を新規にすることで還付を受けることができるという点で、個人事業主やフリーランスの方の場合と違いがあります。

 

いかがでしたでしょうか。

「確定申告」というとハードルが高いと感じられる方も多いかもしれませんが、とりわけ住宅ローン控除は金額的なインパクトも大きいので、新築住宅を購入した場合は忘れずに申告しましょう。

特に個人事業主やフリーランスの方が新築のマイホームを購入する場合は、確定申告の際に住宅ローン控除の申請を忘れてしまうと、過去に遡って修正できなくなることもありますので要注意です。 添付する計算書にしても、最近ではクラウド会計ソフトでもかなりの部分まで作りこめますし、確定申告をめぐる環境も、以前よりかなり負担が減ってきているのではないかと思います。

なお、詳細については必ず国税庁のサイトをご確認ください。

 

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

 

コンサル登録遷移バナー

 

◇こちらの記事もオススメです◇

『【PMOとは】PMとの違い(仕事内容・意味・職種)と向いている人、業務に必要な資格・スキルセットを解説!』

『【フリーコンサル PMO】年収は?必要なスキルや資格は?つまらない?メリット・デメリットも解説』